平成 27 年 3 月 30 日 震災復興交流神戸セミナー実行委員会 (神戸市・神戸都市問題研究所・神戸防災技術者の会) 「震災復興交流神戸セミナー」 報告書 (概要版) 1.はじめに 「震災復興交流神戸セミナー」は阪神・淡路大震災発生から 20 年を迎える年に当たり、神戸市が取り組 んでいる「震災 20 年継承と発信事業」の一環として、震災復興交流神戸セミナー実行委員会が主催し、復 興庁の後援とひょうご安全の日推進会議の助成を受け開催した。 セミナーには東日本大震災被災自治体職員やその支援者等 19 団体から 41 名(第 1 回 7 名、第 2 回 18 名、第 3 回 16 名)の方を神戸にお招きし、各回 4 泊 5 日(中途参加者もあり)のスケジュールで 3 回行 った。 開催に当たり、昨年度の参加者や今回のセミナーに参加する方々 から事前にヒャリングし、今取り組んでいるハード面での復興事業 や災害公営住宅建設、ソフト面での仮設住宅支援や産業を含む生活 再建策などの課題、また今後予測される課題などについて意見を聞 き、要望に合わせたカリキュラムの策定に努めた。 また、セミナーの最終となる第 3 回目には、集大成としてシンポ ジウムを開催した。 2.カリキュラム策定の考え方 被災の内容・範囲、規模、地域性、風土など東日本と神戸の違い はあり、復興事業の方法や経過も異なっているが、被災自治体同士 が忌憚なく課題を意見交換する機会となるよう、お互いの状況報告 や解決方策について意見交換することや、神戸の体験をより多く発 信できる時間配分に配慮した。 意見交換・議論・視察などの要望事項は 100 項目以上あり、主な事項を記載する。 参加自治体 位置図 1)第 1 回目(10 月 14 日~10 月 18 日)―復興事業や防災教育を主テーマに― ① 復興事業執行上の課題など―住民合意、移転希望地の変化、防集先の用地取得と防集元地の活用、 防潮堤高さや盛土高さの再検討など ② 震災復興事業の継続―28 年度以降の予算、国や県事業との調整など ③ 地域産業復興への取り組み―中心市街地のにぎわい形成、行政の関わりなど ④ 災害公営住宅建設に関して―建設戸数の確定、コスト上昇対応策 ⑤ 仮設住宅、災害公営住宅や新規造成地におけるコミュニティつくり―人材確保と財源、将来の高齢化、 ⑥ 神戸の事例から―合意形成、継承、出来なかった事、 2)第 2 回(10 月 28 日~11 月 1 日)―被災者の住宅に係る生活支援を主テーマに― ① 仮設住宅入居者の支援策・自立再建方法―高齢世帯、認知症などの支援、自治会の支援 ② 応急仮設住宅の維持・管理―補修事例、財源 ③ 仮設住宅の集約化、移転に関する課題など―学校や借地での早期集約化実施状況、撤去時期、 移転困難事例判断基準、集約移転費用、県と市町の役割分担、不正使用、 ④ 仮設住宅跡―仮設住宅の再活用、住宅困窮者への払い下げ、災害公営住宅変換、公営住宅建設地変換 ⑤ 借り上げ仮設住宅の課題―全国に点在する入居者のケアー、家賃補助の継続時期、永住希望者対応 従来住民とのコミュニティ ⑥ 災害公営住宅の建設―建設戸数の見極め、過剰供給回避、高騰と不調、既存公営との一体化や集約 1 ⑦ 災害公営住宅への入居―入居資格審査、一元化募集、資格欠如者対応、福島県営と市町営の扱い ⑧ 災害公営住宅でのコミュニティ―移転計画ロードマップ、既存集落調和、担い手養成 ⑨ 災害公営住宅の維持・管理と現状の詳細―管理戸数増への費用と人員対応、入居自立困難者増対応 ⑩ 自力再建者支援―災害公営住宅入居資格対応、建築費高騰対応、建築一元化窓口 ⑪ 被災者への情報提供―他市町村への人口流出課題と帰郷支援 ⑫ 支援金支給、高齢者、低所得者支援―自立再建支援金受給者の所帯分離、震災後遺症への支援策 単身高齢者の生活支援 ⑬ 行政内の調整―コミュニティ問題の情報共有・連携の在り方、被災者データー作成内容と管理 3)第3回(11 月 12 日~16 日)―復興マネージメントを主テーマに― ① 事業計画の策定の考え方―平成28年度以降の交付金事業、国の財政支援、他自治体移転者支援、 産業の空洞化や人口減少課題、外部サポーターと住民の主体性確保、 