推薦文 自転車活用推進議員連盟 会長 谷垣禎一 衆議院議員 健康と環境を中心にした生き方として、LOHAS(Lifestyle of Health and Sustainability)という言葉が、いまや生活のみならず、国、地方の行政、街づく りのあり方の方向性として注目を集め、また、これからの高齢化社会でも、健 康で環境にやさしい生活は、国や地方の財政にとっても健康や環境予算の節約 に寄与するものとして重要となっています。 自転車は、この健康と環境というテーマをまさに地で行くものであり、自転 車の利用や活用は時代の要請でもあります。 毎日の継続的な自転車の利用は、有酸素運動として糖尿病、血管系の疾患な どによい影響があるとともに、自転車通勤・通学による仕事や勉学における生 産性・効率性の向上やストレスの解消に寄与するなど心身両面の健康のみなら ず、企業活動や教育活動にもよいとされます。 また、自転車はガソリンその他の化石燃料の消費がなく、維持費もわずかで 済む極めて経済的な移動手段です。地球環境温暖化対策としての二酸化炭素の 排出の伸びは、運輸部門では自家用車の伸びが 5 割以上となっております(対 1990 年比)。特に、地方都市では自転車で行けるようなほんの短い距離でも、ク ルマによる移動が大半となっています。自転車は、健康的にも、経済的にも、 環境的にも最も優れた乗り物であり、その意味でサステイナブルなライフスタ イルや街づくりを実現することは明らかです。これらのことは世界の先進国で は今や常識化しています。 私は、このような枚挙のいとまのないメリットを持つ自転車に早くから注目 して、自転車の利用を推進する超党派の自転車活用推進議員連盟を作り、今、 その会長として一層その推進を図るようにさまざまな活動を展開しているとこ ろであります。 このような中で、この本は、自転車の利用を、的確かつ適正に支えるための 費用のかからないソフト面の施策の革新的なあり方を、諸外国の最新の実例や 内外の明確なデータに基づいて、体系的網羅的に示しています。また、そのた めの根拠となるデータや資料を駆使して、広範囲の研究実績と多様な行政経験 の両面から、説得力のある具体的な施策提案を行っています。さらに、放置問 題や安全対策などの自転車利用を促進するためのマイナス面の障害となってい る事項についても、あらたな視点から取り上げて、解決方法や考え方を提案し 解説しています。 本書が、自転車をもっと活用したいと思っておられる自治体、自転車利用者 の方々、さらに地球環境問題を考える人たちなどに読まれ、今までの自転車利 用促進の施策とは少し違った新しい角度から考えていただく指針や施策立案、 さらに利用行動につながることとなれば幸いです。
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