個人の成長を 実感できる社会へ!

豊かさとは何か
トム・ピーターズのサラリーマン大逆
襲作戦〈1〉―ブランド人になれ!
暉峻淑子 著、岩波書店
中学生のときに読んで以来、影響を受け続けている本。
「豊かさ」が金やモノをたくさん所有することで到達でき
る状態ではない、ということが分かりやすく語られている。
筆者がドイツへ留学していたときに、ドイツ人の生活から
ヒントを得て書いた本。
個人の成長を
実感できる社会へ!
仕事のデザイン、働き方のデザイン
を考える16冊
トム・ピーターズ 著、阪急コミュニケーションズ
トム・ピーターズの軽快な文章をうまく日本語に訳しき
った良書。とても勢いのある文体で読みやすい。企業に
勤める人もフリーランスとして働く人も、自分をブラン
ド化することの大切さとその方法や心意気を説いている。
行政職員が読むとニュータイプの公務員が誕生するはず。
経済成長がなければ私たちは豊かになれ
ないのだろうか
フリーエージェント社会の到来
―「雇われない生き方」は何を変えるか
C. ダグラス ラミス 著、平凡社
戦争、原発、環境問題など、社会的な課題のほとんどが、
その根底に「経済成長がなければ豊かになれない」という
思い込みがあるということを明らかにした本。経済成長至
上主義ともいえるような社会を変えなければ、冒頭に挙げ
たような課題の解決は望めないと考えさせられる。
ダニエル・ピンク 著、ダイヤモンド社
アメリカの大手企業10社の従業員数をすべて足した人
数よりも、フリーランスで活動する人の合計人数のほう
が多い時代が到来した。そのことは何を意味するのか。
大企業に就職すれば将来は安泰だと考えてきた時代とは
違う時代と違うチャンスが到来することを僕たちに示し
てくれる本。
スモール イズ ビューティフル
―人間中心の経済学
自分の仕事をつくる
西村佳哲 著、筑摩書房
オリジナルな仕事はオリジナルな働き方から生まれると
いうことがわかる本。ユニークな経営者が語るユニーク
な企業理念と働き方をインタビュー形式でまとめてある。
新しい時代には新しい働き方が必要だということがわか
る。
F・アーンスト・シューマッハー 著、講談社
小さいことは美しいことである、という主張によって、経
済成長期の日本やアメリカに警鐘を鳴らした。地球の資源
を搾取して経済成長を目指すのではなく、適正な技術を開
発して資源を無駄遣いすることのない幸せを目指すべきと
いうことが語られている。
山崎亮さんによるおすすめ本16冊と、
スロー・イズ・ビューティフル
―遅さとしての文化
だから、僕らはこの働き方を選んだ
―東京R不動産のフリーエージェント・スタイル
辻信一 著、平凡社
ゆっくりであることの価値を、さまざまな事例や言葉を引
用して説明する本。環境問題や経済格差も結局は速度の問
題であり、ゆっくり進めることの中にあった価値を再認識
することが多くの課題を解決へと結びつけるんだ、という
ことがわかる。『経済成長がなければ私たちは豊かになれ
ないのだろうか』という本とも関連した主張。
馬場正尊、林厚見、吉里裕也 著、ダイヤモンド社
会社勤めに代表されるような「これまでの」働き方とは
違う、新しい働き方の実践例を示した書籍。東京R不動
産というプロジェクトに関わる多様な専門家の特徴と、
それぞれの個性を活かしながらプロジェクトを進めるた
めの新しい働き方を紹介する。
モチベーション3.0―持続する「やる気!(ド
その幸運は偶然ではないんです!
ライブ!)」をいかに引き出すか
J.D.クランボルツ 著、ダイヤモンド社
人生の成功者と語られる人たちへの徹底したインタビュ
ーを通じて、彼らが決してキャリアデザインどおりの人
生を歩んできたわけではないことを明らかにした本。経
済学者が来年の景気がどうなっているのかも予測できな
いのに、20歳の大学生が自分の将来を正確に予測するな
んて不可能だという考え方に基づき、自分に幸運な偶然
が起きる確率を高めるような行動の種類を提示し、偶然
の積み重ねによって豊かな人生を送ることを薦めている。
“本は読まないんです”と言われる
藻谷浩介さんの貴重な思い出の本を
ダニエル・ピンク 著、大前研一 訳、講談社
ムチを打って働かせた時代からお金を払って働かせる時代
へと移り変わったが、最近はお金のためだけに働きたくは
ないという人が増えている。新しい時代の「やる気」は何
によって生まれるのか。脳は給料だけを報酬として認識し
ているのではなく、「感謝されること」や「やりがいのあ
る仕事の結果」も報酬として認識している。給料が少なく
ても楽しそうに働く人たちはどんなモチベーションを持っ
ているのかを知ることができる。
ご紹介します。
SQ“かかわり”の知能指数
なぜデザインが必要なのか
─世界を変えるイノベーションの最前線
鈴木謙介 著、ディスカヴァー・トゥエンティワン
人とのつながりを重視する社会がどう生まれたのかを歴
史的に振り返り、いま必要とされる「関わりの知能指
数」の指標をいくつか設定している。
シェア─ <共有>からビジネスを生みだす新戦略
R・ボッツマン、L・ロジャース 著、日本放送出版協会
