㧔␠㧕ᣣᧄේሶജቇળ ޟᐕᤐߩᐕળޠ㧔 ᐕ 㨪 ᣣ㧘⨙ၔᄢቇޓ᳓ᚭࠠࡖࡦࡄࠬ㧕 E27 ベイジアンネットワークを用いたナトリウム-水反応における ウェステージ現象の評価 Estimation of Wastage phenomena in sodium-water reaction using Bayesian network 阪大院工 ○山口 達也 山口 彰 高田 孝 真鍋勇一郎 Tatsuya YAMAGUCHI Akira YAMAGUCHI Takashi TAKATA Yuichiro MANABE 原子力機構 大島 宏之 Hiroyuki OHSHIMA ナトリウム冷却高速炉の蒸気発生器でのウェステージ現象の実験データは、 多く存在するものの、 データが古く、 またウェステージ率に影響するパラメータが多く、ばらつきも大きい。そのため、一般性のある評価モデルが提案 されていない。そこでベイジアンネットワークを用いて、最適評価とばらつきによる不確実性評価を実施した。 キーワード:ウェステージ、高速炉、ナトリウム-水反応、ベイジアンネットワーク Predicted data of c lnWの予測値 Predicted data of c lnWの予測値 Predicted data of c lnWの予測値 1.緒言 ナトリウム冷却高速炉の蒸気発生器内の伝熱管破損時に起こるウェ ナトリウム ステージ現象は、コロージョンやエロージョンなど機械的影響と化学的影響の 流入率 温度 複雑な相互作用である。実験データにはばらつきが多く、一般性のある評価モ デルはこれまでに提案されていない。本研究では、最適評価(Best Estimate) とばらつきによる評価式の作成を目的とする。著者ら[1]は、過去の知見の再整 ウェステージ率 理と実験データの取得を行い、要因分析ならびにウェステージ率評価式の構築 を行った。評価式では概ねウェステージ率を予測できたが、既往実験では要因 毎に系統立てられたデータが少なく、これらのばらつきを精度良く評価するこ とは困難であった。そこでベイジアンネットワークによる要因分析手法を提案 図 1 要因相関図 する。 2.ベイジアンネットワークの定義 ベイジアンネットワークは因果関係をネ case0 ットワークで表現し、その関係を条件付確率によって特性付けるモデルである。 3 データからの学習によりモデル構造と条件付確率を評価することができ、また 不完全なデータや欠損したデータからも学習が可能であるとの特徴がある。学 習したモデルを用いて予測を行えば、ウェステージ現象の不確実性評価に用い ることができると考えられる。図1はナトリウム温度と流入率がウェステージ -1 流入率 率に影響を及ぼすことを示す要因相関図である。過去の知見ではこれらの関係 1g/s未満 は式1のように表わされる。 1g/s以上 (1) ln W = a / T + b ln G -5 W、G、T は無次元化されたウェステージ率、水漏洩率、ナトリウム温度であ -1 3 -5 り、a,b は経験定数である。ナトリウム温度の逆数 1/T、流入率の対数 lnG、 case1 ウェステージ率の対数 lnW をパラメータとし(1)式を線形化した。それぞれの Sample data of c サンプルのlnW 3 パラメータは正規分布に従う条件付確率で定義し、データによって定数 a,b を 学習させた。 3.ベイジアンネットワークの学習 パラメータの事前分布として正規ウィッ -1 シャート分布を用いると事後分布も正規ウィッシャート分布になる(ベイズ共 役) 。この特性を利用してハイパーパラメータ(パラメータを設定するパラメ 学習 ータ)を更新することによって、モデルの学習が容易となる。既存のウェステ 学習 ージ実験データのばらつきが大きいため、ここでは仮想データを作成して学習 -5 させた。先行研究[1]では流入率とウェステージ率の関係が流入率 1g/sec 程度 -5 -1 3 を境に変化する傾向が見られている。そこで流入率に関する定数 b の異なる2 case2 Sample data of c サンプルのlnW 種類のデータ(各サンプル数 500)を作成し、2種類のデータを同時に学習さ 3 せた場合(case1)と 1 種類のみのデータを学習させた場合(case2)について データを学習させていない場合(case0)と比較して、ウェステージ率の対数 lnW の予測結果への影響について検討した結果を図 2 に示す。case1 は傾向の -1 異なる2つのデータを学習させたため分散が大きいままであるが、case2 のよ うに1つの傾向に絞って学習させた場合、分散が小さくなることが分かった。 学習 このように傾向毎に学習させることにより効率的にモデルの精度向上が可能 学習せず であり、今後どのようなウェステージデータを取得するべきかの指針を与える -5 ものと考えられる。 -5 -1 3 4.結言 ウェステージ評価式に対してベイジアンネットワークの適用検討を Sample data of c サンプルのlnW 行った結果、ウェステージ現象の不確かさを評価するのに有効であるとの見通 しを得た。 参考文献 [1] 山口他,原学会 2008 秋の年会, E51 図 2 仮想データによる学習結果 ―217―
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