立ち読み版 - Cardshop Serra カードショップ セラ

立ち読み版
EDH読本
エルダー・ドラゴン・ハイランダー
主要カード解説
2015年度版
EDH簡易ルール。
1) デッキ構築ルール
2) ゲームルール
a) デッキ構築前に、プレイヤーは 伝説のクリーチャーを1体選び、それを自分の「ジェネラル
(統率者)
」
とします。なお、禁止カードリストに含まれている伝説のクリーチャーは、
ジェネラル
として選ぶこともできません。
b) EDHデッキを構築する場合には、
自分が選んだ「ジェネラル」の固有色(カードのマナコスト
とルールテキストに含まれるマナシンボルの色。
そのカードのテキストに特性定義能力で色
が規定されている場合、その色も固有色に加える)のカードのみが使用可能です。
・デッキに入れるカードは、
「ジェネラル」
と違う色を持っていてはいけません。例えば、
あなたのジェネラルが「赤・白」
であった場合、
「赤青」のマルチカラーのカードは使用
できません。
・デッキに含まれているカードは、その「ジェネラル」の固有色以外の色マナを出すこと
はできません。不適正な色マナを出す場合、代わりに無色マナが生み出されます。
a) ゲームを開始する前に、各プレイヤーは自分のジェネラルをデッキから取り出し、それを
各自の「ジェネラル領域」におきます。
b) プレイヤーのライフは40点からスタートします。
c) ジェネラルによって与えられた戦闘ダメージは「ジェネラルダメージ」
と呼ばれます。
もし、
いずれかのプレイヤーが同一のジェネラルから21点以上のジェネラルダメージを受けた
場合、そのプレイヤーはゲームに敗北します。
d) 各プレイヤーは、それぞれのジェネラルがジェネラル領域にある限り、それが手札にあ
るかのようにキャストすることができます。
その場合、
「この方法でこれまでにキャストした回
数」1回につき無色2マナを追加コストとして支払う必要があります。例えば、
マナコストが「
(赤)
(緑)
」のジェネラルの場合、最初の1回目は「
(赤)
(緑)
」
でキャストすることができます
が、2回目にキャストする場合は「
(赤)
(緑)
(2)
」
となります。
c) 基本土地を除くすべてのカードは1枚制限となります。
また、以下のカードはEDHでは禁
止カードとなります。
それ以外は、
ヴィンテージで使用できるカードであれば、
どのカードでも
使用可能です。
e) ジェネラルがいずれかの領域から墓地または追放領域に置かれる場合、
もしくは手札や
ライブラリーに戻る場合、代わりにそれをジェネラル領域に置くことができます。
d) デッキは、
ジェネラルを含めてちょうど100枚となるように構築します。
g) EDHは、通常は多人数戦(4人が一般的)
で行います。
Ancestral Recall
Mox Sapphire
天秤/Balance
一望の鏡/Panoptic Mirror
生命の律動/Biorhythm
絵描きの召使い/Painter’s Servant
Black Lotus
原始のタイタン/Primeval Titan
陰謀団の先手ブレイズ/Braids, Cabal Minion
変幻の大男/Protean Hulk
チャネル/Channel
繰り返す悪夢/Recurring Nightmare
合同勝利/Coalition Victory
引き裂かれし永劫、エムラクール
/Emrakul, the Aeons Torn
上位の空民、エラヨウ
/Erayo, Soratami Ascendant
ラノワールの使者ロフェロス
/Rofellos, Llanowar Emissary
隔離するタイタン/Sundering Titan
星の揺らぎ/Sway of the Stars
森林の始源体/Sylvan Primordial
Fastbond
Time Vault
けちな贈り物/Gifts Ungiven
Time Walk
グリセルブランド/Griselbrand
修繕/Tinker
Karakas
トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy
Library of Alexandria
企業秘密/Trade Secrets
