もうひとつの勉強法

もうひとつの勉強法
はじめに
「まず、テキストを読んで知識をインプットしましょう。」
たぶん、多くの人がこの言葉の通りに、まずテキストを読むところから
行政書士試験の勉強を始めると思います。
でも、よく考えてみると、テキストは約800ページあります。
辞書のような、800ページもの本を読んで、理解する。
簡単なことではありません。
1日10ページずつ読んだとしても、すべて読み終わるのは3ヵ月後です。
3ヵ月も経てば、最初に読んだ内容は忘れてます。
テキストを読んでも、なかなか成果が出ない理由がここにあります。
もちろん、テキストの内容をすべて覚えれば、合格できるでしょう。
でも、そんなことはほぼ不可能ですし、そんなことをしなくても合格できます。
「まず、テキストを読んで知識をインプットしましょう。」
「NO!」
行政書士試験の効率的な勉強は、ここから始まります。
では、どう勉強すればいいのか。
その勉強方法をまとめたのが、この「もうひとつの勉強法」です。
もうひとつの勉強法は、
■ テキストを読んでも頭に入らない方
■ 行政書士試験の勉強を効率的に進めたい方
■ 800ページ近いテキストをなるべく読まずに合格したい方
におすすめの勉強方法です。
~2~
もうひとつの勉強法 目次
はじめに
第1章
もうひとつの勉強法
1-1
「もうひとつの勉強法」概要
1-2
準備する教材
第2章
ベース問題集の勉強方法
2-1
ベース問題集の勉強方法について
2-2
ステップ1:科目ごとの勉強
2-3
ステップ2:ベース問題集の仕上げ
2-4
ステップ3:短期記憶から長期記憶へ
第3章
記述式の勉強方法
3-1
記述式の勉強方法について
3-2
ステップ1:インプットの練習
3-3
ステップ2:アウトプットの練習
3-4
ステップ3:記述式も長期記憶へ
第4章
予想模試の勉強方法
4-1
予想模試の勉強方法について
4-2
ステップ1:1冊目の力試し
4-3
ステップ2:2冊目の力試し
4-4
ステップ3:知識の底上げ
第5章
5-1
試験直前期の勉強方法
ベース問題集・記述式・予想模試の最終チェック
おわりに
~3~
第1章
1-1
もうひとつの勉強法
「もうひとつの勉強法」概要
もうひとつの勉強法では、次の順に勉強をしていきます。
①ベース問題集を解いて、
②記述式の問題集を解いて、
③予想模試を解く。
テキストは、読みません。
①~③の勉強をしていて、解答や解説を見てもわからない内容については
テキストを「引いて」読みます。
つまり、テキストは辞書のように使います。
①~③のそれぞれを勉強する目的は、次の通りです。
①ベース問題集
②記述式
③予想模試
⇒
⇒
行政書士試験の土台となる知識を身につける
記述式で30点以上の得点を取れるようにする
⇒ 時間配分の練習や、自分の実力を確認する
まずベース問題集を勉強して、行政書士試験の基礎知識を身につけます。
ベース問題集を勉強することで、合格への土台を築くことができます。
次に、記述式の勉強で、記述式で30点以上を安定して取れるようにします。
記述式は、試験全体の20%の配点を占める重要な問題です。(60点)
(60点÷300点×100=20%)
最後に、予想模試を解き、時間配分の練習や、今の自分の実力を確認すると
ともに、ベース問題集や記述式の問題集に出題されていない
「+α」の内容をおさえて知識の穴を埋めます。
~4~
詳しく調べる必要があれば、その都度テキストで確認します。
「もうひとつの勉強法」の勉強の流れは、次の通りです。
【もうひとつの勉強法
勉強の流れ】
ベース問題集
記述式
予想模試
2-1
2-2
2-3
2-4(サブ)
3-1(メイン)
〃
3-2
〃
3-3
〃(サブ2)
3-4(サブ1) 4-1(メイン)
〃
〃
4-2
〃
〃
4-3
〃
〃
4-4
5-1
5-1
5-1
勉強の優先順位は「メイン⇒サブ1⇒サブ2」になります。
まずメインの勉強を行い、残りの時間でサブ1~サブ2の勉強を行います。
【4-4】までの勉強を、10月末までに終わらせるのが目標です。
具体的な勉強方法については、第2章以降をご覧ください。
次に、準備する教材について説明します。
~5~
第1章
もうひとつの勉強法
1-2
準備する教材
もうひとつの勉強法で使用する教材は、次の通りです。
・ベース問題集(オリジナル問題があるもの)
・テキスト(法令編のみでもOK)
・記述式の問題集(行政法と民法の分量が多いもの)
・予想模試(できれば2冊以上)
過去問題集は、準備する必要はありません。
ベース問題集には、過去問が多く収録されているので、ベース問題集の
問題を解けば自動的に過去問を解いていることになります。
また、科目によっては過去問からの再出題がほぼゼロの科目もあるので、
過去問題集を問1から問60まで通して解くことの意味はあまりありません。
