キャッシュフロー計算書等からみた 県内上場企業の支出行動

2016年3月
日本銀行松本支店
キャッシュフロー計算書等からみた
県内上場企業の支出行動の特徴点
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2016年3月
日本銀行松本支店
キャッシュフロー計算書等からみた
県内上場企業の支出行動の特徴点
■要 旨■
県内企業の収益力は、製造業、非製造業とも着実に高まっている。こうした
なか、県内上場企業のキャッシュフロー(以下「CF」)計算書等から、支出
行動を分析すると、以下のような特徴が指摘できる。
まず、2005 年度から 2014 年度までの期間を総括すると、①営業CFは 2011
年度以降、税引前利益の改善を背景に、キャッシュ・イン超幅が拡大している、
②投資CFは 2006 年度から 2009 年度までの間、キャッシュ・アウト超幅が大
幅に縮小したが、2009 年度以降は、設備投資の増加からキャッシュ・アウト
超幅が徐々に拡大に転じている、③こうしたもとで 2010 年度以降、投資CF
が営業CFを上回る企業の比率(フリーCFの赤字企業比率)が上昇傾向にあ
る、④全期間を通して有利子負債の返済圧力が根強い、⑤2006 年度から取崩
が続いていた手元資金は、収益の改善などから 2011 年度以降再び復元が進ん
でいる。
また、2015 年度入り後については、営業CFは、新興国経済の減速に伴う
輸出の増勢鈍化や為替円安効果の低減とみられる利益の伸び悩みから、キャッ
シュ・インの動きが幾分弱まっている一方、設備投資等が増加しているため、
フリーCFの赤字企業比率が約6割まで高まるなど、支出に対し積極的な企業
が増加しつつある。
こうした動きの背景を各社の中期経営計画等から探ると、企業の経営戦略が
「新分野の育成・強化」という新たなフェーズに舵を切り、これに向けた支出
姿勢を中長期的に強めていく方向感にあることが確認できる。また、長野県内
では近年、「人材確保力や資金調達力の向上」を狙いとして新規上場や上場市
場の変更が相次いでおり、これも事業拡大に向けた企業マインドの前傾化のあ
らわれとみられる。
今後の支出行動については、海外経済に対する不透明感の高まりなどの影響
が懸念されるが、マイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入による金利低下
といった追い風もあり、足もとみられている事業拡大に向けた前向きな取り組
みを止めることなく、息の長い設備投資の増加トレンドが続くことが期待され
る。
1
1.長野県内企業の収益状況
長野県内に所在する短観調査対象先企業の売上高経常利益率をみると、製造
業では既往ピーク水準であるほか、非製造業でもバブル期には及ばないとはい
え過去 20 年でピーク水準であり、県内企業の収益力は着実に高まっている(図
表1)。
(図表1)売上高経常利益率
8.0
(%)
製造業
7.0
非製造業
6.0
5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
0.0
86
90
94
98
02
06
10
14 15(計)
年度
(注)15 年度は、2015 年 12 月短観における計画値。
(資料)日本銀行松本支店「全国企業短期経済観測調査結果(長野県分)」
企業のキャッシュフロー(以下「CF」)は、収益と減価償却費を主な源泉
としているが、収益力の改善を背景に企業のCFも後述のとおり増加基調にあ
る。このCFをどのような使途に活用しているかという点は、企業の支出行動
を通じた景気の循環メカニズムを見るうえで重要な視点である。本稿では、長
野県関連の上場企業1(除く金融)について過去 10 年間のキャッシュフロー計算
書等を分析することにより、その支出行動の特徴点を取り纏めた。
2.直近 10 年度におけるCFと手許資金の動向
(1)営業CF
1年間の営業活動によって獲得したCFを表す営業CFは、2011 年度をボト
ムにして、税引前利益の改善を主因に増加傾向となっている(図表2)。
1
対象企業は長野県関連の上場企業のうち、各社 HP に直近 10 年のキャッシュフロー計算書が
掲載されている 21 企業。
2
(図表2)営業CFの推移
4,000
(億円)
3,500
減価償却費
税引前利益
法人税等
運転資金
その他
営業CF
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
キャッシュ・イン超
0
▲ 500
キャッシュ・アウト超
▲ 1,000
▲ 1,500
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
年度
(資料)各社IR資料。以下、断りが無い限り同様。
この間、運転資金2(在庫資金、企業間信用等)については、2008 年度にはリ
ーマン・ショック後に売上債権の回収を進める動きが強まったことから大幅な
