日本近代詩の展開~近代の限界と超克に関して~

所属: 高知工業高等専門学校 総合科学科
研究タイトル:
日本近代詩の展開~近代の限界と超克に関して~
氏名:
佐藤 元紀 / SATO Motoki
E-mail:
[email protected]
職名:
講師
学位:
博士(文学)
所属学会・協会:
昭和文学会、日本近代文学会、中原中也の会、筑波大学日本語・日本
文学会
キーワード:
日本近代文学、日本近代詩、地域連携
技術相談
提供可能技術:
・日本近代詩/文学などに関する研究
・高知県出身詩人/作家に関する研究
・文学や国語に関わる講座などの地域連携教育
研究内容:
◆研究概要
日本近代文学、とくに中原中也を軸として大正期から昭和初期の日本近代詩に関する研究をしています。明治期の急速な
近代化が一段落し、〈西洋の没落〉に象徴される第一次大戦と第二次大戦の戦間期の日本において、当時の詩人や作家が
何を問題としながら文学的営為を続けていたかということに関心を寄せています。そして、それを詩篇や小説といった作品の
読解を通して読み取ることを試みています。
また、近年は理系学生向け国語授業教授法に関する研究、教材の開発にも強く関心を寄せています。
◆研究テーマと成果の例
(1)中原中也の詩作に関する研究
抒情性豊かな詩を美しい言葉で歌った詩人というイメージで中原中也は理解
され、その詩篇はドラマティックな評伝と共に広く親しまれています。
しかし、そうした側面に焦点を当てた読解では、中原中也が戦間期の日本に
おいて何を問題としながら詩作したのかという創作の意図は捨象されてしまい
ます。そこで、合理主義に支えられた近代の限界が露見し、その超克が問題と
され始めた同時代の文脈などと詩篇の読解結果を交差させることにより、その
詩篇に託された詩人の意図について考えています。
【図 1】上田秋夫『自存』
(昭和 2 年 1 月、啓明社)
(2)高知県出身詩人・上田秋夫に関する研究
上田秋夫は中原中也と同じ時代に呼吸しながら詩作し、昭和 2 年には『自存』
【図1】という詩集を上梓した詩人です。また、ロマン・ロランやマルセル・マルチネ
の著作の翻訳家としての側面も持っています。従来の文学史において、上田秋夫
はほとんど顧みられることはありませんでした。
しかし、同郷の片山敏彦や宮本正清らと共にロマン・ロランに魅かれ、それに
導かれるように上田が文学的営為を重ねたことの意義を問うことは、戦間期の
日本が抱えた問題と文学の展開を考える上で決して看過することはできません。
【参考】高知高専図書館所蔵献呈署名入
上田秋夫『上田秋夫詩集』
追って調査・研究を進めたいと思います。
(昭和 49 年 2 月、私家版)
提供可能な設備・機器:
名称・型番(メーカー)