ドイツに学ぶ中長期視点の経営

BEYOND MAINSTREAM
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ドイツに学ぶ中長期視点の経営
MARCH 2015
THINK ACT
ドイツに学ぶ中長期視点の経営
THE BIG 3
1
市場環境を自ら作っていく
> 市場環境に対応するのではなく、自ら市場環境を作っていく
2
現場力をもう一度作り上げる
> 工場等における労働現場は言うに及ばず、今後はホワイトカラーにおける
現場力をより一層高める
3
新しい発想で海外へ出て行く
> 単に海外に事業所を展開するとか海外企業を買収するだけではなく、外に
出て行くための味方を作ったり、自分の役割を再定義して Hidden Champion
を目指す
2
ROLAND BERGER STRATEGY CONSULTANTS
THINK ACT
ドイツに学ぶ中長期視点の経営
はじめに
1990年代の日本-いわゆる失われた 10年-に多くの企業が米
国式経営を取り入れた。 ROA, ROCE, EVA 等の経営指標が次々と
紹介され、企業はそれらの指標を元に選択と集中に取り組み、短
期的に利益を上げ、株主に還元した。 そうした観点では一定の成
功を収めたと言えるだろう。
しかし、米国式経営は、アメリカ人の勤労観には合致したものの、
高度成長期時代を土台にした日本式経営において日本人の勤労
観には合っていなかったように思える。
そうした中、我々は低迷する欧州経済内では健闘しているドイツ
の中長期視点の経営こそ日本人の勤労観にも合致し、強い日本企
業を作る上での参考になるのではないかと考えている。 本稿では、
その要旨をご紹介した上で、日本企業が持つべき視点について論
じたい。
てトップダウンで臨機応変に対応する米国式経営は魅力的に映り、
次々と導入する企業が増えていったのである。
実際、こうした米国式経営はうまく日本企業を立ち直らせたといえ
るだろう。 というのも、日本企業は終身雇用の下、現場の人材が育
つシステムが形成されていたからである。 現場が強い上に、トップ
ダウンで事業の選択と集中を進めたことにより、短期的に収益を上
げることに成功した。
例えば、日産のカルロス ・ ゴーンはその象徴として取り上げられ
ることも多い。日産は1999年の経営危機から立ち直り、2002年の「日
産 180」 の達成へとつながっている。
また、パナソニック(当時松下電器) も 2000年頃の経営危機によ
り太陽電池の研究開発からの撤退、事業の再整理(13,000人の早
期退職含む) により再生への道を進んでいる。
1. 米国式経営。 短期的視点での経営
再生ファンドによる買収事例が増えてきたのもこの頃である。 海
外のファンドにとって、優秀な現場力を備えマネジメント能力の不
在だけで苦戦している日本の企業を再生させる事は 「easy job」 と目
に写ったのである。
1990年代にバブルが崩壊し、1980年代に世界中から注目された
日本式経営、即ち秀逸な工場現場をベースとしたカイゼンや JITシ
ステム、ケイレツによる強い結束等は影を潜め、むしろ日本のホワイ
トカラーの低生産性、マネジメント能力の不在等が注目されるように
なった。
そうした中、盛んに紹介された米国式経営は、株主第一主義で
あった。 これはつまり株価を上げるために、外部環境に対して、臨
機応変に立ち回ることを求めたものである。
当時の日本式の経営は、バブル崩壊という外部環境の急速な変
化に対して対応するすべを持っていなかった。多くの経営者にとっ
この20年間で日本人はある程度 「米国式経営」 のメソドロジーを
手に入れたのではないだろうか。
例えばパナソニックでは、その後の円高で迎えた経営危機を津
賀社長の下、キャッシュフロー経営による大胆な事業の入れ替えを
行い、見事な復活を見せている。
しかし、この間に日本企業がその根本的風土を変えたかというと
そうでもないことに気付く。
大企業では終身雇用が相変わらず主流であるし、ケイレツ取引
が壊滅したかと言えばそうでもない。
日本の経営者の報酬が米国の CEO並みになったという話も未だ
A