限りある資源/Limited Resources
激動/Upheaval
Mox Emerald
世界火/Worldfire
Mox Jet
ヨーグモスの取り引き/Yawgmoth’s Bargain
f) ジェネラルはレジェンドルールの影響を受けます。
h) マリガンルールは「Partial Paris Mulligan」
と呼ばれる特殊なルールを用いることが多
いです。詳しくはここでは割愛しますが、通常のマリガンの代わりに好きな枚数のカードを
追放し、その追放した枚数より1枚少ない枚数のカードを引くマリガンとなります。
また、
こ
のマリガンは、
ゲーム開始前であれば好きなだけ繰り返して構いません。
i) EDHはカジュアルなフォーマットです。独自のルールを採用してプレイしている人も居ま
すので、
ゲーム開始前にはルールの確認をするのが良いでしょう。
3) 遊び方
a) ゲーム中に、他のプレイヤーと相談することが許されています。多人数戦で1人のプレイ
ヤーだけが突出して強かった場合、他の3人で力を合わせて対処することも可能です。
b) 上記理由により、他3人のプレイヤーを全員敵に回すようなプレイングは厳しい結果と
なりがちです。相手に嫌われるようなプレイをすることを「ヘイト値を上げるプレイ」
と呼ぶこ
とが多いようです。全員のヘイト値を上げてしまうようなカード
(例:ハルマゲドン)
を使う場
合は十分に注意すべきです。
c) 繰り返しとなりますが、EDHはカジュアルなフォーマットです。
あまりムキにならず、楽しく
遊びましょう!
Mox Pearl
Mox Ruby
2
(リストは2014年9月12日時点のものです)
3
Arcane Denial / 秘儀の否定
Angel of Finality / 決断の天使
Arcane Denial / 秘儀の否定 (1)(青)
インスタント
Angel of Finality / 決断の天使 (3)(白)
クリーチャー — 天使(Angel)
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
それのコントローラーは、次のターンのアップキープの開始時にカードを最大2枚まで引
いてもよい。
次のターンのアップキープの開始時に、
カードを1枚引く。
飛行
決断の天使が戦場に出たとき、
プレイヤー1人を対象とする。
そのプレイヤーの墓地にあるすべてのカードを追放する。
3/4
これがいらない青いデッキがあるのだろうか、
と言えるほどの威力のカード。
統率者2013にあるカードなので、EDH以外ではヴィンテージとレガシーでしか使えないカード。
しかし、非常に珍しい能力を持つカードである。
コスト2の確定カウンター呪文であり、
しかも色マナは1つのみ。
どんな呪文でもカウンターできる呪文で、
コストが「青①」の確定カウンタ
ーはこの呪文くらいしかないと言っても良い。
そしてこのカードは、EDH環境で使用されるとさらに強力になる。
能力としてはただの《トーモッドの墓所》なのだが、白のカードで「プレイヤー1人の墓地のカードをすべて追放」
という能力はこのカードの
みである。
それどころか、
クリーチャーで、戦場に出た時の能力としてこの能力を持つカードは、
《決断の天使》以外に1枚も存在しない。
この《秘儀の否定》
というカードは、基本が4人戦であるEDH環境においては《対抗呪文/Counterspell》
より強い。
これを説明するためには、
そして能力以外にも、4マナで3/4飛行と及第点の大きさである。
クリーチャータイプが天使である事から、
《巨大なるカーリア/Kaalia of
まず《対抗呪文》
を撃った場合と
《秘儀の否定》
を撃った場合の、手札の枚数の変化を考える必要がある。状況としては、対戦相手Aの呪文
the Vast》
をジェネラルとしたデッキでの採用も考えられる点もポイント。
に対して、
自分が《秘儀の否定》
を撃ったものとする。
墓地を消し飛ばすカードと言えば元祖は《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》
だが、
これはただ使うだけではアドバンテージは得られない。
■《対抗呪文》
を撃った場合
アドバンテージ面を含めた汎用性の高さでは、
《ファイレクシアの炉/Phyrexian Furnace》
《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》などがあ
自分 :1枚失う (《対抗呪文》
を失う)
るが、片方は墓地を1つ1つしか消せず、
もう片方は墓地を全部消し飛ばせるが自分の墓地まで消える。
相手A:1枚失う (手札(カウンターされたカード)
を1枚失う)
どちらもかゆいところに手が届かないと言ったところだ。
相手B:変化なし
相手C:変化なし
プレイヤー1人の墓地だけを消し飛ばすというカードは、黒限定だが《ボジューカの沼 /Bojuka Bog》がある。
《決断の天使》はこれに近い。
《ボジューカの沼》は土地なので、
とりあえず無駄にはなりにくい。
■《秘儀の否定》
を撃った場合
《決断の天使》はクリーチャーだが、4マナ3/4飛行なので、
これも無駄になりにくい。
どちらも優秀である。
自分 :変化なし (《秘儀の否定》
を1枚失い、代わりに1枚ドローする)
なお、
《決断の天使》はクリーチャーなので比較的再利用がしやすい。
《ちらつき鬼火/Flickerwisp》やリアニメイトカードで使いまわせば複
相手A:1枚増える (手札(カウンターされたカード)
を1枚失い、代わりに2枚ドローする)
数の墓地も狙えるという点は《ボジューカの沼 /Bojuka Bog》以上の使いやすさがあると言える。
相手B:変化なし
相手C:変化なし
EDHは基本が4人戦となるため、
自分以外のプレイヤーは3人。
この3人ともが、誰も墓地を一切活用しないという事がありえるだろうか。
3人ともが赤単色である場合は確かに墓地を活用しないかもしれないが、それでも
《世界のるつぼ /Crucible of Worlds》の採用率は高い。
EDHでは自分の対戦相手は「3人」
である。
そのため、
自分の「1枚」
と、対戦相手1人の「1枚」
を等価に考えることはできない。
自分がリソ
他の色の場合、なにかしら墓地活用カードが使われているだろう。
ース
「1枚」
を失うときには、すべての対戦相手に
「1枚」の損失を要求することが、EDHでは望ましい。
そのため、対戦相手1人だけが1枚
の手札を得る
《秘儀の否定》の方がEDHでは優秀といえる。
いつどんな悪用をされるかわからない他人の墓地など、存在しないに越したことは無い。
消し飛ばせる時に消し飛ばしておこう。
そして、EDHでは(一部の例外や、墓地からの回収を除き)全てのカードは1枚だけという点も見逃せない。一度潰してしまえば二度同じ呪
文は飛んでこない。対戦相手Aは手札は増えて有利になったとも言えるが、決定的な一打(こちらが損を覚悟でカウンターを撃つほどのス
ペル)
を潰されているので、1枚のドロー程度では一概にプラスマイナスは決められない。
決して
《対抗呪文》が弱いわけではないが、
「
《秘儀の否定》は自分がアドバンテージを失わずに済みやすい」
という点は非常に重要である。
コストは1青と、指定コストが少ないため多色のデッキにも入りやすい。
そして序盤から後半まで、
どんな呪文にも基本的に対応可能。
EDHにおいてこれを超えるカウンターは無いと言ってもいいほどである。
4
5
Copy Artifact
Copy Artifact (1)(青)
エンチャント
あなたは、Copy Artifactが、それの他のタイプに加えてエンチャントであることを除き、戦場に出ているいずれかのアーティファク
トのコピーとして戦場に出ることを選んでもよい。
Fact or Fiction / 嘘か真か
Fact or Fiction / 嘘か真か (3)(青)
インスタント
あなたのライブラリーのカードを上から5枚公開する。対戦相手1人は、それらのカードを2つの束に分ける。
あなたは、
どちらか
1つの束のカードをあなたの手札に加え、残りをあなたの墓地に置く。
このカードにはEDH特有の使い方がいくつもある。
このカードの強さそのものについては説明不要だろう。
より正確に言えば、
このカードとそのコピー対象がEDH特有だと言える。
スタンダードで使えた頃から猛威を奮い、
ヴィンテージでさえ制限カードであった時期もあるほどだ。
コピーして効果の高いカードの代表格として言えるのは、
