ニュースリリース 2016/3/1 中国・四国地方で唯一 双胎間輸血症候群に対する胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術(FLP) 川崎医科大学附属病院 産婦人科(下屋 浩一郎教授)は、平成 27 年 10 月より双胎間輸血症候群 (以下 TTTS)を発症した妊婦に対して、胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術(以下 FLP)を実施して います。昨年 10 月に FLP を受けた患者さんで今春に分娩を予定されている方もおられます。 FLP は、平成 28 年 2 月現在、国内では当院を含め 10 か所で手術が可能ですが、中国・四国地方で は当院のみとなります。 【FLP 治療の概要】 本治療は妊娠 26 週未満の一絨毛膜性双胎で、一児の羊水過多と他児の羊水過少を来した場合に 上記手術を行い、羊水過多・羊水過少を改善させることを目的とした手術です。日本では 2002 年から 本格的に手術が開始され、平成 24 年には保険適応となっています。 【双胎間輸血症候群(twin-twin transfusion syndrome: TTTS)について】 TTTS は、双子の中でも「一絨毛膜性双胎」といって胎盤が一つの場 合にのみ起こる病気です。このような双子では、胎盤の表面に「吻合血 管」と呼ばれる互いの血液が行き来する血管が存在します。通常はお互 いの血液が互いにバランスを保っており問題ありませんが、一絨毛膜性 双胎の 10%の方では、何らかの原因でこのバランスが崩れ、TTTS という 病気を発症します。血液を送り出す胎児(供血児)は発育不全を起こし体 重が小さくなり、尿量不足から腎不全の発症や羊水過少となります。一 方、血液を過剰にもらっている胎児(受血児)は心不全や胎児水腫という 状態となります。 かつてはこの病気を発症した場合、80-90%の児は妊娠中か出生後に亡くなっていました。また、生存 できたとしても、そのうち 4 人に 1 人の割合で脳性麻痺などのハンディキャップを発症していました。 【治療について】 この病気は 10 数年前までは、日本でも治療法がなく、対処療法として羊水過多に対する羊水除去 が行われていました。現在は FLP が第一選択となっています。 この治療は胎児鏡を子宮内に挿入し、吻合血管を熱凝固することで、お互いを行き来している血管 を遮断します。この手術は妊娠 16 週から 28 週未満の妊婦に行うことができます。現在この手術により、 児の生存率は 80%前後、脳性麻痺などのハンディキャップの率は 5%前後となりました。二人とも生存で きる割合は 70%前後です。残念ながら流産などで二人 <問合せ先> とも亡くなられる割合が 10%前後にあります。 川崎医科大学附属病院 (岡山県倉敷市松島 577) 産婦人科医長 村田 晋(むらた すすむ) Tel 086-462-1111(代) 発行:学校法人 川崎学園 大学事務局 企画部 広報連携室 Tel 086-462-1111(代)
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