一人ずつがモノを所有するのではなく、複数人で共有す
ることのメリットが語られている本。1年に数分しか使
わないような工具を一人ずつが持つのではなく、多くの
人たちで共有したほうが経済的であるという考え方をは
じめ、共有することによって人とのつながりが生まれる
というメリットまでが事例に基づいて紹介されている。
英治出版
世界中で顕在化する社会的な課題を解決するためのデザイ
ン138事例が紹介された本。クーパーヒューイットデザイ
ン博物館で行われた展覧会の図録をもとにした書籍。デザ
イナーの新しい役割を実感させてくれる。
山崎 亮 やまざき りょう
・両著者のプレ対談
・質問コーナー
・対談当日の参加者コメント
・ビデオメッセージ etc
1964年山口県生まれ。㈱日本総合研究所調査部
形芸術大学教授。地域の課題を地域に住む人
主席研究員。合併前の約3200市町村の99.9%を
たちが解決するためのコミュニティデザイン
概ね私費で訪問。各種統計数字、郷土史を照合s
に携わる。
し、地域特性を多面的かつ詳細に把握している。
【山崎亮さんの著書】
読むのも好き。書くのも好き。
事務所も自宅も頭の中にも
蔵書が詰まってます。
私、今は全く本を読みませんが、
中学の頃は日本一本を読むやつ
でした。訳の美しい本が好きで、
『指輪物語』なんて死ぬほど感動
してまったりと繰返し読みました。
『ルパン傑作集』モーリス・ルブラン 著、堀口大学 訳、新潮社
『ドリトル先生アフリカゆき』ロフティング 著、井伏鱒二 訳、岩波書店
『指輪物語』J.R.R.トールキン 著、瀬田貞二・田中明子 訳、評論社
【藻谷浩介さんの著書】
デフレの正体
─経済は人口の波で動く
世界を変えるデザイン
─ ものづくりには夢がある
内村鑑三 著、岩波書店
この世の中に何を遺して死んでいくべきなのか。金か、
事業か、思想か。内村鑑三が若者たちに問いかけた言葉
をまとめた本。金も事業も思想も、誰でも遺せるもので
はない。誰でも遺せるものは、その人の生き様である。
優れた生き様を示すことができれば、それを見た後世の
人たちの心を奮い立たせることができる。そのことの意
義を語っている。
HPもご覧ください。 ⇒ http://www.gakugei-pub.jp/
藻谷浩介 もたにこうすけ
O・トスカーニ 著、紀伊國屋書店
ペネトン社の社会的な広告の写真を撮影したカメラマン
が書いた本。企業の広告が白々しく自社製品を賛美する
広告になぜ未来がないのかを語り、社会的な課題を顕在
化させるという新しい広告の役割を示す。企業の思想や
態度を示す広告のあり方を実践として提示したときの苦
労話などがたくさん掲載されている。新しいことをやろ
うとするときの壁や、それを乗り越えたときの達成感な
どを追体験できる。
後世への最大遺物・デンマルク国の話
─ ものづくりには夢がある
1973年愛知県生まれ。studio-L代表、京都造
広告は私たちに微笑みかける死体
シンシア・スミス 著、英治出版
アメリカの美術館で開催されたソーシャルデザインに関
する企画展の図録を日本語化した書籍。商品を売れるよ
うにするデコレーションではなく、社会的な課題を解決
するデザインの仕事を紹介している。世界には、本来的
な意味でのデザインに取り組む人たちがたくさんいるこ
とを知ることができるし、とても勇気付けられる。
【藻谷浩介さん、経済成長がなければ僕たちは幸せになれないのでしょうか? 】
『コミュニティデザイン』
山崎さん初の単著。“つくる”デザインから“つくらない”デザインを始めるにい
たるまでのプロジェクトブック。
『地域を変えるデザイン』
全国の実践例がオールカラーで楽しく分かりやすく例示されていて、思わず参加し
たくなる一冊。
角川書店
景気の浮き沈みに一喜一憂するのではなく、
日本全体の人口構成の変化を見据えて未来を
考えることの重要性を示してくれる本。著者
のレクチャーをまとめた本だというのがよく
わかる会話形式の読みやすい文体であり、ま
くしたてるようにしゃべり続ける藻谷さんの
2011年新書大賞2位
2010年ベスト経済書3位 姿が思い浮かぶ。(山崎亮)
『つくること、つくらないこと』
ランドスケープデザイナーの長谷川浩己さん(つくる人)とコミュニティデザイナ
ー山崎さん(つくらない人)が毎回ゲストを迎えてデザインの面白さを語る。
『実測! ニッポンの地域力』
『まちの幸福論』
NHK東北未来塾の放送内容をもとに、山崎さんの仕事の軌跡と具体的な実践の場
を追ったドキュメントタッチの本。
藻谷さんの処女作。世の中の単純な思い込みに
切り込む姿勢は既に健在。
東京一極集中で地方は疲弊の一途? 世の中
はこんな単純ではない! 全国の実情を熟知し
た最強の地域エコノミストが人口減少・高齢化
がもたらすインパクトを的確に捉え、逞しい地
域経済を構築するためのヒントを提起。
『コミュニティデザインの仕事』
コミュニティデザイナーが実際に経験しがちな場面を想定した、アドベンチャー
ブック形式の本。読者がワークショップの現場を追体験できる。
『幸せに向かうデザイン』
社会に新しい仕組みをつくりだす起業家や識者へのインタビュー集。