教材は、すべて市販されているもので大丈夫です。
そして、最初からすべてを揃える必要はありません。
というより、勉強する時期によっては最新版がまだ発売されていないことも
あるので、最初に揃えないほうがいいです。
その章の勉強が終わりそうになったら、
次の章で必要な教材を準備すればOKです。
最初に必要な教材は「ベース問題集」と「テキスト」の2つです。
その他の教材を買うタイミングについては、この後で改めて説明します。
それでは、次ページから各教材についてもう少し詳しく説明していきます。
~6~
<ベース問題集>
別に「ベース問題集」というタイトルの問題集があるわけではありません。
いわゆる、ふつうの「問題集」です。
ベース問題集は、オリジナル問題が含まれているものを用意します。
「過去問だけ」の問題集をベース問題集にするのは避けたほうがいいです。
理由は、最近の行政書士試験の傾向として、過去問からの再出題の割合が
減っているからです。
ベース問題集とテキストは、できれば同じ会社で揃えると、
内容がリンクしていて使いやすいです。
おすすめは、伊藤塾の「うかる! 行政書士 総合問題集 2015年度版」。
過去問が中心ですが、オリジナル問題も含まれているので、
ベース問題集としての条件をクリアしています。
<テキスト>
テキストは「法令」だけでもOKです。
「一般知識」のテキストを別に準備する必要はありません。
テキストによっては、法令と一般知識が一緒になっているものがあるので、
それを利用してもOKです。
自分が読みやすいと思ったものを選ぶのが一番なので、
できれば本屋に行って、直接中身を見てから決めることをおすすめします。
おすすめは、伊藤塾の「うかる!行政書士 総合テキスト 2015年度版」
。
法令と一般知識の両方が収録されていて、ハンディ六法もついているので
お得です。
~7~
<記述式の問題集>
記述式の問題集は、
「行政法」と「民法」の分量が多いものを選びます。
問題集によっては、行政法と民法以外の科目の問題も載っていますが、
これまでに行政法と民法以外から記述式の問題が出たことはありません。
また、「多肢選択式」(20個の中から4つの選択肢を選ぶ穴埋め問題)の
問題とセットになっているものがありますが、「記述式だけ」の方がいいです。
おすすめは、住宅新報社の「パーフェクト行政書士40字記述式」です。
予想問題が約100問収録されており、問題数としては十分です。
記述式の問題集は、ベース問題集の勉強【2-3】が終わりそうになったら
準備します。
<予想模試>
予想模試は、別の会社のものを2冊以上用意します。
問題が取り外せるタイプだと、解答・解説を読むのが楽になります。
おすすめは、LECの「直前予想模試」とTACの「直前予想問題集」です。
どちらも問題が取り外せますし、問題の質も高いです。
2冊以上解く場合は、上記の2冊の他に、成美堂出版の「完全予想模試」や
伊藤塾の「うかる!行政書士直前模試」がおすすめです。
予想模試の1冊目は、記述式の勉強【3-3】が終わりそうになったら
準備します。
2冊目は、予想模試の勉強【4-2】が終わりそうになったら準備します。
次ページから、ベース問題集の勉強方法について解説します。
~8~
第2章
2-1
ベース問題集の勉強方法
ベース問題集の勉強方法について
行政書士試験のベースとなる知識を効率的に身につけるために、
まずはベース問題集を徹底的に勉強します。
過去問の勉強方法は、3つのステップに分かれます。
ステップ1:科目ごとの勉強
ステップ2:全体の仕上げ
ステップ3:短期記憶から長期記憶へ
各ステップの詳しい内容については、2-2以降で解説します。
ベース問題集の勉強で使う教材は「ベース問題集」「テキスト」の2冊です。
~9~
第2章 ベース問題集の勉強方法
2-2
ステップ1:科目ごとの勉強
ステップ1では、ベース問題集を科目ごとに勉強していきます。
科目は、優先度(配点)の高いものから順に勉強するので、基本的には
「行政法⇒民法⇒一般知識⇒憲法⇒商法・会社法⇒基礎法学」の順番に
なります。
さらに、科目の中でも、重要度の高い内容から順に勉強するので、
「A⇒B⇒C」の順番になります。
重要度(A・B・C)のイメージは、次の通りです。
A:重要度は最高。行政書士に合格するための土台となる基礎知識。
まずは、Aの問題をしっかり解けるようになるのが一番です。
B:重要度は高い。合格にはこのレベルの問題もある程度解けるように
なりたいですが、焦る必要はありません。
重要度Aの問題にしっかり取り組んだ後で、十分間に合います。
C:重要度は低い。次の試験に出ない可能性の方が高い問題なので、
合格だけを目指すなら解く必要はありません。
重箱の隅もおさえて満点を狙うマニア向け。
具体的な勉強順序について、表にしたものが11ページにあります。
12ページから、具体的な勉強方法について説明していきます。
~ 10 ~