将来的に現出する課題の予測、合意形成の理想形、住民間の温度差 ② 事業執行における課題―区画整理の迅速施行策、公共施設の管理と費用 ③ 生活再建に関する課題―小規模事業者や商工業者の労働力確保と再建支援策 ④ 被災者支援やコミュニティの形成の課題―自律と高齢者など弱者のケアー、入居時期の時差対応、 移転集約化とコミュニティの継続、仮設に住み続ける高齢者や低所得者への対応 ⑤ メモリアルパークの整備や震災遺構の保存など―存続の可否、プロセスの記録 ⑥ 自治体としての課題や今後予測される課題―所帯分離と災害公営住宅への入居資格、複数の事業の調整 事業量増大に対するマンパワー不足 3.震災復興交流神戸セミナー 開催スケジュール(概要) 日程 1日目 2日目 時 間 場 所 (各回共通) カリキュラム 16:00~17:30 まちづくり会館 オリエンテーション・神戸から復興過程紹介 終了後 南京町 交流会(参加者、講師陣、実行委員会、K-TEC) 9:30~12:00 まちづくり会館 参加自治体の現状・課題報告、意見交換 ワークショップ 13:00~17:00 現地 ・10 月 15 日(水) 復興まちづくり事業地区現地視察・意見交換(六甲道周辺) ・10 月 29 日(水) 復興まちづくり事業地区現地視察・意見交換(六甲道周辺) ・11 月 13 日(木) 復興住宅の生活支援状況視察・意見交換(HAT神戸) 3日目 9:30~12:00 まちづくり会館 事業報告、提出課題について意見交換 13:00~17:00 現地 ・10 月 16 日(木) 復興まちづくり事業地区現地視察・意見交換(新長田周辺) ・10 月 30 日(木) 復興住宅の生活支援状況視察・意見交換(HAT神戸) ・11 月 14 日(金) まちづくり現場視察・意見交換(野田北部地区) 4日目 9:30~12:00 まちづくり会館 事業報告、提出課題について意見交換 13:00~ 現地 ・神戸市内視察(第1回・第2回) 17:00 (震災遺構、メモリアルパーク、公営住宅住民ヒアリングなど) 2 ・東日本・神戸復興交流シンポジウム(第3回) 11 月 15 日(土)13:30~16:30 5日目 9:30~12:00 まちづくり会館 ふりかえりワークショップ *マスコミには公開、神戸市職員研修生が参加 4.セミナーで得たこと・学んだこと 参加者の意見交換・現地調査・講師(被災者・まちづくり協議会役員・まちづくりコンサルタント・ 生活支援者・神戸市職員・K-TEC メンバーなど)から得た意見や学んだこと 1)意見交換や講師の話の要約 ① ハードなまちづくりから ア)被災者は子供や孫が安全に暮らせるまちづくりにコンサル タントと行政と一体になり取り組んだ イ)一人一人が反対してもダメで、全体のこと考え意見をまと める方が早い復興に繋がる ウ)市民側の「ボトムアップ」と行政側の「トップダウン」が 相互に交流することが大切 エ)当初、神戸市案に反対する外部からの声もあったが、構想 や理想論では街は再生しないと考え、行政との話し合いを始め た オ)コンサルタントは「換地」 「減歩」などの始めて聴く行政用語を被災者に懇切丁寧に説明し、通訳的な 存在であり、被災者とコンサルタントと行政は絶妙の関係で事業推進出来た。コンサルタントという中立 者がいないと、被災者と行政だけでは対立を避けられないと思う カ)反対者の声を大きくしないため、如何にすれば反対の声を挙げなく出来るか考えた キ)行政はまちづくり提案を聞いてくれるか不安であったが、ほぼ提案内容は実現出来た ケ)将来町の中心となる若者が参加することが大切だし、それをさせた長老連中はすごい コ)まちづくりは事業終了で終わりでない。