厚生年金基金解散に関するQ&A

厚生年金基金解散に関するQ&A
目 次
解散関係
Q1 なぜ基金を解散するのか?
Q2 基金の解散方法はどうするのか?
Q3 基金の解散日は決まっているのか?
Q4 基金解散ではなく、代行返上し確定給付企業年金へ移行するなどの選択肢はなかった
のか?
Q5 事業所としては解散に向けて何をすればいいのか?
Q6 3分の2以上の同意取得ができなかったらどうなるのか?
掛金関係
Q7 基金が解散するのであれば掛金負担は必要ないのではないか?
Q8 基金が解散した場合、掛金の負担はどうなるのか?
給付関係
Q9 基金が解散した場合、年金給付はどうなるのか?
Q10 なぜ選択一時金、脱退一時金及び遺族一時金を停止するのか?
Q11 加算年金受給者は加算年金をもらえなくなるのか?
不足金関係
Q12 解散するのに、なぜ不足金を事業所において負担しなければならないのか?
Q13 基金解散時の積立不足金額は確定しているのか?
Q14 事業所が負担する不足金はいつどのように計算するのか?
Q15 事業所が負担する不足金はいつどのように納付するのか?
Q16 不足金を事業所が負担した場合の税法上の取り扱いは?
その他
Q17 事業主・加入員・年金受給者に対する説明はどうするのか?
Q18 基金解散前に事業所が基金を脱退するのは可能か?
Q19 基金解散後の、新規採用社員の加入手続きはどうなるのか?
Q20 基金解散後も、加入員に上乗せの年金制度を残したい場合は、どうすればよいのか?
全日本バルブ厚生年金基金
厚生年金基金解散に関するQ&A
Q1 なぜ基金を解散するのか?
A
基金解散を決定した主な要因は次のとおりです。
1.厚生年金基金制度見直しに関する改正法が成立し、
基金存続の要件が厳しくなっており、
平成26年4月から5年の間に下記のいずれかの要件を満たすことが求められております。
存続要件
基金が積立金
(純資産額)
を最低責任準備金の1.5倍以上保有していること
基金が積立金
(純資産額)
を最低積立基準額と同額以上保有していること
2.存続要件を満たすためには、大幅な掛金負担が必要となっております。
加入員1人当たり(事業主負担)の掛金負担の試算結果は「厚生年金基金の解散につい
て」の12頁を参照ください。
3.年金給付額が掛金額を上回る状況となっております。
平成25年度の年金経理の決算において、年金給付の支出額(1,935百万円)が掛金の収
入額(1,548百万円)より平成24年度から上回る状況となっております。
「厚生年金基金の解散について」の9頁を参照ください。
上記1~3により、基金存続には大幅な掛金の引き上げが必要となり事業主に多大な掛
金負担を求めることは極めて厳しい状況にあると判断し、基金解散を決定いたしました。
Q2 基金の解散方法はどうするのか?
A
当基金は特例解散制度による解散を予定しており、代行部分に対する不足額を分割して
国(日本年金機構)へ納付できる分割納付の特例措置、国へ返還する代行部分の給付に必
要な金額(最低責任準備金)を減額できる納付額の特例措置が適用される解散といたしま
した。
この場合は、認定要件である適切な掛金の設定(特別掛金の徴収)及び給付抑制のため
の措置(給付水準の引き下げ)、年金資産保全の措置(一時金の支給停止)の、いずれも満
たした場合は、納付額の特例(減額責任準備金)及び分割納付の特例(事業主間の連帯債
務なし)が適用され基金が解散できることになっております。
特例解散の要件を満たさなければ通常解散となり、特例措置(納付額の特例及び分割納
付の特例)が適用されず、不足金が生じている場合はその不足金を国へ一括返還(事業主
間の連帯債務あり)することとなっております。
国へ返還する際の事業主負担額の試算結果は「厚生年金基金の解散について」の14~15
頁を参照ください。
特例解散の申請をする場合は、事前に、事業主及び加入員の3分の2以上の解散同意の
取得・代議員定数の3分の2以上の議決を経て厚生労働大臣に申請することになっており
ます。
併せて、分割納付(納付計画)を希望する場合は、設立事業所の事業主が厚生労働大臣
に申請することになっております。
なお、特例解散の場合は、特例解散認可申請後に社会保障審議会企業年金部会の第三者
委員会にて調査審議を経ることから、特例解散が認められない場合も考えられますが、こ
のときは通常解散の扱いとなります。
Q3 基金の解散日は決まっているのか?
