反応工学 Reaction Engineering 講義時間:木曜2限 場所 :S-2A 担当 :山村 1 *授業アンケートの記入お願いします 2月4日(木)3限 C-3C 期末試験 2月18日(木)質問受付日 (S102) 3月2日(水)再試 4限 C-2D 2 コアシェル粒子の合成 A+bB→生成物C(反応速度r) シェル:生成物Cの殻 CA0 B A CAi コア:未反応の成分B (例)ラテックス液滴の反応固化 古川ら、粉体工学会誌, 31 (1994) 12-18 化学工学、第57巻(4), 293, 1993 (応用例)アスファルト 反応時間(反応率)を変えて 望ましい粒子構造へ 3 コアーシェル粒子の合成 B A+B→C A(気体) コア:未反応の成分B (a)均質粒子 速い界面反応 速い拡散 シェル:生成物Cの殻 (b)コアシェル型I 遅い拡散 (c)コアシェル型II 遅い界面反応 4 (b)と(c)を区別する考え方:未反応核モデル 未反応核モデル (Un-reacted Core Model) 生成物層ZnO 原料 成分A(O2) 成分A濃度 C A0 R ri 未反応核ZnS (成分B モル濃度CB) 濃度境界層 (物質移動 係数kc) C A0 C Ai 0 コアーシェル界面で の反応速度kCAi (反応速度定数k, 5 1次反応の場合) 未反応核モデル(1) 未反応核(成分B)の物質収支をとる。 モル数の変化DnB = 反応量( rBViDt ) 左辺は Dn B CBVi t Dt CBVi t 代入してDtで除すと モル濃度CB (一定) 半径ri 体積Vi 4 3 4 3 ri CB ri CB 3 t Dt 3 t 4 3 4 3 ri CB ri CB 3 t Dt 3 t rBVi Dt Dt→0として 4 3 d C B ri 3 rV B i dt 6 未反応核モデル(2) A+bB→生成物(反応速度r)なら rA r , rB brより rB brA 代入すれば dri 4CB ri brAVi dt 2 (1) (補) X ri とおくと 3 3 dri dX dX dri 2 dri 3ri dt dt dri dt dt 7 未反応核モデル(3) 原料ガス(成分A)の物質収支をとる。 モル数の変化DnA = 反応量( rAViDt ) dn A rAVi ( W ) dt 1次反応の場合、表面での成分Aのモル濃度をCAiとすると 未反応核表面での成分Aの消滅速度は 2 W1 4ri kCAi [m2][m/s][mol/m3]=[mol/s] 一方、境界層内の成分Aの移動速度W2(mol/s)は W2 4R 2 kc (C A0 C Ai ) [m2][m/s][mol/m3]=[mol/s] 8 未反応核モデル(4) 定常状態ではこの2つは等しいので W1 W2 W 変形すれば W W C A0 C Ai , C Ai 2 2 4R kc 4ri k 整理すると C A0 1 4 1 4C A0 1 2 2 W W ( rAVi ) (2) 2 2 R k r k 1 /( R kc ) 1 /( ri k ) c i (例)反応速度が遅い場合 1/(ri2k)>>1/(R2kc) 4C A0 2 r V 4 C r 反応速度は A i A0 i k 2 1 /( ri k ) 9 未反応核モデル(5) (2)を(1)に代入すれば 4C A0 2 dri 4C B ri b 2 2 dt 1 /( R kc ) 1 /( ri k ) t ri 2 bC A0 1 R R 2 kc k drc 0 CB dt ri 3 bC A0 1 R R 2 ri t 3R k k 3k CB c c k 3 C B R 1 1 1 ri 1 ri t bC A0 3kc k 3kc R k R ri 10 未反応核モデル:QUIZ R ri 成分A濃度 反応速度が非常に 遅い場合の 濃度分布はどちらか? C A0 C A0 a 0 b 11 未反応核モデル(6) 特別な場合 (1)反応が非常に遅く反応律速 1/k>>1/kc CB R t bC A0 1 1 ri CB R ri k k R bkC 1 R A0 (2)拡散が非常に遅く境界層内の拡散律速 1/k<<1/kc 3 CB R 1 1 ri CB R t bC A0 3kc 3kc R 3bkcC A0 ri 3 1 R 12 未反応核モデル(7) 反応律速の場合 C R t B bC A0 1 1 ri CB R ri k k R bkC 1 R A0 未反応核が消滅する時間t*は、ri=0を代入して CB R * t bkCA0 13 コア・シェル型無機粒子の合成実験 天秤 3O2 +2ZnS →2ZnO+2SO2 半径riの ZnS ZnS 電気炉 (900K) ZnO サンプル 反応律速(低温)時の理論線 (R=8.5mm) 1 ガス入口 質量変化からコアの サイズ(ri)を決定 1 - (rc/R)3 ガス 出口 (半径R) 拡散律速 (高温)時の 理論線 実測値 時間t 14 管型反応器を用いたZnS粒子の酸化(1) 2ZnS+3O2→2ZnO+2SO2 0.54mm ZnS 2mm ZnO 0.92mm ZnSをri=0.46mmまで管型反応器で酸化 処理量はv0=4.8 m3/h 管型反応器の体積V[m3]を決定せよ。 