BEYOND MAINSTREAM 105 Industry 4.0 10年後を見据えた発展途上の取り組み JULY 2015 THINK ACT Industry 4.0 10年後を見据えた発展途上の取り組み THE BIG 3 1 異次元の見える化 > サプライチェーンの隅々、自社 ・ パートナーの連携/空きリソース、 将来ニーズ 2 圧倒的な機動力 > 非効率の撲滅、自前に拘らないリソース設計、将来ニーズの織込 3 顧客起点の追及 > 全社一丸となってお客様に寄り添い付加価値を創出 2 ROLAND BERGER STRATEGY CONSULTANTS THINK ACT Industry 4.0 10年後を見据えた発展途上の取り組み 変革の背景 Industry 4 . 0 が目指すもの 21世紀に入ると、日本と同様に欧州でも産業の空洞化が叫ばれ てきました。 新興国の低労務費を梃子にした低価格攻勢、性能 ・ スペックの急速なキャッチアップによって、先進国の製造業は徐々 に劣勢を強いられてきたのです。 また、就労人口の減少や高齢化、 熟練技術者の技術継承も大きな課題でした。 そうした中、北米で はエネルギーコスト低減による生産性向上を実現したシェール革 命や IT産業によるイノベーションで、日本では地道な改善の積み 重ねで、産業の空洞化に立ち向かってきました。 一方、ドイツでは 2000年代後半から産官学が集った国家情報化戦略が始まったの です。 メルケル首相が旗を振り、機械、電気電子、情報通信の 3 工業会を束ね、業界横断的な製造業の革命に取り組んだのです。 政府が資金を拠出し、数百の大学や企業が技術開発や規格作り に邁進しています。 こうした取り組みが Industry 4.0 と呼ばれるよう になったのは、弊社ローランド ・ ベルガーを含む調査機関がドイツ 政府やこれらの業界団体向けに報告書をとりまとめたことがきっか けです。 2011年には独見本市ハノーバーメッセで初めて世の中に 明らかにされました。 Industry 4.0 は、IOT (モノのインターネット) を核に、「繋がる」、 「代替する」、「創造する」 という 3 つのコンセプトで製造業の復権を 狙っています。 A 工場を中心に材料調達から設計、生産、物流、 サービスまで一連の企業のサプライチェーン全体を繋いで、ロボッ ト、3Dプリンタ、自動搬送車などで煩雑な業務を代替し、人は製品 やサービスに付加価値を与える仕事に特化できるようになります。 電動化、再生可能エネルギーの効率活用により化石由来のエネル ギーの消費も格段に抑制されます。また、各種センサーからのデー タがビッグデータとして集められ、リアルタイムに分析され、生産性 の最大化を追求するのです。 作りたい製品に応じてラインを組み かえ、ボトルネックを常に見つけながらつぶしていく、メンテナンスタ イミングを事前に予知して工場を止める時間の最小化も実現する のです。 さらに、集めたデータを開発や生産にフィードバックして、 商品 ・ サービスの付加価値向上に活かす取り組みも始まっていま す。 A Industry 4 . 0 3 つのコンセプト 1 繋がる 2 現実世界内 Cyber physical systems > 製品や工場に含まれる 様々なシステムの繋がり を構造化し性能 ・ 品質の 向上とコスト削減を実現 現実とバーチャル New quality connectivity > 製品全体、複数のシステ ムや機能をこれまでと別 次元で繋ぐことが可能と なり付加価値が増大 3 出所 : ローランド ・ ベルガー Industry 4.0 創造する Big data > 今までできなかった情報処理手法 や大規模な情報分析を実現し、 ユーザ動向のメカニズム解明や 新しいサービスの創造が可能に ROLAND BERGER STRATEGY CONSULTANTS 代替する 作業を代替 Smart robot and machine > 人の作業を代替し、加工プロセス と生産性を飛躍的に向上。 