平成27年9月 第741号 平成27年度 日本航空協会表彰と「空の日」 ・ 「空の旬間」事業 -高橋氏・玉河氏「航空亀齢賞」、中坪氏・浅井氏「航空功績賞」を受賞- 「空の日」 ・ 「空の旬間」事業では、毎年各種行事を展開しているが、この日に合わせて、 我が国の航空の発展に尽力した航空功労者に対して、(一財)日本航空協会会長より表彰 される。 当工業会は、日本航空協会の「航空関係者表彰」推薦団体となっており、会員企業か ら表彰候補者を推薦した結果、「航空亀齢賞」2名、「航空功績賞」2名の受賞通知を受け るという栄誉ある報告ができることを嬉しく思う。 以下に、平成27年度「空の日」・「空の旬間」事業の概要も含めて紹介する。 1.日本航空協会 航空関係者表彰 (1)航空亀齢賞 「航空亀齢賞」は永年にわたり航空の発展 賞しており、このたび航空亀齢賞が表彰さ れる。永年にわたるご活躍に敬意を表する とともに、素晴らしい功績をたたえる。 に尽力され、且つ、数え年90歳になられた方 に長寿を祝福する賞である。 ②玉河 晉次 氏 玉河氏は、昭和56年に新明和工業㈱代表 ①高橋 貞雄 氏 取締役社長に就任してから、代表取締役会 高橋氏は、昭和31年、石川島播磨重工業㈱ 長、相談役を歴任し、16年間にわたり航空 (現㈱IHI)に入社後、取締役航空宇宙事業 機製造並びに修理事業の充実を図るととも 本部長、代表取締役副社長を歴任する間、戦 に、経営の最高責任者として、航空機およ 闘機、練習機、対潜哨戒機、ヘリコプターに び関連事業の発展に尽力した。「優れた技 搭載される防衛用エンジンの開発・製造に 術と製品による社会への貢献」の経営理念 携わるとともに、V2500国際共同開発プロ のもと水陸両用飛行艇(US-1A型救難飛行 ジェクトなどの民間用エンジン事業にも心 艇)の発展に情熱を注いだ。海上自衛隊の 血を注ぎ、我が国の航空エンジン事業の発 洋上救難における同機による多くの人命救 展に尽力した。そして、航空エンジンで培っ 助実績をもって飛行艇の社会への貢献度が た最先端技術を宇宙開発に活用し、H-Ⅰ/ 認められるとともに、製造メーカーにも東 H-Ⅱロケット、宇宙環境利用、宇宙ステー 京都知事等から表彰の栄が授けられた。 ションなど多くの事業分野を拡充させた。 また、ボーイング社他との民間機事業に また、当工業会の国際委員長の他、関係 も早い段階から参画し、国際協力及び共同 団体の役員を歴任し、日本の航空機工業界 開発の立ち上げ等を通じて、同社のみなら の発展に長きにわたり尽力した。 ず日本航空機工業界の信頼の高揚に寄与し 高橋氏は、平成10年度に航空功績賞を受 た。 1 トピックス 産業界における活躍としては、当工業会 玉河氏は、平成14年度に航空功績賞を受 の理事をはじめとして、関係団体の役員を 賞しており、このたび航空亀齢賞が表彰さ 歴任し、日本の航空機工業界の発展に長き れる。永年にわたるご活躍に敬意を表する にわたり尽力した。 とともに、素晴らしい功績をたたえる。 高橋 貞雄 氏 元 ㈱IHI 代表取締役副社長 (2)航空功績賞 玉河 晉次 氏 元 新明和工業㈱ 代表取締役社長 知見を活かして次世代戦闘機FS-X構想検討 「航空功績賞」は、航空に関する文化、科 や日本独自技術適用の要として主翼複合材 学技術および事業等の発展に著しく寄与され 化研究に取り組み、その後のF-2支援戦闘開 た方またはグループに贈られる賞である。 発において、三菱重工業に設置された設計 チームの全機構造設計総責任者として活躍 2 ①中坪 博之 氏 し、日本の航空機メーカーにとって初めて 中坪氏は、昭和41年に富士重工業㈱に入 の日米共同開発事業の円滑な推進に大きく 社し、取締執行役員宇都宮製作所長、常務 寄与した。 執行役員航空宇宙事業本部長、常務執行役 一方、民間機分野は、FA-200、FA-300な 員航空宇宙カンパニープレジデントを歴任 どビジネスジェットの設計における豊富な するなど、一貫して航空宇宙関係の業務に 経験をもとに、我が国とボーイング社との 従事した。 