スイートソルガムとトウモロコシの節間形質の比較 誌名 日本作物学会東北支部会報 ISSN 09117067 藤井, 昭裕 著者 中村, 聡 斎藤, 満保 後藤, 雄佐 巻/号 54号 掲載ページ p. 53-24 発行年月 2012年1月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波事務所 Tsukuba Office, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat 日作東北支部報 ( TohokuJ o u r n a lo fCropS c i e n c e ) N. o 5 4( 2 0 1 1 ) スイートソルガムとトウモロコシの節調形質の比較 藤井昭裕1)・中村 総 2i ・斎藤満保 2i ・後藤雄佐1) (1)東北大学大学説農学研究科・ 2 i 宮城大学食産業学部) Comparisono fInternodeCharacteristicsi nSweetSorghumandMaize AkihiroFUJII1i,SatoshiNAKAMURA2),MitsuoSAIT02J andYusukeGOT01) e)Gr αdu αt eS c h o o lo fA g r i c .,TohokuU n i v・,Miy αg i9 8 1・855ιJαpα町 2iS c h o o lo fFood ,A g r i c u l t u r α l αndE n v i r o n m e n t a lS c i e n c e s ,M iy α : g iU n i v ., Miy α : g i9 8 2 0 2 1 5 , Jα , p αn ) バイオエネルギー原料作物としてのスイートソルガ ム 安土となるスイートソルガムとトウモロコシとを用い ( S o T g h u mb i c o l o γMoench)では茎の形状が多収性 節間の諾形質を比較した 材料と方法 と船倒伏性に関連すると考えられている.茎の形状に 関連する形質としては節聞の長さ,出:面積,体積があ スイートソルガムはスーパーシュガーソルゴ…(以 げられるが,これらの節問の各形衰を下位から節開位 1 5(以下 PN 下SSと略記).トウモロコシはパイオニア 1 } I 夏に並べたグラフでは,一定の型が観察される.節開 と略記)を用いた. 2 0 1 0年 6月 38に宮城大学食産業 つのピークを持ち,それより上位に向けて順次減少し 学部内闘場に播種した栽植密度は畝間 8 5 c m . 株間 1 5 2 41 0 0日タイプを窒素成分で c m . 基肥はエコロング4 12g/ぱとくみあい化成肥料申 8号を窒素成分で 4g 節関長について開様 /ばとし追肥は行わなかった.生育を調べ. PNは 8 郎去を基部から上位に向かつて並べたグラフが示す パターン(節間新面積パターンと呼ぶ)では基部に一 ていくのが一般的である. ssは10月上旬に各品積 9個体について,各 に示した節関長では 3つ の 型 が 報 告 さ れ て い た 月下旬. (Ayyangarら 1 9 3 8 ).すなわち,1)下位器開から穂首 ) ヰl { 立節 節間まで順次節関長が増加する単純増加型, 2 開において節関長のピークを 1つ持つ単 1 峰型, 3 )中位 館需においてピークを 2つ持つ双峰型である.さら に,近年,中村ら ( 2 0 1 1 ) は極強耐倒伏性ソルガム品 節開位の節路長と節問中央部の長認と短径を測定し 種「風立」において, ピークが 2つを超えるパターン において特異な館関長パターンが観察されたことか 2 0 1 0年の生育期間中の日平均気温は. 6月下旬から 8月下旬にかけて平年より 2-4C高かった.第 l図 に主主丈と展開葉数の推移を示した草丈は 8月上旬に ら,節関長パターンは倒伏離性に寄与する可能性が推 sよりも PNで高く推移したが,最終的な草丈 かけて s た 節聞の太さは節問中央部の民f 甜積で表した.な お,第 n節と第 (n十1)節との開の節聞を第 n節罰 ( I Nn) とした.また穂苦節間は解析から除外した 結果と考察 0 を見出し多峰型と呼んだ.倒伏に強い耐性を持つ風 された. 一方, は同程度だった トウモロコシ ( z θ α m αy sL.)は同じイネ科 7日. s sでは 出穂日は P Nでは 7月2 8月248. 生育前半 (-7/19) までの出葉間隔は, ムに類似しているが,スイートソルガムと比べて,笹J I PNでは 5 . 0臼. s sでは 5 .1日とほぼ同じであった.最 8 .SS 、 で2 1だ、ったが,伸長館関数は 終的な葉数は PNで1 {犬には強い傾向にある どちらも日であった.節開位ごとの節関長を第 2図に の長大作物であり,出穂までの草姿はスイートソルガ トウモロコシで、は特にノ tター した ンとして取り扱われた報告はないが,節関長に関して 節需伸長開始節位 (節間長が 1c m以上とな の 言 己i 主 ( Morrisomら 1 9 9 4 .B i r c hら 2 0 0 2 ) からは, る最下位の節間位)は PNでは I N 4 . SSでは IN7であっ いくつかの節問長パターンの存在を類推できるが,正 た.穂首館開を除いて,最も長くなる節隠は PNでは 確に把握するためには多品種のトウモロコシを諦査す I Nl O( 2 3 .6 c m ) . SSでは IN14 ( 2 5 . 6 c m ) で,向品種と る必要がある. さらに, も中位節開において一つのピークを持っていた.ピー トウモロコシの節間形質にお ける利点をソルガムに導入することを呂的として,多 ク以持の推移は SSでは最上位の IN20まで順次減少し 数のトウモロコシを扱うにあたっては,ソルガムとト たのに対し. PNでは節間長は一旦減少した後,それよ ウモロコシの比較する場合の要点を整理しておくこと り上位節需では横ばいとなった.節間断頭穣は PNで が重要である.本試験では,今までの予備試験で選び はIN6 ( 3 .2 7 c n f ) . SSでは IN8 ( 2 .9 1 c n O で、最も太く, 出した作期が類似しほほ問じ大きさで.