2015年度バックエンド週末基礎講座 無断複製・転載禁止 実践講義2:低レベル放射性廃棄物 処分に関する検討・実施状況 2015年11月8日 日本原燃株式会社 埋設事業部 土木技術G 大野真知子 1/55 目次 1. 2. 3. 4. 廃棄物分類と処分方法 新規制基準 浅地中ピット処分の検討状況 余裕深度処分の検討状況 2 低レベル放射性廃棄物の区分(1/2) 原子力発電所・再処理工場などのサイクル施設 高レベル放射性廃棄物 (ガラス固化体) 低レベル放射性廃棄物 放射能レベルの 極めて低い廃棄物 コンクリートなど 浅地中トレンチ 処分 放射能レベルの 比較的低い廃棄物 廃液、フィルター、廃 材などを固形化した もの 浅地中ピット 処分 放射能レベルの 比較的高い廃棄物 チャンネル ボックス 放射能レベルが比較的 高く長寿命核種が比較 的多く含まれる廃棄物 制御棒 炉内構造物、 制御棒など 余裕深度 処分 燃料棒の部品など 地層処分 3 低レベル放射性廃棄物の区分(2/2) 廃棄物の種類 高レベル放射性廃棄物 発生施設 再処理施設など 低レベル放射性廃棄物 発電所廃棄物 放射能レベルの比 較的高い廃棄物 放射能レベルの比 較的低い廃棄物 原子力発電所 放射能レベルの極 めて低い廃棄物 主な廃棄物の形態(添付2参照) 処分方法(例) ガラス固化体など 地層処分 使用済制御棒、チャンネルボックス、 炉内構造物など 余裕深度処分 濃縮廃液、使用済樹脂、金属類、 解体機器・配管、廃コンクリートなど 浅地中ピット処分 コンクリート、金属など 解体機器・配管、廃コンクリートなど 浅地中トレンチ処分 超ウラン核種を含む放射 性廃棄物(TRU廃棄物) 再処理施設、MOX 燃料加工施設 ハル・エンドピースなど 使用済燃料チャンネルボックス、バーナブル ポイズンなど 焼却灰、金属廃材 、廃コンクリートなど ウラン廃棄物 加工施設 スラッジ、使用済フィルタ、金属廃材、 解体廃材、廃コンクリートなど 濃度に応じて、地層処分、余裕 深度処分、浅地中処分 ※ 研究施設等廃棄物 研究施設、病院等 研究開発原子炉 洗浄廃水、解体廃材、廃コンクリートなど 余裕深度処分、浅地中処分※ 上記施設で発生するもので、放射性物質の 濃度が極めて低く、特段の対策を施さなくて も人間環境への放射線による影響を考慮す る必要のないもの 再利用/一般の物品としての 処分 放射性廃棄物として扱う必要 のないもの(クリアランス物) 放射性廃棄物でない廃棄物 (NR) 上記の各施設 濃度に応じて、地層処分、 余裕深度処分、 ※ 浅地中処分 上記施設で発生するもので、放射性物質に汚染等の 蓋然性がないもの ※具体は今後検討 出典:資源エネルギー庁Webサイト 放射性廃棄物のホームページ、「放射性廃棄物ハンドブック(平成26年度版)平成26年7月_廃棄物の形態」を一部加工 4 放射性廃棄物埋設方法 低レベル放射性廃棄物 放射能レベルの 極めて低いもの 放射能レベルの 比較的低いもの 浅地中トレンチ処分 浅地中ピット処分 放射能レベルの 高レベル放射性廃棄物 比較的高いもの 余裕深度処分 地層処分 地表 管理型処分 50m以深 非固型化 (コンクリート、金属等) 固型化 非固型化 (均質固化体、 (大型金属) 雑固体等) 固型化等 (放射化金属、 樹脂、等) 20m 50m 300m以深 100m 地層処分 日本原燃 操業中埋設施設 低レベル放射性廃棄物 (TRU廃棄物等) 高レベル放射性廃棄物 (ガラス固化体) 300m 5 5 バリア性能の違い 実効拡散係数 [m2/s] 10-5 浅地中ピット処分施設 10-10 余裕深度処分施設 10-15 10-15 10-10 透水係数[m/s] T. Shimizu, The Fourth Annual RadWaste Summit, September 7-10, 2010, Las Vegas, Nevada 10-5 6 目次 1. 2. 3. 4. 