そんなカードなので、EDHでももちろん強い。
しかし、EDHにおける
《嘘か真か》には更にもう1つ、他のレギュレーションでは決して見ること
《魔力の篭手/Gauntlet of Power》
ができない強さがある。
《金粉の水蓮/Gilded Lotus》
《スランの発電機/Thran Dynamo》
EDHは通常4人でプレイする。それぞれのプレイヤーにとって、残り3人はすべて「敵」であるのだが、時には1人だけが突出してしまい、
の3点。
残りのプレイヤーが一丸となってその1人を倒しに行かねばならない場合もある。
このような状態の時、
《嘘か真か》の能力は普段とまったく違う威力に変化する事がある。
それはつまり、
「4マナで5ドロー」
である。
この3種のカードは他のレギュレーションではあまり見られないが、EDHでは比較的多くの人が好むカードでもある。
《魔力の篭手》はコピーしたら効果が大きい事は、説明しなくてもわかるだろう。大量のマナと大きな修正が得られる。
この呪文の効果で公開された5枚のカードを2つの束に分ける際、普通であれば「2:3」か「4:1」のどちらかだ。
《金粉の水蓮》
《スランの発電機》の2種は、
まずコピーしただけでそのターンのマナ数が増える。2マナで
《Copy Artifact》
を唱え、結果とし
しかし、上記のように1人を全員で倒しに行きたいとなると、
「5枚全て渡すからあいつを倒してくれ」
という選択肢が生まれる。1対1の
て3マナが出るアーティファクトに変わるのだから、差し引きで1マナ増えている。
そして、次ターンからはこの3マナを毎ターン使えるのだ。
戦いではまず見る事の出来ない光景である。
2マナの呪文としては破格すぎるマナブーストである。
EDHに、
プレイヤー同士が相談や同盟をしてはいけないというルールはない。其れ故、
このような面白い状況が起きることもある。
その他にもコピー対象として優秀なものがある。
そのような特殊な条件ではない場合には、通常の1対1でのデュエルとさほど変わらない強さとなるが、前述の通りこのカードは十分すぎ
例えば、2ターン目のアーティファクトランドなどがその候補になる。
るほど強い。すべてのカードが1枚制限のEDHにおいて、1/99のカードを手に入れる可能性を高めるこのカードはとても優秀だ。
通常、2ターン目に印鑑シリーズのような2マナのマナアーティファクトを置くと、3ターン目にはセットランドから4マナにアクセスが可
もちろん、1対1戦の時の使用法と同じく、墓地に落とす事を目的とする場合にも非常に有効的である。
能になる。EDHでは基本すぎる動きであり、それが故にこの流れに乗り遅れると大きな差がついてしまう。
《Copy Artifact》があれば、印鑑がなくとも、擬似的にこの動きが可能となる。
たとえそれが「2ターン目までに場にアーティファクトランドが
出ていること」
という条件付きでのものであったとしても、覚えておいて損のないプレイだろう。速度で出遅れない事はとても重要である。
そ
そして、手に入るカードは「カードを引く」
ではないので、対戦相手が《概念泥棒/Notion Thief》のようなドローに反応するカードを置いてあ
っても問題ない。
これら色々な観点から見ても、
《嘘か真か》は非の打ち所が無いといっても過言ではないだろう。
の場合のコピー対象は、
もちろん他者のアーティファクトランドやマナアーティファクトでも良い。序盤の早い展開中には見逃しがちなので
注意したい。
ただし、5枚の公開カードは全員の共通の情報なので、撃った瞬間に
「あいつは危ない」
と認識されて、袋叩きに遭う可能性はある。
なお、2ターン目には難しいが、
《ミシュラの工廠/Mishra’s Factory》
《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》のコピーを作ってもマナブ
このカード単体で勝てるというカードではないため、
ここだけは気をつけなければならない。
ーストになる。
最後に面白い使い方を1つ。他プレイヤーの《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
をコピーし、
コピー後にタップ能力を起動すると、
当然《Copy Artifact》はライブラリーの上に戻る。
