反応速度について 化学3班 越湖 一真 、桑原 雅人 、椎木 匠 、松村 笙五 動機 私たちがこの課題研究をしようときっかけが 2 つある。1 つ目は、1 年生で経験させて もらったセンター実習で反応速度に関する実験を行い、反応速度に関心を持ったからであ る。2 つ目は、化学の授業で反応速度について学び、さらに深いところまで学びたいと思 ったからである。 実験 化学反応速度を求める 2 つの実験を行った。 ①.過酸化水素の分解反応について 過酸化水素の分解反応を、触媒に酸化マンガン(Ⅳ)(MnO2)、塩化鉄(Ⅲ)(FeCl3) 、硫 酸銅(Ⅱ)(CuSO4)を用いて行った。今回は、塩化鉄(Ⅲ)と酸化マンガン(Ⅳ)を触媒に用い たときの実験を紹介する。 実験は、二股試験管の片側に過酸化水素を、もう一方に触媒を入れて、双方を混合し発 生した酸素を水上置換でメスシリンダーに捕集した。メスシリンダーの目盛から発生した 酸素の体積が解るので、それから気体の状態方程式「pV=nRT」で酸素の物質量を計算し た。反応式は、 2H2O2 → 2H2O + O2 となるので、2mol の過酸化水素が分解すると 2mol の水と 1mol の酸素が生成する。よっ て発生した酸素の物質量を 2 倍して、過酸化水素の分解量(物質量)を求め、さらに過酸化 水素モル濃度の単位時間当たりの変化量(「過酸化水素の分解反応」)を求めた。 実験結果を次に示す。 -31- a.触媒に塩化鉄(Ⅲ)を用いたとき 実験結果は次の表になった。最初の 30 秒間の反応速度は 3.3×10-3mol/(L・s) となる。文 献より、反応速度式は v=k[H2O2]となるので、この反応の反応速度定数は、4.1×10-3/s と 求められる。 時間 O2 の体積 O2 の物質量 s 0 mL 0 H 2O2 物質量 [H2O2] mol 0 mol 0 mol/L 平均[H2O2] mol/L 5.2×10-4 13 mol/L 分解速度 mol/(L・s) 0.95 0.90 30 ⊿[H2O2] 1.0×10-3 0.10 3.3×10-3 0.85 過酸化水素の 分解実験装置 b.触媒に過酸化マンガンを用いたとき 実験結果は下の通りである。以上から、この反応速度は 6.7×10-4mol/(L・s)となり、文献 より、反応速度式は v=k[H2O2]となるので、反応速度定数は 7.1×10-4/s となる。 時間 O2 の体積 O2 の物質量 s 0 mL 0 H 2O2 物質量 [H2O2] mol 0 mol 0 mol/L 平均[H2O2] mol/L 9.0 3.6×10-5 mol/L 分解速度 mol/(L・s) 0.95 0.945 15 ⊿[H2O2] 7.2×10-5 -32- 0.94 0.010 6.7×10-4 ②,酢酸エチルの合成反応について 反応式は次のようになる。 CH3COOH + C2H5OH → CH3COOC2H5 + H2O この反応は酢酸、エタノール、硫酸 2~3 滴を試験管に入れる。その試験管を約 70℃の お湯でしばらく温め、直後に冷水を加えると生成した酢酸エチルが浮くのが確認できる。 酢酸エチルの生成量から、反応物濃度の変化量を求める。 実験の結果を表にまとめると下の表のようになった。酢酸エチルの生成反応速度は 1.7×10-3mol/(L・s)となった。さらに酢酸エチルの生成量から、反応物の平均濃度を計算す ると、[CH3COOH]=0.25mol/L、[C2H5OH]=0.30mol/L となった。 反応速度式が v=k[CH3COOH][C2H5OH]と予想できるので、反応速度定数は 0.023/s と なる。 時間 酢酸エチル 酢酸エチル 体積 物質量 s 0 mL 0 mol 0 [酢酸エチル] 平均[酢酸エチル] Δ[酢酸エチル] mol/L mol/L 2 0.034 mol/(L・s) 0 0.0085 10 mol/L 生成速度 0.017 -33- 0.017 0.0017 まとめ ・各反応速度は、反応の生成物または反応物の濃度変化を時間で割ることで導き出せるこ とが分かった。 ・反応に使う触媒によって反応速度が異なることが分かった。 ・酢酸エチルの合成反応では、反応物の濃度のバランスによってうまく生成できないこと が分かった。 反省 ・実験を行う条件を詳しく調べ、そのことを踏まえて反応速度を求めればいいと思った。 ・実験で大きな誤差が出てしまい、再現性のある実験データを得るのに大変苦労した。沢 山の中から一部を掲載したが、正確な反応速度の値を求めたとは言えなかった。 ・反応速度が温度や、濃度など様々な条件下でどう変化するのかを確かめる実験をもっと しておけばよかった。 ・実験要領を掴むのに時間がかかり、1 回の準備・測定に多くの時間を費やしてしまった。 なかなか課題実験の時間内に複数回の実験をすることが難しかった。 感想 ・授業で習った反応速度について自分たちで実験をすることで深く学ぶことができ、いい 経験ができた。 ・今までしてきた実験とは違い、どう実験すればいいのかどう結果を出せばいいのかなど 自分たちで考えることが多くあり、一から実験することの大変さがよくわかった。 参考文献 化学(教科書) 啓林館(齋藤烈、藤嶋昭、山本隆一 編) 化学のはてな? http://blogs.yahoo.co.jp/chemy1i/36723412.html 第 109 章 実験―分解速度 http://www.tennoji-h.oku.ed.jp/tennoji/oka/2008/08ko-109.html -34-
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