理 地 I 一次産品に関する以下の文章を読んで,問いに答えなさい。 一次産品(未加工の農産物,鉱産物,燃料など)の中でも ,コーヒー豆,カカオ 豆,茶(紅茶,緑茶など)は生産国の多くが植民地であった時代から国際的に取引さ れてきたが,今日でも発展途上国の多くで生産されている。表 I-1はこの三つの ,Y , Zと表示)の生産国と輸出国を,表 I 2は輸入国をそれぞれ示し 農産物(X たものである。 Xはアフリカのエチオピアが原産の植物から収穫されるが,南米のア国が長期間 にわたって世界最大の生産国であり,世界の市場価格を左右する影響力を持ってい る。エチオピアでは広く Xが飲まれ,その飲み方の作法も発達してひとつの文化 となっているが,他のアフリカの生産国では生産量のほぼ全量が輸出される。ア国 では, Xは国内でも消費されるが,約半分が輸出に回る。近年 , アフリカの国 々で 生産が停滞し,代わってアジアの諸国で生産が増加してきた。中でも東南アジアの 0 1 2年の時点では輸出量がア国を抜いて イ国の生産 と輸出の増加は目覚ましく, 2 世界ーになっている。 Y はアジアが主な生産地であるが,ク国でブランド化され,世界的に販売されて いるものも多い。ク国はかつて南アジアのインド,スリランカ,パキスタンを含 め,世界中に植民地を領有していた。オ国もかつてク国の植民地でク国系のプラン テーションや入植者が Xや Yの生産をしていた。中東のカ国では X , y ともに盛 んに飲用され,都市部に多数の店があって職場への出前もしている。 Zはアフリカが主な生産地であるが,キ国の植民地であったエ国や,ク国の植民 地であったガーナなどのアフリカ諸国で生産量が多い。近年はケ国の植民地であっ たウ国の生産が伸びている。 -8- ) く M2(017 2 2 ) 問 l X, Y, Zはコーヒー豆,カカオ豆,茶のいずれかである。どれがコーヒー 豆で,どれが茶か,解答用紙の l行自に,コーヒー豆= Z,茶= Xのように 記しなさい。(コーヒー豆= X,茶= X のように同じ記号を書いた場合は得点 を与えない) 問 2 ア∼カまでの国名を解答用紙の 2行目∼ 3行自に,ア=日本,イ=中国のよ うに記しなさい。キ∼ケについて答える必要はない。 問 3 X と同じように, Y についても生産地における変化,主産地の移動,消費地 における変化,大消費地の移動などによって需給に変化が起きている。どのよ うな変化が生じたのか,表 I lと表 I 2を参考にしながら,説明しなさ 5 2 1 い。解答の 中では, 農産物名や国名は, 問題文中の記号を使 って よい。 ( ) 字以内 問 4 上に説明したように ,東南アジアのイ国 は農産物 Xの輸出で世界ーとな り,農産物 Y の生産と輸出も急速に伸ばしてきた。同じく東南アジアの ウ国 , X と Zの世界で有数の生産国となり,さらに Yの生産もしている。アフ も リカの工国は Zの生産と輸出で世界 ーであり,また X の生産国,輸出国でも ある。アフリ カのオ国は X と Zの生産国,輸出国である。このように,東南 アジアのイ国,ウ国,アフリカのエ国,オ国は三つの農産物の重要な生産地で ある。しかしこれら三つの農産物の輸出(による外貨収入)が,イ国, ウ国の経 済とエ国,オ国の経済に与える影響は異なっている。どのように異なり,それ はどのような理由によるのか説明しなさい。その際.表 I 3を参考にしなさ 5字以内) 2 1 。 ( い 問 5 一次産品の生産国,生産者農民にとっては, 一次産品の問題は表 I 1と表 だけにかかわるもので I-2に示したような,いくつかの年における 「生産量J はない。近年フェアトレードの運動などで議論されているのは, 一次産品のど 5字以内) のような問題か,説明しなさい。