廃棄物分類と処分方法 新規制基準 浅地中ピット処分の検討状況 余裕深度処分の検討状況 7 主な審査指針の変遷 ①1988年旧指針(原安委) 「放射性廃棄物埋設施設の安全審査の基本的考え方」 昭和63年3月17日原子力安全委員会(平成5年、平成13年、平成21年一部改訂) 対象:浅地中ピット処分、トレンチ処分⇒1号・2号埋設施設の安全審査 ②2010年新指針(原安委) 「第二種廃棄物埋設の事業に関する安全審査の基本的考え方」 平成22年8月5日原子力安全委員会 対象:余裕深度処分、浅地中ピット処分、トレンチ処分 ③2013年新規制基準(規制庁) 「第二種廃棄物埋設施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則」 平成25年11月27日原子力規制委員会 対象:浅地中ピット処分、トレンチ処分 ④201×年新規制基準(規制庁) 「廃炉等に伴い発生する放射性廃棄物に係る事業許可基準」(骨子案) 平成27年1月26日~原子力規制委員会において検討中 対象:余裕深度処分 8 新規制基準の適用の考え方(1/5) 条 文 第1条 (適用範囲) 要求事項 従来規制※からの 要求事項変更の有無 ・第二種廃棄物埋設の事業に係る廃棄物埋設施設(余 有り 裕深度処分に係るものを除く)について適用。 ・施設の設計、材料の選定、建設・施工及び検査に関し (準拠規格・基準の材料の選定、 検査の要求を追加) て準拠する規格・基準を明らかにしておく。 有り 第2条 (定義) 第3条 (廃棄物埋設 施設の地盤) 第4条 (地震による 損傷の防止) ・第二種廃棄物埋設の事業に関する規則において使用 (第1段階~第3段階の区分や する用語の例による。 周辺監視区域の設置時期など の記載がなくなった) ・安全性を確保するために必要な機能の喪失に起因す る放射線による公衆への影響の程度に応じて算定する 地震力が作用した場合でも十分に支持することができる 有り 地盤に設ける。 (要求内容の明確化) ・変形(傾斜、撓み)した場合でも安全性が損なわれない 地盤に設ける。 ・変位(活断層)が生ずるおそれのない地盤に設ける。 ・地震力に十分に耐えることができる。 ・地震力は、廃棄物埋設施設の安全性を確保するため 有り に必要な機能の喪失に起因する放射線による公衆への (要求内容の明確化) 影響の程度に応じて算定する。 9 ・耐震重要度クラスはBクラス又はCクラスに分類する。 新規制基準の適用の考え方(2/5) 条 文 要求事項 従来規制※からの 要求事項変更の有無 第5条 有り ( 津 波 に よ る ・津波に対して安全性が損なわれるおそれがない。 (要求内容の追加) 損傷の防止) ・想定される自然現象(地震、津波を除く)が発生した場 第6条 有り ( 外 部 か ら の 合でも安全性を損なわない。 (自然現象の竜巻・火山の影響 衝撃による損 ・人為によるもの(故意によるものを除く)に対して安全性 等に対する要求を追加) を損なわない。 傷の防止) ・火災又は爆発により安全性が損なわれない。(発生の (火災等による 防止、発生の早期の感知及び消火、影響の軽減を適切 損傷の防止) に組み合わせた措置を講ずる) 無し ・平常時における廃棄物埋設施設からの直接ガンマ線 及びスカイシャイン線による事業所周辺の空間線量率 が十分に低減できるものである(ALARAの考え方の下、 実効線量で50μSv/y以下)。 ・放射性物質の飛散防止のための措置を講じたもので ある。 ・放射線業務従事者が業務に従事する場所の放射線量 を低減できるものである。 有り 第7条 第8条 (遮蔽等) (目標数値の明確化) 10 新規制基準の適用の考え方(3/5) 条 文 要求事項 従来規制※からの 要求事項変更の有無 ・異常が発生した場合でも事業所周辺の公衆の放射線障 害を及ぼさないものである。(発生事故・異常につき5mSv 以下) ・廃棄物の受入の開始の日から廃止措置開始の日の前 第9条 有り ( 異 常 時 の 日までの期間中(ピット処分:埋設の終了後300~400年 (評価シナリオ区分、 放 射 線 障 害 以内)、廃棄物埋設地の保全に関する措置を必要としな シナリオ区分毎の基準線量 い状態に移行する見通しがあるものである。(基本シナリ の変更) の防止等) オ、変動シナリオ、基本・変動シナリオ以外の自然現象 及び人為事象シナリオ。