提案した限り維持管理する責任はまちづくり協議会にもある ②仮設住宅の維持管理・被災者ケアーなどから ア)ケアーについて ・行政だけではケアーが出来ないので、仮設住宅の中で組長・戸長制度を作り、有料で被災者と行政の距 離を縮めるパイプ役を委託している ・自立する人が転居し、入居者が 5 割を切り出すと世話役のなり手がいなくなる ・被災者のデーターベースが大切で、内容は欲張らず項目を絞り込み、日常から判断できる内容に ・データーベースで得た情報は縦割りの弊害を取り除き、仮設住宅の担当者、保健福祉部門などと共有を ・恒久住宅移転後や他自治体移動の時も引継ぎが出来る体制とデーターベースの作成を ・自治会費の管理体制を、特に共益費の徴収し管理する時のシステムを考えて(刑事沙汰の事例多い) ・公営住宅の管理が指定管理者制度に移行していく中で、ケアーの 条項も契約時の条件に イ)県外避難者対応 ・受け入れ側は住民票の移転者は把握できているが、住民票の移動 の無い人の把握は難しく、本人が申請するしか情報が無い ・被災自治体から情報を貰えば、広報誌などで伝達するシステムはある こうべまちづくり会館での座学 ウ)仮設住宅解消について 3 ・仮設住宅の解消は 1 割を割った時位から難しい事案が続出する。どうすれば今後喜んで移転して貰うか 今から考えておく必要あり ・今後 3~5 年後の仮設住宅を考えたシュミレーションを試行している ・一元化募集で行先を決めることで、安心感を持たす、そのため公営住宅の工事発注時点で青田売りも ・罹災証明の発行自治体から、住民票を移した住民の入居はどちらの自治体が行うのか ・6 万戸の借り上げ仮設の位置づけが何時まで続くのか不安感がある エ)仮設住宅の集約化について ・校庭や民間借地に建つ仮設を早急に解消するため、早急な集約が求 められる ・集約により再度の新しいコミュニティつくりは難しい ・団地内の移転は防災や防犯の観点で必要 六甲道駅北区画整理事業執行状況のヒアリング ・集約することで、何時までも居住出来ないことの入居者へ無言の圧力となる ② 災害公営住宅の建設と自力再建支援 ・福島県の特殊事例であるが、原発被災者対応は「復興住宅」 、津波被災者は市町村が「災害公営住宅」と いう言い方で対応が別れている。従って県営・市営の一元化募集はしていない ・「住宅メッセ」を作り、法律相談・設計や施工業者の斡旋など一元化して自力再建支援をした ・災害公営住宅建設が工事費アップで契約不調が続出し、計画通りに進まない ・自力再建者は工事費アップで困っている ・区画整理事業や高台移転が、相続や土地所有者不明、境界不明など自治体だけで解決できない課題が多 く、予定通りに事業が進まないので、平成 28 年度事業完了のスケジュールはあるが、実現が難しい ・復復興関連業務は、主に自治体派遣職員が半年から 1 年のローテーションで行っている事例が多く、プ ロパー職員はルーチンワークに取り紛れている ・プロパー職員が復興関係業務の中心となるようなシステム・財政補てん策などが欲しい ・首長の判断で出来る限りプロパー職員が中心で復興関連業務にあたっている自治体もある ④災害公営住宅生活者の 20 年後 ア)入居時の様子など ・抽選入居方式の中、一からコミュニティつくりをした ・鉄の扉となり、疎外感を受けた ・LSAに係る費用は復興基金を使い配置したが、今後自治体負担になった時の財源確保に課題 イ)20 年後の課題 ・高齢化、独居者や認知症の増加などで自治会運営は限界にきているが、見守り隊を結成して対応 ・URや民間借り上げ災害公営住宅の借り上げ期間の 20 年が近づき、転居の必要がある 市営 80 歳や県営 85 歳以上が残り、どのような住民同士のケアーが出来るのか 同じような状況にならない災害公営住宅の制度を考えて欲しい ・75歳以上の単身高齢者が4人に3人となり、高齢化による地域の課題解決のため「見守り」から 「自立支援」へ考え方に変えた。アフターケアではなくプリケア(予防対応)である ⑤産業復興について ア)災害からの地域産業の復興 ・地域産業は零細・小規模事業者が多く、体力は無く、行政や親企業からの支援がないと復興は難しい ・復興への道筋としては、 「復旧(とりあえず操業) 」→「復興(元の状態に戻す) 」→「新生(新たな展開 を行う) 」である ・震災 3 か月後から 6 月間で「長田の良さを生かしたまちづくり」として草の根的に数十人から 100 人が 4 週 1 回会議をしてきた ・個人経営、工程の多い分業の業界で、ネットワークが必要。