地域パートナーHOT 情報 〔岡山県〕 日本最古の庶民の学校 ~旧閑谷(しずたに)学校の紹介~ 写真 森下秀樹(消費経済課長) [email protected] TEL 082-224-5671 (報で挿 入) 今年4月に、平成27年度「日本遺産(Japan Heritage)」の認定が文化庁から発表さ れましたが、その一つに、岡山県備前市の旧閑谷学校が、「近世日本の教育遺産群―学ぶ 心・礼節の本源―」として、旧弘道館(茨城県水戸市)、足利学校跡(栃木県足利市)、咸 宜園跡(大分県日田市)とともに認定されました。 認定概要は、「我が国では、近代教育制度の導入前から、支配者層である武士のみなら ず、多くの庶民も読み書き・算術ができ、礼儀正しさを身につけるなど、高い教育水準を 示した。これは、藩校や郷学、私塾など、様々な階層を対象とした学校の普及による影響 が大きく、明治維新以降のいち早い近代化の原動力となり、現代においても、学問・教育 に力を入れ、礼節を重んじる日本人の国民性と受け継がれている。 」というものです。 ※「日本遺産(japan Heritage) 」とは、 地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを日本遺産 (Japan Heritage)」として認定し、ストーリーを語る上で不可欠な魅力ある有形・無形 の文化財群を地域が主体となって総合的に整備・活用し、国内外に戦略的に発信すること により、地域の活性化を図ることを目的に創設されたもの。 ◆日本遺産(Japan Heritage)の認定結果及びロゴマークの発表について http://www.bunka.go.jp/ima/press_release/pdf/2015042401.pdf 今回は旧閑谷学校について紹介します。 閑谷学校は、寛文 6(1666)年に岡山藩主池田光政が国内巡視をして、静寂な山ふとこ ろに学問の理想郷を思い描いたことに始まり、庶民の子弟の教育を目的として、寛文 10 (1670)年に岡山藩士津田永忠に命じ創立した日本最古の庶民学校です。建築に 32 年の 旬レポ中国地域 2015 年 7 月号 1 年月を有し、全容が整ったのは元禄 14(1701)年になります。地方の指導者を育成するた めに庶民の子弟も教育し、また、広く門戸を開いて他の藩の子弟も学ぶことができました。 明治 3(1870)年、藩政改革により閑谷学校は閉鎖されましたが、明治 6(1873)年、 儒家・陽明学者である山田方谷を招聘し「閑谷精舎」として再興されました。その後、生 徒数の減少により休校となりましたが、財界や有識者から資金を募り、明治 17(1884)年 に「閑谷黌」と改称して再開され、従来の漢学に加え、英学、数学も教えるようになりま した。その後、中学校に移行するための学則改正が行われ、大正 10(1921)年には岡山県 営の岡山閑谷中学校となりました。戦後、学制改革により岡山県閑谷高等学校となりまし たが、昭和 39(1964)年、閑谷校舎は閉鎖され、教育機関としての役割を終えました。 国宝である講堂 建造物のうち、講堂は国宝に指定されており、閑谷学校の中心をなす構内最大の建物で す。屋根瓦に備前焼を用いており、いかにも儒学の殿堂にふさわしい雰囲気を醸し出して います。また、ケヤキ、ヒノキ、クスなどの良材を選び、風雨に傷みやすい部分は黒漆で 仕上げられており、基礎から屋根まで周到な設計施工によって完璧なまでに仕上げられ、 床板は現在でも鏡のように光っています。 小斎・飲室・文庫・聖廟・閑谷神社・石塀など 24 棟が国の重要文化財に指定されてい ます。また、旧閑谷学校は、周辺の津田永忠宅跡や黄葉亭などを含め、国の特別史跡に指 定されており、2 本の巨大な楷の木や周辺のもみじが美しく、秋の紅葉名所でもあります。 旬レポ中国地域 2015 年 7 月号 2 重要文化財 小斎(しょうさい) 延宝五年(1677)に建造されたもので、藩主臨学の際の御成の間である。 重要文化財 聖廟(せいびょう) 儒学の始祖孔子を祀っており、孔子廟または西御堂ともいう。本殿にあたる大成殿は貞享元(1684) 年完成。内部の厨子には鋳造の孔子像が安置されている。 重要文化財 石塀(せきへい) 閑谷学校の施設をすべて囲み、全長 765m。元禄 14(1701)年完成。 「切り込み接ぎ式」工法が用いられ、かまぼこ型の石塀となっている。 重要文化財 閑谷神社 閑谷学校創設者である池田光政を祀るため、貞享 3(1686)年に建てられたもの。 西の聖廟に対して東御堂といわれた。明治 8(1875)年閑谷神社と改称。 旬レポ中国地域 2015 年 7 月号 3 日本遺産として認定を受けたことの効果もあってか、今年のゴールデンウイークには訪 問者が約4割も増加したとのことです。また、地元の備前市では、日本遺産に続いて世界 遺産への登録を目指しているということです。 岡山県の観光地としては、岡山市の岡山城や後楽園、倉敷市の美観地区が有名ですが、 東にも足を伸ばして一度訪問されてみてはいかがでしょうか。 ◆旧閑谷学校 http://shizutani.jp/ 経済産業省 中国経済産業局 広報誌 旬レポ中国地域 2015 年 7 月号 Copyright 2013 Chugoku Bureau of Economy , Trade and Industry. 4
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