本資料の内容は「無人航空機システムの利用技術に関する関係機関連絡会」の活動の一環として調査したものです。 無人航空機システムの利用技術の動向 2015年3月 本資料の内容は「無人航空機システムの利用技術に関する関係機関連絡会」の活動の一環として調査したものです。 防災分野 用途・アプリケー ション 使用機体 使用ペイロード 使用周波数帯 利用環境 飛行高度 飛行距離 運 用 離発着方法 方 制御・運用 法 方法 特徴的な安 全確保の措 置 通信の課題、将 来ニーズ ・災害発生地域・被災地域の画像取得(一般静止画・動画、モザイク画像、オルソ画像等)、崩壊現場の上空 撮影、火山観測、遭難者探索 ※有人機が航行できない場合に使用(強風・濃霧等の天候条件、夜間飛行、雪山(ヘリのダウンバーストによ る雪崩懸念)、等) ・固定翼機(エンジン) ・マルチロータ機、シングルロータ機 ・デジタルカメラ(可視/赤外、静止画/動画) ・2.4GHz帯(制御、動画伝送)、1.2GHz帯(動画伝送)、 ・2.4GHz帯(制御) 73MHz帯(シングルロータ機) ・被災地、山間部、海上等の上空 ・1km未満(画像の利用可能な解像度の限界) ・150~250m未満(500~600m程度を希望) ・10~15km程度の範囲内 ・数百m~5km程度の範囲内 ・滑走路が必要(離着陸場を準備している自治 ・任意地点で離発着(手動・自動) 体事例あり)、手動制御 ・GPSによるウェイポイント自律航行 ・GPSによるウェイポイント自律航行 ・電波見通し内(15km程度)では手動制御可 ・ヘリ運航者への事前通知、ノータム発行 ・人のいない上空での利用 ・ヘリと空域を分けて運航 ・目視見通し内での運用(一部機関) ・市街地は特殊事情がないと運航しない ・10数km程度の範囲の航続距離と通信確保 ・動画伝送が必要(撮影場所や経路の確認:VGA画質・15 ・動画伝送が必要(撮影場所や経路の確認: ~30fps以上、伝送遅延なし) VGA画質・15~30fps程度) ・ペイロード用動画の高画質化(フルHD画質・30fps以上) ・トランスポンダを搭載することによる周辺運航 ・空中衝突防止機能の導入 中の有人ヘリへの位置通知が必要 ・複数機体が運用された場合の管制技術、チャネル確保、 混信除去 ・災害時の公共用専用チャネルの確保 1 本資料の内容は「無人航空機システムの利用技術に関する関係機関連絡会」の活動の一環として調査したものです。 セキュリティ分野 用途・アプリケーション ・郊外のスーパー、店舗、工場棟の夜間警備、異常発生時の画像取得 (侵入車両のナンバー・色、侵入者の顔・服の色等) 使用機体 ・マルチロータ機 使用ペイロード ・デジタルカメラ(動画:警備用画像基準と同等画素数、フレームレートは低いもので可) 使用周波数帯 ・免許不要の複数周波数 運用 方法 利用環境 ・ビル等の建物のある一定面積の敷地内でのみ運用 (無線通信区間は敷地内のベースステーションと機体間、コントロールセンターとベースステー ションは既存のネットワークを使用) 飛行高度 ・50m程度 飛行距離 ・最大数100m2の範囲内(飛行時間15分程度) 離発着方法 ・異常検知時に施設内のステーションから自動離陸、自動でベースステーションに帰還 制御・運用方法 ・完全自律飛行、施設内の空間座標に従って飛行(決められた敷地外には出ない) ・施設内のセンサ等で検知した標的の位置情報に対し、一定距離を保って飛行し、画像を取得 ・バッテリー低下時には自立的にベースステーションに帰還し充電 特徴的な安全確 保の措置 ・3次元座標と外部センサにより、人物標的と一定距離を保持 ・機体の自律飛行制御が不可となった場合、人がいないところを検知して緊急着陸 通信の課題、将来ニーズ ・建物等による電波遮蔽への対応が課題 ・完全自律飛行、遠隔制御であり、人との接触を避ける対応など、安全面の課題あり 2 本資料の内容は「無人航空機システムの利用技術に関する関係機関連絡会」の活動の一環として調査したものです。 