区画整理区域内に移転補償金の出る仮設工 場が多く出来、ネットが保てた ・関係性の論理として有機的な相互依存性の回復が大切で、自律的個人の回復が全体の復興となる ・工場跡は区画整理によりインフラ整備が出来、長田区全体としては人口が 10%減の中で 30%増加し、居 住人口増により、良質な飲食店が増え、再建した工場を含め、まちの再興が出来ている ・バラバラでは何も出来ないから、仮換地の時をターニングポイントに考える 5.東日本・神戸復興交流シンポジウム 3 回にわたるセミナーの集大成として「東日本・神戸復興交流シンポジウム」を一般公募者やセミナー 参加者約 80 名の参加を得て開催した。 1)開催日 :平成 26 年 11 月 15 日(土)13 時 30 分~17 時 00 分 2)場所 :こうべまちづくり会館 2 階ホール 3)主催者挨拶: ① 神戸市長 久元 喜造 ・阪神・淡路大震災発生後 20 年になるが、その間市民は助け合い、 励まし合い、財政的にも苦しい中、蘇った 主催者挨拶 久本 喜造神戸市長 ・市民も職員も 40 数%は震災の知らない世代となっており、伝承と発信が大切と考える ・東日本自治体職員と一緒に学びあい、伝えあいたいと考え、セミナーを開催した ②神戸都市問題研究所 理事長 新野 幸次郎 ・東日本大震災の復興に役立ちたいと 2 次にわたる提言をしてきた ・次の西日本を襲う大地震の対応にセミナーの成果を活かさなければならない 4)第 1 部 基調講演 ①「阪神・淡路大震災からの復興における住宅再建・都市計画の基本的な考え方」 神戸大学名誉教授 安田 丑作 ・阪神の時は走りながら考えたが、東日本は計画的に戦略的に進められている ・あくまで、事業手法は既存の事業手法を活用した ・その推進にあたり通称まちづくり条例(神戸市地区計画及びまちづくり協定等に関する条例(1981 年制 定)に基づき、市民・コンサルタント・行政がトライアングルの関係で進めた ・災害公営復興住宅 16,000 戸を作ったが、そのうち借り上げ災害公営住宅では 20 年の借り上げ期間が終 了することから、 「20 年課題」が生じている ・創造的復興への挑戦であり、生活再建を軽視せず、ぬくもりのある復興をめざした ・日本創生会議の人口減少検討分科会から消滅する自治体と衝撃的な発表の中、それを回避する正念場 ・今後の管理・運営も考え、復興への挑戦されることを期待する ③ 「阪神・淡路大震災からの復興における生活再建の基本的な考え方」 同志社大学社会学部 教授 立木 茂雄 ・自然災害後、神戸は生活再建の課題を最初に取り上げた事例 ・7 つの視点「すまい」「つながり」 「まち」「こころとからだ」「そなえ」 「景気・生業・くらしむき」「行 政の対応」の医・職・住であった ・震災の 5 年後「PDCA」のCを導入し、10 年後にも実施した ・復興感は 2 通りの方向から感じる。一つは医・職が足りた時、二つは体験の意味づけ+新しい活動を行 うようになり、初めて生活が戻る 5 ・みなし仮設住宅の生活再建を今後考える必要がある ④ 「東日本大震災からのこれまでの取組」 復興庁 統括官付参事官 海老原 諭 ・東日本は津波被災であり、火災や倒壊の阪神と違いがある ・住宅の再建をめざし、まちづくりと公営住宅建設が大切 ・避難者は 47 万人から 24.6 万人と減少はしている パネルデスカッション ・瓦礫処理については自治体の努力で完了の域 ・学校グランドに建設された仮設住宅の早期撤去が課題 ・産業・商業の復興は仮設商店街など神戸の経験が役立っているが、今後本設への課題であり、魅力つく り、集客など難しい中で手伝いをする ・2012 年 2 月 復興庁が内閣直属で出来、阪神と異なる体制で進めている 宅地の整備見通し 22,000 戸分中 50%がこれから 2 年間で整備できる。 