学部名 施設訪問教育(小学部) 作品名 「相手にわかるように話をしよう」 教材・教具の紹介 ①ねらい・目標 ・ものの位置を表す言葉を覚え、それを活用して正しく伝える力を育てる。 ・相手を意識した話し方のスキルを身につけさせる。 ②授業(場面) 課題別学習の時間で、本教材を活用した学習に取組む。手元にある紙を 見て絵の位置関係を説明する児童のグループと、その説明を聞いて黒板に 絵を貼り付ける児童のグループに分ける。 ●教材の使い方 ① 絵の位置関係を説明する。 (教材・教具の説明、支援 例)うさぎの上にりんごがあります。その上にかなへびがいます。 方法) ② 説明を聞いた児童は、①の説明の通りに絵を黒板に貼る。 ●支援方法 ・それぞれ①と②に取組む児童に分ける。 ・ 「みんなで協力して、絵のタワーを完成させよう」と伝える。 ・上下・左右・ななめ左・ななめ右の言い方を練習させる。 ・説明を受ける児童が絵を貼りやすいように、説明する児童には、「ゆっ くり・大きな声で・区切りながら話すこと」を意識させる。 ●支援の工夫 ・ものの位置を表す言葉を覚える段階では、絵を少なく提示して練習する。 ・説明を練習する段階では、説明を聞くのは教員が行う。 ・児童が説明の仕方に慣れるために、スタートとゴールの絵を指定したり、 必ず通らなければならない絵を指定したりして条件を与える。 例) 「フユニャン」の絵からがスタートしてください。ゴールは「あり」 です。その間に、必ず「かなへび」を入れて説明してください。 ・説明する絵が「物」の場合は「~があります。」 、 「生き物」の場合は「~ がいます。 」という言い方の違いを理解させる。 ③使い方 ④効果 (良い点等) ・ものの名前やものの位置を表す言葉(上下・左右・ななめ右左)を覚え るきっかけになる。 ・説明をする児童と説明を聞く児童に空間を作ることで、大きな声ではっ きりと話す必要性を感じさせることができる。 ・児童の説明が速過ぎたり、十分に伝わらなかったりするときは、(児童 または教師は)黒板に絵を貼るのをやめる。こうすることで、児童のメ タ認知を促し、自分の話し方をよりよく修正するきっかけとなる。 。 ●支援の段階と児童の変容 この教材を使う最初の段階では、ものの位置を表す言葉(上下・左右・ (児童・生徒の変容と今後 ななめ右左)を使って絵を説明する練習を十分行った。この段階では 6 つ の課題) の絵を提示した。 「物」と「生き物」の絵を提示することで、 「~がありま す。 」と「~がいます。 」という言い方を使い分けることも練習させた。 児童がものの位置を表す言葉を覚えた段階で、毎回の課題別学習の時間 に少しずつ絵を増やしていった。児童に興味がある絵を提示することで学 習意欲にもつながると感じた。絵が増えていくと、「フユニャンの左のう さぎの上のりんごの上にかなへびがいます。」と説明する様子が見られた。 この時は、「フユニャンの左にうさぎがいます。その上にりんごがありま す。その上にかなへびがいます。」というように、教師が言葉を区切りな がら話すモデルを示した。また、「その上に」という1種類の言葉しか使 わない児童がいたので、「スタートとゴールの絵の途中に必ず○○の絵を 通って説明してください。」という条件を与えることで、 「その右」や「そ の左」という言葉を使って説明する機会を作った。こうした練習を繰り返 すことで、児童は絵の位置関係を自信をもって説明できるようになった。 児童が絵の位置関係を上手に説明できるようになった段階で、手元にあ る紙を見て絵の位置関係を説明する児童のグループと、その説明を聞いて 黒板に絵を貼り付ける児童のグループに分けた。自分の説明が伝わってい るかが、黒板に貼り付けられる絵を見て確認できるため、「ゆっくり・大 きな声で・はっきりと・区切って話すこと」を意識して伝えようとする姿 が見られた。 このような話すことに重点を置いた指導をしていく中で、日常生活にお いても相手に伝わるようなコミュニケーションを意識できるようになっ た児童がいた。例えば、 「先生、○○」と言っていた児童が、 「先生、○○ に行ってきます。」「先生、○○をください。」と言う事ができるようにな ってきた。 ⑤考察 ●今後の展望と課題 上のような支援の段階が全て終わったあと、児童の興味に応じて提示す る絵を変えることでさらなる児童の意欲を引き出したいと考えている。ま た、絵の内容を工夫し、 「大きな○○」 「小さな○○」 「赤い○○」 「丸い○ ○」「四角い○○」といった修飾語を使って説明する練習もさせていきた いと考えている。 今後の課題は、児童同士のかかわりの場面をどのように作っていくかで ある。活動の中で児童に様々な条件を与えることで、児童同士のかかわり がより増えていくように指導を工夫していきたい。
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