作業 現場にいる人間とのコミュニケー ションも可能に エネルギーを代替 Energy efficiency and decentralization > 既存エネルギーの使用量を減ら し、再生可能エネルギーへ切り 替え > 工場など大電力施設の電力消費 削減が可能に 現実を代替 Virtual industrialization > 工場建設の準備など実世界で 実施する作業を全てバーチャ ル世界で行い、最後の建設作 業のみ実世界で行う 3 THINK ACT Industry 4.0 10年後を見据えた発展途上の取り組み こうした取り組みを実践する企業の多くは、「今は第一段階が始 まったばかり、描いている将来の姿を目指して着実に進む。 今後 の 10年で実現する生産性向上は 40-60%」と考えています。 また、 既にお気づきの通り、前述した一つひとつの取り組み自体は決して 革新的なものではありません。 多くは過去に機能別に様々なコン セプトで謳われてきたものです。 これらの取り組みが一つの骨太な 目的に向けて体系的に組み立てられたときにこそ真の力を発揮す るのです。 弊社では現時点で産業全体のバリューチェーンのうち IOTが影響している割合は 25%と捉えています。 Industry 4.0 が 残りの 75%にも広がった世界を創造してください。 間違いなく革新 と呼べる世界へと変貌しているのではないでしょうか? 先進企業の取り組み 欧州における先進企業の取り組みを幾つか見てみましょう。 ご紹 介する事例の多くは 2011年から始まったものではなく、それ以前か ら積み重ねられてきたものですが、Industry 4.0 のコンセプトの一 部を体現した興味深いものです。 まず、「繋がる」 のコンセプトからはモジュール化を取り上げます。 モジュール化は、車両の各種性能および品質の向上に貢献する ために、各モジュールの繋がりを構造化することを意味します。また、 車の様々なシステムを繋げ、機能を担保しつつ、全体の簡素化に よるコストダウンを実現するのです。昨今のフォルクスワーゲン(VW) の MQBというモジュール戦略がこれに当たります。 B VWのモ ジュール戦略は、過去に日本でなされたコスト削減を目的とするモ ジュール化とは異なり、最初に車に必要な様々な基本性能によっ て車両アーキテクチャを定義します。 次にこのアーキテクチャを 様々なモデルで再現するために、バーチャルシミュレーションを活 用し、各種モジュールに各基本性能を割り当てていきます。 そうし て、作られたモジュールを 「レゴブロック」 のように組み合わせ、VW らしい車を短時間で作り上げるのです。 また、モジュールの共通化・ 標準化を通じて、調達のスケールメリットも獲得できるのです。 モジュール化の対象は、車両の約 60%です。 10年スパンの計 画で、地域毎に売り出す車の大きさ ・ タイプ、ブランド、装備や価 格を一定の幅で決め、必要要件をモジュールに織り込みます。 こ うしてモジュールが事前に準備されているので個別モデルの開発 期間は大幅に短縮されます。 また、モジュールには、基本モジュー ルに加えバリエーションモジュールがあり、スポーティーやコン フォートなど多様な乗り味や仕立てを実現することができます。 さ らに、VWは設計だけではなく、生産のモジュール化も進めていま す。 MQBモジュールを使ったモデルであれば、どんなモデルでも 設備モジュールの入れ替えのみで混流生産できる工場です。 現 在、VWはグローバルで年間 400 ~ 500万台の MQBモジュール を使ったモデルの生産を計画していますが、最初につくった MQB 工場をグローバル各地にコピー ・ アンド ・ ペーストして、グローバ ルに繋がる先進工場の配備を進めています。 将来的には、生産と 開発のモジュール化の融合が加速し、受注状況に連動した開発 ・ 4 生産体制の機動的な組み換えが進むと考えられます。 次は 「代替する」 のコンセプトから、これまでの加工プロセスを代 替する 3Dプリンタを紹介します。 今、自動車業界や航空機業界 では、バーチャル上で設計された 3Dデータを入力するだけで様々 な形状の部品を意のままに製作可能な 3Dプリンタが活用されて います。 従来製法と大きく変わるのは、製造リードタイムおよび材 料使用量です。