米国 ・ ドイツ ・ 日本の経営方式とそれを支える価値観
米国
ドイツ
: 経営方式
: 価値観
日本
市場環境
への対応
臨機応変
ルールの有無に
(環境に合わせて かかわらず、自ら
企業の戦い方を
切り開く
変える。 事業の切
り貼りも行うなど、ド
ラスティック)
環境を自企業
へ有利になるよ
う働きかける
ルールには従う
が、そのルールは
自ら作る
現場力をベース
にしたマネジメント
ルールは与えられ
る。 ルールがない
領域は横並び
自社の
人材育成
有能な人材を
外部から招聘
(基準に達しな
い人材はドロッ
プアウト)
労働自体が苦役で
あり、システマティック
にすることが重要
(マニュアル化)
必要となる有能な
人材は外部から調
達していく
(トップダウン)
技術伝承を
仕組み化
(マイスター制度
・ デュアルシステ
ム・企業家の育成。
これらにより Hidden
Champion
も誕生)
手に職を持つこと
を重要視。 その
為に必要な制度 ・
ルールを整えて
おく
有能な人材もそ
うでない人材も
一定評価した上
で有能な人材
を見つける
(終身雇用 ・
年功序列)
会社に対して働きが
い、社会貢献意識を
持つ。 その価値観を
共有し、技術だけで
なく、様々なノウハウ
を人ベースに伝えて
いく
(ボトムアップ)
競合をいかに利用
するか、必要に応
じて買収
極力競合も
味方に
みんなで協力し
て儲ける
(ケイレツなど。
縦の連携が得意)
競合とも情報共有
(例 : 業界団体の
多さ等)
競合の
捉え方
基本協力しない
(必要に応じて
買収も)
A
(パジャマクラブなど。
横の連携が得意)
(ボトムアップ)
競合と協業できる
領域と競争すべき
領域を明確化
出所 : ローランド ・ ベルガー
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3
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に聞かないのである。
企業の風土 ・ 価値観とは、国民性の違い、とも言える。 それぞ
A にまと
れの経営方式の違いと、それを生み出している価値観を めた。
バブル崩壊後の再生が一段落した現在今後長期的に日本企業
が海外の企業と戦い、真のグローバル企業を目指しつつ、同時に
持続的な安定成長を求める日本企業は多いと思われる。 そうした
中、米国式経営のメソドロジーを持ちつつも日本企業の根本的風
土に合った新しい経営スタイルを模索する必要があるのでないか。
2. 今ドイツ企業の経営スタイルに注目するべき
欧州経済が低迷する中、ドイツは欧州全体からみればその堅実
さが注目される。
また、ドイツと日本は産業構成が似ている。 たとえば、製造業比
率は、ドイツが 24%、日本が 21%だ(2012年)。 加えて、日本とドイツ
はその国土構成、経済水準、産業構成、人口動態など他国に比し
ても非常に似ている。 B
2009-2013年の実質 GDP成長率では、ドイツが 2.2%と日本の1.8%
より高く、その堅調ぶりを伺わせる。
企業の収益性で比較すると、過去10年の営業利益率の改善も
目を見張るものがある。 2001年における上場企業全体における営
業利益率は、日本が 5.6%、ドイツが 1.5%であったが、2010 年に
は、日本が 6.4%、ドイツが 6.8%であり、日独が逆転している。 なお、
2012年におけるに日本の上場企業の営業利益率は 5.1%である。
B
さらに、よく言われることであるが、「堅実で働き者、時間を守りまじ
めに働く国民性」 であるドイツはその基本的な価値観が日本と似て
おり、ドイツにおける経営手法が日本に馴染む可能性は高い。
3 . ドイツ企業が強い 3 つの理由
ここでは現状のドイツ企業の強さの理由について考察したい。
ドイツ企業の強さを特徴付けているのは製造業への回帰と大企
業 ・ 中小企業の共存、そしてその国際性であろう。
C は
ドイツは世界でも珍しく製造業へ回帰している国である。 2000年から 2012年間の製造業の貢献度 (変化率) を示している。
日本が▲ 1.8%であるのに対し、ドイツは 1.6%である。2000年以降、
