創立57周年記念 葦の会 シンポジウム 本日の発言内容 高齢社会の現状と将来 「老健」の現状と「看取り」 高齢者の終末期 リビング・ウイルと尊厳死 認知症と尊厳死 高齢者の終末期と老健での看取り ー尊厳死の観点からー 介護老人保健施設・オリブ園施設長 源河 圭一郎 2015年7月4日 沖縄都ホテル 2015年問題 なぜ今、死のあり方が問題か? 高齢社会の到来(平均寿命:男80歳、女86歳) 延命至上主義は最良の選択か 「老い」や「死」を受け入れる医療 延命措置が尊厳ある生を冒す事態が増加 長寿社会のキーワード 「安らかな死」 2025年問題とは? 現実になりました 団塊世代が前期高齢者の仲間入り 団塊世代が癌年齢に(緩和ケア対象者急増) 認知症高齢者が「250万人」へ 高齢者の一人暮らしが「570万世帯」(33%) 「高齢者多死時代」へ(年間160万人死亡) 高齢者の住宅問題が深刻化 次は 「2025年問題」 日本の百歳人口(厚労省発表) 30年前: 600人台 団塊世代が75歳(後期高齢者)に達す 65歳以上が全人口の40%を超える 数少ない若い世代が高齢者を支える 超高齢社会の終末期医療がどうなるか 80%(480人)が矍鑠百寿 現在: 58820人 80%(47000人)が虚弱高齢者 ★医療の進歩が寿命を延ばした が、寝たきり高齢者を増やした。 外国には寝たきり老人はいない 欧米の老人介護施設には寝てきり老人も胃瘻の 患者もいない。 その理由:高齢者が口から食べられなくなるのは 当たり前で、胃瘻や点滴などの人工栄養で延命 を図ることは非倫理的であると認識している。そ のようなことを実施すれば、老人虐待と考える。 多くの高齢者は、寝たきりになる前に亡くなって いる。 介護老人保険施設( 介護老人保険施設(老健) 老健) 老健の役割の変質 入所者の高齢化 医療依存度が高くなった 介護度の上昇 入所期間の長期化(終の棲家?) 終末期の看取りが増加 病院と家庭の「中間施設」、 或いは「通過施設」。 宅復帰が目的。 3か月ルール。 その背景:少子化、 家族介護力の低下 高齢者の看取りの場所 在宅での 在宅での看取 での看取りを 看取りを妨 りを妨げる要因 げる要因 □介護してくれる家族への負担 在宅死は □急変時対応の不安 望んでも 往診してくれる医師がいない 実現しない 「ぜいたく」 経済的に負担が大きい 居住環境が整っていない 訪問看護(介護)体制が整っていない 24時間相談に乗ってくれる所が無い 24時間相談に乗ってくれる所が無い 有料老人ホームなど ‘55 65 70 75 80 85 90 00 05 10 15 20 25 30 老健での 老健での「 での「看取り 看取り」を可能にする 可能にする条件 にする条件 施設が一般病院に併設しているかどうか 協力病院が老衰患者の受け入れに難色を示 すと、必然的に施設で看取らざるを得なくなる 施設長の方針 看護管理者の「看取り」に対する姿勢 終末期高齢者を病院で治療するのは延命処 置であり、すべきではない 自然死に近いかたちで逝くのがよい 老健での看取り・今後の課題 1.個室の整備 2.夜間の看護師確保 3.職員に対するターミナル教育 (死への意識改革) 4.介護職の不安・負担の軽減と 理解と協力の確保 5.入所者と家族の意思確認 終末期とは? 「老健での看取り」に対する反論 老健は中間施設である 老健は病院やホスピスに比して医療機器、 看護師の人員配置、建物の構造上の違い から 夜間帯の医療的対応が困難である。 老健でできる医療処置は限られ、日曜祭 日は医師不在 霊安室が無い 高齢者の終末期の定義 病状が不可逆的かつ進行性 その時代に可能な最善の治療により 病状の好転や進行の阻止が期待できない 近い将来の死が不可避となった状態 (日本老年学会) 日本医師会終末期医療のガイドライン(2007) 最善の医療を尽くしても、症 状が進行性に悪化すること を食い止められずに死を迎 えると判断される時期 ガイドラインより法制化が望まれる。 ガイドラインは強制力が無く、訴訟問題が生じる。 なぜ、高齢者終末期の 定義は曖昧か? 死にゆく過程の多様性 老衰 心不全などの臓器不全 脳梗塞後遺症 認知症など これらを複数・同時に抱えている 予測出来ない急死(突然死) 病死と老衰死 「病死」:多くの知見が蓄積 「老いて死ぬ」充分に確立した知見がない 医療関係者は老衰死を認めたがらない 何らかの病名を付けないと納得しない 「天寿を全うする」「自然な死」という表現に 抵抗がある。 天寿を全うした死には痛みを伴わないので はないか 安楽死 • 苦痛を訴えている患者に第三者が同情 して安らかに死なせる「殺人」 • 慈悲殺、嘱託殺人、自殺幇助に該当 日本では安楽死を 容認、推進する団体は無く、 素地も無い リビング・ウイル Living=生きている時の Will=意思 • 「終末期」と呼ばれる危篤状態時に 「延命措置は望まない」とあらかじめ 患者本人が意思を文書に残すこと 尊厳死の宣言書 尊厳死 • 不治で末期の患者本人の意思に従い、生 命維持装置による延命治療を中止して、 痛みの除去など充分な緩和ケアを受け、 人間としての尊厳を保ちつつ、安らかに自 然な状態で迎える死 自己決定権による自然死の選択 尊厳死の同義語 自然死 満足死 平穏死 リビング・ウイルの骨子 • 病気が不治で死期が迫っている場合、いたずら に死期を引き延ばすだけの一切の延命措置を 拒否したい。 • ただし、苦痛を和らげる措置は最大限実施を希 望する。そのために多少死期が早まっても構わ ない。 • 数ヶ月以上持続する植物状態でも同様。 撤回や変更はいつでも可能
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