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別紙
諮問第514号
答
1
申
審査会の結論
「平成27年度都立学校入学者選抜(第一次募集)における面接採点シート」の一部開
示決定において非開示とした部分のうち、受検番号・氏名・出身中学校欄の上段欄外に
記載された項目については開示すべきであるが、その他の部分については非開示が妥当
である。
2
異議申立ての内容
(1)異議申立ての趣旨
本件異議申立ての趣旨は、東京都個人情報の保護に関する条例(平成2年東京都条
例第113号。以下「条例」という。)に基づき、異議申立人が行った「私が平成27年
2月に都立○○高校を受験した際の面接での私自身の根拠が分かる文書」の開示請求
に対し、東京都教育委員会が平成27年4月17日付けで行った一部開示決定について、
その取消しを求めるというものである。
(2)異議申立ての理由
異議申立書及び意見書における異議申立人の主張を要約すると、以下のとおりであ
る。
ア
評価基準は学校の個別判断によるものであるが、私の人柄を知る中学校担当教師
や私の通った学習塾関係の者の評価、あるいは他の都立高等学校の面接評価を比べ
ると低すぎるものと思われる。私の何が評価を下げたのか、あるいは、この評価は
本当に私に対して行われたものなのか。
イ
開示請求に対する返答内容は、書式以外全て黒塗りで確認することはできない。
- 1 -
この疑問を解消して、私の努力の改善方向をはっきりさせるために、私や両親に守
秘義務を徹底・約束させた上で、私の面接評価に対する○○高校の具体的な点数算
出の根拠を説明、開示してほしい。
ウ
異議申立ての内容は「何が評価を下げたのか、あるいはこの評価は本当に私に対
して行われたものなのか」に関する返答を求めるものであり、学校の面接点の配点
基準の開示を目的としたものではない。
異議申立ての骨子は「面接が本当に当人に対して行われたものなのか」という点
である。
エ
面接採点シート作成に際して、面接した受験生の発言内容が残されている記録が
あり、それが私の発言したとおりのものであれば、その面接は私に対して行われた
ものである。そうでなければ、その面接は私のものではない。
求めているのは、面接試験が「当人に対して厳正かつ適正に行われたという根
拠」である。
私や私の両親は、合否を覆したいのではなく、東京都教育委員会が言う非開示理
由の「公平性や公正性が失われる」という点の「本当に公平、公正に 行われたの
か」というのを根拠を示して証明してほしいのである。
3
異議申立てに対する実施機関の説明要旨
理由説明書及び口頭による説明における実施機関の主張を要約すると、以下のとおり
である。
面接採点シートは、平成27年度の本校学力検査に基づく選抜の第一次募集の面接にお
いて、入学者選抜のために用いたものであり、面接検査における質問項目、面接評価基
準及び同基準に基づいた質問ごとの評価点が記入されている。これらの内容は公表され
ていない。
面接検査における質問項目については、面接の中で全ての受検者に同じように質問し
ているわけではなく、あくまでも質問例及び着眼点であり、当該箇所が開示されること
となると、入学者選抜における判断基準が明らかになり、今後周到な回答を用意するな
- 2 -
ど容易に受験対策に利用され、作問上支障を来すこととなる。
また、面接評価基準及び同基準に基づいた質問ごとの評価点を開示することにより、
選考事務の過程や基準が明らかになり、公平・公正な選考事務に支障を来すおそれがあ
るとともに、面接官が受検生からの苦情や圧力等が生じることを危惧し、率直な評価、
判断をすることができなくなり、適正な選抜事務に支障を及ぼすおそれがある。
こうしたことから、条例16条6号に該当するものとし、非開示とした。
4
審査会の判断
(1)審議の経過
審査会は、本件異議申立てについて、以下のように審議した。
年
月
日
審
議
経
過
平成27年
6月24日
諮問
平成27年
7月22日
新規概要説明(第159回第一部会)
平成27年
9月
実施機関から理由説明書収受
8日
平成27年10月27日
実施機関から説明聴取(第161回第一部会)
平成27年11月19日
審議(第162回第一部会)
平成27年12月25日
審議(第163回第一部会)
(2)審査会の判断
審査会は、本件異議申立ての対象となった保有個人情報並びに実施機関及び異議申
立人の主張を具体的に検討した結果、以下のように判断する。
