留辺蘂高等学校 校長室だより No4 平成27年1月23日(金) 学力の非知能要因 バラク・オバマ氏が大統領に就任したのは、2009 年 1 月 20 日。今でこそ、外交におい てレームダック(死に体)と言われたり、内政で共和党の協力を得られなかったり難儀し ていますが、就任当初はノーベル平和賞を受賞するなど初めての黒人大統領として華々し かったですね。 大統領選挙でオバマが選出される前後で、白人よりも黒人の学 生が学業への取組が一生懸命になりました。そのときに黒人の学 生の成績がアップし、白人と同等になったことをオバマ効果とい うそうです。同じ黒人として、"I can do it!!" と思えたのでしょう。 未だに人種偏見が存在しているアメリカで自分の未来に希望が見 えたのだと思います もう一つの例は、ロジャー・バニスター効果です。ロジャー・ バニスターは、1950 年代のオックスフォード大学医学部学生で中距離ランナーでした。 1マイル走(約 1609 メートル)の世界記録の話ですが、当時は、1マイル4分の壁は絶 対に破られることはないだろうと言われていました。多くのトップアスリートがチャレン ジしても、その壁が破られることはなかったし、医学者の中には、1マイル4分を切るの は人間の肉体では不可能だとか、無謀で危険な挑戦だと言う人もいました。 ところが、ロジャー・バニスターが、 「1マイル4分以内」 を公言して、数年後に実現したのです。すると、物凄いこ とが起こりました。わずか2ヵ月後には別の人に記録が破 られ、それから1年以内に1マイルを4分以内で走る選手 がなんと23人も現れたのです。もちろん、1年間で人間 の身体的能力が急激に進化した訳ではありません。「できな い」と自分で決めていた壁がなくなると、あっという間に、 できてしまった例です。技能よりもマインドセット(気持 ちの持ち方)がパフォーマンスに影響しているロジャー・ バニスター効果と言われるものです。 進路研究会は気持ちの壁を破る努力をしているなと感じ ます。存続について再考する必要があるのでは... 学力は知能IQだけで決まるものではなく、非知能要因 が重要であることの導入として、上の二つの効果を例としました。 非知能要因とは、 ○未来をプラスに考える ○退屈でも辛抱する ○ねばり強く取り組む ○むずかしくてもあきらめないでがんばる ○自分の感情をコントロールする ○思いやりや感謝の気持ちをもつ、 など性格の強み(character strength)と言われるものです。 アメリカの大学では、高校の時の学力検査得点(SAT)よりも通知表の成績(教師評定) の方が大学入学後の成績を予測しているとして注目しているそうです。 通知表の成績は次のことを意味しています。 ○教室における「よい」おこない ○教師や仲間とのよい関係 ○宿題や課題の提出をしっかりする ○こつこつとコンスタントに学習する(よい学習習慣)、 など上記に共通するのは自分をコントロールする力です。 我々教員としては、上記の非知能要因などを常に生徒に要求し続けることが大事なのだ と思います。学級の多い学校で、同じ科目を分担している場合、要求する教員とそうでな い教員では、定期試験での平均点は相当の開きが出るというのが実感です。
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