2015 年 5 月 21 日 バイオ燃料用微細藻類の屋外大規模培養に成功 -石油代替の炭化水素油を生産する藻類の屋外大規模培養で世界トップレベル- 株式会社IHI、国立大学法人神戸大学および株式会社ちとせ研究所は、国立研究開発法人新エネ ルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技 術開発事業」において、バイオ燃料用微細藻類(ボツリオコッカス)の屋外大規模培養(培養池面積1,500 ㎡)に成功しました。この成果により、バイオ燃料用のバイオマス生産の目処が得られ、商用化への進 展が期待されます。 屋外での大規模培養池(1,500 ㎡)全体 培養池水面の様子 IHI(代表取締役社長:斎藤保) 、神戸大学(学長:武田廣)およびちとせ研究所(代表取締役CEO: 藤田朋宏)は、2012年度にNEDO(理事長:古川一夫)の委託事業を開始、高速増殖型ボツリオコ ッカス株※注)を用いて研究開発を行ってきました。高速増殖型ボツリオコッカスは石油代替となる炭 化水素油を生産し、増殖性が高いという点に特徴があります。これに加え、藻体径の増大、浮上性の 向上といった事業化での製造コスト削減に資する有用形質を集約した新株の育種に成功し、2013年度 には100㎡規模での屋外安定培養技術を確立しています。 藻と藻から染みだしている油の様子 100㎡規模の屋外培養(IHI横浜事業所) そして、このたび、鹿児島県鹿児島市七ツ島に屋外1,500㎡の培養池を有する試験設備で、栄養とな る糖類を添加せず、光合成のみで藻体の安定的増殖に成功いたしました。これは世界トップレベルで あるとともに、商用時の1培養単位で想定している1,500㎡スケールでの成功は、事業化に向け大きな 前進であると位置づけられます。現在は、課題抽出を含めた通年での安定的な藻体量産技術の更なる 向上等を目指し、試験を継続中です。 本委託事業では商用化に向け海外展開を想定し、事業実施場所の選定を並行して進めており、今 回の大量培養技術を適用しさらなる試験を進めていきます。また燃料製造コスト低減に向けたプロ セス全体(藻体回収・搾油等)の改良を進めます。 ※注) 神戸大学榎本平教授が顧問を務める有限会社ジーン・アンド・ジーンテクノロジー(本社:大阪府吹田市、代表: 榎本武)が所有する高速増殖型ボツリオコッカス株。なお、NEDO 本委託事業の成果を含め、株式会社 IHI、株式会社 ちとせ研究所および有限会社ジーン・アンド・ジーンテクノロジーは、2011 年に IHI NeoG Algae 合同会社を設立し(本 社:神奈川県川崎市、共同代表:藤田朋宏・成清勉) 、藻類を活用したバイオ燃料製造の技術開発に取り組んでいます。 以上
© Copyright 2024 ExpyDoc