基準線量は、10μSv/y以下、 300μSv/y以下、1mSv/y以下。) ・廃棄物埋設地の外への放射性物質の異常な漏えいを 防止する機能を有する(受入れの開始から廃止措置の開 始まで)。 第10条 ( 廃 棄 物 ・埋設が終了するまでの期間、放射性物質を廃棄物埋設 無し 地の限定された区域に閉じ込める機能を有する。 埋設地) ・埋設した放射性廃棄物に含有される化学物質その他の 化学物質により安全性を損なわない。 11 新規制基準の適用の考え方(4/5) 条 文 要求事項 ・放射線から放射線業務従事者を防護するため、線量を 監視・管理する設備を設ける(監視期間は受入れの開始 から廃止措置の開始まで)。 第11条 ・事業所及びその境界付近の放射性物質の濃度及び線 ( 放 射 線 管 量を監視・管理する設備を設ける(監視期間は受入れの 理施設) 開始から廃止措置の開始まで)。 ・放射線防護のための必要な情報を必要な場所に表示 できる設備を設ける。 ・必要に応じて、埋設に伴う発生する放射性廃棄物を処 理する能力を有する廃棄施設を設ける。 第12条 (廃棄施設) ・十分な容量を有する放射性廃棄物を保管廃棄する施 設を設ける。 従来規制※からの 要求事項変更の有無 有り (監視期間が廃止措置の開 始まで延長、情報の表示設 備の設置に対する要求を追 加) 無し 12 新規制基準の適用の考え方(5/5) 条 文 要求事項 ・地下水の水位その他の廃棄物埋設地及びその周辺の 状況(事業規則に規定する定期的な評価等に必要な 第13条 ( 地 下 水 の データを取得するため、人工バリア及び天然バリアの機 水 位 等 の 監 能に関係する地下水の状況等)を監視・測定する設備 (第11条の監視・測定設備を除く)を設ける(監視期間は 視設備) 受入れの開始から廃止措置の開始まで)。 ・外部電源系統からの電気の供給が停止した場合、監視 第14条 設備その他安全上必要な設備に使用することができる (予備電源) 予備電源を備える。 ・異常が発生した場合、事業所内の人に対し必要な指示 ができるよう警報装置及び通信連絡設備を設ける。 第15条 ( 通 信 連 絡 ・異常が発生した場合、事業所外の必要な場所と通信連 絡ができるよう通信連絡設備を設ける。 設備等) ・事業所内の人の退避のための設備を設ける。 従来規制※からの 要求事項変更の有無 有り (新規の要求内容) 無し 有り (新規の要求内容) ※:従来規制は、1・2号埋設施設の許可当時の原子力安全委員会の「廃棄物埋設施設の安全審査に係る基本的考え方」とした。 13 新規制基準のポイント ○第二種廃棄物埋設に関して、主に図中①②③の見直しが 実施された。 ※1;第二種廃棄物埋設施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則〔平成二十五年十二月六日号外原子力規制委員会規則第三十号〕 ※2;核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物の第二種廃棄物埋設の事業に関する規則〔昭和六十三年一月十三日号外総理府令第一号〕 出典:自民党本部Webサイト 資源・エネルギー戦略調査会 放射性廃棄物処分に関する小委員会(H26.5.15) 原子力規制委員会ヒア資料を一部加工 14 目次 1. 廃棄物分類と処分方法 2. 新規制基準 3. 浅地中ピット処分の検討状況 操業中の施設概要 埋設施設の設計と主要機能 埋設施設の立地条件 長期の状態設定 安全評価 4. 余裕深度処分の検討状況 15 施設概要 比較的放射能レベルの低い廃棄物 2号廃棄物埋設地 1号廃棄物埋設地 事業用地面積 約360万m2 (ウラン濃縮工場用地、専用道路含む) 1,2号廃棄物埋設地の全景 (2014年11月現在) 《処分能力》 《構築状況》 ○1号埋設地 4万m3(200ℓドラム缶20万本相当) 対象廃棄物 均質・均一固化体 ○2号埋設地 4万m3(200ℓドラム缶20万本相当) 対象廃棄物 充填固化体 ○1号埋設設備 全8群中6群まで完成 (200ℓドラム缶15万本相当) ○2号埋設設備 全8群中6群まで完成 (200ℓドラム缶15万本相当) [出典] 日本原燃ホームページ http://www.jnfl.co.jp/ ※2013年3月~ 7群・8群の構築工事開始 16 操業状況 ●1,2号廃棄体受入れ実績(2015年2月末現在) 1号廃棄物埋設施設 2号廃棄物埋設施設 受入本数: 累計 147,507本 受入本数: 累計 122,872本 埋設本数: 累計 147,507本 埋設本数: 累計 122,032本 17 埋設対象廃棄物 1号廃棄体 2号廃棄体 均質・均一固化体 充てん固化体 原子力発電所の運転に伴い発生した低レ ベル放射性廃棄物であって、濃縮廃液、使 用済樹脂、焼却灰などをセメント、アスファル ト、プラスチックを用いてドラム缶に均質・均 一に練り混ぜて固型化する。 固型化のイメージ図 固型化方法(例) [出典] 日本原燃ホームページ http://www.jnfl.co.jp/ 原子力発電所の運転に伴い発生した低レベル 放射性廃棄物であって、金属類、プラスチック、 保温材、フィルター類などの固体状廃棄物を分 別し、必要に応じて切断・圧縮・溶融処理などを 行い、ドラム缶に収納後、セメント系充てん材 (モルタル)で一体となるように固型化する。 固型化のイメージ図 固型化方法(例) 18 作業工程(受入れ) 管理建屋の受け入れからが、埋設の事業許可の範囲となります。 原子力発電所から低レベル放射性廃棄物埋設センターへ運ばれた廃棄体は、低レベル廃棄物管理 建屋内で輸送中に破損がなかったかどうか等の最終検査を行い、それぞれの埋設地に埋設します。 専用輸送船:青栄丸 むつ小川原港 輸送容器を陸揚げ 輸送トラックでの輸送 専用道路 管理建屋へ搬入 [出典] 日本原燃ホームページ http://www.jnfl.co.jp/ 19 作業工程(一時貯蔵~払出し) 一時貯蔵 廃棄体仮置き [出典] 日本原燃ホームページ http://www.jnfl.co.jp/ 検査装置へ搬入 廃棄体払い出し 廃棄体検査 (外観目視検査、整理番号照合) 埋設地へ廃棄体を運搬 20 作業工程(定置~覆土) ピット内に廃棄体を定置 上部ポーラスコンクリート設置 覆い(鉄筋コンクリート)を打設 [出典] 日本原燃ホームページ http://www.jnfl.co.jp/ セメント系充てん材(モルタル)注入 覆土 21 目次 1. 廃棄物分類と処分方法 2. 新規制基準 3. 浅地中ピット処分の検討状況 操業中の施設概要 埋設施設の設計と主要機能 埋設施設の立地条件 長期の状態設定 安全評価 4. 余裕深度処分の検討状況 22 埋設施設の設計と安全機能 廃棄物埋設地の主要機能 廃棄体 ・ 廃棄体定置時の耐荷機能 ・ 閉じ込め機能 ・ 移行抑制機能 充てん材 ・ 遮蔽機能 ・ 閉じ込め機能 ・ 移行抑制機能 排水・監視設備(ポーラスコンクリート層、 排水管、点検路) ・ 集水機能 覆土(ベントナイト混合土、上部覆土) ・ 遮蔽機能 ・ 移行抑制機能 コンクリートピット ・ 建設・操業荷重の耐荷機能 ・ 遮蔽機能 ・ 閉じ込め機能 ・ 移行抑制機能 附属施設の主要機能 建物(管理建屋) ・ 遮蔽機能 液体廃棄物の廃棄施設 ・ 漏出拡大防止機能 [出典] (社)日本原子力学会 標準委員会 原子燃料サイクル専門部会 第1回 LLW処分安全評価分科会(2010年5月26日), 「F16SC1-5 現行埋設施設の安全評価事例について」 23 放射性物質の漏出を抑える仕組み 降雨、降雪 ポーラスコンクリート層 排水 セメント系充てん材 岩盤 [出典] 日本原燃ホームページ http://www.jnfl.co.jp/ に加筆・修正 24 【参考】ポーラスコンクリートとは あえて水を通しやすい材料を使うことで 廃棄体に水が触れにくいような設計 25 目次 1. 廃棄物分類と処分方法 2. 新規制基準 3. 浅地中ピット処分の検討状況 操業中の施設概要 埋設施設の設計と主要機能 埋設施設の立地条件 長期の状態設定 安全評価 4. 余裕深度処分の検討状況 26 断層に関する検討 12 ・変位が生ずるおそれがない地盤 ⇒直下に活断層がないこと ・変形した場合においてもその安全性が損われるおそれがない地盤 ⇒施設に影響を及ぼすような大きい変形が発生しないこと 埋設施設の直下に活断層があった場合、 埋設施設の安定性が保てない可能性が ある。 