これまで複雑な構造の金属部品や金型の製造は、 切削や研磨などで不要な材料を取り除く 「削除製造法」 が主流で したが、3Dプリンタでは材料の素材を薄く印刷しながら積み重ね、 所望の形状を実現する「アディティブ製法」 を採用します。 複雑な 形状でも 1 プロセスでスピーディーな製造が可能となります。 さら に、加工を容易にするために多くの部品に分割して組み立てる 「削 除法」 に比べ軽量化が可能です。 また、素材を追加し積み重ね ていく製造法のため材料の無駄や追加加工の工数も省くことがで きます。 弊社では 3Dプリンタの利用が今後 10年以内に 4倍以上 へと大きく拡大すると予想しています。 実際、欧州では、様々な完成車メーカーが 3Dプリンタを活用し ています。 例えば、欧州 Fordでは、3Dプリンタで試作品のリードタ イムの短縮、加工工数の削減および試作費用の低減を実現しまし C た。 既に、3Dプリンタで試作している部品数は年間 20,000 点に及び、中でも、形状の複雑なエンジン部品の試作で大きな成 果を発揮しています。 例えば、インテークマニホールド(エンジンの 空気取入口) では試作期間を 4 ヶ月から 4日に、試作費用を 50万 ドルから 3千ドルに低減しました。 試作期間の短縮は性能向上に も大きく貢献しています。 実物を使った試験結果との比較検討回 数が増え、バーチャルシミュレーションを使った吸入空気の状態解 析精度が急速に向上したのです。 近い将来にはデスク上に配置 が可能な小型の3Dプリンタと PCベースのバーチャルシミュレーショ ンを全エンジニアに供給することを計画し、ものづくりの革新を狙っ ているようです。 「代替する」 のもう一つの事例として、バーチャルパワープラントを 紹介します。 ドイツでは 2012年に総発電量に占める再生可能エ ネルギー比率が 22%にまで上昇しました。 ところが、新規参入し た多くの小規模発電事業者にとっては、設備の制御および売電シ ステムの構築の手間が重く圧し掛かり、持続可能な事業としての成 立性は疑問視されていたのです。 そうした中、独のエネルギー会 社大手 RWEと独の産業機械大手 Siemensは、小規模発電設備を ネットワークで繋いだドイツ初のバーチャルパワープラントを構築し ました。 これは、多数の小規模な自家発電設備を統合することに よって、あたかも 1 つの発電所であるかのように制御する仕掛けで す。 このバーチャルパワープラントで作られた電力は、欧州の電力 卸売市場である欧州エネルギー取引所で販売されます。もちろん、 電力の売上は各小規模発電所にもたらされ、RWEには販売代行 料、Siemensには電力管理システムの使用料が支払われる仕組み です。 収益化のポイントは、市場の電力需要および市場価格に応じて、 ROLAND BERGER STRATEGY CONSULTANTS THINK ACT Industry 4.0 10年後を見据えた発展途上の取り組み B VWのモジュール化戦略への落とし込み ビークルアーキテクチャ ・ デザインルールを深く作り こむことで、モジュールの組み合わせで多様なモデル の設計 ・ 生産が可能 車両 アーキテクチャ > 多様な車両基 本要 件 を 定 義 する 車 両 アーキテクチャ デザインルール > 車両アーキテクチャ を各モジュールに割り 当てるルール モジュール > デザインルールを満 たした各種モジュー ルとそれらを構成す るサブモジュール モジュール サブモジュール 出所 : 各種二次情報、ローランド ・ ベルガー C Ford における3Dプリンタ活用事例 インテークマニホールド製作時間 120日 -97% 4日 > 金型製作、鋳造、後加工というプロセスを経ずに、原則3Dプ リンタのみで製造可能なため、期間が大幅に短縮できる 試作期間の短縮 インテーク マニホールドの 試作 試作費用の低減 > 形状が複雑でも後加工なしで製造することで加工ロスがなく、 材料費の使用が大幅に抑えられる インテークマニホールド製作費用 50万ドル 3千ドル -99% バーチャルパワープラントに属する発電設備の発電量や発電プラ ントミックスを機動的に変更できる点です。 まさに Industry 4.0 の真 骨頂です。 