ドイツが製造業回帰に注力してきたことがわかる。
その中でも注目すべきはドイツ企業の国際性である。 VW,
Siemens, BASF 等ドイツを代表する大企業の売り上げに対する海
外シェアは軒並み80%を超えているし、GDPに占める輸出の割合
も 46%と日本やアメリカに比してかなり高い。 大企業の従業員の
58%が国外で就労し、経営取締役の 30%は外国人である。
たしかにドイツは EUの一部であり、地理的にも国際化が進みや
すいかもしれないが、それでも突出したこの数字はドイツの製品や
サービスが世界で認められると同時に国際的な目を常に養ってい
ることの表れと見て取れる。
また、もう一つの特徴が、所謂「Hidden Champion」(隠れたチャン
ピオン企業) と呼ばれる中小企業 (Mittelstands) が数多く存在する
点である。 明確な定義はないが一般的には従業員数 500人未満、
売り上げ 5千万ユーロ前後とされている。 特徴として非上場で家
族経営、地域に根ざし小規模ながら独自の技術を有し戦うドメイン
日独の比較
日本
ドイツ
50%
面積
377,930
人口
126,535,620 人(10位 )
企業数
GDP
年間労働時間
km 2 (61位)
1
約
名目
410 万社(12年、うち約 3500社が上場会社)
59,844 億ドル(3位 )
2
2,244 円(2010)
博士号取得者数
15,872 人(2009)
製造業比率
21 % (2009)
(うち約 1000社が上場会社)
約 362
万社(2012)
33,667 億ドル(4位 2 )
1,413 時間(2011)
2,672 円(2010 )
2
25,629 人(2010)
24 % (2010)
1) 11年推計値 2) 12年推計値 3) 1 ユーロ= 104円(12年平均)
出所 : ローランド ・ ベルガー
4
82,302,465 人(15位 1 )
名目
1,728 時間(2011)
時間当たり賃金
(製造業)
257,114 km2 (62位)
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C
スクのヘッジ、サプライチェーンの効率化、事業ポートフォリオの監
視と入れ替えなどである。
主要国における製造業の貢献度
2000年~ 2012年 : 変化率 [%]
グローバル平均 : - 1.6
-10.3
フィンランド
-5.6
イギリス
-5.3
フランス
-4.6
イタリア
-4.6
スペイン
-3.1
ポルトガル
-3.0
米国
-2.4
アイルランド
-2.0
オランダ
-1.9
オーストリア
-1.8
日本
-1.4
ギリシャ
-1.2
チェコ
-0.8
中国
0.0 ポーランド
ドイツ
+ 1.6
リトアニア
+2.0
韓国
+2.8
出所 : UNCTAD、ローランド ・ ベルガー
を集中し、無名ながら特定フィールドにおける世界シェアの大きな
割合を占めている。
スマートカード用接着剤で世界シェアの 8割を有するデロ社 (従
業員数 300名) はその代表だ。 この会社は長年の研究開発費への
積極投資、顧客との共同開発、技術の徹底的なブラックボックス化
により他社が真似できない技術を確立し高シェアを維持している。
シ ョ ッ ピ ン グ カ ー ト で 世 界 の 60 % シ ェ ア を 誇 る Wanzl も
Mittelstandの一つである。
これらの中小企業の特徴は小さいからと言って地元の殻に閉じこ
もらず、自らを「下請け」 と定義せず果敢に世界へと飛び立っている
ことであろう。 ケイレツ取引に代表されるサプライ ・ ピラミッドの中で
自らを位置づけてしまいがちな日本の中小企業には大いに参考に
なるのではないだろうか。
こうした、世界に認められたドイツ企業の躍進の背景にはそれぞ
れ様々な理由があろうが、ここでは大きな特徴として 3点を議論する。
1) 長期思考と市場環境への対応 →外部環境すら自分に引き寄
せる考え方を持つ
これまでの日本の経営 (米国式経営) は市場環境は自分で変え
