ガラス製ミクロ層による 全ファイバ周波数ダブラーが開発中 world news

world news
非線形光ファイバ
ガラス製ミクロ層による
全ファイバ周波数ダブラーが開発中
カナダのカールトン大( Carleton Uni­­
うよりも、周期的に分極するシリカフ
ィーブ・ブルック氏(Steve Brueck)
が、
versity )電子工学科のジャック・アル
ァイバとなる、放射状層のフィルムを
ある発表を行った。その発表のなかで、
ベール教授( Jacques Albert )
は、カナ
生み出すことを目指している。そのよ
基板におけるひとつの堆積フィルムに
ダ自然科学工学研究会議( NSERC )の
うなファイバがあれば、容易にファイ
おける分極層の厚さを測定する方法
戦略的計画助成金として 46 万 2000 ド
バレーザと継ぎ合わせることができる。
は、測定解像度の向上と分極層の薄膜
ルを獲得した。光ファイバをベースに
これにより、アルベール教授の言う「近
化という意味では常に「未解決である」
した、光の周波数変換、非線形光学演
代のファイバレーザの進化における、
とブルック氏は述べた。そして、大量
算の新手法を開発するためである。
次の論理的なステップ」が導かれると
のフィルムではなく、インタフェース
目的は、交互構造ゲルマニウム( Ge )
いう。
で起きる作用について指摘した。
ドープ層のような周期的に分極する放
アルベール教授はこれに感銘を受
射状構造をもつ、シリカベースのファイ
インタフェースにおける分極
バを作り出すことである。これにより、
このプロジェクトには、カナダのラ
層の積み重ねについて考えるようにな
ファイバは第二次高周波発生( SHG )
を
ヴァル大( Université Laval )のレーザ
った。
「実現には数年を費やしたが、
高効率で起こすことができる。このよ
光学・フォトニクスセンター( COPL )
驚くほどうまくいった」と彼は話す。
うなデバイスがファイバレーザと組み
とカールトン大のメンバーが参加して
「現在は、ファイバ型を作り、使える
(過
合わさると、全ファイバ可視レーザ源
いる。特殊ファイバを製造する、カナ
度なロスがない非線形性をもたせる)
として利用できるとされている。バル
ダのコアクティブ社( CorActive )もグ
ことを目標にしている」と彼は付け加
ク光学に基づいた SHG システムは巨大
ループに参加する予定であり、ファイ
える。「純粋なシリカと弱いゲルマニ
なサイズや複雑さをもつが、それも解
バレーザに組み込まれるダブラーファ
ウム分極を使うことができたら、望み
消されるとみられている。
イバの試作品を作る。典型的なファイ
はある」
。
アルベール教授と彼の共同研究者は、
バレーザのモード品質の確立が目的
プロジェクトには 4 つのステップが
周期的に分極するシリカのミクロ構
だ。
ある。最初に、多層の周期的な分極を
造、あるいはナノ構造を開発するため
「分極の分野は、1990 年代後半にガ
テストする工程の見直し、最適化であ
の実験を、すでに多く行っている。過
ラスベースのダブラーと電気光学のモ
り、まずはニオブ酸リチウムのサンプ
去 4 年間、平坦基板に交互ドーパント
ジュレーターに期待できるとして一時
ルでキャリブレーションする。次に、
配列層からなる分極処理したシリカ構
的に盛り上がって以来、10 年ほど目
プラズマ化学気相堆積法( PECVD )と
造をデザイン、製作し、そのパフォー
立った動きはなかった」とアルベール
低圧化学気相堆積法( LPCVD )の両方
マンスを測定してきた。事例を一つ挙
教授は述べる。
「分極処理したガラス
を使った多層構造の開発、最適化を行
げると、Geドープしたものとドープしな
の非線形性効率は、ほとんどのアプリ
う。さらに、多層のコアファイバのデ
いものとを交互に配置し、75nm 層の
ケーションで活用するには小さすぎる
ザイン、開発、製造、試験と続く。最
シリカを重ねて 3μm の厚さにしたもの
と多くのグループが証明し、失敗に終
後に、周波数ダブラーの試作品を作り、
は、層状にしなかったサンプルの 200
わった」
1.06μm の放射ファイバレーザとつなぎ
倍の強さの SHGを発生させた。広く使
しかし、アルベール教授が議長を務
合わせる。そこでは、熱やファイバレ
われているニオブ酸リチウムと同等の
めた 2003 年の米国光学会( OSA )のブ
ーザの光などに対する耐久性をテスト
光学非線形性をもつ構造である。
ラッグ・グレーティング、感光性、分極
する。最終目標は、全ファイバ方式で
カールトン大のグループは、この技
における会議で、米ニューメキシコ大
緑色の光を放射させることだ。
術を活用し、平坦フィルムを作るとい
( University of New Mexico )のステ
け、ガラス製の人工結晶を作るために
( John Wallace )LFWJ
Laser Focus World Japan 2015.9
15