2015.8 石川県立図書館 利用サービスグループ 〒920-0964 No. 25 金沢市本多町 3-2-15 加賀藩の歴史については様々な研究がなされ、本もたくさんでています。その中から、これから加賀藩の 歴史に触れてみようという方におすすめの資料を紹介します。 「加賀百万石」の百万石ってどういう意味? 「石」は尺貫法の体積の単位で、1 石=10 斗=100 升=1000 合=約 180ℓ です。 大名がどのくらい領地をもっているかは、面積ではなくそこからとれる玄米の量(石高(こくだか))であらわさ れました。この石高が加賀藩の場合およそ102万石であったことから、俗に「加賀百万石」と言われたのです。 大名としての格や義務、幕府における役職なども石高によって決まりましたが、加賀藩の石高は徳川幕府を別に すれば全国の大名の中で最も大きなものでした。これに次ぐ鹿児島の島津家は77万石、仙台の伊達家は62万 石とされています。 ( 『丸善単位の辞典』p513 より、明治 1~2 年の石高) 大名の石高は江戸時代を通じて一定だったわけではなく、さまざまな事情で増減することがありました。 『藩史大事典』(雄山閣出版 1989.7 210.5/435)で各藩の時代ごとの石高を知ることができます。 また、幕府に認められた加賀藩の石高は102万石でしたが、実際には135万石ほどの収穫があったとされ ています。公称の「102万石」を表高(おもてだか)、実際の「135万石」を内高(うちだか)といいます。 なお、米 1 石はだいたい 1 人が1年に食べる量で、金に換算すると約1両になりました。米の単位には他に 「俵」 (ひょう)がありますが加賀藩では 1 俵=5斗でしたので、1 石は2俵でした。 (明治以降は1俵=4斗) (注:文中、石高の値に関して万石未満は切捨ています。 ) (参考文献: 『書府太郎』 (北國新聞社 2004.11 K030/1003) 『国史大辞典』 (吉川弘文館 1985.2 R210.03/95) 『丸善単位の辞典』(丸善 2002.3 R609/10009) 『武士の家計簿』(新潮社 2003.4 K209.5/1018)) ↑5斗俵で米1俵の重さはおよそ75kg、1石(2俵)で約150kg になります。 こんなことを調べています~事例紹介 Q.加賀藩の武士はみな前田の殿様の家来だったのか。 「陪臣」と A.明治2年の調べによると加賀藩には7500人以上の「陪臣(ばいしん)」がいたとされています。 は藩主の直接の家来ではなく、藩主の家来である「直臣(じきしん)」の藩士に仕える、藩主からは家来の家来に あたる武士のことです。 直臣のなかでも有力な、加賀八家のひとつに挙げられる本多家などは、小さな藩に匹敵する規模の家来を陪 臣として抱えていました。石川県立図書館のある「本多町」は、本多家の陪臣たちの住む下屋敷があったこと からその名前がついています。 (参考文献: 『金沢市史 通史編2』(金沢市 2005.12 K222/125/3-2) 『加賀藩士』(石川県立歴史博物館 2000.4 K069/25/00-1) 『金沢市歴史のまちしるべ案内』 (金沢市 2013.11 K292.2/1156)) 〈加賀藩の歴史全般の資料〉 ①『こども金沢市史 第 2 版』(金沢市 2012.10 K222/1048) 文章を平易にし、少しずつ読める構成にするなど、 こども向けに工夫されているが、内容は大人にも興味深い。加賀藩に関する項目はp50~182。 ②『金沢市史 通史編 2』(金沢市 2005.12 K222/125/3-2) 金沢市史のうち藩政期についての巻。900 頁以上あ るので通読するのは大変だが、基本的な事項がまとまっており、目次を活用して調べ物をするのによい。 ③『書府太郎』 (北國新聞社 2004.11 K030/1003)石川県に関する事柄を扱う百科事典。