ることが難しく、その変化に対応することが中心だった。 その為、市
場が変化しても耐えられるような頑強な経営基盤を作っていくこと
が主であった。
その中心は、堅実なコスト削減努力、海外現地生産による為替リ
一方、ドイツでは長期思考と縦横の連携で外部環境を自らに有
利に持って行くという考え方を持つ企業が数多く存在する。
例えば VWは、10年先を超える将来のニーズを先読みして、ター
ゲットセグメントや投入すべき重要技術をロードマップとして明確化
し、いくつかのパターンに分けて将来の戦略を幅をもって設定して
いる。 それらを実現するために車両の 6 ~7割をモジュールで切り
分け定義し、事前に開発を終了させている。 そしてその時々のニー
ズに合わせてモジュールを巧みに組み合わせ車の大部分を設計
し、デザイン等その時々のトレンドに柔軟対応すべき部分に集中す
るのである。
さらに、VW では政府やサプライヤー等の関係者をも巻き込み、
その将来戦略、技術ロードマップに誘導するために、政府や競合
OEM、サプライヤーなどの周辺プレイヤーを巻き込み自社の思惑
に上手く誘導する。
これは Bosch等のサプライヤーも同じ考えで、10年~ 20年先に
「OEMが実現したい車」 の情報をトップマネジメントから現場レベル
で、技術 ・ 製品ベースで深く理解し理解した内容に基づき、OEM
に先んじて技術ロードマップを策定しその技術に OEMを誘導して
いくのである(例 : 先進安全技術など)。
2) 人員の育成と活用 →国の教育制度が後押ししつつも、企業も
人材育成を重視し、競争力のあるオペレーションを実現
マイスターという言葉は日本でも馴染みがあるが、高付加価値で
世界で戦う技術や製品を創り出すには良質な労働力が必要である。
その点ドイツでは職業訓練から、産業育成に至るまで、数多くの
制度を政府が準備している。
ここでは、主要な 2 つの制度を紹介する。
デュアルシステム : デュアルシステムとは 18歳未満の若者のう
ちギムナジウムという大学などを目指すコースに通う学生以外 (約
70%) には職業学校への通学義務が課せられており、その際に職
業学校に通いながら 1週間の内 3日は職場で職業訓練生として働
くシステムである。 若者はその企業の事がわかるし、技能も身につ
く上、その技能が職業学校の卒業や、次の専門学校に行く上で非
常に重要になる。 企業も安い労働力の確保及び、将来の学生採
用の見極めとして有効活用出来る。
マイスター制 : マイスター制とはマイスター資格を持つ職人が開
業や、後進の指導などが出来る制度である。 技能の対象は手工
業に関するものでも 41種類存在し、細分化されており、職人の育
成に役立っている。
更に、そのような政府の後押しに加えて、日本人と同様に 「価値
観の共有」 を重視し、人材を囲い込むのがドイツの特徴であろう。
例えば、ファミリービジネスが多いのはその一例である。 ドイツは
METRO GROUPや Henkelなどの大企業もファミリービジネスだ。ファ
ミリービジネスはそのオーナーの意向や価値観を従業員が強く共
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有している場合が多い。 それにより企業家精神が育ち、従業員同
士が団結した強い企業につながっている。
結果として、前述した Hidden Championが数多く存在 (世界の
2,734 社中、1,307 社がドイツ。 日本 220 社) しており、企業競争
力の原動力ともなっている。
3) 競合との協業 → 国内で争うのではなく、国外で戦う為の仲間
大小に関わらずドイツの企業が世界で躍進している事は前述し
た。 そのもう一つの原動力が産業内の縦横の連携である。
元来、ドイツに関わらず欧州の産業界は官学との連携が日本より
得意であるが、ドイツではそれが競合する企業との連携にまで発展
する。 例えばパジャマクラブという集まりがその代表例である。 これ
は 「ドイツ自動車産業の発展」 をテーマに VW や BMW ・ Boschな
どの経営者・技術者が参画している情報交換の場である。 例えば、
電気自動車の電源プラグの規格統一 ・ 今後の環境規制等につい