キャッシュ・イン超となったが、2010 年度以降は 2012 年度を除きキャッシュ・
アウト超が続いている。その内訳を仔細にみると、2010、2011 年度は欧州債務
危機、円高などによる“景気低迷を受けた在庫の積み上がり”(後ろ向きの運
転資金)がみられたが、2013 年度以降は、景気回復のもとで、売上債権と在庫
が両建てで増加しており、内容が“売上の増加に見合う在庫の積み増し”(前
向きの運転資金)に変化しているものと思われる(図表3)。
税引前利益によるキャッシュ・インが拡大している一方、前向きの運転資金
の増加や、増益に伴う法人税の支払額の増加によるキャッシュ・アウトが拡大
しているため、営業CFのキャッシュ・イン超幅は 2013 年度以降横ばいで推移
している。
2
運転資金は「売上債権+棚卸資産-仕入債務」と定義。運転資金が減少の場合は、在庫の削減
や企業間与信の圧縮(売上債権の回収)などによりキャッシュを生み出す方向(図ではプラス
方向)に作用していることを示す。
3
(図表3)運転資金の推移
1,500
(億円)
売上債権
仕入債務
zero
1,000
棚卸資産
運転資金
500
キャッシュ・イン超
0
キャッシュ・アウト超
▲ 500
▲ 1,000
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
年度
(2)投資CF
投資CFは、2006 年度以降、キャッシュ・アウト超幅が大幅に減少したが、
リーマン・ショック後の 2009 年度をボトムに、有形固定資産の取得(=設備投
資)の動きを反映して、キャッシュ・アウト超幅が徐々に拡大に転じている(図
表4)。この間の投融資等(M&A、有価証券投資など)をみると、2006、2008、
2009、2013 年度は、一部企業が経営の効率化や業容拡大に向けて、連結子会社
の完全子会社化、事業買収・資本参加などに取り組む動きが確認できる。
(図表4)投資CFの推移
▲ 2,000
(億円)
有形固定資産の取得
有形固定資産の売却
投資CF
▲ 1,500
投融資等
その他
▲ 1,000
▲ 500
キャッシュ・アウト超
0
キャッシュ・イン超
500
05
06
07
08
09
10
4
11
12
13
14
年度
(3)フリーCF
営業CFと投資CFの差額であるフリーCF3の動きを確認すると、2011 年度
にかけて営業CFが減少する一方で、投資CFが緩やかに増加したことから一
時的に小幅の赤字に転化したが、2013 年度以降は増益に伴う営業CFの増加か
ら再び黒字幅が拡大している(図表5)。
(図表5)フリーCFの推移
3,000
(億円)
フリーCF(営業CF-投資CF)
営業CF
2,500
投資CF<プラス表示>
2,000
1,500
1,000
500
0
▲ 500
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
年度
この間の投資に対する積極性をみるために、投資CFが営業CFを上回る企
業の比率(=フリーCFの赤字企業比率)を確認すると、2009 から 2012 年度間
は赤字企業比率が低下しており、リーマン・ショック等から事業環境の先行き
不透明感が強まるなかで、投資CFを営業CFの範囲内に止めるなど設備投資
が抑制的になっていた様子がうかがわれる。むしろ注目すべきは、2013、2014
年度であり、この期間ではフリーCFの黒字幅が拡大するなかで、フリーCF
の赤字企業比率も上昇しており、設備投資を積極化させる企業が増えつつある
(図表6)。
3
営業活動の結果生じたキャッシュの流れである「営業CF」から、事業継続のために必要な設
備投資などに充てるキャッシュの流れである「投資CF」を差し引いて求められたもので、純
粋な儲けとして企業が自由に使える資金を指す。
5
(図表6)フリーCFの赤字企業比率
45
(%)
単純平均
(13、14年度)
40
単純平均
(09~12年度)
35
30
25
20
単純平均
(05~08年度)
15
10
5
0
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
年度
(4)財務CF
財務CFは、2012 年度には有利子負債による調達からキャッシュ・イン超と
なったが、それ以外の年はキャッシュ・アウト超となっており、有利子負債の
圧縮に向けた動きが根強いことが確認できる(図表7)。
(図表7)財務CFの推移
▲ 1,500
(億円)
自社株取得・配当
社債・株式
財務CF
▲ 1,000
有利子負債
その他
▲ 500
キャッシュ・アウト超
0
キャッシュ・イン超
500
1,000
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
年度
仔細にみると、2008 年度には営業CFが急減したことに加え、リーマン・シ
ョックにより社債市場が混乱し、企業金融を取り巻く環境が不安定化するなか
で、銀行借入を通じて予備的に手元資金を保持しようとした様子がうかがわれ
