平成27年11月9日 No.517 マンション管理組合の税務について 分譲マンション・団地においては、一戸建てとは異なり、その共有の財産である共用部分や敷地について、維持管理をして いく必要があります。この管理をしていくための組織として、建物の区分所有等に関する法律に基づきマンション・団地の所 有者で構成される組織が管理組合になります。管理組合は、区分所有権を有する者の団体です。 管理組合には、法人格のない組合形態と、法人格がある組織形態に分かれ、法人税法上の取扱いは次のとおりとなります。 組織名称 法人税法上の取扱い 管理組合・団地管理組合 人格のない社団等 管理組合法人・団地管理組合法人 公益法人等 1.課税関係 法人税法上、内国法人(人格のない社団等を含みます。 )に対しては、各事業年度の所得について法人税を課することと されており(法法 3、5)、このうち公益法人等及び人格のない社団等に対しては、各事業年度の所得のうち収益事業から生 じた所得以外の所得には法人税を課さないこととされています(法法 7) 。したがって、マンション管理組合に対する法人 税は、収益事業から生じた所得にのみ課されることとなります。 2.収益事業判定 (1)マンション管理組合が、その業務の一環として区分所有者(入居者)を対象として行っている駐車場業 ⇒次の理由から収益事業に該当しません。 ①マンション管理組合の組合員である区分所有者を対象とした共済的事業であること。 ②駐車料金は区分所有者がマンションの附属設備である駐車場を特別に利用することによる「管理費の割増金」 と考えられること。 ③駐車場の使用料収入は、区分所有者に分配されることなく、管理組合において駐車場の管理に要する費用を含め た管理費又は修繕積立金の一部に充当されること。 (2)区分所有者(入居者)以外の者を対象とする駐車場の使用 収益事業に該当するかどうかは、状況により異なります。 募集 条件 外部者からの収入 区分所有者からの収入 収益事業に該当 収益事業に該当 収益事業に該当 収益事業に該当しない 収益事業に該当しない 収益事業に該当しない 料金・使用期間に区分所有者 と外部者との間で条件的に差 区分所有者・外部者を 問わず広く募集 異がない 区分所有者を優先、区分所有 者の申出があれば外部者は解 約 外部者への募集は基 本的に行わない 臨時的、かつ短期的であるこ とが外部貸しの条件となって いる (3)携帯電話基地局の設置場所を貸し付けた場合 マンション管理組合が、移動体通信業者との間で、携帯電話基地局(アンテナ)設置のためにマンション屋上(共用 部分)の使用を目的として、建物賃貸借契約を締結し得た設置料収入は、収益事業に該当します。 3.消費税判定 マンション管理組合が収受する金銭に対する消費税の課税関係は次のとおりとなります。 (1)駐車場の貸付け・・・組合員である区分所有者に対する貸付けに係る対価は不課税となりますが、組合員以外の者に 対する貸付けに係る対価は消費税の課税対象となります。 (2)管理費等の収受・・・不課税となります。 (3)携帯電話基地局(アンテナ)の設置料収入・・・課税対象となります。 ※ その課税期間の基準期間における課税売上高が 1,000 万円以下の事業者は、その課税期間における納税義務が免除 されます。 (担当:西村 文香)
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