通信分野(研究開発) 用途・アプリケーション ・災害時等のネットワーク孤立地域への通信中継(WiFI環境提供、安否確認等) ・数km~20km程度の区間の通信中継を提供、複数機による中継も可能 ・高さ数百m程度の山岳地帯を挟んだ地区間の通信中継等を確認 使用機体 ・固定翼機(バッテリ) 使用ペイロード ・無線中継装置(伝送速度:無線/情報→6Mbps/400kbps) ・無人機1機による中継、2機による中継を確認 使用周波数帯 ・2GHz帯(制御、通信ペイロード) 運用 方法 利用環境 ・山間部を含む陸域、離島など 飛行高度 ・70~1200m程度(実証実験における実績) 飛行距離 ・最大15km程度の範囲内(飛行時間2~4時間程度) 離発着方法 ・手投げ離陸、胴体着陸(失速回収) 制御・運用方法 ・GPSによるウェイポイント自律航行 (動画伝送、手動制御機能あり) 特徴的な安全確 保の措置 ・ノータム発行 通信の課題・将来ニーズ (関連する現研究開発課題) ・通信リンクの高速化、安定化 ・周波数利用効率、エネルギー利用効率に優れた中継伝送技術の開発 ・複数ノードリレー中継技術の開発 ・研究開発用のため、実用での利用可能周波数の確保 3 本資料の内容は「無人航空機システムの利用技術に関する関係機関連絡会」の活動の一環として調査したものです。 インフラ分野 用途・アプリケーション <道路>災害時の道路状況把握、道路建設現場の把握、橋梁点検等(検討中) <電力>送電線の点検(検討中)、メガソーラーパネル点検、 使用機体 ・マルチロータ機 使用ペイロード ・デジタルカメラ(道路:HD動画等、メガソーラ:カラー静止画・赤外線動画) ・最初に動画を撮影し、異常個所について高精細な静止画を撮影する運用形態あり 使用周波数帯 ・2.4GHz帯(制御、動画伝送) 利用環境 ・高速道路付近上空、橋梁周辺、山間部、メガソーラー施設上空 飛行高度 ・80m程度(道路)、40m程度(メガソーラー) 飛行距離 ・100~500m程度の範囲内(飛行時間20~50分(機体性能による)) 離発着方法 ・現場付近の任意地点で離発着(手動・自動) 制御・運用方法 ・タブレット端末によるマップベース制御(GPSによるウェイポイント自律航行) ・操縦時は低画質にした撮影動画(ペイロード画像)を確認 ・橋梁点検の際は構造物から10m程度の離隔距離を維持する必要があり、目視確認しながら手 動で制御 ・送電線点検では、送電線から2~3mの離隔距離で200m程度を一度に点検 ・メガソーラ点検では、20分間の飛行点検を数回に分け、一エリアの点検を実施 特徴的な安全確 保の措置 ・目視見通し内のみでの運用 ・高速道路の真上・民家上空は運用しない、複数人による運用(安全基準の策定を検討中) 運用 方法 通信の課題・将来ニーズ ・構造物に接近するため、距離センサ等による構造物との距離情報の伝送が必要、あるいは衝 突防止機能が必要 ・離着陸に利用可能な空地が狭いため、高度な位置制御が要求される ・構造物との位置関係により、GPSが届かない、目視範囲外の運航に課題がある 4 本資料の内容は「無人航空機システムの利用技術に関する関係機関連絡会」の活動の一環として調査したものです。 農業分野 用途・アプリケーション <散布・輸送等> ・農薬散布、種籾散布、肥料散布等 使用機体 ・シングルロータ機 使用ペイロード ・散布・輸送 使用周波数帯 ・73MHz帯 運用 方法 利用環境 ・耕作地 飛行高度 ・3~10m 飛行距離 ・150m程度の範囲内 離発着方法 ・現場付近の任意地点から離発着(手動) 制御・運用方法 ・マニュアル操縦 ・動画を伝送(QVGA・30fps) 特徴的な安全確保 の措置 - 通信の課題・将来ニーズ ・レーザ等による障害物検知情報、対地距離情報等の伝送 ・農作物等の山岳地や離島への輸送・配達ニーズの増大に対応、数十~ 数百kmの見通し外飛行を可能とするため、衛星通信を利用したい 5 本資料の内容は「無人航空機システムの利用技術に関する関係機関連絡会」の活動の一環として調査したものです。 