通常、電力会社と契約したスケジュール・電力量に沿っ て電力を販売するのに対して、バーチャルパワープラントでは、卸 売市場の市場価格を常にモニタリングし、変動の大きい自然エネ ルギーの発電の落ち込みに伴う電力需要の高まりを見逃しません。 このタイミングでコジェネ発電の稼動を機動的に高め、高価格で電 力を販売し収益を最大化するのです。 相場に合わせ各小規模発 電所の稼働をリアルタイムに制御できるバーチャルパワープラント ならではの業です。 昨年の電力販売量は 150MW クラスですが、 近いうちに 200MWクラスへの拡大を見込んでいるようです。 「代替する」 の最後の事例は、デジタル工場です。 従来、工場を 建てた後に行っていたプロセスを全てバーチャルで代替するという 画期的な取り組みです。 工場建設から生産ライン立ち上げまで全 てを高精度でバーチャル上に再現することが可能となり、実物を用 いた建設における手戻りを防止します。 バーチャル上で生産ライ ンの組み換えや試運転、そして自動キャリブレーションが可能にな り、専門チームの派遣や人の手による調整の工数が大きく削減され るのです。 建設前にオペレーターのトレーニングをあたかも装置に 触れているかのように行うことも可能です。 デジタルツールや高度 な通信手段を利用することで、工場内の自動化率も向上し、安定的 な品質確保、生産の高効率化などを実現します。 さらに、運用時 の生産機械の状態変化や補修タイミングを予測し、設計に事前に 織り込んでおくことで、メンテナンス時間の大幅削減や自動メンテナ ンスで止まらない工場へと一歩一歩近づいているのです。 3 つ目のコンセプト 「創造する」 の事例は、自動運転用の地図で す。 ご承知の通り、自動運転は自動車業界での最重要トピックで す。 NOKIAの子会社である HEREは、ロケーションクラウドサービス と名づけた高度運転支援用の地図を提供しています。 今後、緊急 ブレーキなどの運転支援から段階的に完全自動運転へと移行して いきますが、その各段階に必要な情報を広くカバーし、広く完成車 メーカー各社の技術・ニーズへの対応を目指しているのです。また、 安全性を重視する自動車業界に適合する高い精度の地図も差別 化のポイントのようです。 自動運転には、自車位置の正確な特定 に始まり、車両周辺の環境や交通ルールの把握、そしてその中で の最適な経路設計や走り方の判断が不可欠です。 そこで、HERE は様々な情報をロケーション(=地点) に紐付けてクラウド上に蓄積 しています。 例えば、マップマッチングに必要なランドマークの 3D 情報、白線検知に必要な白線、レーンの情報、交差点 / 横断歩道・ 道路幅 ・ 曲率等の道路情報、道路に付随する交通規則、時刻で 変化する交通ルール、リアルタイムに変化する路面 ・ 道路状況、 カーブ等特定スポットでのドライバーの運転性向や危険性情報な ど多岐に亘ります。 こうしたデータが揃うことで初めて周辺にスムー ズに溶け込む自動運転車が実現できるのです。 HEREは、様々な 完成車メーカーやサプライヤーと共同開発をしていますが、将来的 にはクラウドを通じクルマ同士が繋がり、情報集積が進展、地図の 質とサービスが向上していく好循環を作り出そうとしているのです。 出所 : 各種二次情報、ローランド ・ ベルガー ROLAND BERGER STRATEGY CONSULTANTS 5 THINK ACT Industry 4.0 10年後を見据えた発展途上の取り組み デジタル化の潜在力 1 2 「繋がる」、「代替する」、「創造する」 は、10年後どのような産業の 姿を生み出すのでしょうか。 それを考えるに当たってのキーワード は、「異次元の見える化」 と「圧倒的な機動力の発揮」 です。 「異次 元の見える化」 は、サプライチェーン、組織 ・ 企業間連携、それら の過去と将来をあたかも 1 つのテーブルの上に使いやすく、目に 入りやすく並べる取り組みです。 サプライチェーンの各プレーヤー のステータスと未充足ニーズ、社内各部署の創出する付加価値お よび連携状況や投入リソース、そして過去の経験を活用した将来 の先読みなどが立ち所にかつリアルタイムで把握できるようになり ます。 一方、「圧倒的な機動力の発揮」 は、その瞬間瞬間に見える 化された状況を踏まえて、ムリ・ムダ・ムラを瞬時に省きます。 