シュートバレー ~ラリーをつなげて、ラリーを切る~

体育科学習指導案
指導者:西岡 毅
シュートバレー
~ラリーをつなげて、ラリーを切る~
1.学年・組・場所
第6学年南組(39名) 体育館 於
2.授業づくりの視点
本単元での提案
ネット型ゲーム(連携プレイ型)においての3人対3人のゲームをすることが多い。3人対3
人のゲームをすれば、全ての児童が触球し、3段攻撃を意図的に学ぶことができるのではない
だろうか。確かに3人が役割を持って「ひろう」
「整える」
「アタック」の3段攻撃の基礎を学
ぶことができる。しかし、2人が触球し、残された1人が「アタック」する場面において、相
手がブロックをした場合、それを交わす方法は、作戦として立てることが困難である。なぜな
ら、2人がボールに触った時点で残された1人がアタックを打つことが予想できるので、相手
は、それを封じにかかるようになる。それを打破するには、「整える」場面で、いかに相手を
揺さぶることができ、誰がアタックするか分からないようにすることが大事になる。
「ひろう」
「整える」
「アタック」の「整える」場面を「惑わす」場面に設定し、トスを上げる人をキー
パーソンに置き、ゲームを組み立て行く学習展開を提案する。
教材について
児童について
ネット型ゲームでは、ボールを弾くことが
学級では、ネット型ゲームでどんな技能を
難しく自分が思う方向にボールを飛ばすこ
高めたいか聞くとアタックが15人とブロ
とが難しい。
ックが12人いた。
技能面が難しいと戦術を考えても実行する
球技が苦手な児童は、積極的に参加するこ
ことが難しい。
とが難しい。
ボールを弾かずキャッチすることで自分の
自分の課題は懸命に取り組むがチーム内で
意図したところにボールを投げることがで
技能上のポイントを教え合ったり、動き方
き、戦術が立てやすい。
を共有したりする活動が成立しにくい。
指導にあたって
ネット型ゲームにおいては、
ラリーの途中で相手より先に相手コートにボールを落とすことに
面白さである。その中でも「ラリーの途中で」ということが重要である。なぜなら、お互いの
チームはラリーを切ることと同時に自分のコートでボールを落とさない、すなわちラリーを切
られることを防ぎながら攻防しているからである。本単元では、相手にラリーを切らせないた
めにブロックしたり、ポジションを考えたりしながら、チームに合った戦術を共有させたい。
また、ラリーを切る場面では、
「どこに・誰に・どのタイミング」でトスを上げ、相手コート
にボールを落とす戦術を考えさせたい。そのためには、シュート(アタック)ができる人を増
やし、
誰が打つか分からないようにすることで、
攻撃を組み立てることができるようにしたい。
そして、戦術をチームで共有するために技術面を緩和し、全てキャッチすることを認めること
で、意図的にどこに向かってトスを上げているのかを明確にできるようにしていきたい。
3.単元目標および評価規準
単元目標
具体的評価規準
狙った所にボールを投げ入れた
技能
り、仲間にパスを出したり、キ
ャッチしたりすることができる
ようにする。
効果的に攻撃できる作戦を立て
思考
たり、相手の攻撃を防ぐ方法を
判断
考えたりすることができるよう
にする。
関心
意欲
態度
・ 近くや遠くの人にパスを出すことができる。
・ ボールを持たない時に相手のブロックを引きつ
ける場所に移動することができる。
・ パスを受けて相手がいない所にボールを投げ入
れることができる。
・ トスを上げる人が誰にトスをするかを判断する
ことができる。
・ ボールを持たない人がどこに動けば、相手がブ
ロックしにくいかを考えている。
運動に進んで取り組み、ルール
を守り助け合って運動したり、
場や用具の安全に気を配ったり
することでできるようにする。
・ 練習やゲームに進んで取り組もうとしている。
・ ルールやマナーを守り、友達と助け合って練習
やゲームをしている。
・ 用具や準備の片づけで分担された役割を果たそ
うとしている。
4.単元展開と指導言例(本時5/8)
1時間目
・キャッチバレーについてイメージを作り学習の進め方を理解する。
→ 「ボールをキャッチするには体の向きはボールに対してどのようにすれ
ばいいかな」
2時間目
・ラリーをつなぐボール操作の技能を身につけることができる。
→ 「どこに動けば、ボールを拾うことができるかな」
→ 「どんな構えだとキャッチしやすいかな」
3~4時間目
・3段攻撃でラリーを切ることができる。
→ 「ボールを相手コートに落とすには、どこを狙えば良いかな」
→ 「トスはどんな上げ方があるかな」
→ 「相手のタイミングをずらすトスの上げ方はあるかな」
→ 「速い球に対してどこにいればキャッチすることができるかな」
→ 「どのようにブロックすれば、相手のシュートを防ぐことができるかな」
5~7時間目
・ブロックを交わしてラリーを切ることができる。
→ 「それぞれのチームに1人追加します。ブロックを交わすためにボールに
