【参考資料】 苫小牧で連動する特別展「花ひらく近代洋画の世界」は、梅原龍三郎、安井曾太郎、須田国太郎ら昭 和初期に活躍し、日本近代洋画界を牽引した画家たちの作品を集めています。彼らが活躍した時代、 それは日本の絵画界がヨーロッパの伝統的な手法である油彩を用いながらも、そこに日本らしい美的 感覚を取り込んで独自の表現を模索していた時代でした。画家たちが西洋的なものと日本的なものの 狭間で葛藤しながら、その先に新たな地平を切り拓いていった時代といって良いでしょう。特別展のス ポットもそこに当てています。そこでコンサートもその時代の空気を取り込み、クラリネットという楽器の 可能性を味わってもらうことを心がけました。タイトルも「新しい地平へ」。通常のクラリネットの演奏だけ ではなく、バス・クラリネット、ソプラノ・サックスまで、様々な楽器の演奏を聞いてもらうことで、会場の皆 さんに楽器の「新しい地平」を聞いてもらいたいと考えています。また、そのクラリネットの伴奏に2組の 弦楽四重奏を加えました。「ミュージック・イン・ミュージアム」シリーズではお馴染みの弦楽カルテット 「カルテット H」と、札幌在住の音楽家で編成したもう1組の弦楽カルテットを組み合わせることで、音楽 や響きに暖かい手触りを感じてもらえるコンサートに仕立てました。ところで今年は、「ミュージック・イ ン・ミュージアム」シリーズを苫小牧で開催して10年目という記念の年でもあります。そこで、クラリネット の演奏には、東京交響楽団の前の首席奏者という“大物”十亀正司氏を起用しました。氏は日本を代 表するクラリネット奏者である一方、日本では数少ないバグパイプ奏者で、昨年のNHK朝の連続ドラ マ「マッサン」のテーマ曲となった中島みゆきの《麦の唄》のバックに流れるバグパイプは氏の演奏で、 氏は年末の紅白歌合戦に出演して実際にその演奏を披露しています。しっとりとした弦楽アンサンブ ルをバックに、十亀氏がさまざまな楽器を駆使して新しい響きを次々に紡ぎ出してくれる、そんなコン サートになることを期待しています。 <演奏候補曲>(※変更の可能性あり。) ◉モーツァルト:ディヴェルティメント K136(弦楽カルテット) ◉シング・シング・シングの十亀ヴァリエーション(クラリネット) ◉枯葉……エリック・ドルフィーが枯葉を吹いたら(バス・クラリネット&弦楽カルテット) ◉チャイコフスキー:バレエ《くるみ割り人形》より「花のワルツ」(弦楽カルテット) ◉段々小ちゃく(クラリネット&弦楽カルテット) ◉エーデルワイス by にんじんクラリネット(人参クラリネット) ◉モーツァルト:クラリネット五重奏曲より第1楽章(クラリネット&弦楽カルテット) ◉チャイコフスキー:弦楽セレナーデより第 2 楽章 ◉ハイランド・カテドラル(バグパイプ) ◉スコットランド・ザ・ブレイブ(バグパイプ) ◉B52(バグパイプ&弦楽カルテット) <出演者> 十亀正司(とがめ・まさし) 広島県出身。8 歳でヴァイオリン、15 歳よりクラリネットを始める。東京藝術大学卒業後、大学院を修了。 大学院在学中の 1978 年、東京交響楽団に入団、2012 年の定年まで首席クラリネット奏者。現在は TCCP(Togame Comical Clarinet Philharmony)を主宰、(株)亀の子音楽工房の代表取締役。また、聖 徳大学音楽科、東京藝術大学、武蔵野音楽大学で後進の指導に当たっている他、日本クラリネット協 会副会長、日本メタルクラリネット協会副会長を務める。 カルテットH(カルテット・アッシュ)&その仲間たち 東京交響楽団のアシスタント・コンサートマスターの廣岡克隆が主宰し、その音楽仲間たちが参加して いる 弦楽四重奏団、カルテットHは「ミュージック・イン・ミュージアム by 出光」コンサートシリーズにこ れまで何度も出演している。今回は、第 2 ヴァイオリンに宮本佳代子、ヴィオラに古宮山由里、チェロに 謝名元民というメンバーで構成。また、苫小牧公演ではより厚みのある響きを求めて、浜島泰子/高 杉奈梨子(ヴァイオリン)、後藤美和子(ヴィオラ)、中川恵美(チェロ)という北海道在住の音楽家によっ て編成したもう一組の弦楽四重奏団とともに、若手パーカッション奏者の野崎めぐみも加わり、ステー ジを華やかに彩る。 廣岡克隆(ヴァイオリン) 宮本佳代子(ヴァイオリン) 高杉奈梨子(ヴァイオリン) 古宮山由里(ヴィオラ) 謝名元民(チェロ) 中川恵美(チェロ) 浜島泰子(ヴァイオリン) 後藤美和子(ヴィオラ) 野崎めぐみ(パーカッション)
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