2016/3/1 しろひげ@Kurobane です。 3 月になりました。 日本の天気図も、アメリカの政界図も波乱の月初めとなりました。 とはいえ、2 月は大量の雪をもたらすこともなく、むしろ「雪消しの雨」が当院の駐車場 の雪山を小さくしてくれました。 冬の間の根雪を解かし、芽吹きを誘ううれしい雨は、地方によっては「雪解雨(ゆきげ あめ)」と呼び、喜ばれるそうです。 「土脈潤起」(つちみゃくうるおいおこる)、寒々とした大地が潤ってゆるむ、という自然 の営みの見事さには、毎年のことながら圧倒される思いです。 ぴくりとも動かぬように見えた地面の下では、来たるべき春の鼓動が始まっています。 馬齢を重ねるごとに、春の歩みはのろいという感慨が募っていましたが、今年は一雨 ごとに、着実に季節のページがめくられています。 今月も小林一茶の句を藉りて、こんな時季の喜びを共有することにしましょう。 雪とけてくりくりした月夜かな 北信濃に生まれた一茶は、どこに暮らしても春が来るのは格別で、それを“くりくり”と いう言葉で表現しました。 そんな喜びを抱きながらも、春を明るいものと見た「かつて」になかなか立ち戻れない 人がいることを思い出さなければなりません。 あの 3 月 11 日を境に、私は心の底から祈るようになりました。 この雪解雨が、被災された人々の凍りついた心まで解かしてくれるものであることを。 <弥生ついたち はつ燕 海のあなたの静けき国の 便りもてきぬ うれしき文を・・・ > ―「燕の歌」 イタリアの詩人・ダヌンツィオ (上田敏訳)― 追悼と鎮魂の月ではありますが、うれしき文が届くことを楽しみにしています。 黒羽根整形外科 黒羽根洋司
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