~白谷よもやま話~ 【 第31回 戦地名簿の写し 】 河合敏雄(河合豊記氏の父) 愛知県軍恩連合会田原支部結成40周年記念 「懐古録」平成3年3月31日発行 より転載 旧陸軍の戦時名簿「写」を記します。(平仮名) 昭和12年3月4日現役志願兵として、独立守備歩兵第二十八大隊第二中隊に入営。3月2日関東州 界通過。3月4日浜江省綏化着同地附近の警備。4月2日第四中隊に編入。 昭和12年7月8日第一年度下士官候補者を命ず。9月5日兵精勤章附与。昭和13年1月4日合同 教育のため安達第五独立守備隊下士官候補者集合教育隊派遣のため綏化出発。同日安達着。 2月15日終了綏化帰着。 2月26日関東州界通過。同日旅順到着。3月1日伍長勤務上等兵を命ず。 8月29日関東州歩兵第一下士官候補者隊卒業。8月29日原隊復帰のため旅順出発。同日関東州界 通過。8月30日浜江省綏化着。同地附近の警備。9月17日綏化県張維宅附近の戦闘に参加。 12月14日歩兵第四十六連隊留守隊に転属のため綏化出発。12月15日朝鮮国境(図們)通過。 12月17日門司港上陸。12月18日歩兵第四十六連隊留守隊着。第三機関銃中隊附。昭和14年 1月28日歩兵砲中隊附。同年5月16日軍令陸甲第六号に依り歩兵第四十六連隊留守隊編成改正着手。 5月16日歩兵砲中隊附。同月20日編成完結。 自昭和14年1月18日至3月31日歩兵第四十六連隊留守隊に在りて支那事変勤務に従事す。 12月1日給2等給。自同年4月1日至昭和15年7月31日歩兵第四十六連隊留守隊に在りて支那事 変勤務に従事す。昭和15年6月1日給2等給。 昭和15年7月10日軍令陸乙第二十二号に依り同年8月1日歩兵第百四十六連隊新設。8月1日 歩兵第四十六連隊留守隊復帰完結。8月1日歩兵第146連隊歩兵砲中隊附。10月4日連隊本部附。 昭和16年1月31日給1等給。昭和16年10月29日まで歩兵第百四十六連隊に在りて支那事変 勤務に従事す。同年10月8日軍令陸甲第七十五号に依り同年10月23日編成着手。同日歩兵第百四 十六連隊補充隊本部附。10月30日編成完結。同日より12月7日まで歩兵第百四十六連隊補充隊に 在りて支那事変勤務に従事す。 昭和16年12月8日西部軍管区防空下令。昭和17年7月1日陸達第四十二号に依り給3等給。 8月14日独立歩兵第百大隊に転属を命ず。8月17日門司港出発。8月22日高雄港着。8月30日 高雄港発。9月2日黄埔港上陸。9月8日黄埔港出発。9月10日汕頭上陸、同日潮陽着。 9月12日大隊本部附を命ず。同日より潮汕地区の警備。9月30日給2等給。 自12月30日至12月31日大岡察附近の戦闘に参加。 昭和18年3月11日第四中隊附を命ず。5月4、5日石子山附近の戦闘に参加。 自6月24日至6月30日羊蟹作戦に参加。 自9月11日至9月20日仲秋作戦に参加。 自10月7日至10月8日磨石山附近の戦闘に参加。 同月8日左肩胛部跳弾破片創に依り広東第一陸軍病院汕頭分院に入院。12月27日治癒退院。 自昭和19年1月15日至同月16日銀洞附近の戦闘に参加。自7月9日至7月11日潮州西北附近 の捜索戦闘に参加。8月21日第三中隊附。 自昭和19年4月29日至8月8日湘桂作戦(第一期)に参加。 【 第31回 戦地名簿の写し 】 2 自8月9日至12月9日湘桂作戦(第二期)に参加。 自12月10日至昭和20年2月28日湘桂作戦(第三期)に参加。 自1月23日至2月7日二十冬楊普恵勘定戦に参加。 3月7日移駐のため潮州発。3月10日掲楊着。同日より同地附近の警備。 