テレビ埼玉入試特別番組 「埼玉県公立高校入試の傾向と対策」 理科 練習問題 物理の記述問題攻略 近年の埼玉県公立高校入試問題では, 「思考力」 「表現力」を問う問題が出題されています。 その中でも非常に通過率の低い難問が出題されており,H 27 では大問5の問4⑵が,通過 率は 4.2%と低く,無答率は 41.6%と高い問題でした。H 26 では大問5の問5⑵が,通過 率は 4.6%と低く,無答率はなんと 60.6%と非常に高く,無答の受験生が多かった問題でした。 どちらの問題にも共通することは, 『計算の過程や考え方も書きなさい。 』という記述問題 になっていることです。最後の問いということもあり,時間が足りなかった受験生もいたか もしれません。また, 『計算の過程や考えたかを書きなさい。 』という問いを見てあきらめて しまった受験生や,計算はできたが説明が書けなかった,という受験生もいたのではないで しょうか。 こういった,理科の「思考力」 「表現力」が問われる問題を解くために必要なことは, ①速く問題を解き,時間を確保する。 ②そして,通過率の非常に低い問題をどのように答えたらよいか,攻略法をマスターする。 下記の攻略法で理科の難問も正解できるように練習しましょう! ◆実験問題を速く解くための3ポイント ポイント① まず何についての実験か確認する ポイント② 実験の「条件」や「数値」に線を引く ポイント③ 分かったことは図や表に書き込む ★物理記述問題攻略の3ステップ ステップ① 問われていること(=解答)に注目する ステップ② 解答への流れ図を逆からかいて,計算する ステップ③ 計算に理由をつけて説明を書く 質量 800 gの物体(1個)と,20 N用のばねはかり,滑車,2種類のモー 1 仕事について調べるために, ターA,Bを用いて,次のような実験を行った。ただし,実験において,100 gの物体にはたらく重力 を1Nとし,糸や滑車の重さ,糸と滑車にはたらくまさつ力は考えないものとする。 〔実験〕 ① 図1のように,水平な机の上に紙をしいてセロハ ンテープで固定し,ばねはかりの指針が一定になる ように矢印 の向きに手でゆっくりと力を加え, 紙の上をすべらせて物体を 15㎝移動させた。 ② 図2のように,ばねはかりの指針が一定になるよ うに矢印 の向きに手でゆっくりと力を加え,物 体を 15㎝引き上げた。 ③ 図3のように動滑車を1つ用いて,ばねはかりの 指針が一定になるように矢印 の向きに手でゆっ くりと力を加え,物体を 15㎝引き上げた。 ④ 図4のように,2種類のモーターA,Bを用いて, 矢印 の向きに物体をそれぞれ 50㎝引き上げた。 このとき,モーターAの仕事率は 0.2 Wであり,モー ターBの仕事率は 0.5 Wであった。 問 〔実験〕の④で,モーターAを用いて物体を 50㎝引き上げるのにかかった時間と,モーターBを用い て物体を 50㎝引き上げるのにかかった時間の差は何秒か,求めなさい。また,計算の過程や考えたか を書きなさい。 1 ◆実験問題を速く解くための3ポイント ポイント① まず何についての実験か確認する 実験の文章の前の文に注目すると,今回の実験は 「 ポイント② 実験の「条件」や「数値」に線を引く ポイント③ 分かったことは図や表に書き込む 」 」 ★物理記述問題攻略の3ステップ ステップ① 問われていること(=解答)に注目する 問われていること(=解答)は 「 ステップ② 解答への流れ図を逆からかいて,計算する ステップ③ 計算に理由をつけて説明を書く ①流れ図 ③計算の理由 ②計算 ③計算の理由 ②計算 ③計算の理由 ②計算 (解答) 2 2 図のような「ジュールの実験装置」と呼ばれる装置を利用し実験した。この装置は,おもりが落下し て羽根車が回ると水がかき混ぜられ,水温が上がるしくみになっている。次の問に答えなさい。 〔実験〕 装置のおもりの質量は2個とも等しく 3.0㎏,ハンドルを回転 させると両側のおもりが同時に持ち上がり,手を離すと羽根車を 回転させながら落下する。また,巻き上げる際,羽根車は回転し ないしくみになっている。 図のハンドルを回転させ,おもり2個を 60 秒かけて 1.0m 持ち 上げた。続いて, ハンドルを手から離し, 落下させた。