その場合、再度別のアーティファクトへのコピーしなおしが可能になる。
あまりコピーした
い対象が場に出ていないときでも、手札で腐らせておくのは勿体ない。
とりあえず出しておこう。
コピー元と同様に除去を撃たれても平気で
あり、更に次ターンにはさらに強力なアーティファクトに変化するだろう。
6
7
Gaea's Touch
Gaea’s Touch (緑)(緑)
エンチャント
(0):あなたは、
あなたの手札にある基本森(Forest)カード1枚を戦場に出してもよい。
この能力は、
あなたがソーサリーを唱えられ
るときにのみ、各ターンに1回のみ起動できる。
Gaea’s Touchを生け贄に捧げる:あなたのマナ・プールに(緑)(緑)を加える。
Innocent Blood / 無垢の血
Innocent Blood / 無垢の血 (黒)
ソーサリー
各プレイヤーはクリーチャーを1体生け贄に捧げる。
このカードについては、
ある程度EDHをやり込んでいても
「ナニソレ?」
という人が多いだろう。
黒の優秀な1マナ除去呪文。
一言でいって
「地味」、
である。
目立たないカードではあるので知らない人もいるかもしれないが、
「各プレイヤー」に影響するためEDHならではの強さを持つカードであ
る。
不人気エキスパンションであるThe Darkのカードで、
トーナメントにもほとんど顔を出さない。
実際に使ってみても、使った際に
「それ、
どんな効果ですか?」
と言われること多々である。
しかし、実際にこのカードを目の当たりにし、そし
自分の場にクリーチャーが0、対戦相手の場には最低1体ずつクリーチャーがいる状況であれば、1枚のカードで3体のクリーチャーの
て有用性を知った人の大半は「それ欲しい」
となるだろう。隠れた有能なカードである。
除去になるという美味しいカード。
もちろんEDHという環境上、
ジェネラルの存在を忘れてはならない。単純に厄介なジェネラルとの1対1交換としてもいいだろう。高速展開
その能力は、他に類を見ないちょっと不思議なもの。人に覚えてもらえないのも無理はない。
してきて1~3ターン目に降臨したジェネラルに、簡単に対応出来るという点は相当に大きい。
《踏査/Exploration》に近いが基本土地の森限定で、
しかも土地を出せるのに
「プレイ」
ではないという変な注意がつく。
そして、
自身を生け
贄で緑緑が出せるというフリースペルのような一面も持つ。
そしてこれが1マナ、
コモン。
もちろん安価。
使いやすさを含めて、太鼓判を押せるカードである。
カードに印刷されている効果だけでも首を捻るのに、
さらに気をつけないといけないのはルールの改定である。
このカードは2013年7月のルール改正で「土地を手札から出す」
という効果を持つ起動型能力になり、土地のプレイ回数を増やす効
さらに重要な点は、
このカードはクリーチャーを破壊するのではなく、生け贄に捧げることを要求する。
果ではなくなった。
それはすなわち、
「対象を選べない」
という欠点があるとも言えるが、それを補って余りあるほどのメリットを持つ。破壊不能、呪禁持ちでも
それが意味するところは、
まず《ムル・ダヤの巫女/Oracle of Mul Daya》や《クルフィックスの狩猟者/Courser of Kruphix》などの能力でラ
つまり、破壊不能を持つ最強クラスのクリーチャー《無限に廻るもの、
ウラモグ/Ulamog, the Infinite Gyre》
、
《荒廃鋼の巨像/Blightsteel
除去出来るのだ。
イブラリーのトップに公開されている土地を、
このカードの効果でセットランドする事はできない。
これがもし
《踏査》や《迷える探求者、梓/
Colossus》の2種であったとしても、そのプレイヤーがコントロールしているクリーチャーがこれら1体のみであるのなら、
このカードで除
Azusa, Lost but Seeking》ならば、
「手札から」
と指定されていないため、
《ムル・ダヤの巫女》などの効果でライブラリーのトップに公開され
去出来る。
この仕事が1マナである。文句なしの強さと言えよう。
ている土地でも直接プレイすることができることに注意したい。
また、
このカードの効果で土地を出した場合、土地を「プレイ」