活 断 層 直下に活断層が無かった場合でも、 施設に影響を与えるような変形が生じ ないか、調査が必要となる。 27 敷地内の地質・断層調査 埋設地周辺の地質・地盤を調査し、 施設が設置可能であるか調査する • 埋設地周辺の地質は十分な強度 がある • 複数の断層が確認されたが、 埋設地に影響(変位・変形)を 及ぼさない断層であることを確認 (活断層ではない堆積時断層) [出典] 日本原燃ホームページ http://www.jnfl.co.jp/ 28 敷地内断層(堆積時断層) 軽石凝灰岩(Tpt2) 軽石凝灰岩(Tpt2) 砕屑岩脈状に 入り込む箇所 混在する範囲 軽石混り砂岩(Tps32) 上下の岩質以外の 礫を含む箇所 境界面はゆ着し、 割れ目は認められない。 軽石混り砂岩(Tps32) 0 [出典] 日本原燃ホームページ http://www.jnfl.co.jp/ 50cm 29 火山事象の検討 ・施設周辺の第四紀火山の有無・活動性について調査(立地評価) ・施設周辺の第四紀火山が活動した際の影響について評価(影響評価) [出典] 気象庁ホームページ http://www.jma.go.jp/jp/yoho/ 30 敷地周辺火山(十和田火山)の影響評価 [出展]産業技術総合研究所ホームページ https://www.gsj.jp/data/openfile/no0613/14Towada.pdf • カルデラ形成期のような大規模火山を起こすには、一定の 休止期間が必要 • 現在の十和田火山の挙動から推測すると、1万年程度は 大規模噴火は起こらないと考えられる 31 津波の到達有無検討 シミュレーション結果において、埋設地に津波波到達しないことを確認 2号 1号 1号及び2号埋設地 管理建屋 [出展]青森県 ホームページに一部加筆 http://www.pref.aomori.lg.jp/kotsu/build/tunami-yosoku.html 32 目次 1. 廃棄物分類と処分方法 2. 新規制基準 3. 浅地中ピット処分の検討状況 操業中の施設概要 埋設施設の設計と主要機能 埋設施設の立地条件 長期の状態設定 安全評価 4. 余裕深度処分の検討状況 33 埋設した後の施設の安全性 生活環境から遠ざけるため、地下に埋設する 廃棄物は地下に埋設されるが、地下水の流れに伴って 放射性物質は運ばれてしまうかもしれない ⇒将来の状態はどうなっているか? ベントナイト 廃棄体 地下水の流れ 生活環境 コンクリートピット 放射性物質は地下水により運ばれるため、 地下水流動の把握が必要 • 水が流れやすい場所には施設を作らない • 地下水の流れを遅くするための対策も必要 34 長期変動事象の抽出 気候変動 プレート運動 火成活動 気温・降水量 地震・ 断層活動 涵養量 隆起・沈降 海水準変動 地形変化 (侵食) 河川流量 出典:社団法人土木学会 エネルギー委員会 低レベル放射性廃棄物の余裕深度処分に関する研究小委員会(2008)、 「余裕深度処分の安全評価における地下水シナリオに用いる核種移行評価パラメータ設定の考え方」に加筆修正 35 将来の地形変動例 現在の地形モデル Input 隆起速度 海水準変動 プレート運動 気候変動 6万年後の地形予測図(寒冷化条件) ※主な侵食プロセスが河食であったと仮定し場合の推定例 出典: 佐々木 泰 他(2009)、「低レベル放射性廃棄物の余裕深度処分に関する検討状況」、Journal of MMIJ Vo.125 p347-357 36 人工バリアの状態設定 出典:社団法人土木学会 エネルギー委員会 低レベル放射性廃棄物の余裕深度処分に関する研究小委員会 (2009)、「余裕深度処分における地下施設の設計、品質管理及び検査の考え方」 37 核種移行の範囲 出典:日本原子力学会標準「浅地中ピット処分の安全評価手法:2012」 、AESJ-SC-F023:2012 38 目次 1. 廃棄物分類と処分方法 2. 新規制基準 3. 浅地中ピット処分の検討状況 操業中の施設概要 埋設施設の設計と主要機能 埋設施設の立地条件 長期の状態設定 安全評価 4. 