(7 -9- ) 3 7 2 1 0 く M2( ) 表 I -1 三つの農産物の国別生産,輸出動向 ( 1 ) 農産物 X の主要国別生産量と輸出量 生産量(二千 トン) 輸出量(千 トン) 国・地域 I1 9 9 0年 i2 0 0 0年 i2 0 1 2年| I1 9 9 0年 i2 0 0 0年 i2 0 1 2年 中南米 [ア] I1 全6 5 i1 9 0 4 i3 0 3 8 I I 8 5 3 i 9 6 7 i1 5 0 1 ヨ百ジ−f , i − 一 アジア [イ J [ウ ] インド アフリカ エチオピア [工] カメルーン [オ] I 9 2 i 8 0 3 i1 5 5 5 I I 9 0 i 7 3 4 i1 7 3 ? I 413 l 555 i 6 9 1 I I証 亙 J 338 i 44! I 118 i 292 i 314 I I 8 3 i 1 6 2 i 2 1 7 I 204 i 230 i 276 I I 64 i 11 9 i 201 I 285 i 380 i 1 2 1 I I 2 3 2 i 3 0 8 i 8 2 1 1 0 1 i 8 6 i 3 8 I I 1 5 7 : 4 2 円ノム 年 JFIll lノ −円ノ 臼 、、ノ 刊一昨 量一川 n u d 生産量(千トン) I1 9 9 0年 i2 0 0 0年 i2 0 1 2年 出FJ 輸一年 ( 2) 農産牧 Y の主要国別生産量と輸出量 国・地域 アジア 中 国 8 9 i I 104 i 1 0 1 i 4 6 I I 1 1 2 i 8 7 i 4 8 I 562 i 704 i 1805 I I 211 i 238 i 31g Ti f f 3 5____「一一l 一 − − l 330 I I 215 干一ジ一一一 一 「 一 司 一 白 −下蕊一: 一 一 一 一 一 弱 一 一 一 一 ! 一 一 一 一 スリランカ [カ J l 2 3 3 i 3 0 6 i ~2 i 3 1 ? . ?_ I 1 2 3 i 1 3 9 i 2 2 5 I I 2 s i 6 i . ? _J___壬__J __ __ j _ _ _ _ _ _} ? __ l_ _ _ _ _ _ _ ? _ Q l 2 1 2__ーしJ一 日 j I~ し」i ? __ イラン| 3 7 : 5 0 : 1 5 8 I I J : 2 1 i 1 1 [ウ] I 156 : 1 6 3 l1 4 3 I I 1 1 1 li o 6 l 7 0 アフリカ [オ] I 197 : 236 : 369 I I 1 6 5 i 2 1 7 ! 2 3 4 ( 3 ) 農産物 Z の主要国別生産量と斡出量 生産量(千 トン ) 国・地域 アフリカ I1 9 9 0年 i2 0 0 0と i2 0 1 2年| 輸出量(千トン) 12 0 0 0年 i2 0 1 2年 I1 9 9 0年 L _ _~_ _ J_J_ _J Q ? __ _ l 旦9 1-_l___}~空空__J _ _J一一−−空?J__上_ _ J J J A _ _ _ _ i_} _ Q _ l _ ? _ ガーナ l293 } ナイジエリア| カメルーン| アジア | [ウ J I 中南米 [ア] I l i 4 3 7 j 8 7 9 I 2 4 9 !← 切 り 58~ 2 4 4 i 3 3 8 i 3 8 3 I I 1 4 8 i 1 3 9 i 2 0 9 1 1 5 j 1 2 3 j 2 6 9 I 1 0 4_ J _ ? 2 l i 4 ! l | || L | 1 4 2 i 4 2 1 i 7 4 1 I I 104 i 334 i 164 2 5 6 i 1 9 7 i 2 5 3 I I 1 1 8 i 出所: FAO, FAOSTAT -10- L9 i 0 ,5 。 