目に見える成長と目に見えない成長

目に見える成長と目に見えない成長
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平成26年度
修了式より
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校長
友野
勝弥
今年の入学式の式辞で、「人それぞれに花あり」という言葉を引用しました。ここで言う「花」
とは、だれもが持っている良さや可能性のこと。一人一人が持っている良さや可能性をいっぱい
に伸ばし、「知恵」と「友情」と「希望」の花を立派に育ててほしいとの願いを込めました。こ
の一年間、さまざまな体験をし、身体も心も成長したと思います。
ところが、私たちの成長には、目に見える成長と目に見えない成長があります。どんな成長を
したのか、改めて振り返ってほしいと思います。
「目に見える成長」では、身体の成長が一番よくわかります。その他には、部活動の大会で賞状
をもらえたこと、成績が上がったこと、学級のためにしっかり働いたこと、友達がたくさんでき
たこと、地域の行事に参加して感謝されたこと、挨拶を元気に言えたこと、間違ったことを間違
っていると言えたことなど、自分のなかに新しい力が生まれています。
一方、「目に見えない成長」もあります。「協力することができるようになった」「人の悪い
ことを言わなくなった」「素直になった」「人の気持ちがわかるようになった」「ルールやマナ
ーを守れるようになった」「あきらめないで、我慢して頑張るようになった」「人にやさしくで
きるようになった」などは、心の成長として目に見えない成長です。この目に見えない心の成長
が土台となって、やがて見える成長に変化していくのです。
ある本に、全国大会常連校のことについて、次のようなことが書かれていました。
「体力、体格の差は、大きな差ではない。気の持ち方の差が大きな差になっている。全国大会に
出てくる常連校は、監督の考え方が違うから、選手の心の持ち方が違う。勝負に対する『思いの
強さ』『心の置き処』がちょっと違うだけ。心は鍛えたら強くなれる。優しくもなれる。優しく
できたら、優勝できた。」
と、ありました。目に見えない心の成長と心の持ち方が、成果を出したということです。
また、書家で詩人の相田みつをさんの詩に、
「花を支える枝、枝を支える幹、幹を支える根、根は見えねんだなあ」
というのがあります。色鮮やかな美しい花の下にある根のことを考える人は少ないと思いますが、
根が花を支えているのは事実です。春に咲くチューリップの球根も、今、土の中で一生懸命に芽
を出して伸びようとその日を待っています。目に見えない成長が、やがて美しく成長して見えて
くるのです。
人間がこの世に人間として存在していることの理由は、「周囲の誰かを幸せにするため」と、
言われています。人間は自分以外の人の幸せのために生きているとしたら、今年、どれだけ周囲
の人を幸せにできたか、どんなことで人の役に立てたか、または学級のために役立つことができ
たかが大切です。
今年一年を通しての確かな自分の成長を土台に、次の目標に向けての新たな一歩を踏み出した
いものです。