して出した訳ではないため、
《どん欲の角笛/Horn of Greed》
でカードを引く
事はできない。なお、上陸能力はきちんと誘発するので、
《水蓮のコブラ/Lotus Cobra》
との相性は良好である。
1~3ターン目に降臨する邪悪なジェネラルへの対処、本来対応しにくいカードへ1枚で対応できるという痒いところに手が届く性能、状
況次第では1枚で3体のクリーチャーを倒せるというパフォーマンスの良さ。
そのどれを取っても、
このカードの優秀さを代弁してくれるだ
ろう。
これだけ書くとデメリットのように聞こえてそれほど強いようには感じないが、追加で森を置ける事、
自身生け贄で2マナもらえる事の2点
は馬鹿にできない。
時には自分のクリーチャーも道連れにするという欠点を差し引いても、十分なほどの戦力となってくれる。
置いたターンはそれほど威力を発揮出来ないが、実質的に緑緑マナを次ターンに持ち越せるため、次ターン以降に生け贄能力を使った
黒ならばデッキに採用しておきたい1枚である。
場合はしっかりとマナブーストになる。追加の森セットも相まって速度アップには申し分ない。
特に
《マナの座、
オムナス/Omnath, Locus of Mana》
をジェネラルにする場合に、
このカードの性能は最も生きてくるだろう。
追加のセットランドを行うことができ、
また非常時には自身を生贄にしてマナを出せる優良カード。緑のデッキを好むプレイヤーであれば、
ぜひ1枚所持し、使ってみると良いだろう。安心して欲しい。
このカードはコモンであり、価格も非常に安い。
価格の面からも能力の面からも1枚持っていて損無しの逸品である。
このカードこそ「お試しあれ」の一言に尽きる。
8
9
Lightning Greaves / 稲妻のすね当て
Nature's Claim / 自然の要求
Lightning Greaves / 稲妻のすね当て (2)
アーティファクト — 装備品(Equipment)
Nature’s Claim / 自然の要求 (緑)
インスタント
装備しているクリーチャーは速攻と被覆を持つ。
(それは呪文や能力の対象にならない。)
装備(0)((0):あなたがコントロールするクリーチャー1体を対象とし、それにつける。装備はソーサリーとしてのみ行う。
このカー
ドはつけられていない状態で戦場に出て、
クリーチャーが戦場を離れても戦場に残る。)
アーティファクト1つかエンチャント1つを対象とし、それを破壊する。
それのコントローラーは4点のライフを得る。
「コストが1つ減った代わりに、相手に4ライフをあげてしまう
《帰化/Naturalize》」
と言ってしまいそうだが、それはこのカードの正しい評
数ある装備品の中で、EDHで最も輝く装備品の一つ。被覆と速攻を付与する。
価ではない。
このカードは、
「緑色の《剣を鋤に/Swords to Plowshares》
」
と呼ばれるべきだ。
全体に速攻を与える
《熱情/Fervor》
《調和の中心/Concordant
コストの安さからレガシー、
ヴィンテージでも見る事のある優秀カードだが、その優秀さはEDHでももちろん健在だ。
Crossroads》などのカードと違い、装備してしまえば被覆がつく事と、無色
であるためにどのデッキにも入る事が強み。逆に
《熱情》
よりも劣る点を挙げれば、装備に対応して除去呪文を撃たれた時、それに更に対応
本書でも幾度と無く説明してきた
「対戦相手の多さ」
もその理由の1つである。対戦相手が3人もいれば、序盤から終盤まで、何かしら壊し
してクリーチャーのタップ能力を起動する、
といったことができない事だろう。
このあたりは一長一短とも言えるが、
コストの安さと、
どんな色
たいエンチャントやアーティファクトはある。
でもデッキに入る事から、
カードの評価としては《稲妻のすね当て》の方に軍配が上がる。
そんな優秀なカードであることから、
クリーチャー主体、
ジェネラル主体のデッキなら、かなりの確率で採用される。
まず、
ジェネラルを主となっている世界において、単体除去呪文を回避できる被覆は非常に有用である。
しかしそれ以上に、
クリーチャーに
速攻を、
しかも0マナで付与できるところにこのカードの真価がある。土地をフルタップをしてクリーチャーを召喚しても、非常に隙の無い