M2(017 -24) 表 I- 2 三つ の農産物の主要輸入国別輸入量の推移 ( 1 ) 県産物 X の主な輸入国 (千トン) 11 9 9 0年 I2 0 0 0年 I2 0 1 2年 国 アメリカ I 1 1 7 4 i1 2 9 8 ぐイツ I 8 2 9 ! 8 0 9 』 一 一 一一 一一ーー ー戸一 ←一 一 一 イタリア| 3 0 7 i 3 5 7 日 本 島 2 9 1 3 8 2 一 一 一 一 一一 一 一 一一一一一 ベルギー| - ! 1 4 6 [キ J I 3 1 3 i 3 0 4 {ク) I 1 2 1 i 1 1 9 口シア| - i 1 7 a I [元 1 i1 3 7 1 ! ー 3 8 Q 2 9 3 i 2s~ i 1 3 § ! 1 1 1 1 ー ! I f ~i T9 一 一 ! 一 一 五 (千トン) ( 2) 農産物 Y の主な輸入国 I1 9 9 0年 i2 0 0 0年 i2 0 1 2年 国 q主 Z l 二 i [ク) I 1 7 8 i アメリカ| 7 7 i パキスタン| 1 0 8 i エ ジ プ ト| 7 0 i ドイツ| 2 4 i 日 本 I 3 3 i [カ J I oi J _ 与 § ~ 1 5 6 8 8 1 1 1 7 2 3 5 5 8 5 ! _ § Q i 14~ 12~ i 12~ i 10~ i 5 ' 7 i § 3 i 5 J (千トン) ( 3) 農産物 Z の主な輸入国 I1 9 9 0年 国 i2000年 i2012年 [ケ J 3 1 4 4 9 5 一 一 一 一 ー アメリカ| 3 3 7 i 4 7 1 i ドイツ I 2 り7 ! 2 5 1 ! ←一 会 一 一 一一一一一一一一 マレーシア I O i 1 0 1 i I 1 + 竺止杢二| E 1 1 4 1 i 4 9 7 本 三 1 6 8 2 4 1 Q 36~ 3 3 9 LI o s :~: rn~1 4 9 i 5 I 4 8 i t 住所 :FAO, FAOSTAT - 1 1- > くM2(017 2 5 ) 表 I-3 各国の貿易に関する情報 国名 G~t0ド1:ルF年·~11 (~輸億01出3ド額ル年)) 輸世界出額順位の 貿 2) 易 ( % 依 )存度 l人 貿 ド易 あた ( り(ル)額 2 0 1 1 1 3年 輸出内訳 主な輸出品 3兆 0 1 2 2億 2 4 2 5 . 8 2 2位 2 9 8 0 業 製 産l物 3 7 . 4%, 工 鉄 肉 鉱 ,石砂糖 ,原油, 食 2 5 . 5農 品3 5% 4 7 4 8億 1 3 2 0 . 3 3 4位 2 7 5 7 工物業製.品67 類 , 原油, 電気 0 . 4% 農 衣機械 1 5 8 .7 産 2 1 % [ウ] 2兆 3 8 8 4億 1 8 3 4 . 4 2 7位 1 6 9 9 天 炭 然 , ガ パ ス ー ,電ム気油機 , 4 8 . 63 8 . 3% , 工 品 石 3 7% 和 党 [エ] 6 1 1 .9: 億 1 3 2 .5 8 2位 1 1 7 0 8 .5%, 燃 農石産油製 物品 9 Z,な原 5 . 0 農料鉱産産物物4 ど油・ 2 7 . 9% [オ) 1 0 0 4 . 5億 5 8 . 6 1 0 5位 6 2 5 5 3. 9%, 工 農 果 産 実 物 ,切 Y, 6 8. り 野 2 農業製産品物3 花菜 , 7 .3% 1兆 4 2 1 8. 8億 1 5 1 7 . 9 3 2位 61 5 1 [ア〕 [イ [力 注 燃 料 ・鉱業産製 物 工産業物 製品 7 6. 1%, 5 7. 3農 1 1 .5% 鋼 自 動 ,車 電 気 ,衣機類 械 , 鉄 ( 1 ) 購買力平価。