余裕深度処分の検討状況 39 評価シナリオに関する規則の要求事項 第二種埋設許可基準規則解釈 第9条3 (平成25年11月27日) 10µSv/y以下 三 基本シナリオ ①基本シナリオは、過去及び現在の状況から、廃棄物埋設地及びその周辺の地質 環境、被ばく経路の特性に基づき将来起こる可能性が最も高いと予見される一連 の変化を考慮し、科学的に最も可能性が高いと考えられる状態設定の下で、科学 的に最も可能性が高いと考えられるパラメータを用いて評価すること。 300µSv/y以下 四 変動シナリオ ①変動シナリオは、基本シナリオに対する不確かさを網羅的に考慮した状態設定の下 で、科学的に合理的と考えられる範囲で最も厳しい設定により評価する。なお、パ ラメータ間に相関関係がある場合には、これを勘案した上で保守性が確保されるよ うに設定すること。 1mSv/y以下 五 上記以外の自然現象及び人為事象に係るシナリオ ・上記以外の自然現象及び人為事象に係るシナリオについては、サイト条件を十分に 勘案して、その影響について評価を行い、・・・ 40 地下水移行による被ばく経路 地下水シナリオ 沢水飲用 井戸水飲用 (低頻度) 農畜産物摂取 ・遅い拡散速度で緩慢に漏洩する (緻密な材料で処分場を構成する) ・固相への収着により緩慢に漏洩する (収着性の高い材料で処分場を構成する) 覆土 農耕作業 地下水位 ベントナイト混合土 覆土への漏出 岩盤 沢 岩中への漏出 沼への 流入 沼産物 摂取 尾駮沼 岩中の核種移行 ・遅い地下水流速で緩慢に運搬される(地下に設置) ・長い移行距離を経て運搬される。(より深く設置) [出典] (社)日本原子力学会 標準委員会 原子燃料サイクル専門部会 第1回 LLW処分安全評価分科会(2010年5月26日), 「F16SC1-5 現行埋設施設の安全評価事例について」 41 跡地利用に係る被ばく経路 大規模な建設作業 建設残土の上での居住 人間接近シナリオ 埋設設備全体の掘削 (発生頻度小) 住居等の建設作業 核種の移行した 覆土の掘削 居住 覆土 地下水位 ベントナイト混合土 覆土への漏出 鷹架層中部層 ・敷地を一定期間管理して掘削させない ・一定の深度で掘削されにくくする。 ・記録、マーカーの保管、設置で掘削されにくくする(今後検討) [出典] (社)日本原子力学会 標準委員会 原子燃料サイクル専門部会 第1回 LLW処分安全評価分科会(2010年5月26日), 「F16SC1-5 現行埋設施設の安全評価事例について」 42 2号埋設施設線量評価モデル概念図 人間侵入経路-住居の建設作業 汚染覆土上居住 沼経路-沼産物摂取 沢経路-沢水飲用 沢水飲用畜産物摂取 沢水灌漑農耕 土壌 岩 覆土中の核種移行 移行距離:0m 地下水流速:10m/y GL-10~15m 程度 沢 全量が沢を 経由した後、 尾駮沼に流 入する 尾駮沼 ベントナイト(施設浸入水の抑制) 約1割 コンクリート モルタル 岩中の核種移行 移行距離:20m 地下水流速:1m/y 廃棄物層 施設浸入水 ベントナイト混合土の内 側全体が均一混合 廃棄物 2m 40㎝ 約9割 [出典] (社)日本原子力学会 標準委員会 原子燃料サイクル専門部会 第1回 LLW処分安全評価分科会(2010年5月26日) ,「F16SC1-5 現行埋設施設の安全評価事例について」 43 評価結果の例 ●評価結果:余裕深度処分施設の安全設計に対する妥当性(性能)評価 様式化(代表的個人の被ばく経路毎の 線量被ばくを重ね合わせ 適切な施設設計、状態 評価、シナリオ設定等を 行ったうえで線量評価を 行い、各シナリオのめや す線量を下回ることを確 認する。 めやす線量超過 結果の分析を行い人工バリア要 求性能等に係る再インプット情報 を得た後、設計のやり直し 出典:加藤 和之 他(2006)、「余裕深度処分の技術的な信頼性構築に向けた検討状況について」、原子力バックエンド研究Vo.13 No.1 44 安全評価の更新 廃止措置 管理 埋戻し 操業 建設 申請 設計 調査 計画 安全評価 安全評価は、設計段階だけでなく、複数の段階で見直しを する必要がある。 上記のほかに、10年ごとの更新も必要 45 目次 1. 2. 3. 4. 