2015年7月16日 グリーン・グリッド(The Green Grid)日本支部 ホワイトペーパー「スペース使用効率(SpUE™)」を発行 データセンター・スペースの最適な使用効率の実現を支援し、エネルギーの効率化を促す 新しい指標の価値と活用法を解説 ICT 全般のエネルギー効率化に取り組む世界規模の組織、グリーン・グリッド(The Green Grid、本部:米国オ レゴン州ビーバートン)の日本支部では、データセンターのエネルギー効率測定の新しい指標となる「スペー ス使用効率(SpUE™)」の定義や適切な使用法をまとめたホワイトペーパーの日本語版を発行しました。 SpUEはグリーン・グリッドが策定した指標として電力使用効率(PUE™)、二酸化炭素使用効率(CUE™)、水 使用効率(WUE™)に続き、4番目となります。このホワイトペーパーは、本日からグリーン・グリッドの日本語の ホームページ(URL: www.thegreengrid.jp)で無償でダウンロードいただけます。 今日、モバイル端末が普及し、SNSなどの個人向けネットサービス利用が急拡大していることに加え、企業で のクラウドサービスの活用も進み、情報と情報処理の量が増大しています。その一方、資源効率と持続可能 な社会の実現の観点から、企業、サービス事業者を問わずデータセンター運営者は資源消費のさらなる低減 努力が求められています。SpUEは、エネルギー効率を念頭に置きながら、IT機器を増設していくための指標 として、データセンター内のスペースの最適な使用効率という点に着目し、策定されました。 SpUEは、算出基準となる分母にIT機器の消費電力量を使用し、単一の値で表してきたこれまでの3つの指標 (PUE=設備全体の消費電力/IT機器の消費電力、CUE=設備全体から排出される二酸化炭素の総量/IT 機器の消費電力、WUE=水資源の年間使用量/IT機器の消費電力)とは異なり、IT機器の消費電力量、サ ーバルームの床面積、サーバルーム内のラック数の3つを算出基準として使用して、パラメータを定義します。 1) スペース密度(SD): サーバルーム全体の平均として、1ラック当たりの占有面積(㎡)を算出。SDの値が小さいほど、各ラックの占 有面積が小さく、スペース使用効率が良いことになります。 SD = サーバルームの床面積(㎡)/ラック数(n) SD_actual = サーバルームの床面積/実ラック数 SD_capacity = サーバルームの床面積/設置可能なラック数の設計値 2) ラック電力密度(RPD) サーバルーム全体の平均として、1ラック当たりの消費電力(kW)を算出。RPDの値が大きいほど、サーバル ームに投入できるコンピューティング能力が高くなるため、スペース使用効率が良いことになります。 RPD = IT・ストレージ・ネットワーク機器が消費する電力(kW)/ラック数(n) RPD_actual = 上記機器が消費する実際の有効電力/実ラック数 RPD_capacity =サーバルームが対応している有効電力の設計値/設置可能なラック数の設計値 3) スペース電力密度(SPD) サーバルーム全体の平均として、1平方メートル当たりの消費電力(kW)を算出。SPDの値が大きいほど、サ ーバルームに投入できるコンピューティング能力が高くなるため、スペース使用効率が良いことになります。 SPDは従属パラメータであり、RPDをSD で割ることによって導出できます。 SPD = IT・ストレージ・ネットワーク機器が消費する電力(kW)/サーバルームの床面積(㎡) SPD_actual = 上記機器が消費する実際の有効電力/サーバルームの床面積 SPD_capacity =サーバルームが対応している有効電力の設計値/サーバルームの床面積 PUE、CUE、WUEにはいずれも、理論上の理想値(PUE=1.0、CUEならびにWUE=0.0)が存在しますが、 SpUEでは、理論上の理想値は存在しません。データセンターは個々のビジネス・ニーズを満たすように設計 されているため、例えば、ハイパフォーマンス・コンピューティング性能が最も有用とされるデータセンターで は1ラック当たり高い電力密度が、また収容率重視のデータセンターでは1ラック当たり低い電力密度が求めら れます。このため、SpUEの理論的理想値は、企業のビジネスとデータセンターのインフラストラクチャによって 異なります。 グリーン・グリッドは、SpUEの策定により、データセンター運営者がそれぞれのデータセンターに最適なスペ ース使用効率を把握し、不要な設備の追加を抑えることで、最大限のエネルギー効率のもとデータセンター を運用できるように支援します。 グリーン・グリッドについて 2007年に設立されたグリーン・グリッドは、世界各地の会員企業によって構成される業界団体として、ICT 全 般のエネルギー効率化を推進しています。グリーン・グリッドは、データセンターから個人向けコンピューター まで、コンピューティングおよびコミュニケーションの全域へとエコシステムの範囲を拡張し、世界のIT産業に 対して、エネルギー効率の改善に必要な指標、ツール、ベストプラクティス、指標を提供していきます。グリー ン・グリッドは、特定企業の製品あるいはソリューションを推奨するのではなく、データセンターにおけるエネル ギー効率の改善に必要なベストプラクティス、指標および技術を業界全体の視点から提供することを目指して います。グリーン・グリッドに関する詳細については、www.thegreengrid.jp をご覧ください。 (別添) ホワイトペーパー「スペース使用効率(SpUE™)」の概要 提供方法: グリーン・グリッドのホームページから無償でダウンロードいただけます(URL: www.thegreengrid.jp)。 目次: I. はじめに II. 指標の比較:PUE、CUE、WUE、およびSpUE™ III. スペース使用効率(SpUE) 定義 ラックサイズの影響 コンピュータルーム空調機や空気調和機の配置がもたらす影響 スペース密度の限度 企業のデータセンターとコロケーション型のデータセンター その他の重要なスペース使用効率パラメータ IV. SpUEの適切な使用方法 V. 次のステップ VI. まとめ VII. グリーン・グリッドについて 寄稿・編集: 編集者 David Wang/Teradata 寄稿者 Bo Cao/Emerson Tsann Chang/Dell Baohong He/China Academy of Telecom Research Institute Jie Li/China Academy of Telecom Research Institute Xiongwei Lian/Centrin Data Systems Ben Tao/Intel Jian Wu/Emerson Song Zhang/Centrin Data Systems
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