ての情報交換をし、方向性を共有し、例えば前述の外部環境の引
き寄せのために政府等に対して交渉を進めるのである。 要するに
「ブランド価値に関係ない部分は一緒にやれば効率が良いじゃな
いか」 ということだ。
日本では近年、自動車用内燃機関技術研究組合 (AICE) という
主に将来のディーゼルエンジンの効率向上を自動車各社が協力し
て研究するという機関が設立され活動を始めたが、その行く末を見
守りたい。
もう一つの例が 「Industry 4.0」 である。 ドイツが国をあげて製造
業の復権に向けて始めた取り組みで、ドイツの産官学の共同プロ
ジェクトとして進められてきた。 産業に関わらず横の連携を通じて、
政府をも巻き込み、このキーワードの下に、製造業の生産効率の向
上を狙う活動である。 現在では、ドイツの企業の多くが Industry 4.0
に参画し、最終的には、中国などのアジアでの生産コストを下回る
ことを目指している。
4.日本企業の経営に対する示唆
日本企業の経営に対する3つの示唆
このように、日本との類似性の高いドイツにおける経営スタイルを
見てきたが、最後に日本企業にとっての示唆を大きく3つ議論する。
1
1. 市場環境を自ら作っていく
市場環境に対応するのではなく、自ら市場環境を作っていく考え
方を持ちたい。
高度成長期からバブル崩壊までの日本企業は市場環境に対応
するというよりは、右肩上がりの市場環境に乗っかり著しい発展を遂
げた。 そしてバブル崩壊後は米国式経営で市場環境に臨機応変
に対応することを学んできた。 次は自らが市場を作る、といった視
点が必要になるのではないか。
大企業にとっては VWに見られるような市場の引き寄せが技術
革新の目覚しい現代ではますます重要になってくるであろうし、中
6
小企業にとっては自らの位置づけを今一度見直してみることが重要
であろう。
日東電工では「三新活動」 と称して以前から「新市場開拓」 と「新
事業モデル構築」 を継続的に行っている。 つまり既存技術の新用
途開発(新市場開拓) と既存市場における新製品開発(新事業モ
デル構築) から新需要を生み出すという発想である。 ある意味日
本型の市場の引き寄せと言えまいか。
2
2. 現場力をもう一度作り上げる
元来、日本は人材育成を得意としてきたと思える。 その均質な人
材育成により日本は極めて高い現場力を維持し世界最高品質を
達成してきたのである。
しかし、それは今までは主に工場等における労働現場について
語られることが多く、今後はホワイトカラーにおける現場力をより一
層高めることが重要であろう。
それは即ち、専門家の必要な領域では高等教育を受けた専門家
をきっちり育成し、またホワイトカラー現場で効率化できる部分は徹
底的に効率化 ・ 業務を減らし、戦略立案、計画策定、実行のため
の事業部サポート、つまり事業部の現場が効果を発揮できるような
効果的援助をできるプロフェッショナル人員を創り出すことである。
今後、団塊の世代が抜け、労働人口の減少が見えている中、早
急に仕組みとして確率する必要があるのではないだろうか。 残念
ながら、ドイツの様な政府支援は日本にはあまりないが、これは企業
内でも十分に取り組めることである。 その為には、米国式の安易な
リストラは控え、雇用を維持してスキルの喪失を防ぎ、長期視点で
育て、活用、場合によっては転用して行くことが大事である。
3
3. 新しい発想で海外へ出て行く
今や日本の企業もほとんどが海外展開をしている。 しかし、例え
ば大手消費財メーカーで海外比率が50%を超える企業は実は多
くない。
またケイレツ式のサプライ ・ ピラミッドの中の要望でのみ海外展
開をしている企業も多い。
インターブランド社の調査でグローバルブランドトップ100にしめ
る日本のブランドは 7 社、ドイツは 10社である。 グローバルブラン
ドあたりの GDPで見ると日本は7,000億ドルでドイツの 2倍、つまり
GDPあたりのグローバルブランド数は 2分の 1 である。
乱暴ではあるが日本はまだまだグローバル化が進んでいないと
言って良い。
単に海外に事業所を展開するとか海外企業を買収するだけで