さらに、 付加価値向上のスピードを高めるべく組織 ・ 企業間の役割分担を 有機的に変化させていきます。 高速 PDCAによるボトルネックの解 消やスループット増大、将来ニーズの織り込みによるモジュール戦 略の高度化、自前に拘らないリソース設計やフレキシブルな事業 展開などがその代表例です。 D こうした潜在力をより多く享受できる産業には特徴があります。 例えば、量産かつ部品点数が多くサプライチェーンが複雑な産業 です。 また、製品アーキテクチャ(基本性能要件とモジュール構造) を設計できるものの極めて構造が複雑で、設計に長い時間が必要 な産業です。 プラントエンジニアリング、航空機そして自動車産業 などがこれに当たります。 こうした場合、往々にして莫大な組み合 わせを試して最適解を求めたり、人の工数の多くがデータ入力や 細切れな待ち時間など煩雑なタスクに割かれたりするケースが多 いのです。 しかし、ITによってそれらを代替する事で、真に重要な ことのみに時間を割き、圧倒的な生産性を実現できるのです。逆に、 化学反応などメカニズムの解明が困難なものを含む産業において は、ITによる置き換えが不可能なためデジタル化におけるメリットは 得ることができません。 また、製品に様々な性能が求められ構成部 品の点数が多い、量産され使用期間が長くメンテナンスやアップグ レードが不可欠といった特徴をもつ設備機械や自動車産業なども 大きなメリットを享受できる産業です。 これまでは構造が複雑な故 に、領域ごとの縦割りを敢えてつくり開発することで作業効率を高め D ていたため、どうしても全体最適から外れてしまう部分がありました。 今後はデジタル化によって常に全体を捉えながら開発や生産をす ることが可能となり、よりリーンかつ高性能な製品が生まれることとな るでしょう。 日本企業の進むべき道 3 さて、こうした工場起点での製造業の復権を目指す欧州の動き に対して日本企業はどのような道を歩むべきでしょうか。 日本では、 1980年代からトヨタ生産方式、カンバン方式、ジャストインタイム、コ ンカレントエンジニアリングという概念がありました。 後工程を意識 した継続的な改善、在庫のムダの最小化、部門を跨ぐ協業などの 改善を現場で続けてきました。 Industry 4.0 を進めてきた欧州勢 にも比肩する効率化を現場の知恵を使って生み出してきたのです。 したがって、全ての設備 ・ モノを ITで繋げて効率化を進めるという 欧州流のアプローチは過剰となるはずです。 そこで、日本企業には、顧客接点を能動的に拡大、全ての未充 足ニーズに対して新たな価値を追及するアプローチを取ってはど うでしょうか。 自らの製品価値、その製品を含むシステムに求められ る価値、購入検討から廃棄に至るまでのライフサイクルで求められ る価値、更には顧客の本業以外の業務の取り込み、そして顧客の 本業への貢献をも念頭に付加価値を追及するのです。 社内の各 部門やパートナーは、各々の能力を柔軟に変容させながら付加価 値創出の一端を担うのです。 開発や生産は事前に未充足 ・ 潜在 ニーズを織り込み、組み合わせで即座に新たな付加価値を提供 する体制を営業とマーケティングが整えます。 また、パートナーの 能力やリソースをいつでも有効に使えるように保持し、要素技術の 多様性と組み合わせによる付加価値を柔軟に追加していきます。 加えて、各部門の力の結集により顧客に生まれた付加価値を見え る化することで、各主体の切磋琢磨を促すのです。 ITはそのため の道具という位置づけです。 これらはまだまだ夢物語かもしれませ ん。 ただ、将来のありたい姿をしっかりと見据えてそこから逆算、準 備する事で現実のものへと変えていく力が生まれるのではないで しょうか。 日本企業の底力を発揮すべき時です。 