住宅の供給の見通しは 29,000 戸中 70%がこれから 2 年間で整備できる ・地域毎の生活の絆が強い地域で、従来の生活地からの移転など難しい中での課題が山積した復興である 5)第 2 部 パネルディスカッション ①コーデイネーター :同志社大学 社会学部教授 立木 茂雄 パネラー:岩手県大槌町総務部長 平野 公三・ 釜石市復興推進本部事務局兼総合政策課長 石井 重成 大船渡市 博物館長(前総務部長)佐藤 悦郎・仙台市産業政策部長(前総務部参事)梅内 淳 震災復興交流神戸セミナー実行委員会 本荘 雄一 アドバイザー :神戸大学名誉教授 安田 丑作、復興庁統括官付参事官 海老原 諭 ② 発言要旨 ア)自己紹介・仕事・直後の業務、取り組んでいることなど ・職員犠牲の中、現職員 280 名中、プロパー128 名、支援職員 152 名という異常な状況、且つ職員の疲弊・ 不足・用地取得難の3大支障 ・民間からの採用で「釜援隊」を組織して、地域の若者と復興に取り組んでおり、地域の調整役(市と住 民)や地域のコミュニテイつくりを醸し出し、クロスさせながら、参画者を増やしていく ・課題として中心部の姿は見えず、スローガンが金太郎飴的で、東北が同じ「まち」にならないようにし たい ・博物館で伝承写真展に取り組んでいるが、今の時期に抵抗感がある ・仙台平野部とリアス式海岸部は津波被災が異っており、防潮堤工事は進み、農地は塩害処理も完了して、 米つくりが始まっている ・内陸部の昭和 30 年~40 年代の造成宅地で地すべりが生じたが、特例処置法で処理は完了している ・仙台市は県内からの移住者は 1/3 位、また福島県からの移住者がその 1/3 位で、人口は 25,000 人ほど 増加しており、移住者と市民の繋がりづくりと移転前居住自治体との対応が必要 イ)神戸からの体験は伝わっているか ・復興計画の必要性を教えられた(直後に神戸市職員として本荘雄一と太田敏一を派遣) ・心のケアーの記録はよく読み、次の課題を予測しているし、仮設住宅対応も参考としている ・セミナーに参加して、未来があることを実感(HAT 神戸の見守り制度など) 、まちづくり制度を見て金で は無い復興を感じ、合意形成の有り方を参考にしたい ・膨大な土地の防災集団移転事業が取り組まれているが、各自治体の計画はバラバラで、広域的な取り組 みが不足しているように思う。鉄道や道路が魅力的なものとなるよう広域的に考える時期である 6 ・人口減少・高齢化の課題の対応も ウ)アドバイザーからのコメント ・神戸と異なり、規模が大きくそれに対応する人材と数にミスマッチを感じる ・まちづくりに終わりは無く、 ・復興とはどのような状態であるか、考えることが必要 ・世代交代や新しい課題は出てくるが、地域で育てていくことが大切で「自律と連携」がキーワード ・一人一人の心の問題であり、達成感に違いはある、非常に重たい宿題でコミュニティだけでは限界 ・産業・生業の復興も同時進行で進めている ・外部の人材を賢く使うマネジメントも必要だが、上から目線での発信は課題 ・事務局として東日本の被災地職員の方から逆に教えていただいたことが多かった オ)セミナー参加者の感じたこと ・復興の先にどんな「まち」を目指しているか、まちを戦略的に見ることを学んだ ・10~20 年先の「まち」が理解出来た ・視察の中で、高台造成が出来ても、その出来上がった「まち」をどうするかが大切と感じた ・復興計画について今後の検証の必要性を学んだ。自治体連携にも取り組みたい ・「1.17 希望の灯り」など神戸の伝承の有り方を伝えたい 6.参加者からのアンケート(参加者のうち、36 名から回答を受けている) 1)セミナーに参加しての全体的な感想 ①学んだこと ・一般的に開催されるセミナー内容と異なり期待以上の内容 ・市民を巻き込む復興の必要性と合意形成の過程など、詳しく神戸の復興状況を学べた ・与えられた業務だけでなく、ハードな復興事業部門など広く交流しながら取り組む大切さを学んだ ・震災から 20 年経過後の課題を受け止めた(今後考えなければならない事柄が見えた) ・被災地の現状と問題点の共有が出来、今後の事業推進に役立つ ②情報交換・意見交換について ・参加自治体同士の意見を聴き、情報交換出来たが、他県も含めもっと情報交換がしたかった ・情報ネットワークが出来た(被災自治体同士の情報交換の基礎が出来た、今後の疑問点を聴くきっかけ が出た) ・事前に提示した課題の意見交換が出来た ・研修時間外や移動時間も情報交換が出来、有効だった ・意見交換で言いたい時に言いたいことを言える雰囲気があった ・鷹取の市営住宅住民から生の声を聴けたが、HAT 神戸などでは意見 交換不足で且つ、時間がタイトであった。