Q&A Q:棒の両端をそれぞれ人差指で支え、そのまま中心に向かって指を滑らせると、指が棒の重心の位置で ぶつかるのはなぜか不思議に思いました。 A:以前、見せましたがもう一度やってみます。(実演する) これは、剛体のつり合いで解いた右の図の問題を思い出すと簡単に 理解できます。答えは「Bさんの肩にかかっている力の方が大きい」でした。 問題を少し変更し、AさんとBさんが担いでいる棒は質量 50 kg で太さは 不均一な棒(Aさん側が細い)とし、その重心はCであるとします。 そうすると右図のように、おもりは吊り下げられていなくても、 全ての重力は重心に作用していると考えてよいので、問題としては同じです。 肩を指と考えると、Bさん側の指に大きな力(垂直抗力N)がかかっています。 摩擦係数µ はどちらも同じとしますと、最大摩擦力 F は µN ですので、 Bさん側の方が大きく、指と指の間隔を縮めるとAさん側が滑ります(Bさん側は滑らない)。 Aさん側の指が滑って指の位置が重心に近くなると、今度はAさん側の指により大きな垂直抗力 N が かかりAさん側は滑らなくなり、Bさん側が滑るようになります。これを繰り返すと、やがて指は2本とも 重心の下にくることになります。 Q:宇宙の始まりの星はどこにありますか? A:「始まりの星」といったものはありません。宇宙はビッグバンから始まったのですが、ではビッグバンは どこで起こったのかという質問に置き換えてみます。 遠くの銀河等からきた光は、長い時間をかけて地球に届くので、今見ている銀河は過去の姿であるという のを、皆さんも聞いたことがあるかもしれません。どの方向においても遠くを見るということは過去を見るこ とです。ビッグバンは約138億年前に起こったのですが、ずっと遠くを見ていくと、ビッグバンは見えるので しょうか?当時の宇宙は不透明だったので、答えはNoですが、ビッグバンから40万年くらい経ったビッグ バンの名残のマイクロ波は見る(観測する)ことができます。では、それはどの方向から見えるのか?答え はどの方向からも等しく見えます。宇宙には特別の方向や向きはありません。興味のある人は後期の現 代物理学入門を取ってみて下さい。 Q:ビリアードやカーリングの跳ね返り係数に関する質問がありました。 A:ビデオで確認してみましょう。どちらも跳ね返り係数はほぼ1(弾性衝突)だと思います。ただ、弾性衝突 でも正面衝突をしないと、衝突した玉は静止しません。また、カーリングは非常にゆっくりと衝突することも 多いので、摩擦等のために、そのように見えないこともあります。 Q: A:とっても面白い質問ですが、わかりません。 第19回(7/8) 1 ページ 例題3: 一様な円板(半径 R,質量M )のまわりに糸を巻きつけ、図のように糸の端を天井に固定して はなしたときの張力 S と剛体の重心の加速度 A を求めよ。慣性モーメントの公式( p97 )を使ってよい。 問題:公式には円板はないが、何を見ればよい? 剛体の重心の運動方程式 MA = F 2 M dX = Mg-S dt2 ・・・① (下向きを正) 剛体の重心のまわりの回転運動の方程式 IGα = N d2θ 1 MR2 2 = SR dt 2 ・・・② 重心運動と回転運動の関係式: X = Rθ ・・・③ 円板が θ 回転すると 重心は Rθ 落下する この種の問題(例題2、3、4)は、上の3つの式より解ける。 例題2の斜面の角度を垂直にしても 滑らなければこの問題と同じ。違いは、 球 円板(慣性モーメントが違う) 第19回(7/8) 2 ページ 参考:こまのみそすり運動(歳差運動) 力のモーメント N や角運動量 L をベクトルで扱わなければならない例 シーソー,てこのように、L と N が平行なら、ベクトルでやる必要はない。N = Fl でOK (L と N の回転軸が同じとき) (復習)回転運動の法則 dL = N (1秒に L が N だけ変化する。) dt 上から見た図 こまの角運動量ベクトルはこまの軸方向 t=0 こまの慣性モーメントI N = Mgd sin θ L = Iω L sinθ ω d sinθ 角運動量の水平方向成分 θ d Mg T = Mg 歳差運動している ときはMg 以外に 摩擦力も働いている。 × N = Mgd sin θ t = ∆t ∆tの時間が経つと・・・ 台 紙面の手前から奥 ∆L = N∆t 剛体の角運動量 L と 剛体に作用している外力のモーメント N が 平行でない。 力のモーメント N(∆Lも)は 常に角運動量 L と垂直なので L は上から見て左回りに回転する Q: 自転車のタイヤやこまは速く回転するとなぜ安定するのか? 速く回転している=角速度 ω が大きい 角運動量 L = Iω が大きい タイヤやこまの回転軸を変えようとする力のモーメント(トルク) N が作用しても L が大きいのでなかなか L の方向(回転軸)が変化しない。 歳差運動の回転周期は3倍になる 例:上のこまの角速度が3倍になると、角運動量ベクトルの向きの変化は3分の1になる。 ∆L = N∆t 初期の角運動量 L こま(タイヤ)の回転が高速になるほど、回転の軸を変えにくくなる(安定する)。 ジャイロスコープ 常に同じ方向を指す 観察: 「こま回転の速さ」 と 「みそすり運動の速さ」 の関係(回転が遅くなるとどうなるか?) 第19回(7/8) 3 ページ ゆで玉子と生玉子 [問題・実験] ゆで玉子と生玉子を見分ける方法は? [問題・実験] ゆで玉子と生玉子を斜面で転がすと、どっちが速く転がる? ヒント:ゆで玉子は剛体と考えても良いが、生玉子は剛体ではない。 ちなみに剛体では、速く転がるのは慣性モーメント IGの公式でMR2の係数の小さい方である。 例:球:IG = 2/5 MR2, 球殻 IG = 2/3 なら球の方が速い。MもRも転がる速さには無関係。 IG ∝M だが、転がそうとする力のモーメントN∝M。(N=IGα)角加速度αはMに無関係 IG ∝ R2だが、転がる角速度ω∝1/R。(K=1/2IGω2)回転の運動エネルギーKはRに無関係 解説 ゆで玉子は、中身が固まっているので、 回転させると、中身も一緒に回転する。 多少変形もするが、剛体と考えて問題ない。 形は完全な球ではないが、慣性モーメントは 2 図8.10の球の式: IG = MR2 を用いても 5 大きな違いはない。 生玉子は左の図のようになっている。 生玉子の殻を回転させても、中身は 液状なので、一緒に回転しない。 粘性があるので、多少は一緒に 回転するが、粘性を完全に無視すると、 回転するのは殻のみとなる。 2 球殻の慣性モーメントは IG = M殻R2 だが 3 殻の質量 M殻 を 0.1M と仮定すると 生玉子の慣性モーメントは粘性を無視すると エネルギーで解説すると・・・ 生玉子は中身が回転しないので、位置エネルギーが 回転の運動エネルギーに変換される割合が少なく 大部分が重心の運動エネルギーになるために速く転がる。 IG = 2 MR2 であり、ゆで玉子より小さい。 30 慣性モーメントは、回転しにくさなので、 慣性モーメントの小さい生玉子の方が 速く転がる。 問題:見た目が同じコーヒーの缶が3つある。 一つは未開封の缶、一つは中身が凍っている缶、一つは空き缶。 速く転がる順に並べよ。 ① ② ③ 第19回(7/8) 4 ページ 学科 学生番号: 氏名: この講義に関して何か意見や要望、感想等があったら何でも自由に書いて下さい。 面白い物理の情報や、取り上げてほしい話題、不思議に思っていること等あったら書いて下さい。 この紙で今日の出席を確認します。 第19回 7月8日 学科 学生番号: 氏名: この講義に関して何か意見や要望、感想等があったら何でも自由に書いて下さい。 面白い物理の情報や、取り上げてほしい話題、不思議に思っていること等あったら書いて下さい。 この紙で今日の出席を確認します。 第19回 7月8日
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