【解 説】 いわゆる「危険ドラッグ」に起因した痛ましい事故が多発したことを

【解
説】
いわゆる「危険ドラッグ」に起因した痛ましい事故が多発したことを受けて、
「危険ドラッグ」撲
滅の動きが活発化しております。
警視庁においても、こうした背景から、薬事法上の指定薬物に指定された危険ドラッグをインタ
ーネット上で販売広告しているサイトについて、そのプロバイダ等に削除要請を依頼するなど、
「危
険ドラッグ」の流通を阻止する動きを強めています。
賃貸借契約においても、賃借人が貸室にて「危険ドラッグ」の販売を未然に阻止する必要性が生
じているといえます。
そのような要請から、賃借人が「危険ドラッグ」の販売・譲渡をしていることが発覚した場合に
は、賃貸借契約を無催告解除できる条項が必要になります。
「危険ドラッグ」については、薬事法第2条第14項において、省令で指定された薬物をいいま
すが、こうした法律の穴を掻い潜って、指定されてはいないものの、幻覚・幻聴をきたすおそれの
ある向精神薬などの薬物が新たに生成される可能性があるなど、
「危険ドラッグ」を薬事法第2条第
14項の指定薬物にのみ限定することは、抜け道を設けることにもなりかねません。
従って、販売・譲渡を禁止する薬物については、
「危険ドラッグ」よりも広範囲にわたる記載にす
る必要があります。
なお、以上のような危険ドラッグの販売・譲渡等は、現実には、事件発生等の新聞報道や警察に
よる捜索・差押え・逮捕手続の執行等で発覚することになると思われますが、それのみで契約解除
できるかは、困難な問題があります。賃借人から解除の効力を争われた場合は、民事裁判としては、
有罪の確定を待って解除の効力が決せられることになるでしょう。しかしながら、契約書に上記の
ような特約を入れたり、確約書を徴求することは、反社条項と同様、それだけで犯罪発生の抑止力
になりますので社会全体と対応として有用と思います。