ダイヤモンドアンビル装置用 c-BN ガスケットの開発とその応用 船守展正、佐藤友子、松尾俊彦 113-0033 東京都文京区本郷 7-3-1 東京大学 大学院理学系研究科 1 はじめに ダイヤモンドアンビル装置のガスケット材には、 。また、非晶質ボロンと比べ 結果は、90μm と 27μm) ると 25GPa で 1.3 倍程度の厚みを保持できた(単体同 主に Re などの金属材料が用いられているが、Mbar 士の比較) 。当初、タングステン製のアウターガスケッ 領域において、その厚みは数 μm まで減少する。ガ トを用いたが、層状のクラックを生じることがあった スケットの厚みを増やすことができれば、信号強度 ため、途中から、機械的性質の類似したインコネル の弱い試料に対する測定や、より複雑な試料構成を X-750 に切り替えた。c-BN 電着 WRe は、電着層が加 実現することが可能になる。近年、ダイヤモンドや 圧に伴う変形時に剥離してしまい、電着層なしの WRe 非晶質ボロンのような高硬度非金属材料をガスケ 場合と結果に有意な差は見られなかった(Re と比べる ット材として用いる試みが行われ、高圧下での厚み と薄い) 。Re と c-BN の複合体については、c-BN によ を増やすこと成功したとの報告がある。我々は、ダ るサポートの効果は、有意ではあるが、大きくはない イヤモンドに次いで硬度の高い c-BN について試験 ことが分かった。 を行ったので報告する。 表 1 c-BN ガスケットの試験結果(抜粋) 2 試験方法 試験には粒径 0-1μm の c-BN 粉末を用いた。c-BN 単体、c-BN エポキシ混合体(重量比 10:1)のほか、 c-BN を電着した WRe(両面電着、層厚 10μm、金属 マトリクス Ni) 、および、Re と c-BN の複合体(直 径 250μm の Re の周囲に内径 250μm・外径 350μm の リング状に加工した c-BN エポキシ混合体を配置し たもの)などについて試験を行った。ガスケット材 の初期厚みは 250μm に統一し、 キュレット径 350μm のアンビルを用いた。アウターガスケット(穴径 350μm)内に保持されたガスケット材を所定の圧力 まで加圧した後、減圧して回収厚みを測定した。た だし、c-BN 電着 WRe の初期厚みは 220μm であり、 アウターガスケットも使用していない。比較のため、 Re や非晶質ボロンに対する試験も行った。 4 おわりに c-BN は、ダイヤモンドと比べた場合、超高圧下にお けるアンビル破壊のリスクを低減することができると 期待される。c-BN エポキシ混合体は、比較的容易に 3 結果と考察 主な試験結果を表 1 にまとめた。c-BN は、Re と 比べると 25GPa で 2 倍強、50GPa では 3 倍強の厚みを 保持できた(c-BN エポキシ混合体とアウターガスケ ットなしの Re との比較;50GPa からの回収試験の 加工することができる。現在、c-BN エポキシ混合体 をガスケット材に用いて SiO2 ガラスの X 線回折測定 (信号強度が弱い)を行い、実際の超高圧実験におけ る有用性について検証を行っている。
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