「地域を変える世界標準『公民連携』をいかに使いこなすか」 根本祐二/東洋大学大学院経済学研究科公民連携専攻 教授 [email protected] 1 地方のおかれている現状 (1)地球規模での地域間競争 情報化と国際化 (2)活性化プロジェクトの必要性 2 活性化の担い手 (1)官:財政制約と人材制約 (2)民:リスク回避傾向 (3)市民:責任ある主体になっていない 3 公民連携の必要性 (1)理論的な位置づけ 市場の失敗、政府の失敗 図表1 (2)歴史的な展開 大きな政府、小さな政府 4 公民連携の失敗 (1)目的設定の失敗 図表3 (2)民へのアンバランスの失敗 図表4 (3)官へのアンバランスの失敗 図表5 (4)非競争・癒着の失敗 図表6 (5)メッセージの失敗 図表7 (6)ガバナンスの失敗 図表8 (7)不確実性の失敗 図表9 5 成功する公民連携の知恵 (1)リスクとリターンの設計 図表10 (2)契約によるガバナンス 図表11 (3)事例 家守事業 図表12 (4)事例 中野サンプラザ民営化 図表13 (5)事例 豊後高田昭和の町 図表14 6 まとめ (1)「リスクとリターン」、「契約」概念の理解 (2)民間への機会提供 (3)市民参加 図表2 略歴 1954年鹿児島生まれ。78年東京大学経済学部卒業、日本開発銀行入行。鹿児島事務所、大 阪支店、設備投資研究所、プロジェクトファイナンス部等を経て地域企画部長。06年、東洋大学 公民連携専攻設立を機に同大教授就任。専門は公民連携、地域再生。主要著書:「地域再生に 金融を生かす」(学芸出版社)、「公民連携白書」(共著、時事通信社)など。公職:国土審議会専 門委員、内閣府都市再生戦略チーム調査員、各種公民連携プロジェクト審査委員会委員。 図表1 理論的整理 e 公民連携の役割 ①市場の失敗が 解消している ケース ③第3の道としての 公民連携=市場と政 府の失敗の克服 a 市場の役割 d 政府の失敗 ②再び市場の失敗が起き るケース=無限の迷路 b 市場の失敗 c 政府の役割 図表2 歴史的整理 米国 英国 日本 20世紀 前~中 半 ケイン 国有化 ズ政策 傾斜生産 ~日本株 式会社 20世紀 後半~ レーガ サッチャ ノミック リズム ス 中曽根民 活 20世紀 末~ ISTEA、 PFI、 RFP PPP PFI、PPP、 市場化テス ト 大きな政府 小さな政府 図表3 公民連携の失敗 1 目的設定の失敗 決定 実施 官 民 決定者はあくまでも官 決定過程に民や市民の 意見は反映されていない Better projectがある? 市民 PPP 図表4 公民連携の失敗 2 民へのアンバランスの失敗 決定 実施 官 民 市民 民の役割が大きすぎる リスクを負担しきれずに 経営破たんする 図表5 公民連携の失敗 3 官へのアンバランスの失敗 決定 実施 官 民 市民 官の役割が大きすぎる 設計済みで維持管理のみ のPFI 0<VFM<潜在的なVFM 以上3つは公民連携以前の問題! 図表6 公民連携の失敗 4 非競争・癒着の失敗 官 民 × 非競争 官製談合、民民談合 仲良しクラブ 成功事例にも潜んでいる 民 民 民 図表7 公民連携の失敗 5 メッセージの失敗 決定 募集 官 実施 民 提案 市民 選定 募集要項、落札者選定基 準が不明確 質重視の目的vs価格重 視の選定基準 あとだし 図表8 公民連携の失敗 6 ガバナンスの失敗 決定 実施 官 民 市民 モニタリング ②政策公表 ①政策決定 (耐震基準) 仕組みがあっても 守られていない、 チェックできない 行政 0 資格認定 民間検査 機関 ⑧監視 ⑤申請・ 承認 ④検査 依頼・ 検査 助言 コンサル ⑥マンション 建設・分譲 建築主 市民 ③-1 建設工事受注 建設会社 ③-2 設計受注 設計会社 ③-2 構造計算受注 建築設計 事務所 図表9 公民連携の失敗 7 不確実性の失敗 決定 決定 官 民 TMO 実施 将来が不確実であれば ガバナンスできない ベンチャー振興、まちづく りなど 市民 図表10 リスクとリターンの設計 公民連携 三セク 境界線があいまい 官 官 行政 投資家・ 金融機関 民間 建設・ 事業 不動産 会社 NPO・ NGO等 民間 リスクが最小化している (コスト、収入も同様) リターン リスク 図表11 契約によるガバナンス 政策公表、募集 政策決定 提案、申請 実施 官 民 市民 許認可、選定 契約(監視、報酬、制裁) 監視 標準的な公民連携のパターン(PFIの場合) 民間A 民間B 議会 民間C 民間D 承認 設立 契約 行政 特定目 的会社 融資 金融機 関 実行 市民 図表12 家守事業 大家 ―(賃借)→ 家守 ―(賃借)→ 店子 街の経済再生の担い手を店子として育てる。 大家が直接行う知恵はないので家守が必要になる。 事例:世田谷ものづくり学校、千代田プラットフォームスクウェア、にしすがも創造舎 図表13 中野サンプラザ民営化 西武信用金庫 (株)まちづくり中野21 バランスシート シニア ローン 独立行政法人雇用・能 力開発機構 売却 資産 メザニン 資金 みずほ銀行 融資 都市再生プライベート 投融資 メザニンファンド 日本政策投資 銀行等 出資 普通株 一括賃貸 全面的運営委託 出資 (1/3) (株)中野サンプラザ 区民 図表14 図表9参照 出資 (2/3) 中野区 共同出資 株式会社ビジネスバンクコン サルティング、宮園オート、ス ペース、日本閣観光、東京ア スレチッククラブ等 東洋大学大学院経済学研究科公民連携専攻の概要 設立 2006 年 4 月(総長塩川正十郎の提唱) 目的 「官から民へ」の時代の流れに乗って今後拡大が予想される、PFI、民営化、都市再生、 地域活性化などの官と民が連携して行うプロジェクトにおいて、失敗しない知恵を身に つけた専門性の高い人材の育成 課程 大学院修士課程、卒業生には修士号が付与される 定員 30 名 期間 2 年間(成績優秀者は 1 年間での卒業が可能) 単位数 30 単位 開講日 平日夜(大手町サテライト、東京都千代田区大手町2-2-1新大手町ビル) 土曜日(白山キャンパス、東京都文京区5-28-20) 入学時期・入試時期 2006 年 10 月入学(9 月入試) 2007 年 4 月入学(12 月、3 月入試) 特徴 (1) 2年間で修士号取得(経済学修士) (2) 夜間・土曜日開講で忙しい方も可能 (3) 東京駅近くの便利な場所 (4) 官民の院生同士を含めた人脈の広がり (5) 理論・実務、公共・民間を広くカバー (6) 専門機関との連携で最新の情報を提供 (7) 実務直結の特定課題研究にて卒業可能 例:●温泉町の再生における公民連携●汚水処理(下水道)事業民活化スキーム検討 ●A ニュータウン再開発住民支援における PPP 活用●公民連携における民間団体の監 査体制について●水俣市における環境・公民連携を基軸に捉えた地域再生●地方都市 中心部における公民連携の開発のあり方研究 (8) 成績優秀者は1年で卒業可能 詳細は、専攻ホームページをご覧下さい。 http://www.pppschool.jp/ [email protected]
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