「映像芸術の保存と公開 フィルムとデジタルのジレンマを解く」(PDF)

映像芸術の保存と公開
フィルムとデジタルのジレンマを解く
1:フィルムとデジタル
「4Kデジタルマスターを保存する費用は、極めて高額であることがわかった。 フィルム
マスターを保存する場合に比べ、1,100%も高い」p.43
「フィルムと同等の寿命特性を持つ、デジタルアーカイブマスターフォーマットあるいは
処理方法は存在していない」p.51
「フィルムセパレーションマスターが安全で手頃なアーカイブマスターであるという、
実質的に全員一致の意見が業界の中にある」p.51
「ザ・デジタル・ジレンマ デジタル映画素材のアーカイブ化とアクセスに関する戦略的課題」(映画
芸術科学アカデミー科学技術評議会、日本語版:慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研
究機構、2007)より
1:フィルムとデジタル
デジタルデータ化と保存:LTOテープライブラリー
・HDCAM/HDCAM-SR機器は2016年で製造終了
・LTOテープにデジタルデータを保管する方法が普及しつつある
・フィルム作品のデジタルデータ化に際してのコーデックの問題
XAVC、ProRes、あるいは非圧縮(DPX連番)?
・デジタル作品はDCPの保存で良いのか
1:フィルムとデジタル
個人的な見解
・フィルム原版を保存し、その時々の業界標準のメディアやコーデックで複製
を取っておくのが最善では?(デジタル作品の場合はDCP?)
・NPO法人戦後映像芸術アーカイブでは作品の復元にあたって、上映用プリン
ト、HDCAM-SR、デジタルデータ(ProRes)を作成し、運用している。
フィルム原版は管理コストがかかるので作家を通してフィルムセンターに
寄贈している
2:各館の状況
国内で実験映画・個人映画・ビデオアートの収集、寄託受け入れを行っている
施設に、個人的にヒアリングを行ってきた
◎フィルムセンター
◎東京都写真美術館
◎川崎市市民ミュージアム
◎福岡市総合図書館
・フィルムセンターには「フィルム複製利用規程」がある。その他は館内
上映権のみしか持っていない
・デジタルデータ化についてはHDCAM-SRで保存するなど、部分的な取り組
みが始まっている
・美術館とフィルムアーカイブの意識差という問題