リアルタイムノイズ解析

SIMetrixリアルタイムノイズ
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目次
• リアルタイムノイズ解析とは?
• ノイズ源
– ノイズ波形
– スペクトル成分
– 1/f ノイズ
• 実行中での実施
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小信号ノイズ
• 従来のSPICEノイズ解析は、小信号です。
• 小信号解析は高速で、ノイズ源について詳細な情報を提供することができます。
•
しかし:
– 小信号ノイズは、一つの動作点において、直線の小信号動作と仮定しています。
– 小信号ノイズは、ノイズ自体は動作点に大きく影響しないという前提に基づ
いています。
– 小信号ノイズは、ノイズを信号とは独立した要素として扱えるという前提に基
づいています。
– 多くの場合、小信号の前提条件が正しいかどうかを決めるのは、困難または
不可能です。
•
従って、小信号ノイズは、常に適切な解析手法であるとは限りません。特に、ミキ
サー、スイッチドキャパシター回路、サンプルホールドに通常は適していません。
3
リアルタイムノイズとは?
• リアルタイムノイズとは、時間領域内の実際
のノイズです。ランダムに生成されたノイズ
信号が、回路内のノイズを発する素子に適用
されます。
• 小信号を線形化する仮定はしていません。
• あらゆる種類の回路のノイズ解析に使用でき
ます。
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リアルタイムノイズ解析はどのよ
うに行われるか?
•
小信号ノイズ解析で使用されるノイズ源の代わりに、PWLノイズ
源が接続され、小信号ノイズ解析の場合と同じ計算式を用いて、
ノイズの大きさを設定します。
•
例えば、ダイオードのショットノイズは、単純な電流源によ
りモデリングされます。
s qrt(2.q.id)
5
ノイズ源の波形
• 各ホワイトノイズ源はPWL波形を生成し、その
各ポイントはガウス分布のランダムな値を持っ
ています。
1
0.8
0.6
0.4
0.2
-0
-0.2
-0.4
-0.6
-0.8
-1
0
Time/uSecs
5
10
15
20
25
30
5uSecs/div
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代替ノイズ源
• 四角のノイズ源を使用することができます。
• より幅広いスペクトルを持つが、早いエッジはパフォーマンスの問
題につながります。また、1/fノイズのベースとしては劣っていま
す。これについては後述します。
典型的な四角のノイズ信号
Square Noise / V
2
1
0
-1
-2
58
Time/uSecs
60
62
64
66
68
70
72
2uSecs/div
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ノイズ源
•
•
平坦なスペクトルを持つノイズ源を作成する必要があります
•
•
実際のノイズサンプルは、ガウス分布を示します。
サンプリングしたノイズ源(実際のノイズ信号を一定の間隔でサンプリン
グしたもの)を使います
スペクトル成分は下記の特性に従います
  . f
 sin 
  f0
 . f

f0


 




2
ここでf は周波数で f0 = 1/rtnstepです
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ノイズスペクトル
RTNSTEP=100pのユニッ
トホワイトノイズ源の理論
上のスペクトル
-5
1dB @ 1.86G
3dB @ 3.18G
ノイズスペクトル / db
-10
-15
-20
-25
-30
-35
1M
2M
5M
10M
20M
50M
100M
200M
500M
1G
2G
5G
10G
f/
9
ノイズスペクトル
90
80
70
60
m
50
40
30
20
10
0
100
0
Frequency
200
300
400
/kHertz
500
100 kHertz / div
理論上のスペクトル
vs “実測”のスペクトル
T=1ms, ノイズステップ = 2 μ, σ=1
10
フリッカーノイズ
•
周波数依存ノイズについては、ステップサイズを上げなが
ら、複数オクターブ源を合計します。
最大値 >= 1/Tstop
115
Time/uSecs
120
125
130
135
140
5uSecs/div
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フリッカーノイズ
• 各オクターブ源の振幅は、1/f 指数(通称EF)
を満たすように決められます。
• 従って、ノイズ信号は次のようになります:
c0*W(t) + c1*W(t*2) + c2*W(t*4)…+ cn*W(t*2^n)
t*2^n >= Tstop
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フリッカーノイズスペクトル
1k
400
EF=0.75
200
EF=1
フリッカーノイズスペクトル / ?
100
40
20
10
フリッカーノイズスペクトル
ノイズ源の数 = 20
4
RTNSTEP = 100p
2
1
400m
200m
10k
20k
40k
100k 200k 400k
1M
2M
4M
10M 20M 40M
100M 200M 400M
1G
2G
4G
f/
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フリッカーノイズスペクトル
(スクエア源を使用)
1k
EF=1
400
200
100
XY(sqrt(res), f) / ?
40
EF=0.75
20
10
フリッカーノイズスペクトル
スクエア源を使用
4
ノイズ源の数 = 20
RTNSTEP = 100p
2
1
400m
200m
10k
20k
40k
100k 200k 400k
1M
2M
4M
10M 20M 40M
100M 200M 400M
1G
2G
4G
f/
14
実行中での実施
•
ノイズ源は、通常の信号源のようには固定されていませ
ん。振幅は、デバイスのバイアス条件により変化します。
•
ノイズ源は、通常の信号源のように扱うことができます。振
幅はリアルタイムノイズの各ステップの開始時に決定・固定
されます。
•
これは単純な方法ではあるものの、ノイズステップよりも短
い時間内に動作点が大幅に変わるようなシミュレーションに
おいては、重大なエラーを招く可能性があります。
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固定ノイズ源の問題点
ステップは sqrt(KT/C) = 2uV のオーダーであ
100
るべき 明らかに何かが間違っています
80
60
C1
1n
Pulse(0 5 0 100n 100n 50u 100u)
V1
S1-P / uV
S1
40
20
-0
-20
-40
-60
-80
-100
0
Time/mSecs
0.2
0.4
0.6
0.8
1
200uSecs/div
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固定ノイズ源の問題点
S1-P / uV
60
40
20
0
-20
S1-CP / V
4
3
2
1
I(C1-N) / nA
0
40
30
スイッチオン、ノイズ電流が
抵抗を通って流れている
20
スイッチオフ (1Meg)
電流はキャパシターに流れている
10
-0
次のノイズステップ、
ノイズ電流は正しい値
への軌道を開始
649.5
Time/uSecs
650
650.5
651
651.5
652
652.5
653
500nSecs/div
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実行中での実施
• 各ノイズステップではなく、各タイムステッ
プにおいてノイズ源が変調されているという
ことを確実にすれば、問題を克服することが
できます。
• しかし、それを行った場合、そのノイズ源は
固定とはみなされなくなり、デバイスの動作
点に影響していることになります
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ダイオードの例
単純なダイオードの方程式

 q.V  
id  IS . exp d   1
 K .T  

idnoise  N (). 2.q.id
idtot  id  idnoise
上記の式において、idnoiseはidに依存するため、シミュレーターのジャコビ行列への入力を計算する際には、
その派生物を含める必要があります。ほとんどのデバイスにおいて、これは行われておらず、収束を阻害する
可能性があります。
ただし実際には、ノイズ素子は小さいため、通常これは問題にはなりません。
Verilog-Aデバイス(HicumやPSPを含む)は派生物を正確に評価するため、この問題は発生しません。
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RTNモード
• RTNMODEオプションを使って、前述の2つ
の代替方法を選択することができます。
• RTNMODE=1 は固定ノイズ源のオプション
• RTNMODE=0 は変調されたノイズ源のオプション
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