社会貢献活動 ( 左から)経 理 部 布川 隆博 、ケミカル 船 第 一 部 酒 井 あや 子、イイノガストランスポート㈱ 小 田 島 薫 、内 部監 査 室 久 末 昇 社員の災害復興ボランティア活動を支援 もあり、家族との会話の中にも、頻繁にボランティア活動 の話題が出てきていました。「ボランティア休暇制度」は、 当社グループでは、 2011 年 3 月に発生した東日本大震災 私の背中を押してくれるきっかけになりました。 を契機に「ボランティア休暇制度」を創設しました。この 久末- 以前、CSR活動の担当として「ボランティア休 制度は、 社会貢献活動に参加する社員に、 特別休暇と活 暇制度」の活用を社内に呼びかける立場だったこともあり、 動費用の一部を付与するもので、 多くの社員がこの制度 何回か制度を活用して参加しました。 現地では多くのボラ を活用してボランティア活動に参加しています。 その中の ンティアの方達と話す機会がありましたが、当社のように 4 人に、ボランティア活動に参加したきっかけや活動内容、 制度を創設し、社員が自由意思で参加するボランティア活 その意義について話を聞きました。 動を支援してくれる会社は意外と少ないようでした。 “ な ぜ ボ ラ ン ティア 活 動 に 参 加 し た の で す か?” 酒井- 社内掲示板には「ボランティア休暇制度」を利用 したボランティア活動についての概要が公開されています。 そこに掲載されているレポートを読んで、是非活動に参加し たいと思いました。レポートの中では、東日本大震災被災 地の荒涼とした風景を見て感じた絶望や無力感といった単 語がちりばめられていたのが心に残りました。小田島さんに も言われたのですが、 「百聞は一見にしかず」ということで、 47 陸前 高田のベースキャンプ 陸前高田のベースキャンプの掲示板 “ ど の よ う な 活 動 を し た の で し ょ う か?” 実際にその風景を見ておいた方がいいと思い、陸前高田で 小田島- 2012 年 10 月に行ったのは、南三陸町の志津川 のボランティアに参加しました。 地区です。 瓦礫や側溝に詰まった泥の除去作業が中心でし 小田島- 私 は、 当 時 大 学 生 だった娘 が 2 0 1 1 年 8 月に た。 そのようにして主だった被災地では、瓦礫が片付いて ボランティア活 動に参 加して、きりっとした顔つきになっ きたと聞いています。 最近では、産業復興のための支援、 てきたことに触 発されて、この 制 度を利 用して参 加する 津波で塩害の被害を受けた農地の再生や、漁業で養殖の設 ことにしました。 南 三 陸 町を中 心に、 何 度 も 訪 れること 備の再生などに重点が移ってきているようです。 になりました。 布川- 小田島さんのご指摘の通り、私が参加した 2014 布川- 酒井さんのボランティア活動に対する熱い思いを 年の気仙沼市唐桑半島での漁業支援活動では、ホタテの養 聞き、参加しようと思いました。父が仙台に住んでいること 殖に使う漁具の製作を行いました。しかし、バスで向かう漁 飯野海運 経営報告書 2015 港までの道のりにはまだまだ瓦礫が残っているところもあり ました。 “ ボランティアを続 けていく意 義をどう考えていますか?” をしたのですが、 そ の 中から、 洋 服や食 器、 写 真などの 社内全体で、被災地やボランティア活動に対する関心が高 遺 留 品 が 見つかりました。 大 震 災では、 東 京でも計 画 停 いことを実感しました。私自身も実際に体験してみて、心揺 電やスー パ ーで商 品 が なくなるなど、 大 変 な 思 いをしま さぶられるような経験が多かったので、また制度を活用して したが、被災地から比べるとはるかに恵まれていると感じ 参加したいと思っています。 ました。 酒井- 「ボランティア休暇制度」では、最後にレポート 久末- 福島第一原発に近い南相馬市にも行きました。 を書いて、それを社内掲示板に出すことになっています。 避難指示解除準備区域内で、避難中の住民からの要請で それを読んだ同僚が、目に涙を浮かべ声をつまらせながら 草刈りやビニールハウスの 感想を語ってくれました。嬉しかったですね。今後も自分の 解体を行いました。 住民の ペースで続けていこうと思います。 帰還が制限されているため 久末- このレポートを読んで、現地でどのような活動を か、震災から三年近く経過 するのか、どのような準備をすればよいのか、など具体的 しても国道沿いの倒壊した に知ったことが、ボランティアの参加をするきっかけになっ 家屋がそのまま放置されて たという社員も多いようです。 なかには、自分自身が現地 いたりしていました。 草刈りの作 業 風 景 “ 活 動 を 通して 感じられ たことをお 話しくだ さ い 。” 経営管理体制 したのかなど、同僚や先輩からいろいろ質問されました。 部門別事業概況 業 が 印 象に残っています。 草 刈りをした後、 瓦 礫 の 除 去 特集 布川- ボランティア終了後、現地ではどのようなことを 事業概況 酒井- 私は 2013 年 5 月に訪問した、陸前高田市での作 に行ってボランティア活動に参加することはいろいろな事情 で難しいけれども、実際に現地を見てきた社員の話を聞い て、日常生活のなかで何かできることがないか、いろいろ 風化させないためにも、この制度を設けたことはとても意 近くでしたが、 2014 年では月間 1 万人を切っています。 実 義のあることだと思います。 は今足りないものの一番が、ボランティアの数です。 小田島- グループ会社の社員には青森・岩手出身の方 久末- 「ボランティア休暇制度」を活用して何か所かの も多く、東日本大震災は他人事とは思えないこともあり、 被災地を訪れましたが、地元の皆さんは一様に、このまま これからもボランティアを続けていく意義を強く感じてい 忘れられてしまうのが怖いと言われますね。なかには、ただ ます。 また、現地では、当社以外にも様々な形でボラン 震災前の状態に戻すだけでなく、せっかくできた地元の方 ティアに参加される方がいました。 ボランティアの活動現 とボランティアとの絆を大切にして、村おこしや町おこしに 場では、そのような社外の方とも一緒に作業をします。 お つなげていきたいという元気な地域もありました。 互いに何を感じてボランティア活動に参加しているのか、 酒井- 私と布川さんが参加した、気仙沼市唐桑半島で 自然と心が通い合う、貴重な時間を過ごすことができまし は地元の方々が、子供さんも含めて家族ぐるみでボラン た。 コミュニケーション 行ったボランティア活動者は、震災直後では月間で 10 万人 社 社会 会 と考えているという社員もいるようです。 震災への関心を 安 全・環 境 小田島- 被災地の災害ボランティアセンターで受付を ティアを受け入れていましたね。 復興庁が発表した、 2015 年 5 月14日現在の全国の避難者 な取り組みが唐桑創生村 数は、いまだに約 21 万人を超えており、まだまだ復興は道 で す。 若 い 漁 師 の 有 志 半ばということを、物語っています。 の方と、ボランティアと 当社グループでは、社員のボランティア活動を支援する が一緒になって漁業を復 「ボランティア休暇制度」を通じて、被災者、地域が求め 興させるプロジェクトに 取り組まれていました。 企業情報 布川- 特にユニーク る復興支援に、継続して取り組んでまいります。 ホタテが入った水槽 飯野海運 経営報告書 2015 48
© Copyright 2024 ExpyDoc