農業分野(研究開発、将来用途) 用途・アプリケーション <リモートセンシング利用> ・圃場の作物生育状態把握、病害の拡散状況把握(研究開発)<空間分解能:数cm程度> ・播種作業等のアウトソーシング時の作業状況確認データの取得(将来用途)<空間分解能:数cm程度> ・牧草地の雑草分布状況把握(将来用途)<空間分解能:数cm程度> ・小麦の含水量推定と収穫適期の把握(将来用途)<空間分解能:数m程度>(現在、農協が地球観測衛星画 像をもとに小麦含水量に関する情報提供を実施しているが、雲の有無に左右される点、観測頻度が一律である 点を改善するために、UASによる観測タイミングの補完ニーズあり) ※農家が個別にマルチロータ機を導入している事例あり ・G空間ビッグデータ分析による「高度営農支援システム」の構成要素となるリモートセンシングプラットフォーム (研究開発) ・地球観測衛星とUASを統合した短周期リモートセンシング(研究開発) 使用機体 ・シングルロータ機(100m以下)、マルチロータ機(100-150m)、固定翼機(70-1200m) 使用ペイロード ・デジタルカメラ(可視・近赤外、静止画)、マルチスペクトルビジョンセンサ、ハイパースペクトルカメラ、レーザス キャナ、RTK-GPS 等 使用周波数帯 ・2.4GHz帯(制御) 運用 方法 利用環境 ・耕作地、牧草地(山間を含む) 飛行高度 ・100m程度(数cm分解能の画像取得) ・150~250m以上を含む(広域で数m分解能の画像取得) 飛行距離 ・数100m~数km程度の範囲内(農家による運用を想定) ・数km~十数km程度の範囲内(農協による地域一括運用を想定) 離発着方法 ・現場付近の任意地点から離発着(自動・手動) 制御・運用方法 ・GPSによるウェイポイント自律航行(GPS以外に高度センサを使用している事例あり) 特徴的な安全確 保の措置 ・農場、耕作地であり、人への接触可能性は低い 通信の課題・将来ニーズ ・操縦・制御のために動画伝送が必要(山間部の牧草地では、地形や樹木等の情報が必要) ・ペイロード用通信として、オンライン処理する上で10km程度の通信距離が必要 6 本資料の内容は「無人航空機システムの利用技術に関する関係機関連絡会」の活動の一環として調査したものです。 運輸分野 用途・アプリケーション ・離島への医療物資・緊急物資等の輸送<認可済> - DHL事例(ドイツ):12km区間の定期運航、着陸地点から配送先までは別途車両により配達 ・宅配サービス<コンセプト・実証段階> - Amazon事例(米国):時速80km/hで片道30分以内の配達を予定、配送先に着陸 - Google事例(米国):商業用配送サービス、ホバリング状態で荷物をケーブルにより投下 ・山間地への血液・医療物資搬送 使用機体 ・マルチロータ機、テイルシッター型垂直離着陸機(4ロータ+固定翼)、シングルロータ機 使用ペイロード ・輸送 使用周波数帯 - 運用 方法 利用環境 ・海上、山間部等 (住宅地等での運用についてはコンセプトのみ) 飛行高度 ・50m程度 飛行距離 ・数km~40km程度 離発着方法 ・特定地点における離着陸 (住宅地等の任意地点での離着陸はコンセプトのみ) 制御・運用方法 ・GPSによるウェイポイント自律航行 特徴的な安全確 保の措置 ・地上局から常時監視、緊急事態発生時には即時に手動制御に切り替え実施 ・降雨・降雪・粉塵の防護設計、防音構造(50mの距離で人の声と同等) ・住宅上空は飛行しないとの自主規制を設定 ・衝突回避センサーを検討中 通信の課題・将来ニーズ - 7 本資料の内容は「無人航空機システムの利用技術に関する関係機関連絡会」の活動の一環として調査したものです。 