6年後、抜本的に変わる大学入試

Vol. 41
学 長 か ら の メ ッ セ ー ジ
CONTENTS
6年後、抜本的に変わる大学入試
3 学長からのメッセージ
6年後、抜本的に変わる大学入試
滋賀大学長
滋賀大学長 佐和 隆光
4 特集
滋賀大学の地域連携のいま
6 滋賀大学のいま 地域教育支援活動について
総合研究棟<士魂商才館>
10 卒業生のいま
横田 直哉さん(湖南市立日枝中学校 教諭)
室本 加奈さん(株式会社カネカ)
12 学生支援 海外留学支援
14 在学生のいま
さ
わ
たか みつ
佐和 隆光
少子化のせいで、わが国の18歳人口は、1966(昭和41)
受験生の「知識の活用力や思考力」
を記述式ペーパー試
年度の249万人から2015(平成27)年度の119万人(推
験で試そうとするのは「言うは容易く行うは難し」
である。評
定)へと、半分以下にまで激減した。4年制大学への進学率
価テストの結果は1点刻みの点数ではなく、何段階かの評
は1966年度に10%だったのだが、昨今のそれは50%前後
価に留めるとのことだ。仮に5段階(1∼5)評価だとすれ
で推移している。大学進学率が5倍増になったにもかかわ
ば、おそらく各大学は評価テストの成績が「5以上」だとか
らず、志願倍率(志願者数/入学定員)は1966年度の2.63
「4以上」
を受験資格とし、小論文・面接・集団討論による受
倍から2013年度の1.16倍へと大幅に低下している。
験生の「知識の活用力や思考力」に基づき合格者を選抜す
おそらくは文部科学省の思惑に反して、日本の大学進学
ることになろうが、公正な(採点者の主観の入らない)選抜
率は、今後とも50%前後で推移しそうだ。2031年には、18
はおよそ不可能に近いと言わざるを得ない。
歳人口は100万人割れとなりそうだから、大学入学定員が
今後数年間のうちに、各大学に対し、新しいアドミッショ
現状のままだと、志願倍率は0.86倍まで落ち込むものと予
ン・ポリシーを打ち出すことが求められる。本学においても、
想される。志願倍率の低下により、多くの私立大学は定員割
入学者選抜に関するワーキングを設け、思考力、表現力、判
れとなり、経営に支障をきたすことになりそうだ。
断力に秀でた学生を、極力公正に選抜できるよう、入試制
今現在、すでに大学全入(選り好みさえしなければ、志願
度の抜本的な改革を目指している。
者全員がいずれかの大学に入学可能な)時代を迎えている
教育実習(地域実習)について
と見る向きが多い。定員割れを回避するために、私立大学
経済学部生がつくる「商店街×甲冑」PR映像
の場合、推薦入学やアドミッション・オフィス
(AO)入試の門
16 クラブ&サークル インフォメーション
戸を広げ、早めに入学生の半数近くを確保する傾向が、近
サッカー部
教育学部
時、
とりわけ顕著となった。文部科学省、そして中央教育審
軽音楽部
教育学部
議会(中教審)は、大学入試の現状が「知識偏重」であるこ
滋大祭実行委員会
経済学部
と、言い換えれば、思考力、表現力、判断力などの能力を度
サッカー部
経済学部
外視していることを問題視する。
こうした点に鑑み、昨年12
月22日、中教審は大筋以下のような「大学入試改革案」を
18 留学体験記
私の人生を変えた場所
文部科学大臣に答申した。
経済学部 卒業生 奥村 瑞貴
や思考力を試す「大学入学希望者学力評価テスト」
を2020
19 表紙解説
年度から導入する。第2に、学力評価テストは、年に複数回
毛筆画の図画教科書―『毛筆画帖』
瀬田・矢橋・粟津
第1に、大学入試センター試験を廃止し、知識の活用力
実施され、教科の枠組みを超えた合科目型問題をも出題す
「湖水浦廻り 名所・寺社便覧図蹟」より
る。第3に、英語は外部試験(TOEFLやTOEIC)の活用を検
討する。第4に、各大学が実施する2次試験では小論文、面
接、集団討論などを主とする。
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