物価水準の違いなどを調整した値 ( 2) 貿易額の対 GDP比 輸出額は商品貿易の輸出額(サービス貿易は含まない) 出所: WTO, TradeP r o f i l e s2014 - 1 2 。 M2(017-26) I EU(欧州連合)に関する以下の文章を読んで,問いに答えなさい。 EUの基本理念のひとつは,域内における人の自由な移動,資本や物の自由な流 通の実現にあった。そのため, EUは,このことを実現するためのさまざまな制度 ) l ( を段階的に導入してきた。 2 3年に EUが発足して以降,その加盟国は順次増加してきた。 EU発足当時 1 9 9 1 3 1 0 7年に 2か国, 2 0 0 0か国, 2 4年に 1 0 0 i年に 3か国, 2 : 9 9 であった加盟国は, 1 2) ( 8か国となった。加盟国が拡大した結果,域 5年時点で計 2 1 0 年に 1か国を加え, 2 ー 3) ( 内には多様な特徴をもっ国家が共存することとなった。 加盟国の多様化と世界情勢の変化は,人の自由な移動,資本や物の自由な流通と いう EUの理念の実現に対してさまざまな影響を もたらしてきた。 とりわけ,人の ー一一 4) ( 移動をめぐる問題は,EUにこ って解決を迫られる大きな課題 となって いる。 3年の発足以降に 設 けた制度 ・条約・協定 9 9 )に関連して,EUが 1 1 問 l 下線部( をどれか一つ挙げ,それがとくに何の実現をめざすものであったかを説明しな 0字以内) さい。( 5 4年以降の EU加盟国(キプロス,マル 0 0 に関連し, 2 2) 問 2 表 II-1は,下線部( 1か国)について,その経済社会状況を表す指標ごとの順位を示して タを除く 1 いる。指標 A∼Cと国名サ∼セを 答えなさい。このうち指標 A∼Cについて は,下の枠内から選び下線を引いた部分で答えること。解答用紙の 3行目∼ 5行目に, A =指標名, B=指標名・・・,サ=国名,シ=国名・・・のよ うに,続けて記入すること。 A∼Cに入る指標 3年,単位:%) 1 0 製造業従業者比率(2 3年,単位:%) 1 0 2 貧困j状態にある人口比率(自国民) ( 「 4年,単位:%) 1 0 (2 5歳以上人口比率 6 - 13 - ) 7 OM2(017 2 問 3 下線部(3) に関連して, 2004年以降の加盟国拡大は, EU域内にどのような変 化をもた らしたか。表 II-1を参照 し,新規加盟国聞の差異にも言及しなが ら,その特徴を説明しなさい。 ( 1 2 5字以内) 問 4 下線部(4)に関連し, EUの 4か国について,図 II-1は流入人口(年間)の推 移を,図 II-2は流出入口(年間)の推移を,それぞれ示したものである。 2つ の図を読み解いた上で, 2004年以降における人の移動をめぐる主な変化の特 徴とその理由を,ヨーロッパおよび世界の情勢の変化と結びつけて,説明しな さい。 ( 1 5 0字以内) 表 II-1 :2004年以降の EU加盟国(キフロス,マルタを除く)の順位 人口および他の経済社会指標について 2 0 1 4年 人口 (千人) 国 名 [ A ) 国 名 [ B ) 国 名 [ C ) 国 名 l位 3 8 , 0 1 7 ポーランド 4 7 .4 : [ス] 2 6 .5i[ シ ] 1 9 . 6 [ス] 2位 1 9 , 9 4 7 [サ] 3 8 .5i[ サ ] 2 3 . 2 スロパキア 1 9 .1 ラトビア 3位 1 0 , 5 1 2 3 2 . 8 ラトビア 2 2 .5スロベニア 1 8 . 4 {セ シ] 4位 9 , 8 7 7:ハンガリー 3 1 .5ハンガリー 2 0 .9ハンガリー 1 8 . 4,クロアチア 5位 7 , 2 4 5' [ ス ] 2 9 .9 クロアチア 1 9 . 8 [ス] 1 8 . 