2014 年 1 月 30 日 コージェネ財団 「欧州のコージェネレーション・ロードマップ」の公表について 本年 1 月 27 日、CODE 2 プロジェクト*が EU27 加盟国との協働による成果報告書「欧州 のコージェネレーション・ロードマップ」(“European Cogeneration Roadmap”)を公 表した。本報告書は、2030 年における欧州の CHP 導入ポテンシャルや CHP 導入促進に向 けた課題等が示されている。以下、その Executive Summary(参考和訳)を紹介する。 *CODE 2 プロジェクト:2012 年 7 月に開始。前身の CODE プロジェクト成果を踏まえ、 欧州 27 カ国の国別 CHP ロードマップ及び欧州全体での CHP ロ ードマップの作成を主目的として設置された *本報告書 URL: http://www.code2-project.eu/wp-content/uploads/CODE-2-European-Cogeneratio n-Roadmap.pdf “European Cogeneration Roadmap” Executive Summary (参考和訳) CODE 2 プロジェクトは、EU27 加盟国の専門家と協働し、各国における CHP 導入拡大への 道筋を見極め、CHP に関わる適切な政策的な枠組み導入により欧州エネルギー・気候目 標において見込まれる影響を試算した。 本プロジェクト・ロードマップは、2030 年において CHP が再生可能エネルギー由来燃料 の比率を高めつつ EU の発電電力量の 20%を高効率に発電することができると見通してい る。今日、EU では熱生成の 15%(850TWh)が CHP によるものである。CODE 2 プロジェク トは、2030 年にこの CHP 熱生成量が 1,264TWh まで倍近く増大すると見通している。本 CHP ロードマップの見通しでは、2012 年以降新設及びアップグレードされた CHP 容量に より、2030 年における内陸の総エネルギー消費量をさらに 870TWh、CO2 排出量をさらに 350Mt 削減すると見通している。 本ロードマップにはバイオエネルギーベースのロードマップが別途含まれ、これによる と、CHP の燃料ミックスが再生可能エネルギー燃料にシフトしつつあり、当該部門にと って当該サプライ・チェーンの革新や信頼性が重要なファクターとなっている。部門別 マイクロ CHP 分析では、産業が製品コストを競合しうるレベルまで低減させることに応 じて 2030 年までに欧州でマイクロ CHP が増大する可能性が示されている。 CHP は、欧州経済を横断し深く根付いており、病院、大学、産業及び地域熱供給では熱 を提供し、発電を行っている。かかる事実は、エネルギー・ネットワーク・レベルでは 省エネを保証していることになるが、CHP オペレーターに対して投資のリターンは保証 しているわけではない。本ロードマップは、CHP にとっての主要な課題がこれまでと変 わることなく、CHP オペレーターに対しよい事業提案を作り上げることであることを改 めて示している。 本ロードマップは、欧州における CHP 拡大に向けて 4 つの主要な課題を強調している: 電力/熱市場は、CHP の省エネ量に対しエネルギーシステム・レベルで一貫して報い ているわけではない。CHP オペレーターにとっては、ある種の市場の失敗が存在し ている。 電力市場及びエネルギー市場での近年の重大な変化から発生する制度面での不確実 性により、CHP への投資がハイリスクとなっている。 -1- 2004 年以降、系統接続、ネットワーク費用、許可及び官僚制度に関連する問題の解 決に向けた立法がなされたにもかかわらず、現在でも CHP にとって同じ問題が続い ている。 EU のエネルギー効率化政策において、二次エネルギーに比べ一次エネルギーへのフ ォーカスが弱まり、また、一般的なエネルギー政策及び気候政策において熱が適切 に考慮されていないことが CHP 導入の障害となっている。 すべての CODE 2 ロードマップは、欧州のエネルギー効率指令(EED)の新しい政策動向 を認識し、2030 年の省エネ及び CO2 削減計画達成のために EED を厳密に思慮深く実施す べきとしている。 産業自体は、非常に間欠的な再生可能エネルギー由来の電力系統網の要求に順応してお り、これからの新たな諸設計では、電力サービス市場への参入あるいはオンサイト需要 充足のための容量選定が考慮されていくだろう。中小企業(SME)は、熱需要が適切かつ 電力市況が良好で、経済的なリターンが確保できる場合に、CHP を考慮することが推奨 されている。産業と地域熱供給が有する高い省エネ性を実現するには、政策的な枠組み や資本アクセスへの更なる取り組みが必要である。 欧州は、CHP 及びそのアプリケーションの設計、販売、革新など、CHP にとって極めて良 好な地域である。CHP 導入促進を選択する加盟国は、現在欧州全体で 10 万人の人々を雇 用するナレッジベースの当該産業を通じた景気刺激から利益を得るだろう。 以上 -2-
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