信州大学の地域貢献

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信州大学の地域貢献
国立大学法人信州大学
学長 山沢 清人
信州大学は「地域貢献度の高い大学」
として毎年上位にランクインしています。
その理由
には、長野県内に5つのキャンパスを持ち、それぞれの地域での教育によって醸成された
歴史・伝統・文化が、技術や産業の発展をも促し、
「ものづくり長野」を支えていることが
あります。研究・開発をベースとする産学官連携によって地域産業の活性化を図る地域貢
そして卓越研究者戦
献では、2002 年から10 年間2期にわたる知的クラスター創成事業、
略的結集プログラムを実施し、信州に先端的な理工学系研究分野を中心とする産学官
連携の事業基盤を構築してきました。
と同時に、学内にRA(リサーチ・アドミニストレー
ション)センターを設置し、産学連携支援の専門人材を結集し、イノベーション創出によっ
て社会の発展に寄与するシステムづくりをしました。
その成果として、地域連携事業はグローバル研究・開発事業へと展開され、2013 年には
国際科学イノベーション拠点(COI)整備事業「世界の水を守るエコ・ナノカーボン研究
拠点」の採択を受けるに至ります。現在は、地元企業も参加するオールジャパンの研究・
開発体制を組んで、社会実装を目的とした産学官連携事業として進めています。
加えて、地域に貢献する人材育成です。地(知)の拠点整備事業(COC)を進める地域
戦略センターでは、長野県と市町村を巻き込んで、中山間地の再生、文化・芸術と経済観
光の両立など地域の課題解決に資する信州アカデミア事業を実施し、80 名以上の専門家
を県内に輩出しています。
さらに、繊維・ファイバー工学の分野では、
これからの繊維産業
を担うグローバルリーダーの養成を目的とする教育プログラムを実施し、多くの留学生が
学んでいます。
最後に卒業生の地域(地元)残留について簡単に紹介します。本学入学者 2000 名のう
ち、長野県内出身者は概ね3割です。そして、卒業生で県内に職を得るものは全体の4割
このように
( 800 人)以上です。地域での就職先が十分とは言いにくい状況での数値です。
信州大学は地元に有能な人材を残していくことでも地域に貢献しています。
また、東海地区
(平成 27 年)
を占めています。特に、工学
(愛知、岐阜、三重、静岡)出身者は入学者の23%
部への入学者は32%と他地域と比して多くなっています。その中で、多くの東海地区出身
者が卒業後に中京地区の企業に職を得ている点も本学の特徴です。
信州大学はこれからも、地域に根差す総合大学として、日本、ひいては世界の未来を
見据えた質の高い教育・研究の実現に力を注いで参ります。
中経連 2015.8
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