H37 擬似三次元個別要素法を用いた振動充填燃料製造の高密化・均一

H37 擬似三次元個別要素法を用いた振動充填燃料製造の高密化・均一化
に関する研究
指導教官
山口
彰
教授・量子システムデザイン工学領域
89248068 結城
Abstract:
大輔
Vibration-based packing of sphere-pac fuel is a key technology in a nuclear fuel manufacturing for
Fast Breeder Reactor (FBR). In the production process of sphere-pac fuel, a Mixed Oxide (MOX) fuel which
includes Miner Actinide (MA) is formed to spherical and is packed in a cladding tube by adding an external
vibration force. In the present study, I have developed a numerical simulation method to investigate the behavior
of the particles in a vibrated tube using the Distinct Element Method (DEM). This developed model is named
pseudo three-dimensional (P3D) model.
In general, the DEM requires a significant computational cost, especially in a three-dimensional analysis.
Therefore we propose a new approach in which fine particles can move through the gap between coarse particles
even in two-dimensional and three-degrees-of-freedom simulation. I take an equivalent three-dimensional effect
into account in the criterion of particles contact.
In this study, I verified an appropriateness of pseudo three-dimensional model quantitatively, qualitatively
and physically by comparing an analytical result of P3D model with of two- and three-dimensional DEM. Using
the developed method, I also investigate the mechanism of particles packing and estimate the optimized condition
for densifying and uniformizing sphere-pac fuel and the effectiveness of P3D model.
Key words: MOX Fuel, Distinct Element Method, Sphere-pac Fuel, Pseudo Three-Dimensional Model.
1.
序論
高速増殖炉では、軽水炉では燃焼させにくいマイナーアクチニド(MA)を核分裂させる事が可能であり、
MA を燃料として使用する事により環境負荷低減が可能である。このため高速増殖炉を用いた燃料サイ
クルでは低除染マイナーアクチニド燃料の使用が検討中であり、その燃料製造手法にスフェアパック燃
料に代表される振動充填燃料製造が注目されている。その理由としては、微粉末の取扱いが不要で、遠
隔操作性が優れていることから作業員の安全性が保たれる事、また製造工程が簡素なことからコスト低
減が期待できる事が挙げられる。
スフェアパック燃料製造では、燃料を粒径数 10μm~1000μm 程度の球形にし、密度を上げるために 2~3
種類以上の径の粒子を組み合わせて外部振動を与えながら被覆管に直接充填を行なう。炉心設計の際の
効率性・安全性の追求には燃料をより高密度化・均一化すべきあり、その実現のために振動場における
燃料粒子の挙動を把握し、振動条件や粒径比などのパラメータを最適化する必要がある。そのために本
研究では個別要素法(DEM)を用い、振動下にある粒子の挙動を数値的に解析する手法の開発と、それを
用いて解析を行ない、最適な充填条件を模索したうえで実際の燃料製造の基礎とすることを目的として
いる。そのために二次元 DEM を拡張し現実の挙動を再現できるようにした擬似三次元モデルを開発し、
その妥当性の検証ならびに実際の燃料製造シミュレーションの実行と検討を行なった。
2.
数値解析手法
DEM では燃料粒子を球形個別要素ととらえ、差分化した時間領域においてそれぞれの要素に対して
要素間相互作用を計算し、運動方程式を前進的に解いていくことで全体の挙動を解析する。要素間接触
力計算には仮想ばねと仮想ダッシュポットを並列に接続したフォークトモデルを用いる。その時、運動
方程式は振動方程式となり、解の安定性から時間増分を大きくとることができない。そのため計算負荷
は増大し、スフェアパック燃料製造の粒子数に対して三次元解析を行なうのは非現実的である。一方、
二次元解析では要素数が少なく抑えられることから計算負荷はさほど高くないものの、振動場において
も大径要素間に空隙ができないため、小径粒子が大径粒子の隙間を縫いながら充填していくという現実
の挙動を再現できない 1)。そのため本研究で開発した擬似三次元モデルは計算負荷を抑えつつ、実際の
現象を表現することを目的としている。
擬似三次元 DEM は、要素はあくまで二次元三自由度であるとするが、要素間の接触判定ならびに接
触力計算に実効半径 2)を用いることにより、大径要素間を小径要素が潜り抜けられるように改良した手
法である。よって計算コストを低減しつつも粒子浸透を再現することが可能となる。
3.
解析結果
図 1 に擬似三次元および三次元 DEM での解析結果を示す。各図において左端が壁面を、右端が中心
を示す。外部振動の振幅が 5.0×10-5m, 周波数が 200Hz である。結果を比較すると、共に大径粒子が最密
に近い状態で収まっており、小径粒子がその間を浸透しながら充填していったことが定性的に示されて
いる。他にも振幅による充填率の影響や充填中の運動量の三次元 DEM 解析結果との比較などから擬似
三次元モデルの妥当性の検証を行なった。また、擬似三次元 DEM でスフェアパック燃料振動充填過程
のパラメータ解析を行なった。今回はパラメータに外部振動の振幅と周波数を用いた。図 2 は周波数を
固定し振幅を変化させた時の充填率の推移である。充填率の変化は概ね放物線系を描いており、振動エ
ネルギーは大きすぎても小さすぎても充填率は低下する。よって燃料製造の効率化を実現するためには
最適な振動パラメータを用いて製造することが必要であることがいえる。
4.
結論
燃料粒子を被覆管へ直接充填する過程を数値解析的に評価する手法を開発し、三次元解析との比較に
より本モデルの妥当性を評価した。また、実際に数値解析を行ない、振動が充填率に与える影響や本手
法で最適な条件を模索できるという見通しを得た。しかし充填中の運動量などの物理量にはまだ非現実
的な部分が残っており、それらが充填に与える影響を実験との比較などから調査し、本モデルの更なる
Packing density [-]
改良を行なう必要がある。
0.54
0.53
0.52
0.51
0.5
50Hz
200Hz
100Hz
0.49
0.0E+00
図 1 DEM 解析結果
(左:擬似三次元、右:三次元)
参考文献
1) 結城他, 原学会 2006 春の年会, E49 (2006)
2) D.yuki, et. al., ICONE15, 10558 (2007)
5.0E-05
1.0E-04
Amplitude of vibration [m]
図 2 振幅による充填率の変化
1.5E-04