ア
都立高等学校入学者選抜について
(ア)入学者選抜について
平成27年度の都立高等学校の入学者選抜は、「東京都立高等学校の入学者の
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選抜方法に関する規則」(平成5年東京都教育委員会規則第1号。以下「規則」
という。)及び「東京都立高等学校入学者選抜実施要綱」(平成26年9月11日
付26教学高第753号。以下「実施要綱」という。)に基づき、「平成27年度東京
都立高等学校入学者選抜要領」(平成26年12月1日付26教学高第1313号。以下
「選抜要領」という。)の定めるところにより実施している。
(イ)面接について
東京都立高等学校の入学者選抜方法については、規則9条4項において、学
力検査のほかに面接を行うことができることとされており、実施要綱において、
各都立高等学校が選抜に当たって実施する検査教科等及びその結果に係る基準を
定め、それぞれを点数化することとなっている。
面接は、選抜要領に基づき、受検者の出願動機・理由、興味・関心、適性等
を確認するとともに、これまでの経験を今後の高校生活に生かせる力があるかど
うかなどを評価する目的で行われる。
イ
本件対象保有個人情報及び本件非開示情報について
本件異議申立ての対象となった保有個人情報は、異議申立人が受験した都立高等
学校が、平成27年度入学者選抜において、異議申立人の面接の際に使用した「平
成27年度都立学校入学者選抜(第一次募集)における面接採点シート」(以下
「本件対象保有個人情報」という。)である。
実施機関は、本件対象保有個人情報のうち、受検番号・氏名・出身中学校欄の上
段欄外に記載された項目(以下「本件非開示情報1」という。)、面接での質問項
目(以下「本件非開示情報2」という。)並びに面接評価基準及びその基準に基づ
いた評価点等(以下「本件非開示情報3」という。)を条例16条6号に該当する
として非開示とする一部開示決定を行った。
ウ
条例の定めについて
条例16条6号は、「都の機関又は国、独立行政法人等、他の地方公共団体若し
くは地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、開示すること
により、…当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を
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及ぼすおそれがあるもの」を非開示情報と規定している。
エ
本件非開示情報の条例16条6号該当性について
審査会が見分したところ、本件非開示情報1については、面接において確認する
一般的な事項を記載したものであり、これらの情報を開示したとしても、実施機関
が主張するような公正な選考事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとは認められ
ず、条例16条6号に該当しないので、開示すべきである。
一方、本件非開示情報2については、当該都立高等学校において定められた面接
官の着眼点及び質問例が記載されており、これらを開示することにより、面接がど
のような観点で行われているのかという判断基準が明らかとなり、今後、事前に回
答を準備するなど容易に受験対策に利用され、当該都立高等学校における問題作成
において支障を来すおそれがあると認められるため、条例16条6号に該当し、非開
示が妥当である。
また、本件非開示情報3については、面接における評価基準及び異議申立人に係
る面接者の評価・判断結果であり、これらを開示することにより、入学者選抜にお
ける評価基準が明らかになるとともに、選考のどの段階でどのような事項が考慮さ
れ、当該事項についてどのような評価・判断がされたのかという、一般に明らかに
していない判断の過程が明らかとなる結果、面接者が、受検者との間に誤解や摩擦
が生じることを懸念して、当たり障りのない評価を記載するなど、記載内容が形骸
化し、公正かつ円滑な選抜事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる。
したがって、本件非開示情報3は条例16条6号に該当し、非開示が妥当であ
る。
よって、「1
審査会の結論」のとおり判断する。
(答申に関与した委員の氏名)
秋山
收、浅田
登美子、神橋
一彦、隅田
- 5 -
憲平