おもりを 1.0m 持ち上げて落下させるという操作を 100 回繰り返したところ,水 温は 2.38℃上昇し,20℃になった。ただし,質量 100g の物体に はたらく重力を1Nとする。また,おもりが落下するときに発生 するエネルギーは,すべて水の温度上昇に使われたものとする。 問 水1g を1℃上昇させるのに必要なエネルギーは 4.2 Jである。以上の実験結果より,容器には何 g の水が入っていると考えられるか。その値を,小数第一位を四捨五入し,整数で答えなさい。また, 計算の過程や考えたかを書きなさい。 3 ◆実験問題を速く解くための3ポイント ポイント① まず何についての実験か確認する 実験の文章の前の文に注目すると,今回の実験は 「 ポイント② 実験の「条件」や「数値」に線を引く ポイント③ 分かったことは図や表に書き込む 」 」 ★物理記述問題攻略の3ステップ ステップ① 問われていること(=解答)に注目する 問われていること(=解答)は 「 ステップ② 解答への流れ図を逆からかいて,計算する ステップ③ 計算に理由をつけて説明を書く ①流れ図 ③計算の理由 ②計算 ③計算の理由 ②計算 (解答) 4 これについて, あとの各問いに答えなさい。 3 物体のもつエネルギーの大きさについて次の実験を行った。 ただし,それぞれの台車と鉄球にはたらく摩擦,空気抵抗の影響はないものとする。 〔実験1〕 図1のように,質量 500 gの台車を6㎝,12㎝,18㎝の高さから,静かに手をはなして水平面上 に置いた木片に当て,木片が静止するまでの移動距離を調べた。次に,おもりをのせて質量 750 g にした台車を用いて同様に調べ,結果を表にまとめた。さらに,おもりをのせて質量 1000 gにした 台車を,aある高さから静かに手をはなして木片に当てたところ,その移動距離は 35.0㎝であった。 ただし,高さの基準を水平面上の台車の中心の高さとする。 表 図1 木片の移動距離[㎝] 高さ 質量 500g の台車 質量 750g の台車 6㎝ 7.0 10.5 12㎝ 14.0 21.0 18㎝ 21.0 31.5 〔実験2〕 図2のように,レール1,2のC,H 点に木片を置き,同じ質量の鉄球P,Q 図2 Q P をレール1,2上のそれぞれ高さ 20㎝の 位置から同時に静かに手をはなすと,ど A E ちらの鉄球もレールから離れずに運動 D E F 2 G し,b 先に鉄球Pが木片に当たり,遅れ て鉄球Qが木片に当たった。ただし,高 B さの基準とする水平面上にB,G ’,C, G H C 1 G,H点があり,その水平面からA,D 点は高さ 20㎝,E,E ’,F点は高さ 15㎝である。AE ’ 間とDE間,E ’ B間とFG間,BG ’ 間 とEF間,G ’ C間とGH間の長さは,それぞれ等しい。また,どの斜面も同じ傾きである。 問 下線部aの高さは何㎝か,表の値をもとに求めなさい。また,計算の過程や考えたかを書きなさい。 5 ◆実験問題を速く解くための3ポイント ポイント① まず何についての実験か確認する 実験の文章の前の文に注目すると,今回の実験は 「 」 「 」 ポイント② 実験の「条件」や「数値」に線を引く ポイント③ 分かったことは図や表に書き込む ★物理記述問題攻略の3ステップ ステップ① 問われていること(=解答)に注目する 問われていること(=解答)は ステップ② 解答への流れ図を逆からかいて,計算する ステップ③ 計算に理由をつけて説明を書く ①流れ図 ③計算の理由 ②計算 ③計算の理由 ②計算 ③計算の理由 ②計算 ③計算の理由 ②計算 (解答) 6 解答 1 ◆実験問題を速く解くための3ポイント ポイント① まず何についての実験か確認する 実験の文章の前の文に注目すると,今回の実験は ⇒ 「仕事について調べるための実験」 ポイント② 実験の「条件」や「数値」に線を引く ポイント③ 分かったことは図や表に書き込む 質量 800 gの物体(1個)と,20 N用のばねはかり,滑車,2種類のモー 1 仕事について調べるために, ターA,Bを用いて,次のような実験を行った。ただし,実験において,100 gの物体にはたらく重力 を1Nとし,糸や滑車の重さ,糸と滑車にはたらくまさつ力は考えないものとする。 