3月27日移駐のため掲楊着。3月31日恵来着。同日より同地附近の警備。4月1日潮兵作命甲第 三七八号に依り編成改正着手。4月10日編成完結。5月4日移駐のため恵来発。5月5日軍令陸甲 第六五号に依り第百三十師団編成下令。5月20日編成完結。同日独立歩兵第百大隊第三中隊附。 5月22日広東省新会県江門着。自5月20日至9月2日広東地区の警備。 8月15日停戦詔書発布。8月18日復員下令。 9月2日停戦協定締結。10月24日広東省順徳県羊額に集結。 昭和21年3月21日内地帰還のため広東港出港。4月1日浦賀港上陸。 4月3日復員完結、予備役編入。同日召集解除。 進級 昭和12年3月4日 歩兵二等兵 同 12年9月4日 歩兵一等兵 同 13年3月1日 歩兵上等兵 同 13年9月1日 歩兵伍長 同 14年3月1日 歩兵軍曹 勅令第五百八十号に依り 昭和15年9月15日 陸軍軍曹 同 16年10月8日 陸軍曹長 同 19年12月1日 陸軍准尉 叙勲 昭和15年4月29日 「陣中作」 瑞七等 白 龍 一、 歩けども 一、小休止 三日四日十日歩けども 眺めは変えじ 四方のはげ山 集まる仔らは口々に シイサン タバコ 進上と寄る 一、 糧も尽き 雨に降られて早三日 貴重なタバコ 仔らと分けあう 一、 戦場の常とは言えど 一、 敵の撃つ弾音近く 一、 我が身をば 一、 城でもつ 昨日迄 語りし戦友の 今日かばね焼く 聞き狎れて 我クリークに 今日も鯉釣る 案じおるらん故郷に 事書き送る すべも無ければ 尾張名古屋は俺が国 自慢も出来ぬ 米機奴が焼き 「母に送る詩」 一、 母さんの其の後如何です 苛烈極まる決戦の 銃後で僕の分までも きっと達者で増産に 二、男五尺の身に余る 重き任務は南溟の 十字の星の其の下で きっと果たすよ母さんも 元気でどうぞ何時迄も 三、今こそ君の御為に 散って悔いなき此の命 血を受けました三河武士 白木の箱が届いたら ほめて下さい さようなら 【 第31回 戦地名簿の写し 「絶 】 3 景」 山の明け一陣の風ありて 濃霧を吹けば 一望潮安を眺め 視野尚余る 悠々韓江の流れ 千古の景を映して 重畳する山の曲線 涯しなく緑野は続く 棚引いて街の煙か空の雲 融合して天地は一つ 雄大の気 「俺は男だ 山に養う 標高三百の峯 尖公帽 朝の観 絶景々々将に絶景 つわものだ」 一、固く誓って出て来たからにゃ くにに心は残さぬけれど たぎる水田に草取る笠が 見えりゃ祖国に老いたる父母を 思っちゃいけない覚悟がにぶる 俺は男だ、つわものだ 二、昨日峠で今日街外れ 銃と添い寝の露営の夢で 見たぞ懐かし妹の顔を 足の痛みでフト目を覚ましゃ 泣ける心を心で叱る 俺は男だ、つわものだ 三、今日も降る々々、南支は雨季だ ぬれた戎衣も身体で干し 行くぞあの山クリーク越えて 戦友よ頑張れもう一息だ 落ちちゃならない此の進軍に 俺は男だ、つわものだ 「懐 郷」 一、今日も昨日もその前の日も 雲低くたれて羊鉄嶺を消す 水牛の背の乾く日も無し 俺だって尺余の糧草は緑濃く 葉先に玉を乗せて白光を放つ 戦友を呼びて田畔に立てば クリークに影を映して燕飛ぶ おい!俺もお前も百姓の子だっけ喃 二、陣中に雨の一日も暮れて 宿舎に暗い灯のともる頃 前に来た故郷の便りを 幾度も繰り返し読んで見た それは拙い文字で短く綴られた 陣中の我を励ます母の便りである 国を想えば撃滅の意気ここに燃えて 敵前の夜は次第に更けて行く
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