る。また、2012 年度には営業CFの改善が緩やかななかでも、一定の投資水準
を保とうとしたために設備資金の調達が進み全体で調達超に転じた。一方、2013
6
年度以降は収益環境が改善するに連れて、再び有利子負債の返済を優先する様
子がうかがわれる(図表8)。
(図表8)有利子負債の推移
▲ 1,200
(億円)
▲ 1,000
▲ 800
▲ 600
▲ 400
▲ 200
キャッシュ・アウト超
0
キャッシュ・イン超
200
400
短期借入金
600
長期借入金
zero
有利子負債
800
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
年度
(5)手元資金
以上みてきた営業、投資、財務CFの全てを合わせたもの(フリーCFと財
務CFの差)がトータルの現金収支であり、これが手元資金の増減に相当する。
この現金及び現金同等物の動きをみると、2011 年度にかけて、営業CFが減少
するなかで、投資CFが営業CFほどには減少しなかったことに加え、基本的
に有利子負債の返済も継続したことから、手元資金の取り崩しが続いた。2012
年度以降は、収益の改善に伴い営業CFが増加に転じたことに加え、設備資金
の調達があったことなどから、手元資金の復元が進んでいる(図表9)。
(図表9)現金及び現金同等物の期末残高
6,000
(億円)
5,000
4,000
3,000
2,000
05
06
07
08
09
10
7
11
12
13
14
年度
3.2015 年度入り後のCFと手元資金の動向
2015 年度入り後の動向について、2014 年度中間期、2015 年度中間期を比較し
て確認すると、営業CFは法人税、運転資金が概ね前年並みで推移するなか、
新興国経済の減速に伴う輸出の増勢鈍化や為替円安効果の低減とみられる利益
の伸び悩みから、キャッシュ・インの動きが幾分弱まっている(図表 10)。ま
た、投資CFは、有形固定資産の取得が前年を大幅に上回っているほか、投融
資等も増加したため、全体としてキャッシュ・アウトの動きが強まる姿となっ
ている(図表 11)。さらに、約6割の企業でフリーCFが赤字となっており、
支出に積極的な企業の数が増えている(図表 12)。
(図表 10)営業CF (図表 11)投資CF (図表 12)フリーCFの赤字企業比率
2,000
(億円)
▲ 1,000
(億円)
60
1,500
▲ 800
50
1,000
▲ 600
40
500
▲ 400
30
0
▲ 200
20
▲ 500
0
10
▲ 1,000
200
14/中間
15/中間
期
減価償却費
税引前利益
法人税等
運転資金
その他
営業CF
(%)
0
14/中間
15/中間
期
14/中間
15/中間
期
その他
有形固定資産の売却
投融資等
有形固定資産の取得
投資CF
こうしたもとで、財務CFは、自社株取得・配当を増加させて株主還元を幾
分強化する動きがみられるほか、社債の償還も大幅に増加したが、それに見合
って短期借入等の有利子負債を拡大させており、全体では前年並みの支出水準
が維持されている(図表 13、14)。財務CFが前年並みとなるなか、営業CF
が減少しているため、現金及び現金同等物の水準は低下しており、投資CFの
増加分を手元資金の取り崩しで補っている姿が確認できる(図表 15)。
8
(図表 13)財務CF (図表 14)有利子負債 (図表 15)現金及び現金同等物
▲ 800
(億円)
▲ 100
▲ 600
(億円)
5,000
(億円)
0
▲ 400
100
▲ 200
4,000
200
0
300
200
3,000
400
400
14/中間
15/中間
期
14/中間
その他
社債・株式
有利子負債
自社株取得・配当
財務CF
15/中間
期
14/中間
15/中間
期
長期借入金
短期借入金
有利子負債
zero
4.各社の中期経営計画等からみた企業の経営戦略の変化
ここで、視点を変えて企業の経営戦略の変化を、各社の中期経営計画等から
探ると、2008 年のリーマン・ショックによる業績落ち込みの後、2013 年度頃ま
での事業期間では、事業ポートフォリオの組み換えや生産性の向上など、本業
の事業体質の強化を狙いとした「事業構造の改革」をメインテーマとする企業
が少なくなかった。一方、2014、2015 年度までの期間では、事業体制の見直し
等に一定の目途が付いたこともあってか、成長戦略の推進、新規事業領域の開
拓など、「新分野への種まき」に取り組むことを標榜する企業が目立つ。さら
に、2016 年度以降に向けては、新たな収益機会の獲得やM&Aなどによる事業
飛躍といった「新分野の育成・強化」により、事業の成長・拡大を強く意識す
る企業がみられている(図表 16)。
9
(図表 16)長野県関連上場企業の中期経営計画等の方向性
中期経営計画
最終年度
中期経営計画等
におけるキーフ
レーズ
(注)(
~13 年度
14、15 年度
16 年度~
 事業構造の改革、ポ
ートフォリオの組