本格的な国際共同開発事業として計画され 具体的な事業として、防衛関係は、T-2 た7J7プログラムにおける複合材尾翼研究 高等練習機/F-1支援戦闘機の開発におい 開発などに尽力し、後の787での複合材本 て、主要構造部位の分担開発を担当した富 格適用に先鞭をつけると共に、777などの 士重工業の空力制御・構造設計技術者とし 国際共同開発事業成功の礎を築いた。2002 て主に主翼設計に携わり、軽量・高性能な 年には国内航空機メーカーとして初めて 日本初の超音速機の実現に貢献した。この ボーイング社サプライヤーオブザイヤーを 平成27年9月 第741号 受賞するに至り、我が国航空機産業の秀逸 平成12年に日産自動車の宇宙航空部門が さを内外に示した。そして、787国際共同 石川島播磨重工業㈱(現 ㈱ IHI)に営業譲 開発事業の立ち上げ時(7E7)には日本側 渡された後も、引き続きH-ⅡAロケットの 代表メンバーとして尽力した。各事業の重 運用等宇宙関係の開発に携わり、平成18年 要な局面に於いて高い先見性と指導力を発 ㈱ IHIエアロスペース代表取締役社長に就 揮し、各社の協業体制による技術力向上、 任し、日本の宇宙開発および宇宙産業の発 産業振興に常に留意した産業人として我が 展に貢献した。 国航空機産業の発展と国際的地位向上に貢 一方、宇宙機開発と回収技術による宇宙 献した。 探査にも大きな功績が認められている。昭 和50年前後からTT-500A、TR-1Aといった ②浅井 達朗 氏 微小重力実験用ロケットや実験装置の開発 浅井氏は、昭和43年に日産自動車㈱に入 および実験装置等の回収システムの開発 社。宇宙航空事業部 宇宙技術部において設 は、その後の国際宇宙ステーション(ISS) 計を担当し、昭和56年頃より現在の我が国 と「はやぶさ」をはじめとした小惑星宇宙 の基幹ロケットH-ⅡAの前身であるH-Ⅱロ 探査機などにつながる技術であり、日本の ケットのコンフィギュレーション策定およ 宇宙探査技術の発展と実証に貢献した。 び固体ロケットブースタ(SRB)開発に携 また、産業界における活躍として、経団 わり、将来の国際競争力を見据えたロケッ 連宇宙開発利用推進委員会常任委員をはじ トの国産化に貢献した。その後、宇宙技術 め、各種団体の役員、委員などを歴任し、 部長としてH-ⅡA用固体ロケットブースタ 航空宇宙業界の発展に尽力した。そして、 (SRB-A)、さらには日本の宇宙科学の進捗 現在もJAXAからの委託により新型基幹ロ に寄与したM-Vロケットの開発を主導し ケット「H3ロケット」の審査会に評価チー た。 ムの一員として参加している。 中坪 博之 氏 元 富士重工業㈱ 取締役 専務執行役員 浅井 達朗 氏 元 ㈱IHIエアロスペース 代表取締役社長 3 トピックス 2.平成27年度「空の日」 ・ 「空の旬間」事業概要 (1)空の日記念式典 (4)絵画コンテストの支援 「FAIヤング・アーティスト・コンテスト(主 第63回「空の日」航空関係功労者国土交通 省大臣表彰式 催:FAI(国際航空連盟))」の国内予選であ る「青少年航空宇宙絵画国際コンテスト」の 費用の一部を支援する。 9月18日(金)予定 於:国土交通省 共用大会議室 (5)地方イベントへの支援 全国の空港等で開催される空の日イベント (2)広報活動 ポスター、ホームページ、グッズ製作、 「く に対して事業費の一部を支援する。 にまる」着ぐるみの活用などにより、空の日 (6)啓蒙事業(航空教室)の支援 のPRを行う。 ①航空分野に関心を持つ若者が増加するよ う協賛団体が行う青少年等を対象とした (3)中学生派遣事業 成田地区6名の中学生を対象として、7月27 航空教室等の事業費の一部を支援する。 日∼8月1日に米国シアトル ボーイング・エバ ②航空スポーツ分野の安全に関する講演 レット工場等の航空関連施設見学、フェニッ 会、講習会等の取り組みに対して事業費 クス運航乗員訓練所見学、現地高校生との交 支援を行う。 流会等を実施。 〔(一社)日本航空宇宙工業会 広報部長 高木 伸吾〕 4
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