同様の節問 両品種ともこれより上位では徐々に細くなり,節間断 C o p y r i g h t 日本作物学会東北支部 THETOHOKじ BRA災C H .THECROPS C I E N C ES O C I E T YOFJAPA災 5 3 藤井・中村・斎藤・後藤 スイートソルガムとトウモロコシの節間形繋の比較 3 5 0 3 0 0 30 r 2 5ト 率 丈2 5 0 2 0 0 ; ;1 5 0 ~ 1 0 0 5 0 富20 r ー ← PN 長 1 5ト s s 。 附 s s c m1 0ト 4署 5ト 7 / 1 7 1 2 1 8 / 1 0 o 8 / 3 0 L ! ' l / 日 1 0 2 5 1 5 20 節賂位 第 2図節向ごとの節関長. 展 望 数 1 2 5 0 s10 枚 5 4r 6 / 1 1 7 / 1 7/21 1 P N出穣日 丹/日 8 / 1 0 1 8 / 3 0 節 s s 出稼日 問3 + -PN i I 断 i 濁2 ト 穣 │ c m1 ト 第 l図 草丈と展開業数の推移. o L 1 0 国旗パターンは同様の型であった(第 3図)• しかし, 1 5 20 節良品位 全体的にみると, PNはおよりも恭部は太いが,上位館 第 3図 節 間 ご と の 節 i 百]断面積. 関にかけての断面積の減少率が大きかった.部!間体積 節間体絞っ胴) イ砲を示し,上位にかけて減少する同様のパターンを示 した(第 4図).節間位ごとの節間体穫の積算である茎 の体積は, SSの4 5 9 cn!に対し, PNでは 4 2 4 c n !( S Sに対 rit--ト﹄llレ4125LF312ト1131ト1111L 80 6 50 40 30 26 10 は,間品種とも基部から数節陪で急激に大きくなり, PNでは IN7 ( 5 8 .O c n D,SSでは I N 1 1( 5 6 .4 c n D で板大 して O .9 2 ) とほぼ同程度であったが,節間伸長開始節 1 0 1 5 20 l i n防位 {立から 3節障では SS ( I N7~ 1 0 )8 6 .2 c n!に対し, PN 第 4悶 節問ごとの節問イ本有し ( IN4~ 7)は 1 3 5 c n !( S Sに対してl.5 7 ) であった.一 方で,中{立節間より上の節間では SS( I N14以上)2 1 1 cn ! に対し, PN ( IN11以上) 1 3 4 cn !( S Sに対して 0 . 6 3 )と SSの 方 が 大 き か っ た 全 乾 物 霊 は SSで 1989に対し, PNでは 172g( S Sに対して 0 . 8 7 ) と間程度であったが, の体積に大きく貢献していた.スイートソルガムにお 部位脱構成比に違いがみられた.葉の乾物重量はお いても,基部節開設r 萌穣を増大することによって,収 で5 0 .9gPNで5l .7g ( S Sに対してl.0 2 ) と向程度で 量性と附仔Ijf犬性の向上が期持される.従って,今後は あったが,両品麓の茎の乾物重量は, SSでは 127gで バイオエタノール原料としてのスイートソルガムで あ る の に 対 し PNでは 49.3g ( S Sに対して O .3 9 )と は,基部節間断面積を増大するための栽培技術開発が SSの方が2 . 5倍以上大きかった 必要と考えられる そのため,茎の単位 体積当たりの乾物重量で、ある茎充実度においても SS で 、 は 265mg/c n!で、あったのに対し PNでは 120mg/ c n !( S S に対 して 0 . 4 5 ) とづ、さかった A 以上のことから,まず,需品積の節関長パターンは 中位節間に一つのピークを持っていた. しかしなが J 、 i 俸の推移は従来のスイートソルガ、 ら , PNのピーク J ムで観察された単峰~とは異なっていたー ピークの後 一旦減少し横ばいとなった形では 2つ自のピークは みられなかったが双鵠型に近い形を示していた ため, その P Nの節間長パターンは単峰型と双l 峰型の中間 的な性質を持つ可能性はあったが,平均ではなく。 は小さく,茎の形状が円主ji~形であると高い収量性は望 めないと推測された.一方で, PNの基部の太さは茎 引用文献 Ayyangar,G .N .R . , V .P .PaoandT .V .R e d d y .1 9 3 8 . S t u d i e si n sorghum i n t e r n o d e s and l e a fs h e a t h s . P r o c .I n d i a nA c a d .S c i e n c e7 :1 6 1-1 7 6 ., . ]A ndrieuB .,F o i r n i e rC .2 0 0 2 .Dynamicso f B i r c hC i n t e r n o d eandsteme l o n g a t i o ni nt h r e ec u l t i v a r so f m a i z e .A g r o n .] .2 2:5 1 1-5 2 4 . 間o r r i s o nT .A . , K e s s e l e r] .R . , B uxton D .R .1 9 9 4 . Maizei n t e r n o d ee l o n g a t i o np a t t e r n s .CropS c i .3 4・ 1 0 5 5 1 0 6 0 . 中村 聡・藤井昭裕・青木香奈子・多賀谷友美・長谷 J I I耕太・新田洋司・後藤雄左, 2 0 1l.極強耐倒伏性 個々のパターンから, PNも単峰型と考えた.節関断 面積,および節間体積は SSとPNで同様のパターンを ソルガム品種 したが, PNはより円錐形に近い形を示した.その f 風立 j の節関長の解析方法 8 0 (別 1 ):300-3 0 1 ため, PNの上位節問では細長い節鰐形態となり,体積 5 4- 日作紀
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