はなく、外に出て行くための味方を作ったり、自分の役割を再定義
して Hidden Championを目指すのも良い。
海外の政府に影響力を行使して自社に有利な環境を作り上げる
ことも可能である。
トヨタが FCV (燃料電池車) の特許を無償で開放したことは記憶
に新しい。 FCV を世界で広げるために、あえて公開し、競合の巻き
込みを狙っている。 これこそ FCVという新市場を作るだけではなく
海外での地位を確立するための新たな方法ではないかと考える。
その行く末を是非見守りたい。
ROLAND BERGER STRATEGY CONSULTANTS
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ドイツに学ぶ中長期視点の経営
ABOUT US
ローランド・ベルガー
ローランド ・ ベルガーはドイツ、ミュンヘンに本社を置き、ヨーロッパを代表する戦略立案とその実行支援に特化した経営コン
サルティング ・ ファームです。 1967年の創立以来、成長を続け、現在 2,400名を超えるスタッフと共に、世界 36 カ国 50事務
所を構えるまでに至りました。 日本におきましては、1991年にオフィスを開設し、日本企業及び外資系企業の経営上の課題解
決に数多くの実績を積み重ねております。 製造、流通 ・ サービス、通信業界等数多くのプロジェクトはもとより、5 ~ 10年後を
予測する各種トレンドスタディの実施や学術機関との共同研究などを行うことにより常に最先端のノウハウを蓄積しております。
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INDUSTRY 4.0 – The new industrial revolution
– How Europe will succeed
インダストリー 4 . 0-新たな産業革命
ー 欧州はいかに成功するか
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本スタディでは、 ドイツ発の第4次産業
革命 「インダストリー 4 . 0」 の背景につい
て紹介する。
欧州諸国の製造業は様々な形で進化
している。 ドイツと東欧諸国は工業市場
でシェアを拡大している一方、 他の EU 諸
国は脱工業化に直面している。機械化(第
1 次産業革命)、電力化(第 2 次)、自動化
( 第 3 次) に次いで、 工場への 「さまざま
な IT ( "INTERNET OF THINGS")」 導入によ
り第4次産業革命が始まる。 企業と政府
は、 インダストリー 4 . 0 の発展を支え欧
州のためにこの機会を活用する上で何を
するべきかを述べる。
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日本共同代表 シニアパートナー
岡村 暁生 Akio Okamura
株式会社 ローランド・ベルガー
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慶応義塾大学理工学部卒業後、日産自動車にて設計開発に従事し、米系
広報担当: 西野、山下
戦略コンサルティング会社を経てローランドベルガーに参画。その後、英系
〒107-6023 東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル23階
電話
03-3587-6660(代表)
ファックス
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自動車技術会社リカルドジャパン代表取締役を8年務め、現職。マサチュー
セッツ工科大学スローン経営大学院MBA
自動車業界を中心に、経営戦略、海外展開、技術戦略、営業・マーケティン
グ戦略、購買戦略、事業・組織戦略など数多くのプロジェクトを手掛ける。
壮大な戦略もオペレーションの現場が変わらなければ意味をなさない事を
信条に実行性のある戦略立案を重視
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