A
基金の解散日は決定していません。
基金を解散するためには、平成26年9月26日開催の第69回代議員会において「基金解散
方針の議決」
・「規約変更」を行った後に、事業主等への説明、事業主・加入員の同意取得、
基金と国の記録突合せ、代議員会の解散議決を得ての認可申請となります。解散の認可申
請までに概ね1年半から2年程度を見込んでおります。
解散認可までのスケジュールは「厚生年金基金の解散について」の18頁を参照ください。
Q4 基金解散ではなく、代行返上し確定給付企業年金へ移行
するなどの選択肢はなかったのか?
A
代行部分を国に返上し、上乗せ部分を引き続き確定給付企業年金として運営していくた
めには、原則、全加入事業所の賛同が必要なうえ代行部分の最低責任準備金(不足金の一
括負担)を国へ返還し、新たに上乗せ部分の掛金も負担する必要があります。
加入員1人当たり(事業主負担)の負担金額の試算結果は「厚生年金基金の解散につい
て」の13頁を参照ください。
代行返上には多大な負担が必要となり事業主に今まで以上の掛金負担などを求めること
は極めて厳しい状況にあり、代行返上は難しいと判断し、見送ることといたしました。
Q5 事業所としては解散に向けて何をすればいいのか?
A
基金と国の記録が不一致の場合は事業所に被保険者記録の照会をさせていただくことが
ありますので、ご協力をお願いいたします。
解散認可申請に向けて、事業主様の同意と加入員の方々の同意取得にご協力をお願いい
たします。また、労働組合の同意取得にもご協力をお願いいたします。
Q6 3分の2以上の同意取得ができなかったらどうなるのか?
A
3分の2以上の同意取得ができないときは、解散することができないこととなっており
ます。
特例解散の申請をする場合は、事前に、事業主及び加入員の3分の2以上の解散同意の
取得が必要要件となっております。
何卒、事業主説明会の実施後に、事業主及び加入員の解散の同意書をいただきますよう
お願いいたします。
要件を満たさなければ現行制度のまま今後も基金を継続していくこととなります。しか
しながら、存続要件をクリアしないと国による解散命令が出され、その結果通常解散とな
り、特例措置(納付額の特例及び分割納付の特例)が適用されず、不足金が生じている場
合は国へ一括返還(事業主間の連帯債務あり)することとなっております。
国へ返還する際の事業主負担額の試算結果は「厚生年金基金の解散について」の15頁を
参照ください。
Q7 基金が解散するのであれば掛金負担は必要ないのではないか?
A
厚生労働省の解散認可を受けるまでは、基金の年金給付の支払いは続きますので、掛金
を払っていただく必要があります。
また、基金の解散には、国の代行部分の最低責任準備金(債務)を返還する必要があり、
積立不足金が生じている場合は事業主に負担をかけることがありますので、解散認可日ま
で掛金を払っていただくことで、解散時の不足金を少しでも少なくすることができます。
ご理解、ご協力いただきますようお願いいたします。
Q8 基金が解散した場合、掛金の負担はどうなるのか?
A
厚生年金基金が解散した場合の掛金については、代行部分の標準掛金料率3.8%(事業
主1.9%・加入員1.9%の折半)は解散認可月の当月分から国へ納付することになります。
また、基金独自の上乗せ部分の掛金率3.2%(全額事業主負担)は、解散認可月の当月
分から掛金負担がなくなります。
Q9 基金が解散した場合、年金給付はどうなるのか?