廃棄物分類と処分方法 新規制基準 浅地中ピット処分の検討状況 余裕深度処分の検討状況 46 調査坑の鳥瞰図 ●地表からの深度約-100m(試験空洞まで約1km×勾配10%) 調査坑(大) 坑口 約7m 約7m 計測坑(B) 計測坑(C) 計測坑(A) 試験空洞 約2m 約2m 約16m 調査坑(小) 約2m 約18m 水平ボーリング 約2m 47 地質環境調査の目的 余裕深度処分施設の検討に必要な情報を得るために、2001年7月~2002年6月の 期間で“予備調査”を、2002年11月~2006年3月の期間で“本格調査”を実施。 ※本格調査の詳しい内容については、下 記アドレスを参照 日本原燃株式会社、「低レベル放射性廃 棄物の次期埋設に関する本格調査の 結果について」(2006) +地質層序確認 http://www.jnfl.co.jp/press/pressj2006/pr 060901-1.html 本格調査の調査項目とその目的 出典:石田 裕樹 他(2006)、「余裕深度処分の成立性確認に向けた地質環境調査について」、原子力バックエンド研究Vo.13、No.1 48 掘削の様子 49 結果① 地質分布図 ●標高-80m付近では、鷹架層(新第三紀中新世に形成)が分布し、高透水部はない ※文献、空中写真、現地調査等から施設を直撃するような火山、断層活動はない ※平均約35m/10万年のほぼ一定の速度で隆起する傾向。 A ’ 40 30 50 10 20 30 ウラン 濃縮工場 20 30 20 10 20 10 30 0 30 20 40 10 20 1.0 10 30 20 0 中 央 沢 30 30 尾駮沼 調査坑 10 低レベル放射性 廃棄物埋設地 0 1.0 20 0 A A 標高(m) A’ 100 凡 例 250m 地層名 凡例 盛土 ) -300 250 m 第四紀層 礫 混 り砂 岩 層 軽 石 混 り砂 岩 層 軽石凝灰岩層 粗粒砂岩層 下部 層 -200 0 中 部層 -100 0 新 第三紀層 鷹 (架 層 0 10 泥岩層 50 結果② 地下水流速 ●全水頭⇒地下水の流れ方向(尾駮沼、中央沢へ)と速さ(平均流速10cm/y)を確認。 ※人工バリアの変質を促進するような地下水成分は少ないことも確認。(降水系地下水) 凡 例 ● ボーリング 地下水圧(全水頭) 10 等高線(m) 地下水の流れる方向 (イメージ) 地水圧分布図(2002年6月調査坑掘削前・標高-80 m付近) 注)地下水圧分布図に重ねて地表面の地形等高線を記載 51 結果③ 地盤調査 ●安定した大規模な空洞を構築できることを確認。 岩盤変位測定結果 変形は1cm程度 と極めて小さく空 洞は安定している。 52 (参考)人工バリア施工性確認試験 16m 18m 試験空洞 模擬廃棄体 模擬試験施設の全景 模擬試験施設の全景 [出典] 平成21年度 管理型処分技術調査等事業 地下空洞型処分施設性能確証試験報告書, 平成22年3月, (公財) 原子力環境整備促進・資金管理センター 平成24年度 管理型処分技術調査等事業 地下空洞型処分施設性能確証試験報告書, 平成25年3月, (公財) 原子力環境整備促進・資金管理センター 53 (参考)地下空洞型処分施設性能確証試験 吹付けロボット 従来工法(振動ローラー) 出典:平成23年度 管理型処分技術調査等事業 地下空洞型処分施設性能確証試験 報告書 出典:平成24年3 月 公益財団法人 原子力環境整備促進・資金管理センター http://www.enecho.meti.go.jp/rw/library/2011/23-15-1.pdf#page=202March, 2012, Report on the demonstration test for underground disposal facility, Radioactive waste Management Funding and Research Center (RWMC Japan) 54 御清聴ありがとうございました。 Thank you!! 55
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