4 リトアニア 6位 5 , 4 1 5 スロパキア 2 9 .8 リトアニア 1 9 .1ポーランド 1 7 .5ハンガリー 7位 4 , 2 4 6 クロアチア 2 4 . 8 ポーランド 1 8 .7i[ セ 1 7.5スロベニア 8位 2 , 9 4 3 リトアニア 2 1 .7 i [セ 1 8 . 2 [サ] 1 7 . 4 9位 2 , 0 6 1 ス口ベニア 2 0 .1i スロベニア 1 6 . 8 クロアチア 1 6 . 5 [サ] 1 0位 2, 0 01:ラ トビア 1 8. 5i スロパキア 1 5 .5 リトアニア 1 4 . 9 ポーランド 1 1位 1 ,3 1 5 i [セ 1 4 .1i[ シ ] 1 4 .1 ラトビア 1 3 . 5: ス ロパキア 2 2.9iEU全 体 1 5 .5iEU全 体 1 8. 5 : EU全 体 1 8 ,1 0 0iEU平均 シ] 出所 :EUROST AT -14- ) く M2( 0 1 7 2 8 ) 1 流入人口(年間) 図E 。 0 0 0 , 1 ︵単位一千人︶ 0 0 9 ¢ ¥ 0 0 8 i 0 0 7 ぷてニニ 9y:-U 0 0 6 必 、 今 0 0 5 0 0 4 0 。 7∼会 一合一イタリア J : 0 ・ ペイン ス ・ ・ …0・ , ' A ¥ : −・ーポーランド ’ &、 J 0 0 3 0 0 2 ドイツ ム‘ーム, A 0 0 1 年 cN ∞NHON − ︶ N ︵ − − CHON σCCN ∞CCN ドCCN N ο CCCN 山ザOON ︵ ︶ 的CCN NOON COON −ccN 。 AT 出所: EUROST 図 I 2 流出入口(年間) 0 0 8 ︵単位一千人︶ 0 0 7 0 0 6 ドイツ 0 0 5 二 日 ヤ 0 0 4 .o・−スペイン . . ・ −イタリア 8− - 0 0 3 −−−−ーポーランド 0 0 2 , ' ; / . _ 0 0 1 年 的日︵︺N oN NHON − − OCCN CHON ドCCN ∞CCN COON 1 日 00N U CN ︵ ︶ 。 5- 1 出所: EUROSTAT ) 9 0M2(017 2 皿 農業に関する以下の文章 1, 2を読んで,問いに答えなさい。 1 一般に,水を遠隔の不足する地域に運ぶことは難しい。しかし,水を利用して 生産された農畜産物の輸出入によって,*を「口市送J することは可能である。たと えば乾燥地域では,希少な水を用いてすべての食料を生産する代わりに,水の豊 富な地域で生産された食料を輸入することで,その生産に必要な水を「輸入jし , 域内の水を節約できる。このように,貿易によってやり取りされたとみなしうる 水のことを, 「仮想水J と呼ぶ。日本は,担潤であるにもかかわらず,農畜産物の 輸入をとおして大量の仮想水を受け取ってお仁海外生産地の水収支に影響を与 えている。日本の気候がそれらの産物の生育に適さない場合は,ほかに選択肢は ない。だが,それを除いても,日本が輸入してきた仮想水の多くを国内降水で置 き換え,輸入してきた農畜産物を圏内で生産することには,地形的制約がともな う。さらに,今日の日本では,多数の農家世帯;が増産の難しい営農実態にあるこ とも,考慮しなければならない。 2 タ固とチ国は,ともにメルコスールと呼ばれる 共同市場に加盟している。図 ( 2) 日 ]は,両国における作物 X と Y の生産動向と,農地面積の推移を示したも のである。 タ国の南東部と チ国の北東部は比較的湿潤な農業地域だが,全国の動 向を示すこの図に多少とも表れてい ξ ように,これらの地域は 2 0 0 4∼ 2 0 0 6年 , 2 0 0 8∼2 0 0 9年 , 2 0 1 2年に干ばつの影響を受けた。