A
厚生年金基金が解散した場合の年金給付については、代行相当部分の老齢厚生年金(報
酬比例部分)の給付は解散認可月の翌月分から国から支給されることになります。
ただし、国の支給要件に従って支給されるため、例えば在職中や失業給付を受給中のと
きは、国の老齢厚生年金は「併給調整」が行われますので、受給中の年金額が減少する場
合があります。
加入員等への影響は「厚生年金基金の解散について」の17頁を参照ください。
上乗せ給付部分(加算年金部分と基本プラスアルファ部分)については、特例解散認可
申請月の翌月から支給停止いたします。
Q10 なぜ選択一時金、脱退一時金及び遺族一時金を停止
するのか?
A
当基金は、現在、年金資産が国に返還が必要な代行部分を下回る状況にあります。
そして当該不足額を事業主様負担にて追加拠出したうえで解散することが法令上、義務
づけられております。
さらに、特例解散を国に認めてもらうためには認定要件の一つになっている年金資産保
全の措置として一時金を支給停止することを国から求められております。
以上のことから6月25日の代議員会において選択一時金、脱退一時金及び遺族一時金の
支給停止を決定いたしました。
実施時期については、対象者に対して支給停止する旨の周知期間を考慮し、平成26年9
月26日開催の代議員会における「基金解散の方針」の議決から約3ヵ月程度の期間をもっ
て支給停止をすることとしております。
支給対象者の期限につきましては、平成26年12月31日までの退職予定者とさせていただ
きます。
誠に申し訳ございませんが、ご理解いただきますようお願いいたします。
Q11 加算年金受給者は加算年金をもらえなくなるのか?
A
加算年金の受給権者に対しては「既得権の尊重」及び「年金資産の保全」の双方の観点
に配慮し、一定期間に限って選択一時金を希望した方には、加算年金の保証期間(20年)
の残余期間に応じた一時金を支給いたします。
10月以降に選択一時金裁定請求書を送付しますが、提出期限につきましては、平成26年
12月31日(当日の消印有効)までの提出とさせていただきます。
なお、請求書の提出がない場合は、解散認可申請日までは加算年金が支給されますが、
翌月から加算年金の支給が終了されることとなります。
Q12 解散するのに、なぜ不足金を事業所において負担
しなければならないのか?
A
このたび改正された厚生年金基金制度の見直し法により、代行割れ基金で特例解散を申
請し、特例解散認可日の当月時点において代行部分の必要積立額が不足しているときは事
業主負担にて追加拠出することが法令上(改正前厚生年金保険法第138条第6項)義務づ
けられております。
また、分割納付の特例によりその不足額は国(日本年金機構)が直接事業主から徴収す
ることになっております。
何卒、ご理解いただきますようお願いいたします。
Q13 基金解散時の積立不足金額は確定しているのか?
A
代行部分の積立不足金額については基金解散認可日の当月時点において算定いたします
ので、現在のところ不足金は確定しておりません。
参考ですが、平成25年決算において解散するとした場合における代行部分の積立不足金
額は、通常解散のときは18億6百万円となり特例解散のときは1億48百万円となっており
ます。
なお、解散認可日時点でいったん積立不足金額を算定いたしますが、解散認可後に行う
詳細な記録整備の結果によって積立不足金額が変動いたします。従いまして、最終的に積
立不足金額が確定する時期は「財産目録承認申請」時点であることを、お含みおきくださ
い。
Q14 事業所が負担する不足金はいつどのように計算するのか?
A
厚生労働省からは、具体的な計算方法が示されておらず、
「解散時の事業主の掛金負担
の割合」など公平な負担方法であればよいとされております。
当基金としての計算方法はこれから検討を始めていきますが、事業所が基金を任意脱退
する場合に負担していただいている、一括拠出金の計算方法(標準報酬給与割合)をベー
スに決定していきたいと考えております。
Q15 事業所が負担する不足金はいつどのように納付するのか?
