開発と平和のためのスポーツセミナー SDP 分野説明 10/17/2015 岡田千あき氏より SDP 分野説明 まず始めに、「スポーツ」と「開発」という単語の関係性と定義について説明する。 研究で用いられる「スポーツ」と「開発」の関係を分類すると、まず“Development of Sports”があ る。これはスポーツ界全体の発展・振興を目指した、例えば心理学、栄養学といったスポーツに関係す るあらゆる分野の発展を目指すスポーツ科学の総称である。 次に出てきたのが、“Development and Sports”である。これはスポーツを振興することで、社会の 開発が促進されたり、あるいは妨げられたり、といった正負の影響や変化について論じるものである。 最後に、本セミナーのテーマである“Development through Sports”は、スポーツが、社会や地 域、個人的にメリットをもたらす幸福追求の手段となるか否かについて研究する分野である。実際の開 発の現場では、様々な難しい課題があり、スポーツ以外の選択肢がない場合に、スポーツが解決に向 けた糸口として用いられる場合もある。 一方で、「権利としてのスポーツ」という考え方もある。これは、人間のバランスの取れた発育・発達の ために、身体活動が不可欠であるという前提に立ったものである。スポーツは社会参加の機会としても 有効であるが、「権利としてのスポーツ」を強調しすぎると、権利を獲得できなかったらスポーツができ ない、と思い込んでしまう危険性もある。 この権利の部分にフォーカスしない場合に、スポーツにはどういう特徴があるだろうか。例えば、スポー ツは独自性を持つ一方で客観化や相対化が可能である。また、競技をしている間は、普段の生活や個 人的な背景が「リセット」される。また、単純にやはり世界中どこにいってもスポーツが好きな人はいる ため、スポーツによって楽しさを共有できるという単純な事実も欠かせない。 もちろんスポーツがこのような利点ばかりを持っている訳ではない。そのため、スポーツを使う人や使 い方によって結果に差が出てくるのも事実であり、開発分野におけるスポーツの使い方については慎 重に考えられる必要性が高い。今回のセミナーでは、“Development through Sport”分野の成功 事例として有名な Right to Play と Mathare Youth Sports Association、また国内からはふうせ ん遊び協会の合わせて 3 名の方をお招きして事例を紹介していただく。
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