〔実験〕 ① 図1のように,水平な机の上に紙をしいてセロハ ンテープで固定し,ばねはかりの指針が一定になる ように矢印 の向きに手でゆっくりと力を加え, 紙の上をすべらせて物体を 15㎝移動させた。 ② 図2のように,ばねはかりの指針が一定になるよ うに矢印 の向きに手でゆっくりと力を加え,物 体を 15㎝引き上げた。 ③ 図3のように動滑車を1つ用いて,ばねはかりの 指針が一定になるように矢印 の向きに手でゆっ くりと力を加え,物体を 15㎝引き上げた。 ④ 図4のように,2種類のモーターA,Bを用いて, 矢印 の向きに物体をそれぞれ 50㎝引き上げた。 このとき,モーターAの仕事率は 0.2 Wであり,モー ターBの仕事率は 0.5 Wであった。 0.2W 8N 0.5W 8N 問 〔実験〕の④で,モーターAを用いて物体を 50㎝引き上げるのにかかった時間と,モーターBを用い て物体を 50㎝引き上げるのにかかった時間の差は何秒か,求めなさい。また,求める過程も書きなさい。 ★物理記述問題攻略の3ステップ ステップ① 問われていること(=解答)に注目する 問われていること(=解答)は ⇒ 「物体を持ち上げるのにかかった時間の差」 ステップ② 解答への流れ図を逆からかいて,計算する ステップ③ 計算に理由をつけて説明を書く ①流れ図 ③計算の理由 モーターA・Bがそれぞれ行った仕事は, 仕事(J) =力(N)×移動距離(m) ②計算 8N × 0.5 m = 4J ③計算の理由 仕事率をもとに,かかった時間をそれぞれ計算すると, 仕事率によって異なる ②計算 Aの時間は, 4J ÷ 0.2 W = 20 秒 Bの時間は, 4J ÷ 0.5 W = 8秒 ③計算の理由 したがって,かかった時間の差は, 仕事の時間の差 ②計算 20 秒 - 8秒 = 12 秒 となる。 (解答例) モーターA・Bがそれぞれ行った仕事は, 8N × 0.5 m = 4J 仕事率をもとに,かかった時間をそれぞれ計算すると, Aの時間は,4J ÷ 0.2 W = 20 秒,Bの時間は,4J ÷ 0.5 W = 8秒 したがって,かかった時間の差は, 20 秒 - 8秒 = 12 秒 となる。 2 ◆実験問題を速く解くための3ポイント ポイント① まず何についての実験か確認する 実験の文章の前の文に注目すると,今回の実験は ⇒ 「ジュールについての実験」 ポイント② 実験の「条件」や「数値」に線を引く ポイント③ 分かったことは図や表に書き込む 2 図のような「ジュールの実験装置」と呼ばれる装置を利用し実験した。この装置は,おもりが落下し て羽根車が回ると水がかき混ぜられ,水温が上がるしくみになっている。次の問いに答えなさい。 〔実験〕 装置のおもりの質量は2個とも等しく 3.0㎏,ハンドルを回転 させると両側のおもりが同時に持ち上がり,手を離すと羽根車を 回転させながら落下する。また,巻き上げる際,羽根車は回転し ないしくみになっている。 図のハンドルを回転させ,おもり2個を 60 秒かけて 1.0m 持ち 上げた。続いて, ハンドルを手から離し, 落下させた。おもりを 1.0m 持ち上げて落下させるという操作を 100 回繰り返したところ,水 温は 2.38℃上昇し,20℃になった。ただし,質量 100g の物体に はたらく重力を1Nとする。また,おもりが落下するときに発生 するエネルギーは,すべて水の温度上昇に使われたものとする。 100 回 30N 30N 問 水1g を1℃上昇させるのに必要なエネルギーは 4.2 Jである。以上の実験結果より,容器には何 g の水が入っていると考えられるか。その値を,小数第一位を四捨五入し,整数で答えなさい。また, 求める過程も書きなさい。 ★物理記述問題攻略の3ステップ ステップ① 問われていること(=解答)に注目する 問われていること(=解答)は ⇒ 「容器には何gの水が入っていると考えられるか」 ステップ② 解答への流れ図を逆からかいて,計算する ステップ③ 計算に理由をつけて説明を書く ①流れ図 ③計算の理由 発熱量と仕事の量は等しいので,発熱量は, 熱量(J)と仕事(J)は 等しい ②計算 30 N × 2個 × 1.0 m × 100 回 = 6000 J ③計算の理由 水の温度を1℃上昇させる 水の量を x gとすると,2.16℃上昇するときの発熱量は, の に 必 要 な 熱 量( J ) は, 水の量に比例する ②計算 x g × 2.16℃ × 4.2 J = 6000 J x = 600.2…g 水の量は何gか したがって,容器に入っていた水の量は,600 gとなる。 (解答例) 発熱量と仕事の量は等しいので発熱量は, 30 N × 2個 × 1.0 m × 100 回 = 6000 J 水の量を x gとすると 2.16℃上昇するときの発熱量は, x g × 2.16℃ × 4.2 J = 6000 J x = 600.2…(g) したがって,容器に入っていた水の量は,600 gとなる。 3 ◆実験問題を速く解くための3ポイント ポイント① まず何についての実験か確認する 実験の文章の前の文に注目すると,今回の実験は ⇒ 「エネルギーの大きさについての実験」 ポイント② 実験の「条件」や「数値」に線を引く ポイント③ 分かったことは図や表に書き込む これについて, あとの各問いに答えなさい。 3 物体のもつエネルギーの大きさについて次の実験を行った。 ただし,それぞれの台車と鉄球にはたらく摩擦,空気抵抗の影響はないものとする。 〔実験1〕 図1のように,質量 500 gの台車を6㎝,12㎝,18㎝の高さから,静かに手をはなして水平面上 に置いた木片に当て,木片が静止するまでの移動距離を調べた。次に,おもりをのせて質量 750 g にした台車を用いて同様に調べ,結果を表にまとめた。さらに,おもりをのせて質量 1000 gにした 台車を,aある高さから静かに手をはなして木片に当てたところ,その移動距離は 35.0㎝であった。 ただし,高さの基準を水平面上の台車の中心の高さとする。 表 図1 木片の移動距離[㎝] 高さ 質量 500g の台車 質量 750g の台車 6㎝ 7.0 10.5 12㎝ 14.0 21.0 18㎝ 21.0 31.5 〔実験2〕 図2のように,レール1,2のC,H 点に木片を置き,同じ質量の鉄球P,Q をレール1,2上のそれぞれ高さ 20㎝の 位置から同時に静かに手をはなすと,ど ちらの鉄球もレールから離れずに運動 図2 Q P A E D E F 2 G し,b 先に鉄球Pが木片に当たり,遅れ て鉄球Qが木片に当たった。ただし,高 B G さの基準とする水平面上にB,G ’,C, H C 1 G,H点があり,その水平面からA,D 点は高さ 20㎝,E,E ’,F点は高さ 15㎝である。AE ’ 間とDE間,E ’ B間とFG間,BG ’ 間 とEF間,G ’ C間とGH間の長さは,それぞれ等しい。また,どの斜面も同じ傾きである。 問 下線部aの高さは何㎝か,表の値をもとに求めなさい。求める過程も書きなさい。 ★物理記述問題攻略の3ステップ ステップ① 問われていること(=解答)に注目する 問われていること(=解答)は ⇒ 「台車の高さ」 ステップ② 解答への流れ図を逆からかいて,計算する ステップ③ 計算に理由をつけて説明を書く ①流れ図 位置エネルギーは質量と高 さに比例する ③計算の理由 表の結果から,高さ 6.0 m,質量 500 gの台車との結果と比べると, ②計算 1000 g ÷ 500 g = 2倍 ③計算の理由 木片の移動距離と比べると, ②計算 木片の移動距離は 位置エネルギーに比例する 35.0㎝ ÷ 7.0㎝ = 5倍 ③計算の理由 高さを x 倍とすると, ②計算 2倍 × x 倍 = 5 倍 x = 2.5 倍 ③計算の理由 台車のある高さ したがって,高さ6㎝の 2.5 倍の高さを求めると, ②計算 6.0㎝ × 2.5 倍 = 15.0㎝ となる。 (解答例) 表の結果から,高さ 6.0㎝,質量 500 gの台車との結果と比べると,1000 g ÷ 500 g = 2倍 木片の移動距離を比べると,35.0㎝ ÷ 7.0㎝ = 5 倍 高さを x 倍とすると, 2倍 × x 倍 = 5倍 x = 2.5 倍 したがって,高さ6㎝の 2.5 倍の高さを求めると, 6.0㎝ × 2.5 倍 = 15.0㎝ となる。
© Copyright 2024 ExpyDoc