反応速度定数は k 0.018m / s 15 管型反応器を用いたZnS粒子の酸化(2) 未反応核モデルを適用する 2 b , R 1mm, CB 42000mol / m3 , 3 C A0 2.8mol / m3 , k 0.018m / s 未反応核が消滅する時間は CB R (42000)(0.001) t 1250s( 20.8 min) bkCA0 (2 / 3)(0.018)(2.8) * CB R ri t 1 bkCA0 R に代入すれば ri=0.46mmとなるのに必要な時間 は 0.46 t (1250)1 675s( 11.3 min) 1 16 管型反応器を用いたZnS粒子の酸化(3) 管型反応器ではτ=V/v0が反応時間に等しいから V 675s v0 v0=4.8m3/h=1.33×10-3 m3/sなので V (675)(1.33 103 ) 0.90m3 1本の管型反応器なら 体積0.90m3 ZnS 50cm 4.8m3/h R=1mm ZnS ZnO ri=0.46mm 17 4.5m ミッション: □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ 単一反応、複合反応の反応速度を記述をすることができる 定常状態近似により反応速度式を導出することができる 律速段階近似により反応速度式を導出することができる 連続槽型反応器の設計方程式を導出することができる 回分反応器の設計方程式を導出することができる 管型反応器の設計方程式を導出することができる 自触媒反応器の最適設計ができる 循環流れを伴う反応器の設計計算を行うことができる 回分ラボ実験データから実スケールの反応器体積を求めることができる 回分反応器を用いた簡単なバイオリアクターの設計ができる 回分反応器を用いた並列反応の設計計算を行うことができる 回分反応器を用いた逐次反応の設計計算を行うことができる 晶析反応器の設計計算を行うことができる 未反応核モデルを用いて管型反応器内の粒子反応を設計できる 18 コアシェル型ZnS/ZnO複合粒子の生成 report 13 氏名 ri [mm] 10.0 8.8 7.6 [問1]未反応核(ZnS、成分B)についてΔt秒間の物質収支をとると次式が成り立つ。 モル数の変化DnB = 反応量( rBViDt ) これより式(1)が成り立つことを示せ。ただしnBは成分Bのモル数、rBは成分Bの反応速度、 CB(一定)は成分Bのモル濃度、Viは未反応核の体積、tは時間である。 4 3 d C B ri / dt rBVi (1) 3 [問2]この反応は1次反応であり、反応ガス(O2 、成分A)の反応速度rAは反応速度定数k と成分Aのモル濃度CA0を用いて式(2)で表される。これを用いて式(1)を積分し、時間と ZnSとZnOとの界面の半径位置riの関係が式(3)で表されることを示せ。ただし反応式から 式(4)が成り立つ。 3CB R r 2 2 rA (4ri / Vi ) kC A0 (2), t (1 i ) (3), rB rA (4) 2kC A0 R 3 [問3]上表のデータが式(3)で表現できるなら横軸t[s]、縦軸1-ri/Rのグラフを作成すると直 線になるはずである。右図にプロットしてこれを確認せよ。 [問4]グラフの傾きを求め、それを用いて未反応ZnSが消滅するまでの時間t* [s]を求めよ。 0.3 0.2 1-ri/R 初期半径R=10.0mmの球形ZnS粒子を900K、大流量の酸素雰囲気下においたところ、 3O2 (成分A) + 2ZnS (成分B) →2ZnO+2SO2で表される反応が生じ、内側に未反応ZnS、外側 にZnOを持つコアシェル型複合粒子が生成した。このサンプルを取り出して切断し、異な る反応時刻tにおけるZnSとZnOとの界面の半径位置riを測定したところ、下表のデータを 得た。反応により粒子径は変化せず反応律速と仮定して未反応核モデルを用いた場合に t[ s] 0 1000 2000 ついて次の問いに答えよ。 0.1 0 0 1000 2000 3000 t [s] 19
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