動きをすることができるのだ。
とりわけ、緑に多いマナを出せるクリーチャーカード群は、召喚→装備→マナを出すのアクションが非常に強い。
手札にマナを出せるクリーチャーが複数ある場合は、全て展開出来る事もある。
そして、
ターン終了の際には一番守っておきたいクリーチャーに装備し、被覆で防御出来る。
そのほかにも、
タップ能力が優秀なカードの能力を召喚後にすぐに起動できるのも魅力である。相手ジェネラルがタップ能力が主となって
いるカード
(《群衆の親分、
クレンコ/Krenko, Mob Boss》や《艦長シッセイ/Captain Sisay》など)
である場合に相手がこのカードをコントロ
ールしているのなら、
まるでソーサリー呪文のようにそれが飛んでくることは常に覚悟しなくてはならない。
ジェネラルの能力やジェネラルダメージを狙うデッキにおいては、速攻、被覆のどちらも重宝されるだろう。
特に、1ターン目に置かれた
《太陽の指輪/Sol Ring》や《Mana Crypt》は潰せるものならなんとしても潰しておきたい。
なにしろこの2枚は、所有していればどのデッキにでも採用するであろうほどの優秀カードである。
それを1ターン目に置けた場合とそうで
ない場合には、2ターン目の動きに天と地ほどの差が出る。
《自然の要求》ならばこれを破壊出来るが、1ターン目に
《帰化》は難しい。
また、中盤~終盤でも1マナだけ残しておくだけでいつでも撃てるという強みがある。
EDHでは4ライフ程度ではそれほど戦局に影響を及ぼさない事が多い(対戦相手が多いうえにライフも40点スタートだ)
ため、
デメリッ
トの部分が緩和される。
コストの優秀さが、
このカードが《帰化》
よりも優先される理由の1つになっている。
多分に運に左右される状況ではあるが、
《Elvish Spirit Guide》が手札にあればタップアウトしている状況からも撃てるという、擬似ピッチス
ペルな使い方も頭の隅においておきたい。相手の隙を突けるプレイなので、運良く手札に来た際には非常に効果的だ。
スピードという点でも大切な1枚だが、やはりエンチャントかアーティファクトを選んで壊せるという点はどんな環境でも無駄になりにく
い。EDHの瞬殺コンボのうちのいくつかはこれ1枚だけで防げる事もあるため、保険としてこの1枚は採用しておきたい。
速攻は擬似的な追加ターンであり、被覆は単体除去耐性。
これほどの効果が、
コストはたったの2で装備コストは0。
そして無色。
このカー
ドがこれ以上強くした形で再デザインされる事はまずないだろう。
キャスティングコストが1になったり、装備したらプラス修整がかかるといった強化がされた上位互換が出る事は、万に一つも無いと言える。
「上位互換カードがまず出ない、
コストが安いカード」は、相当に強い。
そして、長く使えることから財布にもやさしい。購入して損はない1枚である。
10
11
Zealous Conscripts / 士気溢れる徴集兵
Zealous Conscripts / 士気溢れる徴集兵 (4)(赤)
クリーチャー — 人間(Human) 戦士(Warrior)
速攻
士気溢れる徴集兵が戦場に出たとき、パーマネント1つを対象とする。
あなたはターン終了時までそれのコントロールを得る。
そ
のパーマネントをアンタップする。
それはターン終了時まで速攻を得る。
3/3
スタンダードでも使われたカードだったが、
このカードが本領発揮する戦場は確実にEDHである。
赤で「戦場に出た時」
と書かれたクリーチャーの中で、
これよりも強いカードはほとんど無いだろう。
どんなパーマネントであっても1ターンレンタルできるこの能力は、その選択肢が多ければ多いほど、そして場に凶悪なカードが出る可能
性が高い戦場であるほど、その強さを増していく。
「EDH読本 -主張カード解説-」立ち読み版をダウ
ンロードしていただき、
ありがとうございます。
この本の他カードの項目でも頻繁に触れられているが、EDHは4人戦というその性質上、試合は長引く傾向にある。
それ故、1枚で場を制
圧できるような高コスト&高パワーのカードが頻繁に使われ、その戦場には、時には一番下の能力が起動できる状態のプレインズウォー
カーが出ている事すらある。