A
各事業主には、解散認可日時点でいったん負担額(概算額)をお知らせいたしますが、
負担額の確定は財産目録承認申請する時点となります。各事業主が国へ直接納付すること
になります。
納付方法は(一括納付または分割納付)は事業所ごとに選択することとなっており、分
割納付(納付計画)を希望する場合は、設立事業所の事業主が厚生労働大臣に分割納付の
申請をすることになっております。あわせて、全設立事業所の収支状況、貸借対照表・損
益計算書を添付することになっています。
この場合、解散時期に応じて10年国債の利回りに基づき決定される利息が必要となりま
す。納付方法については、改めてご案内させていただきます。
Q16 不足金を事業所が負担した場合の税法上の取り扱いは?
A
税務上は「特別損失」として取り扱うとされております。
厚生労働省のホームページ(URLは下記参照)に記載の「厚生年金基金の特例解散に
伴う母体企業の税務上の取扱い」によれば、実際の分割納付時に費用計上(損金経理)す
る取り扱いとしております。
URL…http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kousei/
Q17 事業主・加入員・年金受給者に対する説明はどうするのか?
A
基金解散の説明方法について事業主・事務担当者は、東京・大阪・愛知の3ブロックに
おいて説明会を開催する予定であり、日時・開催場所につきましては、改めてご案内させ
ていただきます。
加入員につきましては、解散の同意をお願いすることになりますので、解散に関するパ
ンフレットは事業所を通して配付方お願いいたします。
年金受給者(待期者を含む)につきましては、解散に関するパンフレットを送付するこ
ととしております。
Q18 基金解散前に事業所が基金を脱退するのは可能か?
A
事業所が任意で脱退することは可能ですが、任意脱退には次の点にご留意ください。
○加入員の半数以上の同意が必要なこと
○代議員会(毎年9月、2月開催予定)において任意脱退の承認が必要なこと
○代行・上乗せ部分に係る不足金の一括負担(脱退時一括拠出金)が必要なこと
参考ですが、平成25年決算において任意脱退するとした場合における脱退時一括拠出金
額は、1人当たり約1,146千円となっております。
Q19 基金解散後の、新規採用社員の加入手続きはどうなるのか?
A
平成26年9月26日開催の代議員会において解散方針の決議後の翌月(10月1日)から新
規採用した社員については、基金独自の上乗せ部分の新規加入は加算非適用となりました。
加入員資格取得届の「非加算」欄に○を囲み提出してください。
なお、解散認可までは、代行部分の事務処理はこれまでどおり続きますので、新しく採
用した社員の方でも代行部分(報酬比例部分)の加入は、従来どおり加入員資格取得届の
手続きをお願いいたします。
また、届出がない場合、基金記録と厚生年金記録が不一致となり、基金記録突合せ及び
基金解散に支障をきたすことになりますのでご理解いただきますようお願いいたします。
Q20 基金解散後も、加入員に上乗せの年金制度を残したい場合
は、どうすればよいのか?
A
当基金は解散後において後継制度の構築は困難なことから、上乗せ部分に係る代替制度
の導入については、各会社でご検討いただくことをお願いいたします。
代替制度の検討に際しては、大きく分けて、
各会社において①退職一時金で準備するケー
ス(内部留保で対応するケース)と、②退職一時金の一部を社外積立により活用するケー
ス、が考えられます。
このうち、
「②社外積立を活用するケース」では、一般的に、⑴確定給付企業年金
(DB)
、
⑵確定拠出年金(DC)、⑶中小企業退職金共済制度(中退共)
、などが考えられますので、
基金事務局にお申し出いただければ必要な金融機関をご案内させていただきます。
●お問い合わせ先
全日本バルブ厚生年金基金 ☎03−5623−2066