測量分野 用途・アプリケーション ・火山島などの航空測量(オルソモザイク画像作成、島の面積算定、3次元標高モデル作成等) 使用機体 ・固定翼機(エンジン) 使用ペイロード ・デジタルカメラ(静止画:約2,100万画素) ※できるだけブレないことが重要 使用周波数帯 ・2.4GHz帯(制御) 運用 方法 利用環境 ・島嶼上空、火山上空、海上航行等 飛行高度 ・700m(全景撮影)、400~500m(希望撮影高度)、できるだけ低高度(生態系撮影) 飛行距離 ・片道130km(西之島事例) 離発着方法 ・滑走路で離発着(手動) 制御・運用方法 ・事前設定経路・高度の自律飛行 (モザイク画像(複数枚の画像を繋げて1枚の画像とする処理)作成のため、1回の航行で観測対 象を縦横に複数回飛行する航路を設定、2程度の高度を設定) 特徴的な安全確 保の措置 ・ノータム発行 通信の課題・将来ニーズ ・運航期間中の機体制御情報の取得(通信距離の長距離化、衛星通信の利用) ・撮影対象や障害物確認のための動画伝送(VGA画質・15~30fps) ・ペイロードカメラの設定変更、制御 8 本資料の内容は「無人航空機システムの利用技術に関する関係機関連絡会」の活動の一環として調査したものです。 環境分野(一部研究開発) 用途・アプリケーション ・放射線量モニタリング、除染効果測定等 使用機体 ・固定翼機(エンジン)(研究開発) ・シングルロータ機 使用ペイロード ・放射線検出器 ・放射線検出器、デジタルカメラ(動画) 使用周波数帯 ・2.4GHz帯、5.03GHz帯、UHF ・920MHz帯、1.2GHz帯、2.4GHz帯 ・5GHz帯(屋内のみ) 運用 方法 利用環境 ・森林・耕作地等の人が立ち入りにくい地域、高線量率場 飛行高度 ・150m程度 ・50~150m 飛行距離 ・地上局から40km程度の範囲内(電波見通し 内、飛行時間6時間、速度90~110km/h) ・地上局から数km程度の範囲内 (速度30km/h以下) 離発着方法 ・滑走路にて離発着(手動) ・任意地点から離発着(手動) 制御・運用方法 ・GPSによるウェイポイント自律航行 ・地形追従モードによる高度制御 ・屋内では、間接・直接目視での遠隔制御 ・屋外では、間接・直接目視での遠隔制御 もしくはGPSによるウェイポイント自律航行 特徴的な安全確 - 保の措置 通信の課題・将来ニーズ - ・通信距離、通信速度の増加 ・操縦・制御用に画像情報を利用可能であるこ とが必要(現状は通信距離、通信速度の制約 から画像情報の伝送不可) 9 ・屋内における自律制御飛行を検討中 ・建物等による通信途絶、通信遅延が課題 ・操縦・制御用の動画伝送に数十Mbps程度確 保できれば、運用側で画素数やフレームレート を適宜設定可能 本資料の内容は「無人航空機システムの利用技術に関する関係機関連絡会」の活動の一環として調査したものです。 高高度滞空監視(研究開発) 用途・アプリケーション ・豪雨による土砂災害・火山噴火等の進行性災害の連続監視 ・災害時の通信中継 ・広域海上監視 等 使用機体 ・固定翼機(エンジン) 使用ペイロード ・光学センサ、SAR、LiDAR等、各種リモートセンシング用センサ ・通信中継器 等 使用周波数帯 ・未定 利用環境 ・雲上で地上の天候に依存しない環境 飛行高度 ・16.5km以上 飛行距離 ・2000km程度の範囲内(我が国EEZをカバー) 離発着方法 ・所定の飛行場(800m滑走路)にて離発着 制御・運用方法 ・1機72時間の航続時間により、2機交替で連続滞空ミッションを実現 ・主系リンク(5GHz帯想定):直接通信にてコマンド・テレメトリ伝送、ATC通信、遠隔手動操縦能 力を担保 ・衛星リンク:ミッション空域では衛星リンクでコマンド・テレメトリ伝送、ATC通信、最低限のC2リン クを確保 特徴的な安全確 保の措置 - 運用 方法 通信の課題・将来ニーズ ・高高度滞空技術、無人機運航技術、ミッション技術等の研究開発を実施 10
© Copyright 2024 ExpyDoc