人名や歴史事項等の概 要をとりあえず把握するのに便利。人物・歴史の項目は上巻にあるが、下巻の巻末付録に藩主一覧あり。 ④『加越能近世史研究必携 第 2 版』 (北國新聞社 2011.7 K209.5/1039)歴代の藩主や加賀八家の情報、藩の機 構図、奉行や代官の名前、用語集など、加賀藩を調査・研究する際に参照したい情報が載っている。 〈歴代藩主とその時代に関する資料〉 ⑤『利家・利長・利常』(北国新聞社 2002.3 K288.5/1044) 織豊時代を生きた初代前田利家、徳川の時代へ の変化に対応した2代前田利長、幕末まで続いていく加賀藩の基礎を作った3代前田利常の人物像と事績。 ⑥『前田綱紀』(吉川弘文館 1986.11 K288.5/70) 全国でも最も長く藩主の座にあり、改作法の実施や学問の振 興など多くの治績により名君として知られる5代藩主前田綱紀(つなのり)の人物と業績を紹介。 ⑦『寺島蔵人と加賀藩政』(桂書房 2003.9 K289/1123) 12 代藩主斉広(なりなが)の時代、改革者として知ら れた寺島蔵人を通して加賀藩政の実態を明らかにする。 ⑧『前田慶寧と幕末維新』(北國新聞社 2007.12 K288.5/1069) 加賀藩最後の藩主前田慶寧(よしやす)の人物 像と、幕末動乱における加賀藩の動向。 〈絵図や地図、実物に親しむための資料〉 ⑨『よみがえる金沢城 1』(石川県教育委員会 2006.3 K391/1026/1) 時代ごとの金沢城の変遷を軸に、それに 関わる出来事や人物のエピソードなどを紹介。絵図や肖像画、カラーの図版が豊富。 ⑩『肖像画にみる加賀藩の人々』(石川県立歴史博物館 2009.4 K069/25/009-1) 加賀藩の人物の肖像画を集め た石川県立歴史博物館の展示図録。前田家当主や家臣、奥方の他、学者や僧侶、町人、画家、俳人などいろ いろな人物の肖像画が掲載されている。 ⑪『金沢・北陸の城下町』 (平凡社 1995.8 K290.3/327) 太陽コレクションシリーズの中の 1 冊。古地図と平 成の町並みの比較を中心に、様々な視覚的史料を掲載。藩政期の町の様子を知ることができる。 ⑫『石川県の歴史散歩』 (山川出版社 2010.7 K290.9/1154)歴史の舞台を実際に訪ね歩くためのガイドブック。 場所ごとに見所やそこにまつわるエピソードなどが紹介されている。 ⑬『加賀藩士』(石川県立歴史博物館 2000.4 K069/25/00-1) 石川県立歴史博物館の展示図録。藩士の肖像や書状、 武具、絵図なども魅力的だが、 「総合解説」として加賀藩の制度や武士の生活、当時の科学技術に関する説 明がコンパクトに収められている他、巻末には人物紹介もあり、手軽に詳しく知ることができる。 〈テーマごとの研究〉 ⑭『拝見・武士の家計簿』 (日本放送出版協会 2007.8 K209.5/1028) NHK 教育テレビのテキスト。家計簿をは じめとする古文書から幕末前後の武士の姿を読み解く。 ⑮『参勤交代道中記』(平凡社 1993.9 K209.5/74) 『加賀藩史料』 (加賀藩の公式記録)から「参勤交代」の実 像を明らかにする。何月に旅をしたのか、どのようなルートを通ったのか、行列は何人、どうやって川を渡 ったのか、途中の宿場では何を買ったのか、等々の細かい部分が興味深い。 ⑯『日本一の大大名と将軍さま』 (グラフ社 2009.9 K288.5/1075)関ヶ原合戦から5代綱紀の時代に至るまで、 様々な史料からエピソードを紹介しつつ徳川幕府と加賀藩の関係について考える。 調べものは調査相談カウンターまで 電話:076-223-9575 FAX:076-222-2531 メール:[email protected]
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