Section 4-1

確率統計基礎講義 A
分布論 (Part 8)
4. -分布と -分布
講師:栁原宏和
E-mail: [email protected]
Web: http://www.math.sci.hiroshima-u.ac.jp/~yanagi/ProbStatBasisA.html
分布論, Part 8: P.1
分布論, Part 8: P.2
の信頼区間 (1/3)
,…,
∼ . . .N ,
Interval) を考える.
のとき, の信頼区間 (Confidence
が既知の場合:
である. この場合,
∑
4.1. -分布
とすると,
は平均
の推定量
∼ N 0,1
であるので, 標準正規分布の上側2.5%点である1.96を用いて,
/
1.96
0.95
P
⇒
1.96
1.96
1.96 / ,
1.96 /
が を含む
を得る. これは「区間
確率は0.95 (95%)」ということを示しており, この区間が信頼係数
0.95の の信頼区間である.
分布論, Part 8: P.3
分布論, Part 8: P.4
の信頼区間 (2/3)
が未知の場合:
1 ∑
の信頼区間 (3/3)
が未知であるので,
を推定量
で置き換えて考える. この場合,
1.96
となる区間を考えたとき,
ないので,
P
しかしながら, が大きいときは,
であるので,
/ の従う分布は正規分布では
1.96
であり, この結果から,
→ N 0,1
1.96
/
→
0.95
となり, 上記の信頼区間の信頼係数は厳密な意味での0.95にはな
らない. P
/
1.96 → 0.95
となり, 漸近的には信頼係数は0.95と言ってもよい. 一方, が小さ
いときは, 漸近的な近似には問題があるので, 上記の信頼区間を
信頼係数を0.95とすることには問題がある. 実は,
/ が
従う分布が自由度
1 の -分布であり, -分布の上側2.5%点を
用いれば, 信頼係数0.95の の信頼区間を構成することができる.
分布論, Part 8: P.5
分布論, Part 8: P.6
-分布に関する定理 1
定義
-分布 ( -Distribution):
-分布は1908年にギネスビール社で働くゴセット(Gosset, 18761936)により発見された. ギネスビール社は社員が学術雑誌に論文
を投稿することを禁じていたので, ゴセットはスチューデント
(Student) という偽名を使って -分布に関する論文を発表した.
そのため, 現在でも -分布のことをスチューデントの -分布と呼ぶ
ことがある.
定義: 互いに独立な確率変数
るとき,
と
が
∼ N 0,1 ,
∼
定理4.1.1.
,…,
∼ . . .N ,
のとき,
∼
である.
であ
/
の従う分布を自由度
の -分布といい,
∼
と書く.
分布論, Part 8: P.7
分布論, Part 8: P.8
-分布の確率密度関数
定理4.1.1の証明
∼
のとき, の確率密度関数は
Γ
1 /2
;
1
Γ /2
となる.
/
∈
注意4.1.1) -分布の定義として, 以下でもよい.
∼ であるとは, 確率変数 が従う分布の確率密度関数が
; であるときのことをいう.
この場合, は自然数である必要はない.
分布論, Part 8: P.9
分布論, Part 8: P.10
-分布に関する定理 2
確率密度関数の証明
定理4.1.2. ∀ ∈
に対して,
lim
→
証明に利用する公式:
スターリングの公式1
2
Γ
スターリングの公式2
1
log Γ
log 2
2
分布論, Part 8: P.11
1
;
/
2
/
1
1
log
2
分布論, Part 8: P.12
特性 (1/2)
定理4.1.2の証明
1. 自由度 の -分布は, 標準正規分布と同様に, 0を中心に左右
対称な分布であるが, 分布の裾は標準正規分布よりも重くな
る. また が大きくなれば, -分布は標準正規分布に近づく.
0.4
N(0,1)
t1
0.35
t5
0.3
t20
Density
0.25
0.2
0.15
0.1
0.05
0
-4
-3
-2
-1
0
1
2
3
4
x
分布論, Part 8: P.13
特性 (2/2)
2.
∼
分布論, Part 8: P.14
特性の証明
のとき,
E
0
2 ,
Var
2
が成り立つ(自由度が1のときは平均と分散, 自由度が2のときは
分散が存在しない). より一般的には, モーメントが存在すれば,
0
が奇数
/
E
1
1∙3 ⋯
が偶数
2
4
⋯
自由度が1である -分布を特別に コーシー分布 (Cauchy
Distribution) と呼ぶ. コーシー分布はモーメントが一切存在し
ない分布の代表的なものである.
分布論, Part 8: P.15
分布論, Part 8: P.16