平成27年度第5回福岡大学法学部懸賞論文募集要項 PDF

平成27年度第6回福岡大学法学部懸賞論文募集要項
1.目的
法学部の学生活性化の一環として、社会の諸問題に関心を持ち、それを解明する手段と
して、自由な考えのもと、論文の形で発表する機会を与える。
2.選考
法学部教員で構成する審査委員会で選考する。
3.論題
下記2題から1題を選択。
①「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」が2014年5月に施行された。
近年、自動車運転に関する法制は、大きく変動している。自動車運転による死傷事件に対し
て、刑法はどのようなことが出来るか。刑法の役割や限界について、検討してください。
②配偶者から生まれた子との間にほぼ 100 %生物学上の親子関係がない場合に、親
子であると主張することが出来るか。法律上、親子であるとは何であるのか。論
じなさい。
この問題を論じる際に、最高裁判所平成 26 年 7 月 17 日判決を検討すること。
事件は、以下のようなものである。
Y は、A との婚姻後しばらくして単身赴任をしたが、単身赴任中も A の居住す
る自宅に月に 2,3 回程度帰っていた。A は、その頃、B と知り合い、B と親密に
交際するようになったが、Y と A の夫婦の実態が失われることはなかった。A は、X
を出産した。Y は、X のために保育園の行事に参加するなどして、X を監護養育
していた。A は、B との交際を Y が知った後、X を連れて自宅を出て Y と別居し、B
及びその前妻との間の子 2 人と同居している。X は、B を「お父さん」と呼んで
順調に成長している。DNA 検査の結果によれば、B が X の生物学上の父である
確率は 99.99 %であるとされている。A は、X の法定代理人として親子関係不存
在の確認の訴えを提起した。
最高裁判所は、次のように述べて、原判決を破棄し、第 1 審判決を取り消した
上で、請求を棄却した(破棄自判)。また、二つの反対意見と一つの補足意見が
付されている。
「民法 772 条により嫡出の推定を受ける子につきその嫡出であることを否認
するためには、夫からの嫡出否認の訴えによるべきものとし、かつ、同訴えに
つき 1 年の出訴期間を定めたことは、身分関係の法的安定を保持する上から合
理性を有するものということができる。そして、夫と子の間に生物学上の父子
関係が認められないことが科学的証拠により明らかであり、かつ、子が、現時
点において夫の下で監護されておらず妻及び生物学上の父の下で順調に成長し
ているという事情があっても、子の身分関係の法的安定を保持する必要が当然
になくなるものではないから、上記の事情が存在するからといって、同条によ
る嫡出の推定が及ばなくなるものとはいえず、親子関係不存在確認の訴えをも
って当該父子関係の存否を争うことはできないものと解するのが相当である。
このように解すると、法律上の父子関係が生物学上の父子関係と一致しない場
合が生ずることになるが、同条及び 774 条から 778 条までの規定はこのような
不一致が生ずることをも容認しているものと解される。
もっとも、民法 772 条 2 項所定の期間内に妻が出産した子について、妻がそ
の子を懐胎すべき時期に、既に夫婦が事実上の離婚をして夫婦の実態が失われ、
又は遠隔地に居住して、夫婦間に性的関係を持つ機会がなかったことが明らか
であるなどの事情が存在する場合には、上記子は実質的には同条の推定を受け
ない嫡出子に当たるということができるから、同法 774 条以下の規定にかかわ
らず、親子関係不存在確認の訴えをもって夫と上記子の間の父子関係の存否を
争うことができると解するのが相当である。しかしながら、本件においては、A
が X を懐胎した時期に上記のような事情があったとは認められず、他に本件訴
えの適法性を肯定すべき事情も認められない。」(民集 68 巻 6 号 549-550 頁)
4.応募資格
福岡大学法学部学生
5.応募方法等
①応募論文は本人の未発表のもので、日本語で書かれたものであること。
②個人でまとめられたものであること
③2つの論題の中から、1つを選んでいること。
④A4版用紙を使用し、横書きで、1頁に1000字(40字×25行)で、2000字以上400
0字以下(図表や注はのぞく)であること。
⑤論文の表紙には、別紙の懸賞論文の表紙に記入して、これを貼付すること。
⑥文献を参考及び引用した場合には、必ず注に明記すること。また、ウェブサイ
ト上の資料を利用した場合は、URLを明記するとともに、その個所も明記する
こと。論文中に引用であることを明らかにしてない箇所が1箇所でもあった場
合、即、盗用と見なし、選考対象外とする。十分注意すること。
⑦論文は、左上をホッチキスで止め、2部を市販の封筒に入れて(封筒の表紙に、
懸賞論文原稿であること、学籍番号、氏名を記入すること)
、提出すること。
5.提出期限
平成27年11月30日(月)
6.提出場所
法学部事務室窓口
7.表彰・賞品等 優秀賞 2編 各1万円
入賞
4編 各5000円
参加賞
※優秀賞、入賞は該当者なしもありうる。参加賞は応募者1名につき1点とする。
8.選考結果発表 平成28年1月29日(金)
9.表彰式
日時、場所は後日、入賞者に連絡する。
10.その他
応募論文は返却しない。応募論文の著作権は福岡大学(管理は法学部)に帰属す
る。