愛 でる桜、慈 しむ雛人形 桜の花は、咲いている時は愛 でられる

め
いつく
愛でる桜、 慈 しむ雛人形
め
ぐんきょ
桜の花は、咲いている時は愛でられるが、アメリカシロヒトリが若葉に群居して巣を造
しょくがい
り食 害 する季節を迎えると困ったことにもなる。先日出席した行政区の総会で、公民館周
辺の桜から大発生する毛虫の被害のことで大変な議論になった。区民に親しまれているた
せんてい
めに切るわけにはいかないので、剪定や消毒等の管理をしっかりやって残すと区長さんは
決断した。我が家でも同様のことがあって、今年も満開の桜を愛でることができたことを
思うと、区長さんは賢明な判断をされたと思う。
いつく
ひな
雛人形は子どものように 慈 しまれる。雛祭りの時期に郷土資料館に展示される雛人形は、
所有者である天神町の相澤好正さんから、20 年ほど前にお借りしていたものだ。ある席で
相澤さんから「市に正式に寄贈することにしたい」というお話をいただき、4月 20 日の大
安日に御当家での贈呈式となった。
だ
て まさむね
む
う ひめ
むね たか
この雛人形は、元和5年(1619年)に伊達政宗の娘牟宇姫が角田の殿様石川宗敬に、
とつ
12 歳で嫁いだ際に持参したものと伝えられる由緒あるもので、明治維新の際に殿様が財産
を処分したときに相澤家に渡ったものという。相澤家は代々「牟宇姫様の雛人形」として
大切にし慈しんできたものだけに、贈呈式は厳格に行われた。
しょうか
好正さんは相澤家 14 代目の御当主で、お屋敷は明治初年の商家造りだ。本座敷は 18 畳
い
ろ
り
はり
すす
もあり、1畳大の囲炉裏が切ってある。柱や梁などは煤で黒光りしていて旧家の風格がに
じみ出ている。その座敷の中央にモーニング姿の正装の好正さんと 10 名のご家族が正座し
て私たちを迎えてくれた。目録贈呈、あいさつ、記念撮影、祝宴と式は進んだ。好正さん
からの「幸せにしてあげてください」というごあいさつが強く心に残っている。
私はこの由緒ある雛人形を角田市の文化財として大切に保存し、市民に愛されるように
することを約束してありがたく受納した。
▲「牟宇姫様の雛人形」を市に寄贈
された相澤家の皆さんと共に