夜も交流をしたかった 3)セミナーの成果 フレール須磨たかとり住民との交流 ①事業執行上に活かせること ・復興職場のモチベーション向上になったし、今後ワークショップ手法を活かしたい ・行政と住民の繋がりから住民の力を引き出す事例(焦らず何度も聞く態度) ・復興感、8 割復興、住民協働など今後に生かすテーマ ・財政再建、経済復興(もっと経済復興を議論したい) ②仮設住宅関係・災害公営住宅関係 ・仮設住宅の集約から公営住宅の建設、維持管理、コミニュテイーなど一体的考える必要性 ・公営住宅入居資格の有り方(仮設住宅解消の手法、仮設住宅管理の最終段階の体験談) ・見守りの有り方(HAT 神戸のシステム、同様のことが出来る可能性は) 7 ・公営住宅の建設について議論したかった(建設コスト、契約不調) ・内陸部避難者の帰郷支援の議論不足で、内陸部避難者対象のセミナーも必要 ・20 年後の公営住宅の高齢化、見守りの実態が見え、災害公営住宅の担当者に聞かせたい内容 4)セミナー参加者間の交流 ①参加自治体同士の交流 ・隣接した自治体、県と市町村の交流は始めてで、お互い有意義で、今後の大きな財産 ・今回の一番の成果は交流であり、聴きやすい環境が出来、ネットワークが出来、既に帰庁後交流は始め ている ②セミナー開催中の交流 ・初日の交流会の雰囲気が発言し易い場つくりであり、 ・現場視察、移動時間、夕方以降の交流は有効 ・ただ、もっと神戸市職員との交流や最終日前日の夜にも交流会の開催を ・実行委員会との交流を継続したいし、復興が完了した時招聘したい 5)次回以降のセミナーの有り方 ①プロパー職員に参加を勧めたいし、参加の価値あり(毎年参加の価値あり) ②開催費用と期間 ・拘束時間が課題(2~3 日でテーマを絞り)であるが、5 日間は必要 ・費用を参加自治体が負担しても価値があるが、東京以西への出張経費が認められない自治体もあり ③カリキュラムの有り方 ・失敗事例の紹介を ・内容を部門ごとに特化して、被災自治体の情報交換と先進事例のアドバイス方式 ・課題は時々の発展系で 20 年後の課題も ・復興事業部門と福祉部門の連携できる広く浅くと、逆に専門的な分野に限定して(財政的な点も) 7.おわりに ① テーマ毎に 3 回に分けて参加者を募り、且つ多数の方々にご助力を頂きながら進めたが、それでも自 治体ごとの組織も、参加者が対応する業務も異なり、全員が満足できるセミナーの実現は出来たとは 言い難いし、限界も感じる ③ わずか 4 泊 5 日の期間で意見交換し、議論する事柄は極々限られた内容であり、解決策は各自治体ごと に異なり、お互いの状況や事例の紹介しか出来なかった事項もある ④ 座学の中でも、視察の中でも、被災者とのヒアリングの中でも一方的な講話・講義でなく、質問が飛び 交い、意見交換が盛り上がるセミナーであった ⑤ 現段階での課題を解決するための糸口やヒントを、他の自治体や神戸の事例から気づき、20 年間かけ て解決した事柄、そして 20 年後も抱える課題から、先を読んだ被災者対応をしていただくきっかけは 提供出来た。 ⑥ 被災地において県と市町、隣接自治体、県内自治体が一堂に会して、お互いが抱える課題や、今後の方 向について意見交換する取り組みは初めてで、このセミナーで知り合った参加者同士が、今後ネットワ ークを作る場の提供は出来ており、既に情報交換をしているとの報告もあり、今後も委員会はその窓口 を行っていく ⑦ 成果が東日本大震災に活かされ、被災者の皆様の一日も早い生活再建に繋がることを期待したい ⑧ 事業が進む中で次々と解決を迫られる事柄が増加し、変化していくなか、被災地の自治体職員がお互い に忌憚なく情報交換や意見交換し、解決策を模索するセミナーが開催されることは有意義であり、神戸 市の関係機関は復興の後方支援の一環として、仲介の労を厭わず、継続できる環境つくりに努めたい 8
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