しかしこのカードは、そのような状況であってもたった1枚で対処可能であり、
またそのような状況でこそ真価
を発揮する。
赤という色で、
どのようなパーマネントであっても対処できるこのカードは非常に珍しく、そして非常に強力である。
この立ち読み版には、本編から選び出した9編の
カード解説が収録されています。
もしこのカードでエルドラージクリーチャーやプレインズウォーカーを奪うことができれば、非常に大きなアドバンテージを得る事が出来る
だろう。
そして言うまでもなく、奪ったパーマネントを生け贄に捧げる方法があれば、
このカードは完全な除去としても働く。
もちろん自分は
そのパーマネントの能力を味わった上で、
だ。
また、
この1ターンレンタル能力があまりに強いので忘れがちだが、
自身も3/3速攻と及第点である。
本編には、
これら9編のほか、新規41編を加えた
そしてこのカード、単体で強いというだけでなく、全員を瞬時に倒せる無限コンボも可能である。
合計50編のカード解説が収録されておりますの
《欠片の双子/Splinter Twin》
、
《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》のどちらかでこのカードをコピーすれば、無限に3/3速攻
のトークンが出せる。十分な数を出して全員を殴れば基本的には勝利できるだろう。
そしてこのコンボをさらに凶悪なものとしているのは、
これが《歯と爪/Tooth and Nail》の双呪の一撃で決まるという事である。全てのカー
で、立ち読み版を気に入ってもらえましたら、ぜひ
ドが基本的に1枚制限であろうと、そして99枚デッキであろうと、一発の《歯と爪》
だけで解決である。
本編も楽しんでいただければ、
スタッフ一同うれし
このカードについてはもうこの一言だけで良い。
く思います。
「赤ければとりあえず入れておけ。損は無い」
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13
M11
Lightning Bolt/稲妻
M11
Preordain/定業
M13
Omniscience/全知
5DN
Serum Visions/血清の幻視
ALL
Force of Will
CSP
Mishra’s Bauble/ミシュラのガラクタ
DTK
Deathmist Raptor/死霧の猛禽
\220
\130
\2,100
\1,800
\10,200
\840
\1,500
FRF
Monastery Mentor/僧院の導師
\1,500
FRF
Ugin, the Spirit Dragon/精霊龍、ウギン
\2,500
MBS
Inkmoth Nexus/墨蛾の生息地
MMA
Tarmogoyf/タルモゴイフ
\1,800
\12,500
MRD
Chalice of the Void/虚空の杯
NPH
Gitaxian Probe/ギタクシア派の調査
\1,650
ROE
Linvala, Keeper of Silence/静寂の守り手、リンヴァーラ
\3,900
\1,380
\300
RTR
Abrupt Decay/突然の衰微
RTR
Deathrite Shaman/死儀礼のシャーマン
\960
SHM
Cursecatcher/呪い捕らえ
\650
THS
Nykthos, Shrine to Nyx/ニクスの祭殿、ニクソス
THE
Thoughtseize/思考囲い
ZEN
Spell Pierce/呪文貫き
\470
\2,160
\220
ご注意:上記買取価格は、2015/06現在のものとなります。最新の買取価格は、
ウェブサイトでご確認ください。
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EDH読本 2015年度版 -主要カード解説-(評価版)
2015年6月30日 初版
著 者:
発行人:
発 行:
加藤英宝、清水亮佑 、上山雄大、井上淳司
加藤英宝
Cardshop Serra
〒410-0036 静岡県沼津市平町 9-1 松本ビル 2階
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表紙イラスト: Douglas Shuler