み換え(11)
市況の変化に 迅速
かつ柔軟に対応で
きる収益構造の改
革(12)
弱みを克服す る事
業構造改革(生産性
向上、コスト削減)
の進展(13)
新規事業領域 の拡
大と成長性の確保、
コア事業による安
新分野へ
定的収益基盤の構 新 分 野 の
の種まき
育成・強化
築(14)
既存事業領域 の転
換、新規事業領域の
開拓を目指す(15)
強靭な経営体 質へ
の変革、新規事業の
育成・拡大やM&A
も活用した積極的
な経営を進展(15)
 新たな成長戦略(拠
点戦略、戦略的M&
Aなど)へ舵を切
り、新たな収益機会
を獲得(16)
 成長基盤の確立、果
敢なる前進(16)
新たな成長分 野の
成長基盤を構築
(17)
再び力強く成 長す
る企業(18)
)内の数字は中期経営計画最終年度を指す。
2016 年度以降の事業期間をターゲットとする経営戦略の具体例をみると、
「コ
ア事業以外での新製品立ち上げ」など事業領域の拡大、「本社工場の再編」な
ど設備投資の積極化のほか、国際的な競争環境が変化するなかで将来を見据え、
開発体制の強化を図るため経営統合に踏み切る動きもみられている(図表 17)。
(図表 17)2016 年度以降の経営戦略の具体例
次期中期経営計画では、財務体質の改善も進んだことから、新規事業領域
での積極的な新製品の立ち上げや量産化に加え、既存事業でもさらなる販
売拡大を見込むなど、成長に向けた基盤を着実に固める。
新たな中期経営計画において、投資総額数十億円を投じ、本社工場の全面
的な再編に乗り出す。本社工場では付加価値の高い製品の製造に特化する
B社
ため、生産・開発に関わる建屋の大半を建替え・改修するほか、新たな工
作機械も導入。
自社の精密機械加工品の金型や組立技術と経営統合先の無線・制御技術を
C社
組み合わせ、各種センサや駆動装置などで競争力向上に繋げるとともに新
分野を開拓。
(資料)報道情報
A社
この間、長野県内では新規上場や上場市場の変更が相次いでいる。こうした
背景について整理すると、「人材確保力や資金調達力の向上」を主な目的とす
る企業が多い。また、報道情報からは、先々の株式上場を視野に入れる企業も
みられており、こうした面からも事業拡大に向けた企業マインドが前傾化して
いる様子がうかがわれる(図表 18、19)。
(図表 18)長野県関連企業の近年の新規上場・上場市場変更
新規上場
企業名
15/8月 土木管理総合試験所
14/12月 綿半HD
11月 エラン
(資料)IR資料、報道情報等
上場市場変更
市場
東2
東2
マザ
15/12月
11月
8月
3月
3月
14/11月
7月
10
企業名
変更後 変更前
綿半HD
東1
東2
エラン
東1
マザ
シーティーエス
東1
東2
竹内製作所
東1
JQ
ミマキエンジニアリング 東1
JQ
シーティーエス
東2
JQ
鈴木
東1
東2
(図表 19)株式市場への対応
上場市場を変更したことで知名度が向上し、今後、人材採用や資金調達が
し易くなることを期待。
新たな成長基盤が整ったことから、次期中期経営計画では株式上場に向け
E社
た準備も本格化。
(資料)報道情報
D社
5.今後の支出行動の見通し
今後の企業の支出行動を見通すに当たり、まず、有形固定資産取得額を減価
償却費で除した比率をみてみると、2011 年度以降、減価償却費を上回る設備投
資が実行されている。先述の通り企業が成長分野等に経営資源を積極的に投下
する経営戦略にあることを踏まえれば、こうした積極的な経営スタンスは当面
継続すると考えられる(図表 20)。
(図表 20)有形固定資産取得額÷減価償却費の推移
1.50
(倍)
1.25
1.00
単純平均
(05~08年度)
0.75
単純平均
(13、14年度)
単純平均
(09~12年度)
0.50
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
年度
以上を総括すると、まずCF計算書の分析結果からは、2010 年度から 2015 年
度上期にかけて、フリーCFの赤字企業が増加傾向にあるなど、県内上場企業
の設備投資スタンスが積極化しつつある姿が確認された。
また、各社の中期経営計画等からは、企業の経営戦略が「新分野の育成・強
化」という新たなフェーズに舵を切り、これに向けた支出姿勢を中長期的に強
めていく方向感にあることが確認された。
もちろん、足もとでは、中国など新興国経済の減速の影響などから県内企業
の輸出・生産動向にも影響がみられており、更には年明け後の海外経済に対す
る不透明感の高まりなどを受けて支出行動が一時的に抑制される可能性もある。
一方でマイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入による金利の低下は、企業
11
の投資判断への追い風となると思われる。今後、企業においては、事業拡大に
向けた前向きな取り組みの歩みを止めることなく、息の長い設備投資の増加ト
レンドが続くことが期待される。
以
12
上