両国は作物 X と Y を輸出して いるが,これら 2つのうち油脂の原料;こも使われる作物の輸出重量でみると,両 国はそれぞれ世界第 3位,第 5位 (2 0 1 2年)を占める。こうした輸出用作物の生 産は,国内にさまざまな動きや問題を生んでいる。たとえば,タ国では,国会が 国の財源をえるためにこれらの作物の愉出に課税しようとして,経済成長を重視 する大統領と対立した。また,チ国の政府は図 E lの示す生産動向を問題視 し,国内消費される主食穀物の生産を惟持しようとしてきた。これらの動きに並 ( 3) 行して,夕国とチ国では輸出用作物を栽培する土地をめぐって対立が起きてお り,その土地および周辺では,生物多様性の減少,農薬被害,洪水の深刻化も懸 念されている。 -16- > くM2(017 3 0 ) 図III-1 :タ国,チ国における作物 X , yの生産動向と農地面積の推移 7 0 0 6 0 0 7 0 0 6 0 0 作物X 話 ま …・ O ・ ・ ・ ・ タ国での収穫面積 ータ国での生産量 l l m お400 4 0 0 --0 口 ・・・ ロ . 1 " ' よ1 0 Cコ ロ ロ 3 0 0 3 0 0 . . < 4 年 j . .ι. 社 2 0 0 ζコ | J ロ . . . ・ 口 ロ ー コ ζ 〈 コ 2 0 0 ····•··ーチ国での収穫面積 一←チ国での生産量 N 1 0 0 1 0 0 3 0 0 3 0 0 作物Y 話 ま ・ 0 ・・タ国で の 収 穫 面 積 一日ータ国での生産量 ~ t { o 1 " ' ムJ 。 200 2 0 0 くつ F → 体j 社 士 Cコ 〈 コ 〈 コ N ー・ーチ国での収穫面積 一←チ国での生産量 1 0 0 1 5 0 農地面積 | | ー」 」100 ,1 5 0 1 4 0 1 4 0 同 1 3 0 1 3 0 /戸町、 C 古 巴 Cコ Cコ ー120 1 2 0 樫 田 3 0 3 0 型 唖 2 0 2 0 1 0 ーかータ国 −←チ国 的CON NOON −Com occN 。 C てコ r C, N Cコ C, にζ〉 C, 〉 〈 N N ぱ コ E 。 。 N N 、 ー C コ C コ C, C, t ' コ ' 〈 二 〉 C, C, N N 日 F → Fベ Cコ N c 、 J コ 〈 ー 三年 N N 出所: FAOSTAT 1 7- ) く M2(017 3 5 ) 問 1 下 線 部( 1 )に関し,日本が仮想水の輸入を減らす際に,圏内のどのような地 形的条件と農家世帯の営農実態に制約されることになるか,説明しなさい。 ( 1 5 0字以内) 問 2 下 線 部( 2) に関し,解答用紙の 7行目に,タ国の国名を記しなさい。また, そのあとに l文字空け,続けて作物 X と Yの名前を答えなさい。解答は, X =作物名, Y =作物名のように書きなさい。 問 3 下線部( 2) に関し,土地利用と耕作方法について園田 lから推定されるこ とに触れながら,また必要に応じてその他の事項を補いながら,タ固とチ国 における作物 X と Y の生産が園田 lのような動向を示す理由を説明しな さい。なお,解答のなかで干ばつの影響には触れないこと。また,国名と作 物名は,タ,チ, X, y のように,それぞれ l文字で略記すること。 ( 1 2 5字以内) 問 4 下 線 部( 3) に関し,どのような人々が,主にどのような植生状態にあった士 地を農地とし,どのような人々に対して,どのように振る舞ったために対立 が起きたのか,答えなさい。なお,地名・人名などの固有名を具体的に記す 1 0 0字以内) 必要はない。 ( - 1 8- ) く M2(017 3 6 )
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