デジタル化のインパクトの大きな産業 製品そのものが持つ特徴 製品の設計 ・ 生産の持つ特徴 > 量産かつ部品点数が多く サプライチェーンが複雑 > 製品アーキテクチャにより 全ての性能要件を各部品 ・ モジュールへ割り当てが可能 デジタル化 潜在力を 享受する 産業の特徴 > 顧客ニーズが多岐に亘り進化 のスピードも速い > 使用期間が長くメンテナンス やアップグレードが必要 > 設計や生産のリードタイムが 長く、将来の先読みが必要 出所 : ローランド ・ ベルガー 6 ROLAND BERGER STRATEGY CONSULTANTS THINK ACT Industry 4.0 10年後を見据えた発展途上の取り組み ABOUT US ローランド・ベルガー ローランド ・ ベルガーはドイツ、ミュンヘンに本社を置き、ヨーロッパを代表する戦略立案とその実行支援に特化した経営コン サルティング ・ ファームです。 1967年の創立以来、成長を続け、現在 2,400名を超えるスタッフと共に、世界 36 カ国 50事務 所を構えるまでに至りました。 日本におきましては、1991年にオフィスを開設し、日本企業及び外資系企業の経営上の課題解 決に数多くの実績を積み重ねております。 製造、流通 ・ サービス、通信業界等数多くのプロジェクトはもとより、5 ~ 10年後を 予測する各種トレンドスタディの実施や学術機関との共同研究などを行うことにより常に最先端のノウハウを蓄積しております。 Tablet version Further reading Links & likes DOWNLOAD OUR KIOSK APP ローランド・ベルガー 既刊Think ACTスタディのご紹介 ORDER AND DOWNLOAD www.think-act.com To read our latest editions on your tablet, search for "Roland Berger" in the iTunes App Store or at Google Play. Download the Kiosk App for free. The digital transformation of industry デジタル化がもたらす革命 デジタル化がもたらす変革は、欧州の産 業構造を激変させる可能性を持っている。 本スタディは、ドイツ産業連盟(Federation of German Institute:BDI) と共同で実施した もので、 欧州においてデジタル化が進む 要因を分析し、ドイツと欧州産業界に及ぼす 影響度を調査した上で、 様々な経済効果 を試算する。 STAY TUNED www.twitter.com/BergerNews LIKE AND SHARE www.facebook.com/Roland BergerStrategyConsultants WWW.THINK - ACT.COM ROLAND BERGER STRATEGY CONSULTANTS 7 THINK ACT Industry 4.0 10年後を見据えた発展途上の取り組み Publisher The authors welcome your questions, comments and suggestions ROLAND BERGER STRATEGY CONSULTANTS 日本共同代表 シニアパートナー 長島 聡 Satoshi Nagashima 株式会社 ローランド・ベルガー [email protected] 早稲田大学理工学研究科博士課程修了後、早稲田大学理工学部助手、 広報担当: 西野、山下 各務記念材料技術研究所助手を経て、ローランド・ベルガーに参画。工学 〒107-6023 東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル23階 電話 03-3587-6660(代表) ファックス 03-3587-6670 e-mail: [email protected] www.rolandberger.co.jp 博士 自動車、石油、化学、エネルギーなどの業界を中心として、R&D戦略、営業・ マーケティング戦略、ロジスティック戦略、事業・組織戦略など数多くのプロ ジェクトを手がける。現場を含む関係者全員の腹に落ちる戦略の実現を信 条に「地に足が着いた」コンサルティングを志向。自動車戦略チームアジア 代表を務める © 2014 ROLAND BERGER STRATEGY CONSULTANTS GMBH. 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