触らない人は、どんな動きをすればいいかな」
→ 「誰に・いつ・どのタイミングでトスを上げるとブロックをかわせるかな」
→ 「アタック打つ人と打たない人でどのように連携すればいいなか」
→ 「アタックを防ぐためにどのようにブロックすればいいかな」
→ 「シュートを打たれときのフォーメーションは、どんな形がいいかな」
8時間目
・みんなで総当たりのゲームをする。
→ 「自分のチームでラリーをつなぎ、相手のコートでラリーを切ろう」
5.本時の目標
・ブロックの隙を見つけてシュートを打てる場所に走り込むことができる。
・トス(パス)を上げるポイント(人・時間・タイミング)を理解し,攻撃を組み立てることが
できる。
6.指導言を中心とした本時の展開 及び 予想される児童の発言・行動
[かまえる]
今日は,急に止まったりジャン
体をほぐす場所を指定することで,今日の動きに必要な
プしたり,ボールを投げたりす
体の部位を意識させる。
るので,足首と手首をしっかり
ほぐそう。
まずは,相手のシュートを防ぐ
2人がボールを持ってネットの上でぶつけ合うことで、
ためのブロックの練習をしよ
手を出す角度やタイミングをつかませる。
う。
パスをもらったら、すぐにシュ
ートが打てる練習をしよう。
シュート練習をすることで、早く正確にシュートする技
能を高めさせる。
[のぞむ]
4対4のゲームをします。昨日
より1人増えたことで、相手の
アタックを防ぎやすくなった
かな。どうして、防ぎやすくな
ったのかな。
ブロックができる人数が増えたことで、ブロックが2人
でできるようになり、相手のシュートを止めるやすくな
ったことに気付かせる。そして、ブロックでシュートが
止められると称賛する。また、アタッカーは、ブロック
があることで気持ちよくシュートを決められないことに
気付かせる
相手の動きをよく見てブロッ
「今まで3人で守っていたから、4人で守ろう」
クをしよう。
「もう1人、ブロック入れるかな」
「2人にブロックされるとシュートが打てないなぁ」
[ひらく]
ブロックが増えたことで、なか
ブロックをする人数が増えたことで、気持ちよくシュー
なかシュートを打てなくなっ
トを打つことができなくなったことを取り上げ、それを
たね。どうすれば、ブロックを
交わすためにどのようにすればいいか考えさせる。
ずらすことができるかな?
1人でブロックを交わす方法を考えさせる。相手の動き
からタイミングをずらしたり、シュートするコースを見
シュートを打つ人は、どんな工
夫ができるかな。
つけたりさせる
「相手の動きを見てタイミングをずらそう」
コート内は4人だと1人ボー
3回でボールを相手の陣地に返すルールなので、3人対
ルを触れなかったね。攻撃の時
3人のゲームだと全員がボールを触る機会があったが、
は、その1人は必要ないかな。
4人対4人だとボールを触らない人がでることに気付か
得点につなげるためにどんな
せる。
動きができるかな
パスを出したときにシュートが打てる人が2人いること
で片方にパスするとみせてもう片方にパスをするなど、
トスを上げる人は、どこに誰に
どんなタイミングでパスを出
せばいいかな?どうして、その
パスの出し方が有効なのかな。
2人がいることでできることを考えさせる。
「パスを渡すときにシュートする人は、ネットの近くに
きてね。
」
「シュートする人が2人いるから、フェイントできるね」
[ふかめる]
チームで考えた作戦をゲーム
どんな動きをすればブロックを交わすことができるかを
で試してみよう。
チームで共有させ、考えたことを試させる。
今、相手がどうしてくると思っ
てパスを出したの?
ブロックを惑わせるプレーができた場合は、ゲームを止
め、トスを上げた人とシュートした人の関係性をチーム
で共有させる。
どうして、ブロッカーにアタッ
「僕がシュートをするふりをすれば、相手は僕の前でブ
カーの動きが分かったのかな。
ロックをしようとするよ」
どうすれば、相手をひきつける
2人が連携してブロックを交わせたとしても遅い動きだ
ことができるの?
とすぐに追いつかれてブロックされるので、どのタイミ
ングでパスを出してシュートすればいいかを考えさせ
セッターがボールをもったら、
る。
他の人はどうするの。どこに動
「ブロックをかわせたとしても、すぐにシュートを打た
けばいいのかな。
なければ、ブロッカーが戻ってきて、シュートを止めら
れちゃうよ」
「パスをもらったら、すぐにシュートを狙おう」
[ふりかえる]
ブロックを交わすためにどん
なことができたかな。
ブロックを交わすことをシューターが2人いることで、
できる方法を共有させる。
「セッターを挟んで左右にシューターがいると左右から
の攻撃を選択できるね」
「シューターが横一列に並ぶとどちらがパスをもらうか
分かりにくいね」
相手の裏をつく動きができた作戦を紹介する。そこから,
どうして上手くいったかを紐解いていく。そして,
「○○
見せて□□する」の「○○と見せて」の部分が重要にな
ることを押さえる。